edogawa's diary 03-04 #10.
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2003.10.28.Tue. 13 : 20 p.m.
BGM : KITCHEN SOUND

 今月の書籍仕事を、きのう、きっちり〆切どおり完了。迷惑をかけまくった先月までの担当者各位の顰蹙を買いそうな気もするが、想像以上にイージーな単純作業だったのでご勘弁を。なんで私は〆切を守っても謝っているのか。

 というわけで仕事が一段落したし、雨も降っているので、本日は自宅にて更新中。背後で愚妻が台所仕事などしており、どうも調子が出ない。やはりウェブ日誌というのは孤独だからこそ書くものであるに違いない。調子が出ないのはもう一つ理由があって、自宅のパソコンにはHTMLタグを単語登録していないのでいちいち半角英字にして打たねばならず面倒臭いのだった。単語登録で思い出したが、このあいだゴンザレスと焼き肉を食ったとき、彼は「(笑)」を「かわ」で登録していると言っていた。私は「わら」だ。あなたは「(笑)」をナニで登録していますか。

 さっきまで、ラツィオ×ボローニャ(セリエ第7節)を副音声で観ていた。イタリア語の実況は選手名と「Si」と「ブラビーッシモ」ぐらいしかわからない私だが、副音声で観戦するとやはり試合に集中できる。集中して観るとくたびれるゲームだったので、いいんだか悪いんだかよくわからない。

 ラツィオはずーっと攻めていた。ずーっと攻めていたが、点がぜんぜん入らなかった。点がぜんぜん入らないまま、80分をすぎた。しかし、やれやれスコアレスドローかいなとうんざりしていた83分、途中出場の下インザーギが炎の先制ゴールだ。エリア内の左サイドで背後のDFを巧みに抑えながら(なんとPKを求めて倒れることもなく!)右足で放ったループショットがゴール右隅へ。ブラビーッ下!

 だが、歓喜のわずか4分後に絶望が訪れる。ボローニャがセットプレイから見事なヘディングで同点ゴールを決めたと思ったら、決めたのはダボだったんでやんの。先日のトゥドールを思い出させる直角オウンゴールである。ダボめ。「ブラビーッシモ」の反対語を知りたい。

 だがしかしところが。完全にふてくされて観ていたロスタイムに、左サイドのクラウディオから今季初めてではないかと思うようなまともなクロスが入る。どういうわけかコラーディがどフリーで待っていた。どうやらその前に、敵のDFをひとりなぎ倒していたらしい。ナイス。強振せず素直にセンター方向に打ち返したヘディングシュートに、パリュウカは一歩も動けない。ブラビーッシモ! ブラビーッシモ! もひとつオマケにブラビーッシモ! 最後の8分間で3ゴールの乱戦を、ラツィオが2-1で制したのであった。ゴールはぜんぶラツィオの人たちですが。やった。

 日本シリーズが終わった。6戦と7戦をごく一部だけ横目で観ていた。驚いたのは6戦の8回裏だ。またしても女子中学生以下のプロ野球音痴ぶりをひけらかすことになるが、石毛がマウンドに立ってるじゃないか。いや、阪神に石毛という名の控え投手がいることは、画面のテロップを見て知ってはいた。でも、その石毛があの石毛だなんて微塵も思わなかったのだ。あー、また石毛っていう選手が出てきたのね、ぐらいの気持ちだったのである。だが、それは石毛だった。まだ野球やってたのかー。あのオドオドした表情、自分の置かれた立場や状況がわかっているとはとても思えない呆けた瞳、ギクシャクした投球フォーム、そして行方の定まらない棒ダマ。すべてが私の胸を悪くさせた。とてもイヤな気分になった。嗚呼。もう二度と石毛がホームランを打たれるシーンなど見ないだろうと思っていたのに。ぜんぜん変わっとらんやんけー。久しぶりに野球を見て笑った。

