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HEARTATTACK AND VINE ![]()
JUST PUSH PLAY ![]()
深川名物ウロコダンゴ。
STRANGE DAYS
HOTEL CALIFORNIA
SEVEN SISTERS
多機能コースター。
静電スリッパ。
NO PUSSYFOOTING
天井桟敷の吟遊詩人
ファスト風土化する日本
幸福論 |
2004.10.27.Wed.
10: 45 a.m. BGM : TOM WAITS "HEARTATTACK AND VINE"
ともあれ今週は対談取材が2本。きのうは18時半から八重洲富士屋ホテルで。東京駅の周辺って、どういうわけか歩いていると緊張して疲れる。取材後は丸ビルでめし。丸ビルに入ったのは二度目。一度目もシギーといっしょだった。シギー依存度の高い人生。 帰途、井の頭線の車中で『ゼクシィ』の中吊りをぼんやり眺めていたら、<ゲストが証言「ケチられた!」と思った瞬間35>という記事タイトルが目についた。結婚式で「ケチられた」と感じるものランキングの第2位は「料理」で、第3位は「引き出物」だそうだ。ふうん。そして第1位はなんと……そこで広告の文言は終わっているのだった。うー。気になるじゃないか。料理と引き出物以外に(そしてそれ以上に)出席者が「ケチられた」と感じるものなんてあるだろうか。自分のときのことを振り返っても、何をケチったか思い出せない。料理はそう悪くなかったと思うし、引き出物は2つずつ配ったからモンダイないだろう。重くて迷惑だと感じた者は多いだろうが、ケチられたと思った者はいないはずだ。そりゃあ会場や衣裳や指輪はなるべく安くあげようとはしたものの、出席者に文句言われる筋合いはないぞ。全然ない。たぶん私はもう結婚式を挙げないので関係ないわけだが、謎だ。知りたいなぁ。でも『ゼクシィ』立ち読みするわけにもいかないよなぁ。
![]() トム・ウェイツのアルバムはこれまで5タイトルほど聴いたと思うが、なかでもこの『Heartattack and Vine』がいちばん気に入っている。心臓発作と葡萄? タイトルの意味はよくわからないが、バラード系の曲がとても美しい。とりわけ3曲目の「Saving All My Love For You」は絶品。何かほかの曲に似ているようでいながら、しかし何にも似ていないような、微妙なコースをついた配球である。ところで、この「saving」はまさか「節約」じゃないよな。愛はケチっちゃいけません。愛さえケチらなければ、それでよろしい。
![]() あ、また地震だ。心配だ。
![]() ゆうべ録画中継で観たパルマ×ラツィオ(セリエ第8節)は、えーと、3-1だっけ4-1だっけ。どうでもいいやスコアなんか。とにかくラツィオの負けだ。ふつうに弱いチームの負け方だったような気がする。まだリーグ戦で1勝もしてなかったチームに、ふつうに弱いチームみたいな負け方をしてはいけませんね。いけませんいけません。でもね、顔面を血だらけにしながら炎のヘディングシュートを決めたロッキの姿には胸を打たれたし、モルフェオのPKを止めたセレーニもカッコよかったよ。うんうん、カッコよかったカッコよかった。ふつうに弱いチームのファンみたいな慰め方だけど、キミたち頑張ったよ。頑張った頑張った。頑張り続けることが大事。
![]() きょうは私の母親の誕生日。70歳だ。古希っていうんだよね。病気らしい病気もせず、日々ほがらかに暮らしているようで、息子としてもありがたい。その母親が先日北海道で中学校の同期会に出席したときに、故郷の深川でお土産に買ってきてくれたのが、深川名物ウロコダンゴである。ウロコというのはニシンのウロコのことで、深川は海に面していないのでニシンは捕れないのだが、三角形がウロコに似ているのでウロコダンゴと呼ぶようになったらしい。わりといい加減な話だ。ヤーレンソーラン。特別うまいものではないが、甘さ控え目で、もちもちした食感も悪くない。人をホッとさせる味。私もたまにはそんな文章を書いてみたいと思う。あなたも深川にお立ち寄りの際には是非ウロコダンゴを。立ち寄らねえか。立ち寄らねえよな。ところでスティーヴン・タイラーの声って、ときどき明石家さんまに似ていないだろうかと思う今日この頃である。世の中にはいろいろな今日この頃があるものだ。そう思ってエアロスミスを聴くと、ますます関西ノリに感じられるのだった。
