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Review: 『ガブリエル・シャネル展』Gabrielle Chanel: Manifeste de mode @ 三菱一号館美術館 (デザイン展)
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
2022/09/11
Gabrielle Chanel: Manifeste de mode
三菱一号館美術館
2022/06/18-2022/09/25 (月休,祝月開,6/27,7/25,8/15,8/29開) 10:00-18:00 (祝日を除く金曜と会期最終平日、第2水曜日は-21:00)

フランス Palais Galliera - Musée de la mode de la ville de Paris (ガリエラ宮パリ市立モード美術館) の監修でそのコレクションに基いて企画された、 20世紀のファッション・デザイナー Gabrielle “Coco” Chanel の回顧展です。 さすがに、現在のブランドとしての Chanel の紹介などは全くなく、デザイナとしての Chanel の足跡を、 デザインした服や、そして、自身がデザインしてはいないもののブランド下で手掛けた アクセサリー、ジュエリーやコスメティックスのパッケージを通して辿る展覧会でした。

有名なデザイナーということでそれなりにの予備知識はありましたが、個展として観ることで、気付きもありました。 ファッション史の中では戦間期の Art Deco のデザイナーとして位置付けられ、 Ballets Russes や Stravinsky などパリの Avant-Garde 界隈との交流とかを語られることが多いわけですが、 キャリアは戦後1954年にメゾンを再開させてから死ぬまで (1954-1971) もあり、 有名な Tailleur Chanel (いわゆるシャネル・スーツ) はその時代の Mid-cencury Modern Design と言えるものだと気付かされました。 Chanel のジュエリーを初めてちゃんと観ましたが、その装飾を抑えたモダンな服飾デザインや、 Art Deco というより Avant-Garde に近い香水 N°5 の瓶のデザイン (1924) とは対称的な、 アンティーク風だったりエキゾチックだったりするデザインだったのも、少々意外でした。

また、Chanel のようなラグジュアリーのデザインではないものの、半年ほど前に同美術館で観た 『上野リチ ウィーンからきたデザイン・ファンタジー展』 [鑑賞メモ] とほぼ同時代だということを思い出しつつ、 戦間期と戦後20世紀半ばのモダンデザインの連続性も意識させられました。