書道の師範・教授の免許を持ちつつダンサー・振付家として活動する 黒沼 と、 国際大会ジュニア部門に入賞するレベルのジャグリングのスキルを持ちつつ物理エンジンベースのGC動画なども用いた映像に取り組む 岡本 の2名が 2020年に結成したカンパニーによる公演です。ノーチェックだったのですが、 YPAM (横浜国際舞台芸術ミーティング Yokohama International Performing Arts Meeting) フリンジ2022 のエントリに目に止まったので観てみました。
前半は 黒沼 のソロ、後半は 岡本 のソロということで、2人が動きで絡むようなコラボレーションはありませんでしたが、 2人とも映像と動きを重ねるようなパフォーマンスでした。 前半の中では筆を扱う動きではなく筆跡の軌跡に着想するダンスをムービングタイポグラフィーならぬムービングカリグラフィと重ねた動き、 後半の中では光の粒の嵐の中でのジャグリングが、視覚的にも美しく印象に残った場面でしょうか。
しかし、特に物理エンジンを使ったコンピュータグラフィクス映像とジャグリングやダンスとなると、 Adrien M & Claire B [鑑賞メモ] など思い出してしまう所もあって、そこまで洗練されていなくても、 もう少しライブ感、動きと映像のインタラクティブな要素があったら ––例えば、前半であれば、既に文字が書かれたオブジェを扱うのではなく舞台上で文字を書いてそこからライブで映像を展開していくとか、 後半であれば、投影する物理エンジンのプログラミングにお決まりの操作ではなくその場にしか無いものを取り込むとか、既に録音したナレーションを使うのではなくその場で話すとか–– と思ってしまいました。