 日本シリーズ終了後、そのままテレビ東京で日本×アメリカ(ラグビーW杯)を観戦。消化試合の最終戦、「悲願の勝利」とやらを賭けた弱いモン同士のアジア×北中米対決となれば、どうしたって5年前のジャマイカ戦を思い出さずにはいられませんね。で、ジャマイカ戦みたいな負け方だった。1点差まで追いすがったものの、一度もリードを奪えなかった。悔しい。各組5チームでは仕方ないのかもしれないけれど、このデタラメな日程(日本は中三日、アメリカは中六日)は何とかならんのか。アンフェアなラグビーって、ものすごく間違っていると思う。

 さらに、ライブで見逃していたマンチェスターU×フルアム(プレミア)をテキトーに早送りしながらビデオ観戦。キーンもスコールズもいないユナイテッドは、UEFAカップ圏内を狙うのが精一杯ぐらいの二流チームに見えた。稲本のゴールは1-2で迎えた後半35分前後だ。左サイドでマルブランクがボールを持つと、それまでチンタラ歩く姿の目立った稲本が、この日初めてではないかと思われるような全力疾走を開始。無人のスペースにこっそりと斜めに侵入し、フォーチュンの前へ。ワンバウンドしたボールに体を投げ出しながら左足を伸ばしてゲットオオオオオである。あのシュート方法は、間違いなくベルギー戦の鈴木から学んだものだった。たぶん、これまで宴会の席で「タカユキさんやりまーす」と言いながら何度も真似していたんじゃないかと思う。真似は大事だ。1-3でフルアムの勝ち。オールドトラフォードでファーガソンにホエヅラかかせた稲本は、ものすごくえらい。




2003.10.27.Mon. 10 : 40 a.m.
BGM : ANTONIO CARLOS JOBIM "WAVE"

 週休二日制って、かなりダメなシステムなんじゃないかと思う今日この頃である。労働5日に対して2日というのは休みすぎではないのか。なにしろ1ヶ月のうち1週間以上も休みなのだ。怠惰である。それに、5対2というのは何だかリズムが悪い。「1週間は7日」という先入観があるせいかもしれないが、月曜から徐々にペースを上げて行ってようやく乗ってきたときにはもう金曜日、という感じ。3連休など入ると、なんかこう、日常がズタズタに寸断されたようになって、何もかも中途半端なことになるような気がする。来春からセガレは小学生になるわけだが、学校も、こんなに休んではまずいのではないだろうか。ひょっとしたら、週休一日制に戻すだけで、あんがい世の中が落ち着きを取り戻したりするんじゃないかと思ったりする。

 だからというわけではないのだが、〆切前なので週末も仕事を(具体的にはMOを)家に持ち帰り、パコパコとキーを叩く合間にセガレと遊んだりサッカーを観たり。レンジャーズ×マンチェスターU(CL第3節)は、フィリップ・ネビルのわけのわからない一発で0-1という空前にして絶後のゲーム。あれが入るならレンジャーズは3点ぐらい取ってもよさそうな話なのだが。バルセロナ×デポルティボ(リーガ第7節)セルタ×レアル・マドリー(リーガ第7節)はどちらもセガレとカードゲームをしながら観たのでスコアも展開もよく覚えていないが、たしかバルサが負けてマドリーが勝ったんだと思う。バルサって、一体いつまで弱いんだろう。

 土曜の晩は、チェルシー×マンチェスターC(プレミア)をライブ観戦。いまごろ「マンシーにシーマン」という口に出すのが憚られるような状況になっていたことに気づくのはかなり遅いが、ともかく久々に見るシーマンはちょっぴり老化が進んだ印象である。マンCにはなぜかファウラーもいた。なぜかってことはないが、ほかに(この試合には出ていなかったが)マクマナマンやらボスフェルトやらもいるらしく、なにげに派手だ。いや地味なのか。地味で派手だ。

 試合は序盤こそシティに押し込まれてどうなることかと思ったが、マケレレが対マンCの守り方を学習し終えて以降はチェルシーのペース。まったくもって、使い勝手のいい選手である。ズボンのアジャスターみたいな人だ。決勝ゴールは、ハッセルバインク。というより、ハッセルバインクの軸足。左サイドを突破したムトゥのシュートをシーマンが弾き、こぼれ球に反応したハッセルバインクがシュートを撃つ前に軸足に当たってゴールインだ。オウンゴールみたいな愉快なゴールだった。チェルシーが勝ったのは嬉しいが、そんな間抜けなゴールにはしゃいでいるあいだに稲本の大手柄を見逃したのが悔しい。

