ふじのくに⇄せかい演劇祭 2023 のプログラムで、この舞台を観ました。
1980年代から韓国のコンテンポラリーダンスの文脈で活動する女性ダンサー 안은미 [Ahn Eun-Me] 率いるカンパニーによる2011年作です。 といっても、作風などの予備知識はほとんど無いまま、観ました。 前半は、ダンサー9人が、ミニマルなテクノのビートに乗って、 時に年配の女性の動きに着想したと思われる動きを織り込みつつも、 走り跳ね飛ぶ様もダイナミックに舞台狭しと踊ります。 照明を中心とした演出もミニマリスティック。 その激しめな動きに少々戸惑いつつも、 非ダンサー的で時に醜いとされるような動きに着想するダンスという点で Maguy Marin [感想メモ] を連想しました。
制作時に取材したと思われる年配の女性が踊るビデオの上映を挟んでの後半は、 あらかじめ選ばれた年配の女性たち (この舞台では静岡で選ばれた10人) を交えてのコミュニティ・ダンスに様相が変わります。 音楽も20世紀後半のものと思われる韓国の歌謡曲が多く使われるようになります。 年配の女性が手振りメインに踊り、若いダンサーたちも一緒になって踊っていく所も微笑ましいのですが、 おそらく若い頃はある程度踊れていたのだろうなと思わせる動きの人もいて、 それを微笑ましく思ってよいものかと、少々ためらいも感じつつ観ました。 カーテンコール時には観客にも踊りを促して祝祭的になりましたが、素直に寿ぐというほどの気分になれない後味でした。