「もしもし、江戸川さんのお宅でしょうか」 ガチャ。
![]() 話は変わるが、メイヤの「セブン・シスターズ」を取り出そうとした瞬間に、CDラックが崩壊した。ハンマーがないのでやむを得ず腕力でネジ込んでいた木ダボが外れ、横板が一気に三段ほど崩落したのである。組み立てた当初は心配だったがすっかり油断していたので、びっくりした。CDの重量をナメてはいけない。自分の腕力を過信してもいけない。みなさんも気をつけましょうね。年に一度は点検をおすすめします。
しょうがないので、このクソ忙しいときに、800枚近くまで増殖したCDを棚からいったん下ろし、ラックの再構築作業。相変わらずハンマーは持っていないのでどうしようかと思ったが、ふだんはペーパーウェイトとして使用しているブルーノート東京の金属製コースターがイイカンジの重さだったので、それで木ダボを打ち込んだ。てのひらサイズなので、とても塩梅がよろしい。こんなことに役立つとは思わなかった。ふつう思わない。こんど泥棒に入られたら、これを握りしめて戦うことにしよう。でも、なんで私はブルーノート東京のコースターなんか持ってるんだろう。買ったんだろうか。というか、売ってるのかコレは。まさか、泥棒は私?
しかし侮ってはいけない。これはどこにでもある普通のスリッパではなく、静電スリッパなのである。底にアルミホイルが貼ってあるわけでもなく、アース用のコードがついているわけでもないが静電スリッパなのだ。取扱説明書も使用上の注意もないが静電スリッパなのだ。それどころか値札やタグのようなものさえついていないが静電スリッパなのだ。箱に入っているわけでもなく、まるで田舎のおばあちゃんが送ってくれたかのように名鉄宅配便の紙袋に剥き出しでゴロリと入っていたが静電スリッパなのだ。本当にこれは新品なのだろうか。品切れだったのでヤナギの社員が自分のを送って寄越したということはないのだろうか。という疑念が浮かばなくもないが静電スリッパなのだ。ここはひとつ、その無愛想な装いもヤナギの自信の表れだと受け止めることにしよう。ホンモノを追求する人間ほど、華美な装飾や能書きを嫌うものである。「履けばわかる」−−ヤナギはそう言いたいに違いない。だって、なにしろこれは税込み1575円もする静電スリッパなのだ。アニリン導伝レザレット素材を使用し、くるみ底の採用によって通電性の向上を図った特殊なスリッパなのだ。プロ仕様ってやつなのだ。底力が違うのだ。 事実、さっそく履いてフローリングの上を歩いてみるとアラ不思議、足の裏や爪先のフィット感、踵のクッション、さらには床を踏むときの音にいたるまで、そこらに転がっている当たり前のスリッパとは少しも違わないのだった。ペタリペタリと、まさにNO PUSSYFOOTINGである。うー。つまらん。せっかく買ったのに、つまらんぞ。履く前からの変化といったら、脳裏にふと温泉旅館のことがよぎったことぐらいで、べつに何も起こらない。そりゃあ、まあ、その機能からいって何も起こらないのが正しいわけで、履いた瞬間にビリッとくるという意味の「静電スリッパ」だったら困るけどさ。どうなんだよ静電スリッパ。やる気あんのかよ。
事前にメンバーの一人から「ツッコミどころ満載の本だよ」と聞かされていたのだが、ツッコミどころ満載の本だった。「聞かされていたとおり」と赤を入れないでね。ある意味、とてもおもしろい本。何がおもしろいって、とくに前半(1〜3章)の文章で著者がほとばしらせるパッションがすごい。エキサイティングなドライブ感。ギンギンノリノリと言っても過言ではない。で、この書き手のノリは何に似ているかというと、いわゆるトンデモ本に似ている。私は自著をトンデモ本呼ばわりされてヘコんだことがあるので、この本がトンデモ本だとは言わないが(トンデモ本ではないとも言わないが)、内容はともかく「筆致」はトンデモ本のそれだ。私はゴーストで「と学会」にも認定されたトンデモ本を書いたことがあるのでわかるのだが、トンデモ本というのは書いていてとてもコーフンする。コーフンでもしないと書けない、とも言えますが。おそらくトンデモ本をトンデモ本たらしめる必要条件の一つは「偶然を必然だとこじつける」であろう。