 ゆうべは、チャールトン×アーセナル(プレミア)を副音声でライブ観戦。英語の実況は選手名ぐらいしかわからない私だが、副音声で観戦すると実に試合に集中できる。ディ・カーニオとホランドの加入したチャールトンは、とてもチャーミングで愛おしいチームだった。技術はないが一生懸命なディフェンスがいい。序盤、自陣ゴール前のルーズボールをチャールトンの選手が3人同時にスライディングでクリアした瞬間、私はこのチームに惚れた。いいシーンだった。それ以外にも、チャールトンの守備は一カ所に選手がわさわさ集まってしまう傾向がある。蚊柱みたいなチームだと思った。

 試合は、ホランドの名演技でゲットしたPKをディ・カーニオが決めてチャールトンが先制。ホランドがえらいのは、自ら倒れてみせた後に、両手を広げてアピールしたり主審の顔を見上げたりしないところだ。下インザーギにも、このシーンをよく見ておいてもらいたい。そのまま1-0で折り返したかったチャールトンだが、前半終了間際にアンリのFKで同点。後半のチャールトンは、ふだんのスピードが見られないアーセナルと互角に渡り合っていたように見えた。決定機にバタバタしない落ち着いた選手がいれば、勝てたような気がするんだけどなぁ。前半のうちにディ・カーニオが負傷交替したのが痛かった。1-1のままドロー。途中から出てきたキャンペルライスという小柄なアタッカーに好感を持った。




2003.10.24.Fri. 10 : 30 a.m.
BGM : Bjork "Selma Songs"

 返信すべきメールがいくつか溜まってしまって申し訳ないことになっている。どうもこのところ(ゲストブックも含めて)レスポンス能力が低下しているというか、どう書くべきか迷って一つ後回しにすると次もその次も返信できずにだんだんメールの行列ができてしまうという状況だ。返信があって然るべきメールを出してもなかなか返信が来ない場合、私は自分に何か落ち度でもあったかとたいへん気を揉むのであり、おそらく誰でもそうであろうから、なるべく迅速に返信したいと思うのだが、時間があっても書けないときは書けないのは原稿もメールも同じだったりして、しかしメールの場合はまさか「ごめんなさい遅れてます」などと言い訳して先送りにするわけにもいかないのだった。人を待たせるのは仕事だけにしたいのだが。いや、逆か。せめて仕事では人を待たせないのが社会人としての最低限か。ごめんなさい。誰に謝っているのかわからん。

 ゆうべは、日本×フィジー(ラグビーW杯)をテレビ東京で観戦。平尾の解説でも聞いてみようと思って地上波を選択したのだが、例によって画面の隅には「がんばれ!日本!目指せ!悲願の勝利!」というドクター中松から使用許可を得たのかどうか心配になるようなバカげた文言がべったりと貼り付いており、スカパー!で観なかったことを即座に後悔した。試合途中でCMも入るし。「やっぱウグイスじゃん」「上着はズボンの中だろ!」っていうオー人事かなんかのCMはおかしかったけど。

 ミラーのドロップゴールにはびっくりした。ドロップゴールって、野球におけるスクイズに似た意外性と興奮がある。「スクイズ」と「ウグイス」って似てますね。とくに意味はないが、「スクイズ嬢」と書いてみたくなったので書いた。どんなお嬢さんかは、各自で想像してください。ともあれ、3点差で折り返した前半は良かったのだが、後半は観る者をイライラさせるためにやっているかのようなダメっぷり。ノックオンの嵐。最後のほうは両軍とも力尽きたのか、草ラグビーみたいなデタラメなことになっていた。草ラグビーって見たことないけど。フィジーの中七日に対して日本は中四日という非常識な日程に負けたのだと思いたいが、それにしたって後半ノースコアは辛い。フィジー特有の、タックルされる寸前にボールを持った両手をひょいと頭の上に掲げてパスをつなぐ例のアレは、何か対処のしようがないのか。どうしてハタキ落とせないの?

