深川峻太郎の江戸川春太郎日誌 05-06 season #10
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1.Don't Stop the Carnival
2.If Ever I Would Leave You
3.Brown Skin Girl
4.Bluesongo
5.Night Has a Thousand Eyes
6.Jongoso










お父さん頑張りました。


2005.11.04.Fri. 12 : 20 p.m.
BGM : What's New / Sonny Rollins


 全身に筋肉痛を感じている。脳味噌も例外ではないようで、ふだん以上に頭が働かない。きのう開催された久我山イレブンの親子会で、サッカー(2試合)とリレー(トラック1周)に参加したからだ。運動会での反省を生かして、リレーで転ばずに走れたのはよかったが、半日のあいだに半年分ぐらいの運動をしたのでグッタリ。ゆうべは7時半に床に伏し、今朝は9時半まで昏睡していた。

 サッカーの1試合目は15分ハーフの前半、2試合目は後半に出場。去年は2試合とも4〜5分で挫けて途中交替したが、今回はトータル30分間ピッチに立っていた。この1年間で体力が増したはずはないので、ヘバり具合は去年と変わらなかったが、やはり途中で「誰か替わってください」と言うのはカッコ悪いし、それでは達成感を得られない(セガレもがっかりする)ことも去年学習したので、根性で出続けたのだった。だいたい、膝に手を当ててゼエゼエいってるときに、「あ、江戸川さんが疲れてるぞ! みんなで応援してあげよう!」というコーチの先導で、子供たちに「江戸川さん! 江戸川さん!」などと手拍子しながら連呼されてしまったら、顔を上げて走らざるを得ないじゃないか。

 ともあれ、根性で筋肉を動かしたのは、27年ぶりぐらいかもしれない。動かなかったけどね。筋肉。スペースを見つけてそこに走り込み、いいタイミングでパスを受けるまではいいが、その時点でボールをコントロールするだけの筋力が残っていないのは、去年と同じである。「全力で走ったあとにボールを蹴る」のがいかにエネルギーを要する行為であるかというのは、実際にサッカーをプレイしてみないとわからない。敵陣の左サイドに大きく開いてパスをもらった際、数ある選択肢の中からよせばいいのに「ゴールライン近くまで深くえぐって一度切り返してから右足でクロス」をうっかりイメージしてしまい、いざタテに突破しようとボールを前方に動かした時点で脚がビクとも動かなくなったときは、ほんとうに泣きたいぐらい悲しかった。

 シュートは一本撃ったしパスも何本か出したものの、チームに迷惑をかけてばかりいて申し訳なかったのだが、しかし七転八倒しながらも諦めずにプレイを続けた姿勢を評価してくれたのか、閉会式では優秀選手賞(父母からは6名)の一人に選出され、賞状をいただく。セガレが卒団するまであと4回ある親子会で、せめて1ゴール決めたいものだ。来年は夏場から走り込みをして11月に備えよう。

 そんなわけで脳味噌まで筋肉痛に喘いでいるときに、おととい観戦したベティス×チェルシー(CL第4節)のことなんか書くのは死ぬほど面倒臭いので、簡単に済ませる。スコアは1-0。ひどいゲームをしたものだ。しかし私がきのうの親子会で根性を発揮できたのは、この試合でベティスが見せた凄まじいガッツに触発されたせいかもしれない。







1. dioses
2. el torrent de colobres
3. m'gour
4. chenini
5. el caramillo del alba
6. naki naki
7. els millors bufons
8. el sran bazar
9. danza de samotracia
10. azabel cuentacuentos


2005.11.02.Wed. 14 : 40 p.m.
BGM : Tierra de Especias / Amarok


 クルマで吉祥寺に出る用事があったので、ついでに現金輸送。台所から出土した莫大な額の埋蔵金を、銀行で両替してもらうことにした。ぎっしり硬貨を詰め込んだリュックを同行した愚妻に持たせてみたところ、2年ぐらい前のセガレに匹敵する重さとのこと。つまり、「もう抱っこはできませ〜ん」のレベルだということである。しかし駐車場から銀行までは抱っこせざるを得ないので、辛かった。辛いので、最初に通りかかったりそな銀行へ。しかし両替を頼むと、「お客さまの口座へのご入金の形になりますが」と言う。単純な両替はしてくれないらしい。わりと不親切だ。

