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Review: 『本橋成一とロベール・ドアノー 交差する物語』 @ 東京都写真美術館 (写真展); 『風景論以後』 @ 東京都写真美術館 (写真展)
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
2023/09/03
Motohashi Seiichi and Robert Doisneau: Chemins Croisés
東京都写真美術館 2階展示室
2023/06/16-2023/09/24 (月休; 月祝開,翌火休). 10:00-18:00 (木金-20:00)

1939年に活動を始めたフランスの写真家と1960年代に活動を始めた日本の写真家の2人展です。 本橋は Doisneau の写真集を集めていて会おうとするもすれ違ったという経緯もあるようですが、 時代も場所も違いながら、炭鉱労働者、サーカス・芸能や市場など同じような被写体を捉えているという点に着目した企画です。 客観的というより、市井の人々の営みの物語を感じさせるような一瞬を捉えた作風というのも、共通するでしょうか。 現代美術寄りの文脈で写真を追っているとつい見逃しがちなジャンルですが、こういう作風の系譜に気付かされました。

Robert Doisneau といえば、 自分にとっては Tracey Thorn: Plain Sailing (Cherry Red, Cherry53, 1982) のジャケットにも使われた “Le Baiser de l'hôtel de ville, Kiss by the Hotel de Ville”「パリ市庁舎前のキス」 (1950) の印象が強いのですが、 他の作品もある程度まとめて観ることができて良かったでしょうか。

After The Landscape Theory
東京都写真美術館 地下1階展示室
2023/08/11-2023/11/05 (月休; 月祝開,翌火休). 10:00-18:00 (木金-20:00)

都市の風景を題材とした写真を特集した企画です。 松田政夫『風景としての都市』 (1970) など1970年前後に巻き起こった写真や映画の界隈の風景論を鍵に、 1970年代前後の中平 卓馬らの写真雑誌『PROVOKE』 (1968-1969)、 足立 正生, 他による映画『略称・連続射殺魔』 (1969)、 大島 渚 や 若松 孝二 の1970年前後の映画、といったところを核に、 直接的な関係は無いものの現代に至る表現の系譜を追っています。 しかし、それ以降の系譜があまりピンとこず、 良くも悪くも1970年前後のカウンターカルチャーの時代の印象を強く残す企画でした。

先週末に『挑発関係=中平卓馬×森山大道』展を観たばかりだったので [鑑賞メモ]、 計らずしも2週続けてになってしまいました。 しかし、そちらの展示に無かった中平のプリントの写真は、こっちにあったのか、と。

3階展示室では、 『TOPコレクション 何が見える? 「覗き見る」まなざしの系譜』。 17世紀末のピープショーに始まり、20世紀初頭まで見世物として様々に興行された のぞきからくり、ステレオースコープ、キネトスコープ等の映像、視覚に関わる装置のコレクションを核にした展示です。 以前であれば、写真以外のコレクション展は地下1階展示室を主に使っていたように思うのですが、3階展示室ということでそこが新鮮に感じられました。