 ミラン×ブリュージュ(CL第3節)を後半途中から観た。0-1でミランの負け。ホームで青黒のジャージに負けるのはまずいのではないかと思ったが、ミランはくたびれていた印象。どんどん攻めるしシュートもたくさん撃つのだが、集中できていない。サッカーするのがちょっと面倒臭くなっていたのかも。終盤、ルイ・コスタが登場。サッカーをしているルイ・コスタを見るのは久しぶりだ。だからといってオセロゲームをしているルイ・コスタを見たことはもっとないが、ルイ・コスタはわりと調子が良さそうだった。終了間際にミドルレンジから放った変化球シュートは紙一重のところでGKに阻まれたものの、まだまだ使える感じ。ベンチで煙草を吸わせておくのはもったいない。ところでリバウドはベンチで上の空だった。すっかり上の空が似合う男になっている。かつてのメンディエータ以上かも。




2003.10.23.Thu. 15 : 55 p.m.
BGM : ERIC CARMEN "ERIC CARMEN"

 夜まで結果を知らずに過ごす自信がなかったため、〆切が近いにもかかわらず午前中は仕事をサボってチェルシー×ラツィオ(私ダービー)をビデオ観戦。どちらも2節までに勝ち点を落としたので話がややこしい。私は一体どのような結果を望めばよいのか。よくわからないので、先に裏カード(プラハ×ベジク)の結果を見てから態度を決めようかとも思ったのだが、どう考えても下位2チームどちらかの勝ち点が4以上になることは避けられないようであるし、だとすればラツィオもチェルシーも負けるわけにはいかないのであり、そもそも私が態度を決めたところで何がどうなるというわけでもないので、ここは一つ結果を気にせずサッカーを楽しもうなどとグズグズ考えている私の都合などおかまいなしにキックオフの笛は吹かれ、ラツィオのゴール前でグジョンセンが早いリスタートを試みた瞬間に思わず「あ、イカン」と小さく叫んだ私はやはり初期設定ではラツィオに肩入れするのだということがわかったのだった。

 しかし冷静に考えてみれば、要はこの3節と次の4節で、両者がなるべく勝ち点を多く稼ぐのが望ましいのである。したがって、両者の合計勝ち点が4にしかならない「連続ドロー」は最悪。1勝1分でも、合計勝ち点は5だ。最大で6ある勝ち点を無駄にするのはもったいない。しかし、だからといって一方が連敗するのは困るので、それぞれホームで勝つのがベストってことですね。ものすごく単純な結論だ。

 そんなわけで、ややチェルシーに肩入れして試合を見始めるとアラ不思議、ラツィオが妙に強く見るじゃありませんか。序盤は圧倒的にチェルシーがボールを支配してぐいぐい攻めていたのだが、ふだんなら目を覆ってしまうラツィオの守備が、やけに頑強で余裕たっぷりに見えるのである。ふふーん、ボール持たれるのは織り込み済みだよん。さんざん攻めさせといて、ちょろっとカウンター決めるんだもんね、ボクたち。そんな感じだ。おいおいラツィオってば意外に強いんじゃないか!と感心していたら、本当に先制してみせるからビックリである。CKのこぼれ玉をアルベルティーニがオッドに横パス、これをオッドがエリア左サイドに放り込み、スタンコビッチが頭で折り返したボールを下インザーギがダイビングヘッドでゲットだ。うおお。やったやった。いや、やられたやられた。思いは千々に乱れるのであった。