 りそな銀行に口座は持っていないので、再びリュックをえっちらおっちら担いで、すぐ隣にある三井住友銀行へ。カウンターで、3つの紙袋に分けた小銭を渡すと、やがてコイン・カウント・マシーン(というのかどうか知らないがそういうキカイ)の立てるジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラガガガガガガガガガジャラジャラジャラジャラガガガガガガガガガといったような音が鳴り響き出して、それまで静まり返っていたフロアが騒然とした雰囲気になってしまった。文字どおり、お騒がせしてスミマセン。そんな身の縮む思いで、10分ほど待たされただろうか。私の勘定による速報値は1万8025円だったが、マシンのカウントでは総額1万7986円だった。39円という中途半端な誤差は何ともキモチ悪いが、あの騒音を考えたら数え直させるわけにもいかないし、どうせ間違えたのは私なので、向こうの言い値で振込金受取書を受領。リュックは軽くなったし、死蔵していたお金が生き返ったのは良いことだが、なんだか、ひどくツマラナイことをした気分だ。埋蔵金は埋蔵金のまま孫子の代まで受け継がせたほうが面白かったかも。私の死後、遺品処理の際に小銭を発見したセガレに、「オヤジの奴、何やってんだよ〜」と言わせたかったような気もする。しかも遺産コレだけかよ〜。何やってんだよ〜。

 ゆうべは、アトレチコ・マドリー×ビジャレアル(リーガ第9節)をビデオ観戦。どうやらスペインリーグは日程がぐちゃぐちゃになっているようで、第11節のダイジェストの後に第9節の試合を放映するという謎めいたことになっていた。きのうバルサ×ソシエダ戦を「第10節」と書いたが、それも本当はどうなのかよくわからない。でも、調べて書き直すのは面倒臭い。

 試合は、早い時間帯にアトレチコが先制。大きくバウンドしたボールがGKの頭越しにゴールインしたもので、ふつうの体格のGKなら止められたと思うが、ビジャレアルのビエラというGKは(綴りはビエラと違うようだが)ビエラという名前なのにとても小柄なので手が届かず、気の毒だった。その後すぐにビジャレアルは退場者を出し、長い時間を10人で戦うハメになってとても大変そうだったのだが、アトレチコも得点の方法がよくわかっていないようで、1-0のまま後半ロスタイムだ。予定の3分を少し過ぎたところで、ビジャレアルのFK。あれをゴール前に放り込まず、ペナ手前にいたリケルメにパスした判断は、いったい何だったのだろうか。リケルメに通った瞬間に笛を吹かれても不思議ではないタイミングだったのだから、あまり常識的な判断だとは思えない。しかし笛は吹かれず、リケルメのクロスがゴール前へ。オフサイド・トラップをかいくぐって飛び出したフォルランがこれをヘッドで巧みに流し込んだのだった。起死回生。久しぶりに、いいもの見ちゃったよなぁ。同点ゴールの瞬間はやけに嬉しくて、いつの間にか自分がすっかりビジャレアル・ファンになっていたことに気づいた夜だった。

 きのうも聴いていたアマロックは、スペインのグループである。プログレやユーロ・ロックの専門店でよく見かけるものだが、「ロックな感じ」はほとんどない。しかしジャズではないし、たぶん「ワールド・ミュージック」ってやつとも違うと思われ、まあ、どう言えばいいのかよくわからない。よくわからないが、バイオリン、フルート、アコースティックギター、アコーディオン、その他の民族楽器などが奏でるエキゾチックなサウンドと2人の女性ボーカルの織りなすハーモニーが心地よく絡み合う、面白い音楽。スペインのバンドは当たり外れが大きいが、これはかなり気に入っている。







1.Hsieh
2.Ultima Expedicion
3.Encantamiento
4.Tierra Boreal: Groelandia/Nieve y Sequoias/Mar de Cactus/El Viaje de la
5.Espiral: Encuentro/Fiesta/Ritual/Hogueras
6.Alumbrado
7.Quentadharken: Los Origenes
8.Quentadharken: Los Hechos
9.Quentadharken: La Batalla
10.Quentadharken: Final
11.Quentadharken: Coda
12.Laberintos de Piedra 2004
13.Bocins de l'Emporda
14.Venus Antigua
15.Amos del Aire










