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Review: 新国立劇場バレエ団 『DANCE to the Future: 2021 Selection』 @ 新国立劇場 中劇場 (バレエ)
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
2021/11/28
The National Ballet of Japan: DANCE to the Future: 2021 Selection
新国立劇場 中劇場
2021/11/28, 14:00-16:30.
Choreographic Group アドヴァイザー: 遠藤 康行; 照明: 眞田 みどり; 音響: 仲田 竜太.
芸術監督: 吉田 都; 主催: 新国立劇場.
第1・2部
新国立劇場バレエ団 Choreographic Group 作品より
『Coppélia Spiritoso』
振付: 木村 優里; 音楽: Leo Delibes, et al.; 出演: 木村 優子, 木村 優里.
『人魚姫』
振付: 木下 嘉人; 音楽: Michael Giacchino; 出演: 米沢 唯, 渡邊 峻郁.
『コロンバイン』
振付: 髙橋 一輝; 音楽: Þorkell Sigurbjörnsson; 出演: 池田 理沙子, 渡辺 与布, 玉井 るい, 趙 載範, 佐野 和輝, 髙橋 一輝; 『DANCE to the Future 2020』未公開作品
『≠(ノットイコール)』
振付: 柴山 紗帆, 益田 裕子, 赤井 綾乃, 横山 柊子; 音楽: 渡部 義紀; 出演: 益田 裕子, 赤井 綾乃, 横山 柊子, 柴山 紗帆.
『神秘的な障壁』
振付: 貝川 鐵夫; 音楽: François Couperin; 出演: 米沢 唯; 『DANCE to the Future 2020』未公開作品
『Passacaglia』
振付: 木下 嘉人; 音楽: Heinrich Biber; 出演: 小野 絢子, 福岡 雄大, 五月女 遥, 木下 嘉人.
第3部
『ナット・キング・コール組曲』
振付: 上島 雪夫; 音楽・歌: Nat King Cole, et al.; 照明: 杉浦 弘行; 衣裳: 有村 淳; 初演: 『DANCE to the Future 2011』
出演: 本島 美和, 寺田 亜沙子, 奥田 花純, 細田 千晶, 益田 裕子, 今村 美由起, 貝川 鐵夫, 福田 圭吾, 小野寺 雄, 福田 紘也, 中島 瑞生, 渡部 義紀, 赤井 綾乃, 朝枝 尚子, 徳永 比奈子 廣田 奈々.

新国立劇場バレエ団の中から振付家を育てるためのアニュアルの公演です。 昨年度はCOVID-19のため公演はキャンセルで、コンポジション・プロジェクトによる作品2作品が無観客上演のライブストリーミングされましたが [鑑賞メモ]、 今年度は昨年度2上演できなかった2作品を含む6作と、2011年度に上演された『ナット・キング・コール組曲』の再演ということになりました。

振付や出演のダンサーの年齢層にもよるのかもしれませんし、 エレクトロニカやバロックという使われた音楽の好みもあるかもしれませんが、 第1部は少々子供っぽく感じられてしまい (自分が老いただけで年相応な表現なのかも知れませんが)、第2部の方が好みでした。 『≠(ノットイコール)』、ダンサー自身が作った electronica に合わせて白2人、黒2人の2組4名のダンサーが派手なリフトなどはないものの、組み踊る様子にも緊張感も感じました。 『神秘的な障壁』では、harpsichord の音にスモークに紗の衣装、ダンサーのオーラもあって天女のよう。 そして、『Passacaglia』では、viola da gamba が baroque cello と思われる少し濁った弦の音色に、 ライティングで道も浮かび上がらせつつ、そこでのすれ違いを描くようでした。

ラストの『ナット・キング・コール組曲』は 宝塚や東宝などのミュージカルで知られる 上島 雪夫 の振付で、 新国立劇場バレエ団の通常の公演では観られないようなショーダンスの意外さを楽しみました。 要所要所で客席方向や決めのポーズを意識していると感じさせるところは、 さすがエンターテインメントの演出振付でした。

新国立劇場バレエ団には期待しているだけに、 欧州の公共劇場のバレエカンパニーが取り組んでいるコンテンポラリーな振付・演出の新作と比べると……、とは思ってしまいますが、 こういう試みの作品を積み重ねて、少しずつでも近付いていって欲しいものです。