 で、後半。不自然にオトナな感じのラツィオがこのままイタリアンなウノゼロに持ち込むなんてことがあるのだろうかと思っていたのだが、やはりそんなことはないのである。ラツィオはラツィオだった。いや、そんなことより、この日のチェルシーはすばらしいゲームをやったと言えよう。まず、ランパードがミドルレンジから右足で放った美しいボレーシュートで同点。彼は前半終了間際にも、ポストを直撃する強烈なミドルシュートを左足から放っていた。あの両足のシュート力は脅威だ。真ん中の足をナニに使ってるのかは知りませんが。こんな好ゲームを観た後に何を言っているのだ私は。それはともかく、同点後に動いたのはラニエリのほうだった。ヴェロンに替えてグレンケア投入。え〜ヴェロン下げちゃうの〜?と思ったら、この采配がズバリだ。右サイドでタメられるだけタメを作ったムトゥが敵を3人引きつけたところで、タッチライン際に張っていたグレンケアにパス。やや内側に切り込んだグレンケアがゴール前に入れたグラウンダーのボールを受けたムトゥのシュートはDFに阻まれたものの、すかさず撃ち直したシュートはゴール左隅に突き刺さったのであった。やった、やられた、やった、やられた。人生、泣き笑いだ。

 どうせなら4-3ぐらいまで殴り合ってみてほしかったが、そのまま2-1でチェルシーの勝ち。チェルシーの逆転勝ちってあんまりないことなので、わりかし嬉しい。ラツィオの逆転負けには耐性ができているので、さほどダメージはないしね。でも、コンセイさんはダメだ。何の役にも立っていなかった。それに比べると、ダフはいいなぁ。ギグス級のハードボイルド・アタッカーになれる素材である。むかし、大リーグのチームが来日すると「巨人・阪急連合軍」とかで相手をしていたことがあったが、できることならラツィオ・チェルシーの連合軍がマドリーと戦うところを観てみたいと思いました。誰か下記のフォーメーション図をアブラ様に見せてあげてください。監督はエリクソンがいいと思う。


クレスポ コラーディ

ダフ ヴェロン スタンコビッチ フィオーレ

ブリッジ スタム マケレレ オッド

ペルッツィ



 裏カードのほうは、プラハがベジクタシュを下した模様。これでグループGの勝ち点は、チェルシー6、ラツィオ4、プラハ4、ベジク3である。難儀なことになってきたのう。次節は全力を傾けてラツィオを応援します。うー。心配だー。

 ゆうべは、ユベントス×ソシエダ(CL第3節)をビデオ観戦。ソシエダは、びっくりするほど弱かった。ネドベドに蹂躙されて、途中まで4-0のボコボコ状態。ブッフォンをウンザリさせたトゥドールの直角オウンゴールとデ・ペドロのFKで2点を返して4-2とスコア的には格好がついたものの、なんでイ・チョンス先発させるかなぁ。大した突破力もないくせに右サイドに張りつきやがって、カルピンの邪魔になっていた。ニハトとデ・ペドロを投入した後は(点差が開いてユーベがダルになってたせいもあるけど)まともにサッカーできてたじゃないか。まあ、イ・チョンスよりコバチェビッチのほうがもっとダメでしたけども。まだユーベ・コンプレックス抱えてんのかね。

 突然ではありますが、『わしズム』(幻冬舎)の12月発売号から、深川峻太郎名義の連載コラムがスタートすることになりました。企画内容はまだナイショにしておきますが、サッカー関係ではありません。うれしいけれど、プレッシャーもデカいです。速攻で打ち切られないよう奮励努力しますので、ひとつお引き立てのほどを。店頭に並ぶのはまだ先の話ですが。




2003.10.22.Wed. 10 : 45 a.m.
BGM : THE VELVET UNDERGROUND "THE VELVET UNDERGROUND AND NICO"

 ゆうべは三軒茶屋のレストランにて、詩人・渡邊十絲子さん主宰の新書読書会。3ヶ月ぶりの出席である。知らないあいだに参加者が増えていたようで、出席した8人のうち3人は初めてお目にかかる面々だった。手持ちの名刺が2枚しかなくて申し訳ないことでした。8人のうち、詩人が2人。出席者の25%が詩人の会合って、かなり珍しいと思う。詩人率25%の状況に身を置くのは、なぜかそれだけで刺激的だ。