出土した埋蔵金。


2005.11.01.Tue. 11 : 35 a.m.
BGM : Quentadharken / Amarok


 民間人の起用に備えて昨日は朝からずっと待機していたのだが電話が鳴らなかったので、あいかわらずの実質的失業状態。だれか仕事くれ。

 ヒマの勢いが止まらず、押入発掘作業に続いて、こちらも10年近くほとんど使わないまま放置してあった台所の棚を片づけた。驚いたのは、シンク下の収納スペースから、ボロボロの鍋やフライパンや台所洗剤などに混じって、どっさりと小銭が出てきたことである。やけに重たいビニール袋があったので何かと思って開けてみたら、10円玉と5円玉と1円玉だ。実は押入からもビン詰めの小銭は出土していたのであり、先日それを家族みんなで数えたら2000円以上あったのだが、まだあったか。なんでシンク下に小銭なんか入れておいたのか、全然わからない。もしかして、私はそれをそこに「隠した」のだろうか。江戸川埋蔵金なのか。

 あまりに重くて家に持ち帰るのが面倒なので、きのう仕事場で一人コツコツと数えた。小1時間かかった。10円玉がおよそ1550枚、5円玉がおよそ300枚、1円玉がおよそ1000枚あった。合計およそ1万8000円。これはもはや、小銭であって小銭ではない。たぶん会社勤めをしていた頃、帰宅してスーツのズボンをハンガーにかける前にポケットから小銭を出し、翌日はそれを持たずに出勤していたのだと思うが(いまはハンガーにかけるようなズボンをめったに履かないのでポケットに入れっぱなし)、それにしてもこんなに貯めこんでいたとはなぁ。しかし、その金額だけでも大いなるサプライズだったものの、われながら腰を抜かすほど情けなかったのは、これほど大量の小銭の山の中に、50円玉と100円玉と500円玉が1枚たりとも含まれていなかったことである。高額硬貨だけを機械のごとき精度で完璧に選り分けて再びズボンのポケットに戻していた自分の貧しさが憎い。

 そんなこんなで、この金勘定をもって仕事場のリセットがほぼ完了したのだが、それは結果的に「過去の棚卸し」のようなものになったのであり、厄年の秋にはちょっと似つかわしい作業だったように思わなくもない。埃にまみれた遺物たちは、ある意味、ブログよりも雄弁にその持ち主のことを語ってくれる。作業中、今と同等かそれ以上に愚かだった私、頭を抱えるほどくだらない私、怠惰な私、人に迷惑や心配をかけた私、人を傷つけた私など、イヤな私にもずいぶん再会したが、その一方で、ケナゲな私やそれなりに歯を食いしばって頑張っていた私もそこにはいた。そんなアレやコレやをきれいさっぱり整理整頓したことで、神社に行かずにセルフサービスで厄落としができたような気もするのだが、気のせいだろうか。いずれにしろ、いまごろ厄落としって遅すぎるが。

 きのう書くのを忘れていたが、週末に観戦したチェルシー×ブラックバーン(プレミア第10週)は、4-2。前節で連勝がストップ、リーグカップでも不覚を取ってPK敗退するという、下降ムードの中で迎えた試合である。ドログバの頭とランパードのPKで2-0としたものの、ベラミーのPKおよびGKチェフのクリアミスによる失点で前半のうちに追いつかれてしまい、何かが坂道を転げ落ちていく音が幻聴されたりもした。昨シーズンから、プレッシャーのかかった場面でのチェフのキックには大いなる不安を抱いていたので、「とうとうやっちまったか」という感じ。後半、ランパードのFKがいつものように何気なくゴールインし、ジョー・コールの「デコシュート」(DFに当ててコースを変える、デコの得意な例のアレ)も決まってスコア的には楽勝になったものの、ロケットスタートの反動で雑駁な戦いぶりになっているような気もして、ユナイテッド戦が心配だ。二段目のロケットに点火するためには、そろそろエッシェンあたりのゴールが欲しいところなのだが、あんがいシュート好きな彼のキックが枠をとらえるシーンを見たことがない。エッシェンの初ゴールとチームの初黒星は、どちらが先だろうか。

 ゆうべビデオで観たバルセロナ×レアル・ソシエダ(リーガ第10節)は、5-0。プジョルのゴールを久しぶりに見てうれしかった。むかし右サイドバックだった彼が若さに任せて荒々しく攻め上がる姿が私は好きだったのだが、もうあのポジションはやらないのだろうか。スコアほどバルサが強く見えなかったのは、途中でソシエダが10人になったこともあるが、たぶん、エトーが乗り切れていないからだと思う。ゴール数は得点王を争うほど多いものの、チャンスで決め損ねてうなだれる姿ばかりが目立つのだった。何か考えすぎている感じ。

