ミュンヘンのバイエルン州立劇場 Staatstheater am Gärtnerplatz の劇場付バレエ団による イタリアの Fellini の映画 La Strada 『道』 (1966) に基づく Marco Goecke 振付のダンス作品です。 Goecke 振付作品は以前に Nederlands Dans Theatre の公演で観たことがありますが [鑑賞メモ]、 フィギュアスケートのプログラムや大道芸のネタとしても参照されることの多い La Strada がどのようなダンス作品となったかという興味もあって観て観ました。
La Strada の音楽を使ったフィギュアスケートのプログラムなどでは 道化風の衣装や動作を使い、少々哀愁ががったユーモアを感じさせるものが多いわけですが、 この舞台では道化的なイメージ、コミカルな動きなど全く無い訳では無いけれども抑えたもの。 細かく刻むような手足の早い動きとはっきりとした止めを多用した動きは神経質さを連想させるところもあり、 Gelsomina や Zampanó の切迫した心理の描写をメインに据えたよう。 草叢を模したようなもの (最後の場面では海の波に変わる) が舞台奥にある程度で、 色彩を抑えた暗めのミニマリスティックな舞台はスタイリッシュでした。 社会最下層の人々としての旅芸人を描いた Neorealismo 色濃い映画だったことを考えると、 シニヨンに髪をまとめ少しダボダボ気味の黒トレンチコートを着た Gelsomina はちょっと雰囲気がハイソ過ぎな気もしましたが、 翻案と考えればこれはこれでなかなか可愛いらしくて良かったように思います。