 発表者O氏の推薦する新書は、話を聞いているとどれも面白そう。自分の読んだ本の魅力を簡潔にしかも「読みたい」と思わせるように喋るのは一つの才能だ。もっと本を読まないとな、と思った。もともと、こんな仕事をしているくせに読書量の極端に少ない私だが、このところは読んだ本より書いた本のほうが多いのではないかと思うぐらい読んでいない。……と思っていたら、来月は私が発表をする順番なんだとか。うへ。当事者意識薄弱な私は、この会合を「美味しい料理を食べながら人の話を聞く会」としか認識していなかったので、うろたえた。しかし良い機会なので、たまにはまとめて本を読んでみようかと思っている。

 雑談中、初対面の方々の前で仕事の愚痴など迸らせてしまって反省。仕事のことを訊かれるとつい喋りすぎてしまうのは、悪いクセだ。来月は、発表全体が愚痴にならないよう気をつけなければいけない。




2003.10.21.Tue. 10 : 15 a.m.
BGM : はっぴいえんど "HAPPY END"

 ゆうべは、ミラン×ラツィオ(セリエ第6節)をビデオ観戦。キックオフ前の黙祷中に唾を吐くパンカロ(あいつは人の死を何だと思っているのか)、のっけから「このポジションはカラーゼの復帰が待たれるところですね」と至極まっとうなご意見を宮内さんに言われてしまうパンカロ、コウトと二輪車(ふたり並んでバイシクル)をぶちかますパンカロ、地べたに座ったままオッドの足を担いでイエローを食らう横着なパンカロ、攻め上がったフリはしているものの実は味方がパスを出しにくいポジショニングを取らせたら天下一品のパンカロ、両手で同時にハンドするパンカロ、五年に一度の惜しいシュートを放って「まだまだだな俺も」と渋がってみせるパンカロ、試合後にかつてのチームメイトの頭を撫でながら「おまえらもよくやったぜえ」的な勘違い発言をしていそうなパンカロなど、さまざまなパンカロを見ることができた一戦だった。無駄に目立ってたよなぁ。

 なかでも圧巻だったのは、「ミハイロにキスされるパンカロ」だ。見ていない人のために念のため言っておくが、ここでいう「キス」は比喩でも何でもない。文字どおりのキスである。ではミハイロがパンカロのどこにキスをしたかというと、耳だ。正確にいうと、左耳。耳たぶではない。耳の、あの穴んとこに、ぶちゅう、だ。しかも、わりかしディープ。そのシーンがね、スローモーションでリプレイされたんです。BGMに『男と女』か『白い恋人たち』あたりを流したくなるような映像であった。

 なんでミハイロがあんな真似をしたのか皆目わからないが、私がモンダイだと思うのは、ミハイロのキスをパンカロが「逃げなかった」という一点だ。ふつう、いきなり耳の穴にキスをされたら(いやふつう耳の穴にキスはされないけれども)、反射的に体を引くものだと思うが、パンカロはそれを黙って受け入れていた。むしろ「待って」いた。そのときパンカロの耳の中でどんなサウンドが響いていたかを想像すると、とてもイヤな気持ちになることができる。しかし視聴者にとって不幸中の幸いだったのは、カメラがそのシーンをパンカロの背後から撮っていたことだろう。あのときパンカロがどんな表情を浮かべていたのか、私は見たくない。「うっとりするパンカロ」は放送禁止だ。

 試合は、世間的には1-0だが私の中では1-1のドロー。前半17分、ダボ・コラーディ・スタンコビッチの3人で決めたゴールは、一点の曇りもないビューティフルな得点だった。あれがオフサイドに見える人間に副審をやらせるのは、トビウオが鳥に見える人間に魚屋をやらせるのと同じくらいバカげている。ちくしょー。

 前日に途中まで観たリーズ×マンチェスターU(プレミア)を最後までビデオ観戦。ユナイテッドを相手にすると借りてきた猫のようになってしまうことの多いリーズだが、この試合はガッツが入っていた。アラン・スミスは、90分のあいだにいったい何回スライディングタックルをしただろうか。ギネスに挑戦してるのかと思うような頻度で、滑りまくっていた。シュートは一本も記憶がないのだが。