 引き続き、ゆうべはミラン×ユベントス(セリエ第10節)も観戦。何はともあれ、見たいのは復活ピッポである。それはもう、専用カメラを用意してほしいぐらい見たい。この日は得点こそなかったものの、削られて倒れながら凶悪なカメラ目線で痛がるピッポ、ボールのないところで敵とどつき合って大袈裟にひっくり返っているピッポ、ゴール前でポジションがかぶった味方のジラルディーノを引きずり倒しながらボールに向かってジャンプするピッポ、ゴールを決めたカカに「俺が避けてコースを空けたから入ったんだ! だから今のは半ば俺のゴールだ!」と(たぶん)叫びながら抱きつくピッポなどを堪能できたのでよかった。ピッポ大活躍。それ以外にも、さんざんハイテンションで暴れ回った挙げ句に無理なチャージで脚を傷めて自滅するガットゥーゾ、ちょっともうトップリーグで披露してはいけないぐらいのレベルまでシュート力が落ちているビエリ、子犬を相手にした熊のようにネドベドを押し潰すスタムなどを見ることができて、ミランが意外におもしろチームになっていることを知った。ラツィオ戦が放送されないので見る機会が減っていたセリエだが、やはりよそのリーグとはまったく違う次元で見所が多くて愉快だ。試合のほうは、たぶんユーベのGKがキメンティだったせいで3-1。







1.Rugged Road
2.Chevrolet
3.When I Leave Here
4.The Miller's Son
5.Don't Let Me Be Misunderstood
6.Top Of The Hill
7.Running Out On Me
8.Tired Of Talkin
9.Good Thing
10.Think Twice
11.I Just Want To Make Love To You
12.Strong Will To Live
























2005.10.31.Mon. 11 : 40 a.m.
BGM : Handful of Blues / Robben Ford and the Blue Line


 土曜日は風邪気味で微熱もあり、市販の薬を飲みながら夕刻までダラダラと寝て過ごす。夜は、愚妻の両親の金婚式を祝う食事会のため芦花公園のレストランへ。二人の娘、その夫である二人の義理の息子、男ばかり三人の孫という、結婚から50年のあいだに4.5倍まで増えた家族に囲まれた義父と義母は、とても満足そうな様子だった。ほんとうは長女の嫁ぎ先に不満があるかもしれないが、それについては考えないようにする。考えるのは、どうしたって自分たちの先行きのこと。私たち夫婦が金婚式を迎えるとしたらそれは39年後のことで、セガレは47歳だ。わーお。どんなおっさんになっているのか絶対に見たいので、それまでは生きていたいもんだよなぁでも無理かなぁと思った夜だった。そのとき、この日誌にはマゴが登場しているのだろうかどうだろうか。愉快な食事を終えて帰るときには、風邪の症状がどこかに消えてしまっていた。

 きのうの日曜日は、東京都サッカー協会主催の「2005 少年少女サッカーフェスティバル」にセガレが出場するので、駒沢オリンピック公園総合運動場の陸上競技場へ。杉並・世田谷・新宿・渋谷・目黒・千代田・港・中央・品川・大田という広い範囲から膨大な数のチームが参加するイベントで、たった1試合(しかも10分間)のために朝から夕方まで丸一日を費やすのはずいぶんな効率の悪さだが、きれいな天然芝の上でプレイする貴重な機会なのだし、場所がオリンピック公園だけに「参加することに意義がある」というようなものであろう。朝、愚妻が首を寝違えてえらいことになっていたので、弁当のおにぎりは私が作成。われながら意外だったのだが、おにぎりを作ったのは初めてだった。また人生の経験値が増えた。

 ほとんどの試合でバカスカとゴールが決まっていたが、セガレが出場した久我山イレブンFC×自由が丘(2年生の部)は、やけに渋いイタリアンな攻防を繰り広げた挙げ句にスコアレスドロー。選手数が多いので途中交替したセガレのプレイ時間は約5分、ボールタッチはたぶん1回(相手のドリブルを止めた)だったと思う。しかしCBとしてのポジショニングは決して悪くない。仲間たちに視野の広さとパスの能力さえあれば、シュートチャンスも得られたはずだ。足りないのは、やはり走力。ポジショニングの考え方自体は正しいが、相手にボールを奪われたとき、そのポジションに戻るのが遅すぎる。

 ところで、長く東京で暮らしていながら駒沢公園に行ったのは初めてだったのだが、あそこで謎なのが、広場の池の中央に屹立している塔である。「部屋」らしきものが見当たらない建造物で、塔というより、松ボックリを抽象化した巨大な彫刻作品のようにも見えた。しかし階段はついているので、人が上がって何かするのだと思われるのだが、その実用性がさっぱりわからない。「飛び込み台」に見えなくもないが、それはいくら何でも危険すぎる。それを指した案内板には「管制塔」と書かれていて、ますますわからなくなった。いったい、この塔の上から何を管理したり制限したりするんだ?

