ドイツ・ラインラント=プファルツ州の州都マインツ (Mainz, Rheinland-Pfalz, DE) の州立劇場 Staatstheater Mainz 付きのダンスカンパニー tanzmainz の初来日公演です。 バレエではなくコンテンポラリーダンスをレパートリーとしていて、今回の公演では ex-Batsheva Dance Company の振付家 Sharon Eyal が tanzmainz に振り付けた作品を上演しました。 Sharon Eyal の作品は去年の Nederlands Dans Theater 来日公演で観る機会がありましたし [鑑賞メモ]、 ストリーミングでですが Staatsballett Berlin の上演も観たことがあります [鑑賞メモ]。
舞台美術をほとんど使わず彩度の低いボディスーツのような衣装というミニマリスティックな演出と、 舞台正面向きで先立ちと身を寄せ並ぶようなフォーメーションでの脈動するような群舞が特徴的という点は、今までに観た作品と変わらず。 その点では今まで観た作品の変奏のようというのが印象は否定できません。 しかし、長さが最も長かったこともあり、今までの観た中では最も展開が感じらました。
コロナ禍で劇場が閉鎖状態となった中で制作された作品とのことでしたが直接的にそれを表現してはおらず、 「希望」というテーマ選びにその状況が伺われます。 2人が両手を繋いで輪というかハート型を作るような動きや、祈り見上げるようなポーズ、 ラスト近くで天井から降りてくる星空のようなまばらで小さな点々とした照明。 音楽もミニマル・テクノを基調とするものの Rawhide のテーマがサンプリングされたりと具体的なフレーズが耳を捉えることもありました。 そんな、ミニマリスティックな演出や反復を基調とした動きの中のささやかな変化や逸脱の中から、 ドラマ的な展開がうっすらと浮かび上がるようでした。