7月の新国立劇場バレエ団 『竜宮 りゅうぐう ~亀の姫と季の庭~』 も楽しかった [鑑賞メモ] が、 今度はコンテンポラリー・ダンスの文脈で活躍するダンサーを集めて 『星の王子さま』をダンス作品化したということで、観てきました。
森山の舞台といえば、プロジェクションマッピングやユーモラスな造形の道具や衣裳を駆使した、 軽妙さを感じることが多いのですが、 プロジェクションマッピングもほとんど使わず、道具や衣裳の造形も抑えめ。 バオバブ木をバルーンで象る所など ひびのこづえ のアイデアのように思われましたが、 クレジット上は美術が ひびのこづえ ではなく 日比野克彦 で、そのような造形物は控えめ。 新体操やサーカスなどのバックグラウンドなど個々のダンサーの身体性を生かした動きも抑えて、 グループでの動きでの表現を多用して、作品を描いていました。 予想していた舞台とかなり違ったので、少々戸惑いながら観ていました。 そんな中では元バレエダンサーという身体性を生かした 酒井 はな の「バラ」が最も印象に残りました。
最も印象に残ったのは、やはり、最後の場面。 王子さまがバラの元に戻ったように描くのではなく、 また飛行士も倒れた状態になり修理した飛行機で生還したかのような描き方ではなく、 バラが一人舞台中央で回り続けるまま幕が下りる終わり方は、 かなりペシミスティックな印象を残しました。