 調べてみると、これは「オリンピック記念塔」とも呼ばれているようで、銀座のソニービルや東京芸術劇場や武蔵野美術大学のアトリエ棟などの作品で(私は知らなかったが世間では)知られる芦原義信という建築家が設計したものだそうだ。現在、その足下には東京五輪で使用した聖火台が置かれているらしい。なんだ、そうだったのか。だったらもっと近づいて、自分が生まれた昭和39年に世界が注目したはずの記念物をよく見てくればよかった。でも「足下」って池だったはずなので、聖火台に接近できるのかどうかわからない。そして、「管制塔」の意味も。また東京でオリンピックをやることになれば、その意味が明らかになるのかもしれない。







1.Will O' the Whisp
2.Little Hideaway
3.Make You Feel Good
4.Can't Get over Losing You
5.My Father's Shoes
6.Stay Away from Sad Songs
7.Back to the Island
8.Down on Deep River
9.Bluebird
10.Laying Right Here in Heaven
11.Lady Blue


2005.10.28.Fri. 15 : 10 p.m.
BGM : Will O' The Wisp / Leon Russell


 未成年の喫煙を防止するために自販機用の喫煙者カードなるものが導入されるという。身分証(免許証など)のコピーと顔写真を日本たばこ協会に郵送して申し込むそうだが、だったら酒の自販機はどうすんだよ、なんでたばこだけなんだよ、と誰だって思うだろうし、そもそもこんなもので未成年の喫煙を止められるとは私には思えない。むしろ、喫煙に伴う若年層の「悪事」を助長するだけであろう。たとえば、

1)喫煙習慣のない(したがって自分では申し込まない)親の身分証をこっそりコピーして申し込む。

2)喫煙習慣のない大学サークルや暴走族の先輩など身近な成人に申し込ませてカードを譲ってもらう。成人すると不要になるので、そのカードはサークルなどの内部で増殖して次の代に引き継がれていく。

3)当然それを未成年に売る成人もいる。カード表面の顔写真や生年月日などを自販機が識別するなら別だが、たぶん購入に必要なのは磁気データだけだろうから、目に見える個人情報を塗りつぶしたりすれば、他人の手に渡るのもさほど抵抗がない。

4)深夜に自販機でたばこを買ったオヤジが尾行され、路地裏で「狩り」のターゲットになる。つまり、いままでなら喫煙という他愛ない非行だけで済んでいた未成年者が、強盗犯になってしまう。

5)面倒なので自販機ごと盗む。

 などなど、多分に私の妄想を含んだものもあるけれど、カードをめぐる非行・犯罪の取り締まりには、喫煙行為自体を取り締まる以上の手間やコストがかかるのではないか。そんなコストをかけてまで防がなければいけないものだろうか、未成年者の喫煙って。彼らは喫煙を通じてかなりの「納税」をしてくれているというのに。

 それに、たとえばサッカーの世界でも、「カードでしか反則を抑制できない」ようなレフェリーはレベルが低いという評価を受ける。大人たちの監視の目が、ガキに喫煙を思いとどまらせる程度の恐怖心さえ与えられないような状態になっている(つまり大人のレベルが低い)こと自体が問題なのだ。たとえカードで未成年の喫煙を抑制できたとしても、そんな間接的な手法でしかガキの行動をコントロールできない大人は、ますますナメられることになるに違いない。

 さらに今回のカード導入で何よりも不気味に感じられるのは、カードを発行する日本たばこ協会に、喫煙者の顔写真と身分証のコピーという個人情報が膨大に蓄積されていくことだ。いわば、喫煙行為が「登録制」もしくは「許認可制」になるのと同じことである。そんな「お許し」を得て喫煙するなんて私は御免被りたいし、これだけ喫煙者が悪者扱いされている世の中でその「喫煙者リスト」が持つ意味を考えると、背筋が寒くなる。そのリストが狂信的な禁煙団体の手に渡ったりしたら、何をされるかわかったもんじゃない。極端な話、いずれ「禁煙法」なんてものが施行された暁には、それがたちまち「ブラックリスト」と化しちゃうんですよ奥さん。

 いずれにしろ、医学の世界で喫煙を「病気」と見なす動きまであるような状況の中で、「はーい、ボク喫煙者でーす」などと手を挙げ、その「証明書」を自ら携帯する気にはならない。対面販売のみを利用し、自販機しかない場所に行くときは手元のたばこを切らさないよう気をつけるだけのことである。







