京都服飾文化研究財団 (KCI, The Kyoto Costume Institute) 所蔵の衣装コレクションに現代アート作品を交えて構成した展覧会です。
衣装コレクションは、18〜19世紀は上流階級のドレス、
20世紀以降はいわゆるハイファッションのアトリエのものがメインで、コレクションで発表したものや舞台衣裳として作られた、作家性、作品性の高いものが展示されていました。
ファッション史を辿るような年代順の展示構成ではなく、願望の観点から5つのテーマを設定して構成されていました。
ハイファッションの衣装、特に舞台衣裳はコンセプチャルなものが多く現代アート作品に通じるものがあるというのはわからないではないのですが、 願望の反映としてのファッションという切り口と、むしろそういった物に対する批判的なアプローチを取る現代アートの相性がよろしくなく、 かといってその二者を衝突させるような企画でもなく、企画としては説得力に欠けるものがありました。
しかし、そんな企画を超えて、Comme des Garçons [川久保 玲] の
後に Merce Cunningham: Scenario (1997) [鑑賞メモ] の衣裳にもなった
“Body Meets Dress, Dress Meets Body” と題された1997年春夏コレクションや、
Virginia Woolf: Orlando をテーマとした2020年春夏コレクションと
Olga Neuwirth 作曲、Polly Graham 演出での Weiner Staatsoper によるオペラ化 (2019) での衣裳など、
ファッションと現代的なパフォーミングアーツ、現代アートの接続点をクリアに見せてくれたように感じました。
それ以外にも、現代演出のダンスやオペラの衣裳としてなら面白そうと楽しんで観た21世紀のファッションもありましたが、 むしろ、色々一回りして、ミニスカートなどが登場する以前の1950年代のこれぞモダンデザインなドレスは良いものだなあ、と、しみじみ感じるところもありました。