 しかし、そんなアラン・スミスが悪ガキに見えなかったのは、もっとタチの悪いガキがユナイテッドのほうにいたからである。あのロナウドというポルトガル人を見ていると、私はとても不快な気分になるのだった。まず、あの「鶏肉から生えている毛みたい」(by 愚妻)なヘアスタイルを何とかしてほしい。こっちが鳥肌だ。あと、接触を受けて倒れるたびに主審の顔をちらちら見上げるのもヤですね。全体的に、サッカーをナメてる感じがするのである。キーンは、もっと奴をびしびし教育すべし。速いし上手いのかもしれんが、あのままでは大成しないと見た。

 試合のほうは、リーズが灼熱のファイトを見せて健闘したものの、80分すぎにキーンのヘッドが決まって0-1。ユナイテッドのこういう試合ってこういう結末になるよなぁ、としか言いようのないゲームだった。ガムの包み紙を足元に捨てていたサー・アレックスを、私は心から軽蔑する。




2003.10.20.Mon. 11 : 10 a.m.
BGM : BEBEL GILBERTO "TANTO TEMPO"

 本日、私の耳目の届く範囲でミラン×ラツィオ戦の話題(パンカロの動向を含む)に触れることを禁じます。どーだったんかなー。

 土曜日の晩、店舗情報50本ノックをちょちょいと片づけて帰宅すると、アーセナル×チェルシー(プレミア)がすでに始まっており、まだ前半10分すぎであるにもかかわらずスコアが1-1になっていた。うかつにも今週このカードがあることを知らず録画をしていなかったので、そのままライブ観戦。ハーフタイムのハイライトによれば、先制したのはアーセナル。エドゥのFKがパーラーか誰かの足に当たってGKクディチーニの逆をついたものだった。チェルシーの同点ゴールはクレスポのミドル。このあいだピレスがリバプール戦(だったかな)で見せたのと同じような左45度からのコントロールショットが右上の隅に決まったものだった。あんなシュート、ラツィオ時代に撃ったことあったかしら。クレスポって、ボールを持って前を向くと何もできなくなるというわりと珍しいタイプのフットボーラーだとばかり思っていたが、あんなこともできるのだった。さすがプロだ。

 で、後半。クディチーニが、ヨシカツを下回る大失敗だ。アーセナルの速攻。右からのグラウンダーのクロスはそれなりに危険なボールではあったものの、クディチーニの守備範囲内だった。果敢に飛び出し、それを胸で抱えるクディチーニ。ところがボールはなぜか彼の股間を抜け、アンリがそれを押し込んで2-1である。ものすごくがっかりした。たぶん、アンリが触らなくてもそのままゴールインしただろう。どうせなら、サッカー史上でも屈指の間抜けな自滅点を見たかったような気もする。ゴール後方からのカメラだと、クディチーニが自分でボールを後ろに掻き出したように見えた。アメリカンフットボールの、あれは何というポジションなのか、真ん中で最初にボールを動かす人みたいな感じだった。ラツィオにおけるペルッツィにも匹敵する存在感を持つクディチーニだが(どっちも守備がGK頼みってどういうことだ)、今季は致命的なミスが目立ちますね。リバプールを追われたときのヴェスタフェルトを思い出す。

 ミスはしょうがないとはいえ、ここはドローでしのぎたいゲームだった。アブラ様もがっかりだ。彼のあんなブルーな表情は見たくない。おそらく彼は試合後ただちに席を立ち、三人目の叶姉妹を連れて観戦していたエリクソンのところに行ったに違いない。口説く相手を間違えなければいいのだが。

 日曜日は、またセガレの自転車をクルマに積んで小金井公園へ。愚妻と私も貸し自転車にまたがり、サイクリングコースを走る。親子三人で自転車に乗っていると、まるでほのぼの家族みたいだ。しかしその実態は、まだまだ運転技術が未熟なセガレに向かって「ほら後ろから抜かれるから気をつけろ、ちゃんと周りを見ながら走りなさい、いや、だからって前を見なくていいとは言ってないじゃないか、ほらほらほらほら人にぶつかるっつうの、あー! ブレーキブレーキ!…………す、すみませ〜ん。まだ練習中なもんで。お怪我はありませんか?」などといった具合に大忙しなのだった。教習所の教官みたいな気分である。