1. Alma Guerreira (Fogo)
2. Fado-Mae
3. Tirioni
4. O primeiro Canto (dedicado a Jose Afonso)
5. O que for, ha-de ser (Ar)
6. Modinha das Saias
7. Garca perdida
8. Velha Chica
9. Ai Solidom
10. Suite da Terral
11. E tao grande o Alentejo
12. Patio dos Amores
13. Porto de magoas
14. Ondeia (Agua)l


2005.10.27.Thu. 12 : 55 p.m.
BGM : O Primeiro Canto / Dulce Pontes


 終わってしまう前にちょっとぐらい見ておこうと思い、ゆうべは阪神×千葉ロッテ(日本シリーズ第4戦)を途中から観戦。えーと、ロッテは「千葉ロッテ」でいいんだよな? と、書きながら不安になってしまうぐらい、プロ野球に疎くなっている。テレビをつけたときは、すでにロッテが0-3でリードしていた。ロッテの人で知っているのはベンチのバレンタイン監督と初芝ぐらいで、フィールドに立っている選手の顔と名前は、たぶん一人も一致しない。阪神関係者も、監督と金本と片岡と今岡と株をたくさん買った欽ちゃん似の人ぐらいしか知らない。今岡の場合、知っているといっても、いま書きながら「二岡じゃなくて今岡だよな?」と頭の中で確認したぐらいのレベルでしか知らない。あ、それと、代走で出てきた久慈は知ってるよ。わあ、久慈だ久慈だ。あいかわらず、ちっちゃいなぁ。ショーンライトフィリップスよりちっちゃいかも。

 阪神が2点を返して迎えた9回裏。たしか小林という名だったと記憶しているが、優勝を決める役割を担ったロッテの抑え投手は見るからにカチンコチンで、先頭打者にストレートの四球を与えた。ここで阪神は久慈を代走に起用したわけだ。それはいいのだが、相手の投手がストライクの投げ方を思い出すのに四苦八苦しているにもかかわらず、次打者は初球のボール球をバントしようとしてファウル。これで一気に形勢逆転。2球目もバントしたが捕手への小フライになり、久慈も帰塁できず併殺となって万事休すである。日本シリーズにあるまじき淡泊かつ稚拙な野球だった。王手のかかった日本シリーズの9回裏なんだからさぁ、なんつうか、もっと江夏の21球みたいな、ぐじゅぐじゅしたややこしい湿り気のある野球やってくれよ〜。つまんないよ〜。

 などと文句を言う資格が、今回の日本シリーズを0.5試合しか見ていない私にあるかというと、たぶん無いので、まあ、どうでもいいです。べつに阪神を応援していたわけじゃないし、ロッテ優勝って新鮮でおもしろいとは思うが、やっぱり、リーグ戦2位以下のチームがチャンピオンになれるプレーオフという仕組みは、ど〜〜〜しても納得がいかない。興行的には成果が出ているらしいが、カネのために平然とアンフェアなルールを採用しているスポーツは、いずれ滅びる。近鉄・オリックスの合併や1リーグ制にはあれほど猛然と反対していたプロ野球ファンが、このおかしな仕組みにまともな抗議の声を上げないのが、不思議でならない。福岡のホークスファンは、なんで暴れないんだ?

 引き続きビデオで観戦したレアル・マドリー×バレンシア(リーガ第8節)は、序盤からやけにハイテンション。開始早々からイエローカードが乱れ飛び、こりゃ絶対に人数が減るに違いないと思っていたら、ジダンのPK失敗以降は落ち着いた雰囲気になってとても意外だったのだが、結局は終盤にグラヴェセンとベッカムがレッドを食らってワヤになっていた。いかにも余裕のなさそうな主審の顔を見ていると、「みんなコイツのこと信用してないんだろうな」と思ったりするが、人は見かけによらないというから、本当のところはわからない。なんにしろ、審判に文句つけながら拍手しちゃいけません。近頃わりと流行ってるようだけど、アレやられたほうはホントに腹立つだろうと思うよなぁ。試合は、PKとFKで効率よく得点したバレンシアが1-2で勝利。そういえばクライファートの姿が見えなかったことに、いま気づいた。クライファートなしでマドリーに勝てるということは、つまりクライファートは要らないということだと思われる。むしろ、やたらベッカムのクロスへの依存度が高まっているように見えるマドリーに入ったほうが使い道があるような気もするが、それはたぶん気のせい。

