スイス出身で IIPM (International Institute of Political Murder) を主宰、 また、2018年以来 NTGent (Nederlands Toneel Gent) の芸術監督を務める 演出家 Milo Rau の映画作品です。 舞台は、映画 Pier Paolo Pasolini: Il Vangelo secondo Matteo (1964) や Mel Gibson: The Passion of the Christ (2002) の ロケ地として知られる南イタリア・バジリカータ州マテーラ (Matera)。 現在のマテーラの不安定な立場で農場労働についているアフリカ系移民のコミュニティと そこで Yvan Sagnet が率いる人権運動 Rivolta Della Dignita の活動のドキュメンタリーと、 Yvan Sagnet をキリスト役として演じられる受難劇 (Pasolini や Mel Gibson の映画と重ねられる) とその制作の様子を交えた映画です。 南イタリアでの移民の農場労働の実態や、Rivolta Della Dignita の活動などドキュメンタリーとして興味深く観ましたが、 そこに重ねられる受難劇の方の必然性がピンときませんでした。 映画としてではなく受難劇として上演される様子を観れば、上演上の必然性が感じられたのかもしれないと思う一方、 10年近く前に上演を観た Hate/Radio も似たような印象が残っているので [鑑賞メモ]、 自分とは作風が合わないのかもしれません。