そして書き手は、必死にひねり出したアクロバティックな論理展開によってその「こじつけ」が成功した(と錯覚できた)ときに、たとえようのない恍惚感というか陶酔感というか、そんなようなものに全身を包まれるのである。ゴーストで書いていてもそうなのだから、それが真実だと心底から信じている著者が自ら筆をとっている場合に得られる快感たるや相当なものであろう。ことによるとそれは「万能感」に近いかもしれない。そうさオレ様は何でもお見通しなのさ〜、と神になったような心地がするのではないか。 とりわけ本書の筆致がトンデモ風にスパークするのは、第3章「ジャスコ文明と流動化する地域社会」である。「ジャスコ文明」からして猛烈に飛ばしてる感じだけど。文明だぜ文明。ともあれ、「昨今の犯罪はファスト風土化した地方で頻発している」というのが本書における著者の見立てなのだが、3章の冒頭で著者は<最近の主要な事件を調べているうちに、私はふと不思議な共通項に気がついた>(66p)という。事件現場の近くに相当な確率でジャスコがあることを知って、<私は心のなかで思わず「あっ」と叫んだ>(同)というのだ。ふと不思議な共通項に気づいたり、思わず「あっ」と叫んだりするのも、トンデモ本執筆者の「不思議な共通項」ではないだろうか。あと、「驚くべきことに」「驚いたことに」といった類の表現が散見されるのも本書の特徴だ。そのわりに、上越市(著者の出身地)の商店街で<ゴミ箱から紙クズをあさって食べる浮浪者の姿を見た>(156p)ときにはあんまり驚いていないのが理解できないが。<上越市で浮浪者を見たのは生まれて初めてのことである>(同)とは言っているけど、紙クズを食べる人間を見たのは初めてじゃなかったのかなぁ。おもしろいなぁ。おもしろいよ三浦展。すごくおもしろい。 という意地の悪い揚げ足取りはともかく、事件現場の近くに相当な確率で存在するのはジャスコだけじゃないんじゃないかなぁと思った私は、途中から戯れに、文中の「ジャスコ」のところに「電信柱」、「サティ」のところに「信号機」を代入して読んでみた。たとえば89ページには<(イオングループの店舗は)20キロ四方の範囲に一店はあるわけで、どこからでも10キロ行けば必ずジャスコかサティはあるという計算になる。だから、犯罪の起きた場所の近くにジャスコがあるというのは、その意味では当然だ。どこにだってジャスコはあるのだ。だから、もちろんジャスコが犯罪と直接関係しているわけではない。>という文章がある。ルノアールの店内で笑いをこらえるのに苦労した。 吉祥寺在住の著者が書いた本書を吉祥寺の喫茶店で読み終えたとき、私はどういうわけか無性にルノアールの向かいにあるマクドナルドに飛び込んでハンバーガーを貪り食いたいという衝動に駆られた。そのあと会で美味しい料理をいただくことになっているので堪えたが、そうでなければ確実にポテト付きで食っていたことだろう。また、ジャスコにも行ってみたくて仕方がない。なにしろジャスコは「何でもある」巨大文明なのだし、駐車場には「SF映画のように未来的」なスロープもあるというのだから、どんなに楽しいところなのだろうと想像しただけでワクワクする。ファスト風土化を批判しているはずなのに、読み手に不思議な心理的効果をもたらす一冊である。
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会では、講談社O氏から、創刊40周年を機に装幀の刷新された講談社現代新書を頂戴した。衝撃のモデルチェンジである。私がいただいた春日武彦『幸福論』は黄色だが、カラーは本によって異なる。ずいぶん思い切ったものだなぁ。新書のなかでは異彩を放っていた従来のカバーがなくなるのはちょっぴり寂しいような気がしなくもないが、新デザインも美しくて私は好きですね。背にも表紙と同じ色が配されていて、書棚に並べるのが楽しみな感じ。あと、手に持ったときの感触が気持ちいいです。それにしても、自分と同年同月に誕生した新書がこれほどの改革を断行したというのは、なんとなく感慨深い。私もモデルチェンジしようかな。とりあえず白髪を染めて、メガネでもかけるか。それはモデルチェンジではなく老化対策という。 |
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