CO.SCOoPP は京都を拠点に活動する現代サーカス・カンパニー。 Raphaëlle Boitel: Fierce 5 [鑑賞メモ] に出演していた 安本 が主宰する 気になっていたカンパニーの滅多にない関東圏での公演で、 会場も以前から気になっていた現代サーカスのスタジオということで、足を運んでみました。
まずは、『合わせ揺れる』。 ヴァーティカルダンスに使うハーネスを付けた2人が、 ロープ無しでカラビナで2人のハーネスを直結した状態での10分程のパフォーマンスです。 コンタクトインプロビゼーション、もしくは、2人組のアクロバランスのようでもあり、 支点がカラビナを繋ぐハーネスになることで微妙に異なる所 – 低いながらぶら下がるというヴァーティカルダンス風な所はもちろん、膝上に横向きに正座して座ってバランスするようなアクロバランスのようでハーネス無しでありえない動き/ポーズ — を興味深く観ましたが、 少々取り留めなくスケッチ集のような印象も受けました。
舞台展開して、『境界』は、ベルベットのような風合いの赤いシルクを3枚を使ったソロ。 シルクは上で絞らず天井のレールに固定された大きめのトラペーズ様の足場にフラットに3枚とも客席向きに、 2枚は間1mほど開けて並べて、もう1枚はそれらの後ろに間を塞ぐように、掛け下げられています。 最初のうちは、そんな3枚の布に隠れたり戯れたりするようで、動きの小ささもあってかなかなか作品世界に入り込めなかったのですが、 後半になって動きが大きくなって、引き込まれました。 赤いベルベットのカーテンを突き破って出てくるかのような動きから、 3本のシルクを全身に絡めて半ば逆さ吊りになりつつ床を転げたり超低空のエアリアルかのような動きへ。 そして、最後はトラペーズ様の足場に登っての動きになり、ラストはシルクを絡めての落下、と、かなりエアリアルっぽい動きも見せました。 フライヤによると Michael Ende の小説に着想したとのことですが、 赤いヴェルベットのカーテンを思わせる美術もあってか、 後半激しくなる展開も含めて David Lynch の映画/TVドラマ (Twin Peaks など) を少々想起させられました。
アフタートークは、Co.SCOoPP主宰 安本 と、 ながめくらしつ 主宰 目黒 陽一、 Circus Laboratory CouCou 創設者 酒井 淳美 の3名によるもの。 今回上演した作品に関する話もありましたが、 国内で現代サーカスのクリエーションするスタジオを運営する人たちの話ということで、 高さを必要とするサーカスをクリエーションをする場所がないことや、 エアリアルやヴァーティカルダンスが上演できる場所がないことなどの苦労話の方に、興味を引かれました。 このような状況で作品を作り公演を続けているということだけでも凄いことだ、と。 アフタートークで話に出た Mirai Circus Network で活動にも期待したいものです。