2018年に静岡県舞台芸術公園 屋内ホール「楕円堂」で上演された Claude Régy (2019年没) 演出による Rêve et folie [Dream and Derangement] [鑑賞メモ] を、 縁があった 宮城 聰 と 美加理 が Régy へのオマージュとして作ったという作品です。 2018年に観た暗闇の中でのパフォーマンスがどのようにリメイクされたのかという興味もあって、観てきました。
暗闇の中でハンドライトを使うオープニングといい、全体として薄暗い照明の中で下でしたが、 Régy のかなり極端な演出と比較してしまうせいか、むしろ、オーソドックスな一人芝居に近い印象を受けました。 淡々とした前半から、丸く敷き詰められた石灰 (もしくは砂) の上でのたうちまたるなど、後半の舞台上の様相の切替などはさすが。 宮城 聰 演出では 美加理 は動き手を演じ語り手は別にいることが一般的ですが、この演出では 美加理 自身が台詞を話します。 一人芝居で喋り続ける 美加理 を観たのは初めてでそれは新鮮ではあったのですが、 通りのいい綺麗な発声で少し高く可愛らしく感じる程で、 表現主義的な Trakl の内容とはミスマッチで台詞が頭に、というか、心に入ってきませんでした。 途中の歌使い (選曲は 宮城 聰) といい、Régy の演出と比べ、かなりポップでとっつきやすい演出に感じられました。 Régy の演出の真似をしても仕方ないので、こういう演出もありかなとは思いましたが、 期待が大きかったせいか、観終わって、違和感の方が多く残った公演でした。
最前列の席になってしまったのだけれど、視線の高さが舞台の高さとほぼ同じくらいで、 舞台上の配置がほとんど分からなかったのも残念でした。 後半の演出の鍵とも言える丸く敷き詰められた石灰も、終演後に確かめて、やっとどうなっていたか分かったという状態でした。 客席中段くらいの高さから観たい舞台でした。