フレキシブルポール上で演劇的なダンスを繰り広げる オーストラリア (Australia) のカンパニー Strange Fruit の公演が4月25日〜27日に 六本木ヒルズアリーナで行われた。 一日2回公演で、 演目はマチネが Swoon!、 ソワレが The Spheres。 26日の The Spheres と 27日の Swoon! を観た。
ちなみに、他の大道芸フェスティバルで撮った写真もあります: Swoon! @ 静岡, 2000、 The Field @ 六本木, 2003 The Spheres @ 六本木, 2004。
黒マント姿の7人のパフォーマーがフレキシブル・ポールに登る所から パフォーマンスが始まる。 身体をポールの先に固定して、黒い布に覆われた直径2m程の球を引き上げ、 球の中にすっぽりと入る。
球を覆う黒い布が外れ、白い球に。照明によって様々な色に変化する。 パフォーマーは球の中に入ったまま。 フレキシブル・ポールの先の球が、時に規則的に、時に不規則に揺れる樣は、 動物の卵か菌類の胞子嚢のよう。
やがて、パフォーマーが球の上から上半身だけをのぞかせる。 その揺れはより大きくより複雑に。 パフォーマー同士が手を繋いで球を凝縮させるような技も見せる。 手ぶりと表情だけながら、中央の一人をヒロインとした物語も描きはじめる。
さらに、球を足下まで下げ、全身を出す。動きもダイナミックに。
最後には球を完全に下ろして、 フレキシブル・ポールを大きくしならせて、まるで飛ぶようなパフォーマンスに。 卵から孵化した幼生が泳ぎ出したかのよう。
パフォーマー達は最後は白い姿になって、フレキシブル・ポールから降りた。
最前列で観たら、球に邪魔され、 パフォーマーの身振り表情が観づらくなってしまった。 フレキシブル・ポールをスウィングさせる迫力は堪能できたが、 中央のヒロインの囲んで周囲の男女3人ずつがどういう物語を作り出していたのか、 ほとんど判らなかったのが残念。
ピンクとレッド、2組の男女のカップルが織り成すちょっとしたラブコメディを、 フレキシブル・ポールのスウィングと手ぶり表情だけで描いたパフォーマンスだ。
まずは静かな揺れから。 この揺れの中、まるで人形に命が吹き込まれたかのように、パフォーマーが動き出す。
レッドの男がピンクの女にちょっかいだしたり。
4人で仲良く、と思ったら、女を巡って男同士で喧嘩を始めたり。
拗ねたピンクの女にピンクの男がアプローチしなおしたり。 で、元の鞘に。
最後には4人でダイナミックなスウィングして、観客を盛り上げた。
スウィングをコントロールして互いにシンクロさせなければ成立しない演技なので、 その高度な技だけでも見応えがある。 しかし、単に技を見せるだけではない。 ツンデレなピンクの女に愛嬌のあるレッドの女、 気の多いレッドの男に一途なピンクの男、と フレキシブル・ポールの揺れと手ぶりだけで判るように キャラクターを演じ分けられるだけの演技力と技のアイデアがある。 そして、そんな4人による物語 (それはたわいないラブコメディかもしれないけれど) によって技を自然に繋いでいく演出も良い。 もちろん、そういう演技や演出を可能にしている技の安定度も素晴しいし、 そういう所まで含めて見応えのあるパフォーマンスだ。
ちなみに、以前に観たものから音楽が大きく変更され、 構成も若干変わっていた。 しかし、新たな大技を加えたり、小道具を増やしたりするような変更は無かった。 前半に細かい演技が増えてキャラクターの造形が深まったけれども、 その分だけダイナミックな動きによるつかみが弱くなってしまったようにも感じた。
照明や球のようなオブジェを使用していない分だけ、 The Spheres よりも Swoon! の方が 彼らの技のアイデア、演技力や構成力がダイレクトに伝わってきて面白いと思う。