中国・泉州出身で1980年代後半に日本で活動し、1995年にニューヨークに拠点を移して活動する 火薬を使った作品で知られる現代美術作家 蔡 國強 の回顧展です。 2015年の横浜美術館での展覧会 『帰去來』 [鑑賞メモ] は新作中心でしたので、 初期の作品をまとめて見ることができたのは貴重でした。
1991年の東京 P3 art and environment での個展『原初火球 The Project for Projects」 を、 作家のキャリアの大きな転換点と捉え、その時に展示された屏風状のパネルの作品7点が出展されていました。 蔡 國強 を知ったのは1990年代後半でこの展覧会は観ていないこともあり、 この時点ですでに作風は確立していたのだなと、感慨深いものがありました。 火薬を使って描いた絵画やタペストリーは四半世紀観てきているせいもあってか迫力を感じるというほどではありませんでしたが、 爆発跡の焦げ燻んだ色合いとテクスチャが良いな、と。
その一方で、最近の作風なのでしょうが、 円盤などを模った金属枠にLED照明をつけてコンピュータ制御で様々に光らせるインスタレーション新作『未知との遭遇』となると、 少々アトラクション的でキッチュに感じられてしまいました。 展示上映されていたビデオを見ると、海外ではLED照明ではなく花火でインスタレーションしたものもあったようで、 花火であればまた違った見応えがあるのかもしれませんが。