カナダ・ケベック州ケベック・シティを拠点に活動するコンテンポラリーサーカス・カンパニー Machine de Cirque の2020年作です。 2018年に観たものはミュージシャンも交えた賑やかな舞台でしたが [鑑賞メモ]、 今回の作品はティーターボード (teeterboard) とそれを演じる2人のみ。 明瞭な物語は無いものの繊細な演技で2人の関係やそれぞれの心情を浮かび上がらせるような作品でした。
舞台中央には横回転可能なティーターボードのみ。 途中で色付きの上着を着てクラウンメイクを簡略化したようなメイクをするのですが、 開始と終わりはシンプルな黒い衣装という、かなりミニマリスティックな舞台です。 大きく飛び上がり高難度な空中回転を見せる時もありますが、 むしろ、ティーターボードの反動を使っての低い位置でのアクロバティックな動きが多め。 動きとマイムで、最初のうちは息が合った様子を、しかし次第に一方が過剰になることですれ違うようになり、そして、もう一方が舞台を去り、また戻って共演する、 という2人の関係を浮かび上がらせます。
ボードの端に横になり、反動で飛び上がるのではなく、すくっと立ち上がるだけの動きが度々使われるのを見て、まさにパートナーを立ち上がらせるためのティーターボードだな、と。 ティーターボードの両端に乗ってバランスとりながら横回転させて、浮遊感ある動きを作り出したり。 見応えある跳躍ももちろんあったけど、むしろ心情を描くような細やかな動きが印象に残る舞台でした。 パートナーがいなくては飛ぶことも出来ないティーターボードの特徴を活かした、時に空回りする友情と孤独を感じさせる作品でした。