アニュアルで開催されている文化庁芸術家在外研修の成果報告展を、今年も観てきました。 日本博スペシャル展で去年が充実していたということがあると思いますが [去年の鑑賞メモ]、 今年は自分の関心とすれ違ったか、去年のようには楽しめませんでした。 コロナ禍で取材しての作品が制作しづらいということもあるのか、内向的に感じられる展覧会でもありました。
そんな中で印象に残ったのは、本来なら失敗である割れがある磁器に光を当てて造形的な面白さを浮かび上がらせた 新里 明士 『光器』 シリーズ (2020)。 チューインガムで作ったオブジェを猫の上に載せて撮った写真を、チューインガムを拡大したようなオブジェと併せ、 その題材からポップでキッチュにもなりうるところを抽象的な写真と彫刻によるフォーマルな展示にしていた 大田黒 衣美 も、そのギャップが面白く感じられました。 またそれとは対称的という点で、抽象的な空間構成を一見雑然としたオブジェでやるような 利部 志穂 のインスタレーションにも面白さを感じました。