 聴いているのは、ポルトガルの女性シンガーのアルバム。「こんなに美しいジャケットを作る人たちが作ったCDが悪かろうはずがない!」と決めつけて中身をよく知りもせずに買ったのだが、ジャケットから受けるイメージどおりの美しい音楽だったので、うれしい。人も音楽も見かけによったほうが、この世は安心して暮らせるというものだ。ウェイン・ショーターがソプラノサックスを吹いているタイトルナンバーがとりわけ秀逸。







Disc 1
1.B.B. King Medley: Sweet Little Angel/It's My Own Fault/How Blue Can You
2.Hey Jude
3.Road of Love
4.Goin' Down Slow
5.Weight
6.Games People Play
7.Shake for Me
8.Loan Me a Dime
9.Rollin' Stone

Disc 2
1.Livin' on the Open Road
2.Down Along the Cove
3.Please Be With Me
4.Mean Old World
5.Layla
6.Statesboro Blues
7.Don't Keep Me Wonderin'
8.Stand Back
9.Dreams
10.Little Martha


2005.10.26.Wed. 14 : 50 p.m.
BGM : Duane Allman An Anthology


 きょうは高井戸のオリンピックで、かねてより我が家が購入を検討していたデロンギのオイルヒーター(10枚フィン)が、通常価格のなんと64%引き(!)で特売される日なのである。ただし先着10点のみの限定販売。開店は10時。数日前から「わたしはPTAの会合があるから行けないけど欲しい」という愚妻の指令を受けていた私は、今朝、開店前のオリンピックに到着するやいなや、すでに「デロンギ」と大書されたプラカードの前に10人を超える人々が並んでいるのを見て絶望したのだが、うなだれて帰ろうとしたときに「ただ今からヨーイどん!で行きま〜す」と店員が拡声器で叫ぶのを聞いて号砲と同時に駆けだしたものの、目当ての商品がどこにあるのかわからなくて茫然としていると、こんどは店員が「さて、デロンギはどこに隠されているでしょうか〜!」と言うので、それが宝探しゲームだったということに気づいて食料品売り場に駆け込んだところ、幸運なことに、積まれたキャベツの隙間からデロンギがちらりと顔をのぞかせているのを発見して「よっしゃあ!」とガッツポーズを決めたところで、夢から覚めたのだった。そんな夢を見てしまうぐらい、プレッシャーを感じていたということだ。だって、先着限定販売の行列に参加したことなんか一度もないのだ。どれぐらい前から行列ができるのか見当がつかないし、ひょっとして徹夜組とかいるんじゃないかとか思ったら、どうしたって緊張するじゃないか。

 チラシを見ると「混乱を避ける為に当日予告無く店頭にて整理券を配る場合がございます」などと書いてあり、あまりのんびりはしていられないような気がしたので、胸をざわつかせながら車を走らせて9時15分にオリンピックに行くと、駐車場はすっからかん、正面玄関前にも人っ子一人いなかった。つまり一番乗りである。恥ずかしかった。安売りのオイルヒーターを誰よりも凄まじい勢いで買いたがっている自分が惨めだった。

 デロンギのプラカードは当然ないものの「ここにお並びください」という看板はあり、しかし一人で並ぶのはバカバカしいし、それは「並ぶ」にさえなっていない極めて不自然な姿なので、煙草を吸いながらそこらをウロウロしていると、やがて一人二人と行列を作り始めたので、3番目に並ぶ。これで「3番目の勢いで買いたがってる奴」になれたので、やっと気持ちが落ち着いた。結局、開店前に並んだのは10人以下だったと思う。オープンまで20分ほど待って、入店。いきなり走り出したりしたほうがいいのかどうかわからずドキドキしていたのだが、みんなふつうに歩いているのでそれに倣った。葬式で焼香の段取りを後ろから観察しているときに似た気分である。行列時と同じ順番でエスカレーターに乗って、地下の家庭用品売り場へ。もちろん宝探しゲームではないので商品は隠されていないが、オイルヒーターの在処が表示されているわけでもないので、やや焦る。探しているうちに売り切れてしまったら、それまでの苦労が水の泡だ。なので、前の二人についていこうと思っていたのだが、エスカレーターを降りると、それぞれ別の方向に歩いていく。特売品は他にもあるので、全員がデロンギ目当てではないのだ。うへえ。どっちがデロンギだよぅ。

