昨年の『Knife』 [鑑賞メモ] に続く 小野寺 修二 の国際共同制作ですが、今回は カンパニーデラシネラ 名義での公演です。 といっても、大庭 裕介 は出演しておらず、小野寺 も状況を転換するような場面で少し出る程度で、女性5名のみの舞台です。 その顔ぶれはカンパニーのメンバー、藤田、崎山に加え、『Knife』にも出演していた 梶原 (フランスを拠点に活動)、劉 (台湾)、あと、今回初出演と思われる 李 (マレーシア) です。
『Knife』やその前の『どこまでも世界』 [鑑賞メモ] では、可動ながらも空間の物理的な構成を決めるような舞台装置がありましたが、 この作品では、一本足が突き出た上面が傾いた台が4台、奥に扉、右手に小さな壁がある程度、 舞台中央に何も無い広いスペースを取っていました。 そこにマイムで空間を描くというより、 ダンサー間の力関係やその心理を描くという点で、ダンスに感じられた舞台でした。
オーウェル『動物農場』 (George Orwell: Animal Farm, 1945) に着想したとのことですが、 舞台の上は中性的というより少々女性的な白服の女性が5名で、スペースの黒い背景にその動き映えます。 中盤にやりとりされるリンゴなど、権力の象徴の様でしたし、 ゴム紐を使って可塑的な空間を作ってリンゴをやりとりする場面など、 その緊張感や変化する力関係の視覚化という点でも面白く感じられました。 しかし、特に後半、ディストピア的な不条理感があまり感じられず、 エンディングの意味合いなども捉え損ね、いまいちピンとこないまま終わってしまいました。