 その後、人工芝を敷き詰めたソリゲレンデ(最大斜度17度)で、洗面器の親玉みたいな二人乗りソリに乗って遊ぶ。転倒しないように二人でバランスを取るのが意外に難しく、なるほどボブスレーの選手はこういうことをやっておるのかと妙に納得。セガレに何度もせがまれて、10本ぐらい滑っただろうか。おもしろかった。だがソリ遊びというのは、降りるのは楽しいもののてっぺんまで昇るのが辛い。むかし、大倉山シャンツェのてっぺんまでスキーを担いでえっちらおっちら階段を昇っていたジャンプ選手の気持ちが少しだけわかった。スポーツには、やってみないとわからないことがいろいろある。

 帰宅後、日本×フランス(ラグビーW杯)をビデオ観戦。コーフンした。立ち上がりにバタバタとトライを取られてどうなることかと思ったが、ジャパンのディフェンスがだんだんフランスの動きに慣れていく様子がおもしろかった。止められるようになると、最初はものすごくトリッキーに見えたフランスの動きがただのワンパターンに見えてくるから不思議だ。どこの国から助けに来てくれたのか知らないが、コニアという人のトライはラグビーにおけるもっとも爽快なシーンの一つだったと言えよう。後方から(ラグビーはいつだって後方からなのだが)矢のように走り込み、絶妙のタイミングで出されたパスをトップスピードでキャッチして一直線。シビれたよなぁ。どこからでもキックを決めてみせる栗原もすごくえらかった。29-51。立派なスコアだ。フランス相手に鑑賞に耐えうる試合をやっているというだけで感動する……などと言うと、選手に怒られるんでしょうけど。大畑のインタビューで、「ごっつぁんトライ」という言葉が存在することを初めて知った。

 そのあとでプレミアの試合(リーズ×マンU)を途中までビデオで観たのだが、さんざんリキみ返ってラグビーを見た直後にサッカーを見るのは、あまりよくない。まずボールがふつうに転がるのが許せないし、そのボールをこちょこちょと足先で扱う選手たちがものすごく軟弱で横着な奴らに見えるのである。アラン・スミスのラフなタックルさえ、お嬢さんプレイのように感じられた。止めるなら死ぬ気で倒しにいかんか、こら。ラグビー観戦後に生じる世界観の歪み具合は、ヤクザ映画を観た後に似ているような気がする。  




2003.10.18.Sat. 17 : 00 p.m.
BGM : CLEMENTINE "CAFE APRES-MIDI"

 完全週休二日制の実現を目指した今月だったが、月曜の午前中に入稿する原稿の資料が土曜日の昼にバイク便で届くということでは、週末を休みにすることなどほとんど不可能である。よって、今日も仕事。マッキー社長から課せられた、店舗情報50本ノックだ。某デパートの会員に送りつけたり店先に置いたりするパンフレットのようなものであるらしい。世の中には、誰も読まないけれど誰かが一生懸命にこしらえている印刷物というのが沢山ある。100〜200字など楽勝楽勝と思いきや、資料のない店が数軒あり、そこは「筆力でなんとか書いてください」というのだから鬼だ。最先端のバイオテクノロジーをもってしても、いまだ無生物から生命体を作るのは不可能だという、どこかで書いたような読んだような話を思い出しました。たとえば「ガリャルダ・ガランテ」という意味不明だが守備の意識だけは高そうな店名と、その屈強な南米系ボランチ的イメージに反する「上品でコケティッシュなセレクトショップ」というたった一行の情報を、どうやって100字にふくらませろというのだろう。コリャナンダ・ワカランテ!などと独り言を迸らせつつも、まあ、やるんですけどね。さらに来月は、「温泉ムック」の100本ノックがあるらしい。年末に向けて、スケジュールが風雲急を告げてきた感じ。くわばらくわばら。




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