コンテンポラリーダンスの文脈で活動するダンサー・振付家 中村 蓉 のソロダンス公演です。 去年公演を予定していたものののCOVID-19で中止になり、 その代わりにストリーミングした『ジゼル特別30分版』 [鑑賞メモ] がストリーミングされました。 それから1年余り経って劇場版の公演が開催されたので、是非見比べようと足を運びました。
Giselle の苦悩や Albrecht に対する怒りといった感情の発露のようなダンスや、 Myrtha 姐のようなコミカルな場面だけでは無く、 ストリーミングで舞台とした民家のような空間では作りづらい スタジオならではの静かな展開 (冒頭の雨中の場面をはじめ、静かに枠から去るかのような場面など) も交えて、展開の振幅が大きくなったでしょうか。 Giselle と Virginia Woolf でスタイリッシュに作ることもできそうな題材を、 Adele の歌を使ったり『笑う犬の冒険』の「ミル姉さん」のパロディなど俗ぽいポップさも交えて 仕上げるところも、面白く感じました。
楽しんで観たのですが、観終わった後の印象が、 ソロダンスの公演を観たというより、身体表現の要素の多い一人芝居を観たかのよう。 動きや空間の使い方があまり様式化されず、展開も比較的リニアで反復や変奏の要素が少なかったからでしょうか。