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Review: 小野寺 修二 / カンパニーデラシネラ 『ふしぎの国のアリス』 @ 新国立劇場 小劇場 – THE PIT (ダンス)
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
2022/03/27
新国立劇場 小劇場 – THE PIT
2022/03/19, 13:00-15:00.
構成・演出: 小野寺 修二;
音響効果: 池田 野歩; 音響: 黒野 尚; 照明: 吉本 有輝子; 美術: 石黒 猛; 衣裳: 今村 あずさ.
出演: カンパニーデラシネラ: 崎山 莉奈, 藤田 桃子, 大庭 裕介, 荒 悠平, 王下 貴司, 斉藤 悠, 仁科 幸, 小野寺修二.
初演: 2017/06/04 新国立劇場 小劇場.
主催・制作: 新国立劇場

新国立劇場2016/17シーズンの「大人も子供も一緒に楽しめるダンス作品」の公演で上演された 『ふしぎの国のアリス』の再演です。 2020年6〜7月に再演が予定されていたもののCOVID-19の影響で公演中止。それからさらに1年半経っての再演です。 カンパニーデラシネラ [鑑賞メモ] の公演はそれなりに足を運んでいますが、 この作品は初演時に見逃していたので、やっと再演で観ることができました。 出演は初演時と同じですが、初演時よりもセリフに依存しないように変更したとのこと。

ルイス・キャロル『不思議の国のアリス』 (Lewis Carroll: Alice's Adventures in Wonderland, 1865) に基づく作品です。 といっても、カンパニーデラシネラですので、オリジナルの物語をそのまま辿るような作品ではありません。 Alice の役は主に 崎山 が演じていましたが、藤田が演じるときもありました。 小野寺がほぼ The White Rabbit を演じていましたが、 他のパフォーマーは特定の誰かを演じるというものではありませんでした。 Mad Tea Party に思われる場面にしても、登場人物は抽象化されて、 4人による不条理な椅子取りのようなパフォーマンスとなっていました。 このように、登場するキャラクターをパフォーマーに割り当てるというわけでなく、 その中のエピソードに着想した場面を8人のパフォーマーで演じるような作品でした。

原作がそもそもその色が強くありますが、マイム劇らしいシュールで不条理な異世界行の舞台でした。 単にマイムに着想したというだけでなく、 傾いた天板を持つ8ピースに分かれる台や、8枚の可動式の縦長の衝立など、 物をパズルのように動かしつつ、その動きに着想したパフォーマンスが楽しい作品でした。 天板の傾いた台は、その形状の不規則性も不条理さを出していましたし、 単に台として使うだけでなく、下側をライトアップして地下通路を表現したり、 天板を横にして立てて小部屋のようなものを表現したり、とその巧みな見立てを楽しむことができました。