実験的な作風で知られるロシアの映画監督 Александр Сокуров [Alexander Sokurov] [関連する鑑賞メモ] の新作は、 過去のアーカイブ映像をコラージュしたかのような映像作品です。 第二次世界大戦の当事国、ドイツ、イタリア、ソ連、イギリスのそれぞれの指導者 Adolf Hitler, Benito Mussolini, Iosif Stalin, Winston Churchill が、 お互い侮蔑の言葉を呟きつつ言葉を交わしつつ、天国の扉の前で最後の審判を待っているというシチュエーションを、 アーカイブ映像や手記等のコラージュという形で描いた映像作品です。
4人それぞれ画面の中で1人物像ではなく、時には複数に増殖します。 Churchill は描かれ方が少々違い、うまく渡り合った同時代人という位置付けかもしれません。 そして、僅かに登場する Napoléon Bonaparte は、彼らの先駆者といった所でしょうか。 6年間かけて膨大な資料から作り上げたその労力はすごいと思いますし、 皮肉が効いているとは思いますが、そのやりとりや映像が面白いというほどではなく、かなり単調に感じました。 むしろ、荒ぶる海のような大衆の表現こそが、第二次世界大戦のメタファーのようで、強い印象を残しました。