 意を決して先頭に並んでいた男性のほうについていくと、幸運なことに、そこにデロンギがあった。10点のうち2点は、すでにカートに乗せられた状態で待機している。脇にいる店員に「これチラシのやつ?」と確認して、レジへ運んだ。買えた。ぼくにも買えた。とくに面白いオチはないので申し訳ないのだが、「限定販売の商品を先着して買う」が人生の経験値リストに加わった朝だった。

 うちのセガレは、2年3組の「お笑い係」である。それは会社の「宴会部長」的な非公式の肩書きではない。そういう正式な「係」があって、ちゃんと学級会で選ぶんだそうだ。そういう役割を「係」として固定するのは教育現場のあり方としていかがなものかと思うが、自ら立候補してそんな係になるセガレもいかがなものかと思う。思うが、まあ、好きなんだからしょうがない。

 で、お笑い係は何をするかというと、べつに四六時中みんなを笑わせる義務を負っているわけではなく、何週間かに一度、朝のホームルームで「発表」をするのだという。お笑いの、発表。つまり、みんなの前で「芸」を披露するということだ。朝っぱらから子供に何をやらせとるんだこの学校は!……と文句のひとつも言いたいところだが、きのうがその発表本番だったのであり、どうせやるならウケなきゃいかんと思うので、「がんばってね〜」と送り出したのだった。

 ここから先はごく一部のマニアにしか理解できない話になるが、セガレが披露したのはラーメンズのビデオで覚えた歌と踊りである。そんなオリジナリティのない内容でいいのかとも思うが、まあ、私だっておさらい会ではツェッペリンの曲を覚えて「発表」するのだし、模倣から入るのは芸事の基本であろう。セガレがコピーしたのは、『FLAT』と題された単独公演の『初男』という演目の中で、空から降ってきた(初雪ならぬ)初男役の片桐仁が唐突に始める、意味不明のパフォーマンスだ。振付は説明不能だが、ちょっと『赤い靴』を思わせるような短調のメロディで歌われる歌詞はこんな感じ。

新しい世界が
僕らを待っている
甘栗 食べ過ぎ 黒い爪
ああ 世紀末
 小学2年生に見せる「お笑い」としては、かなり問題があると言えよう。オトナだって、あれを見て笑えない人は大勢いるはずだ。本人はものすごく一生懸命に練習して完璧に近い形まで仕上げていたものの、2年生の教室でウケるとは思いにくいので、親としてはいささか不安だった。おもいっきりスベって、みんなにポカ〜ンとされちゃったりしたら、きっと落ち込むんだろうなぁ、お笑い係がみんなの前で泣いてたんじゃシャレになんないよなぁ、などと心配していたのである。

 しかし、これがバカウケだったらしい。歌詞の意味なんか(セガレ本人も含めて)誰もわかってないだろうから、踊りの動きが面白かっただけだと思うが、教室は大爆笑に包まれ、アンコールまで求められた(そしてセガレもそれに応えた)そうだ。私は宴会芸というものを身につけたことがなく、人前で踊りを披露したこともない(やれと言われても絶対にできない。盆踊りさえできれば避けたい)ような人間なので、そんなことをして笑いまで取る我が子のことが信じられない。そして、その本番に強い性格が羨ましい。暮れのおさらい会では、その度胸を少し分けてほしいものである。

 やや古いゲームだが、ゆうべ、コートジボワール×カメルーン(W杯アフリカ予選)を観た。ブラック・アフリカ同士の代表戦を観たのは久しぶり。やはり、なんとなく、ふだん観ているサッカーとは質が違って見える。よく言われるのはアフリカ独特の「身体能力」というやつで、たしかに、ふつうは届かないようなところに脚がびよよ〜んと伸びてきたりするし、全体に「バネ」を感じさせる動きも目立つのだが、この試合を見ていて感じたのは、彼らは「足でサッカーをする」という意識がとても強いのではないか、ということだった。フットボールなんだから足を使うのは当たり前だが、実際は、ボールを奪い合うときなどに「肘」やら「肩」やら「背中」やら「尻」やら「気合い」やらを総動員するものだ。でも彼らのプレイを見ていると、ひたすら「足」でボールを奪うことにこだわっているような印象を受ける。そのため、ぐちゃぐちゃした接触プレイが少ない。それも、彼らのサッカーがほかと違って見える理由の一つなんじゃなかろうか。意識の問題ではなく、単に脚が長いからそれができるということかもしれんが。

 というような話はともかく、試合のほうは、常に先行するカメルーンにコートジボワールが二度にわたって追いつくという好勝負。ドログバのFKがゴールインするのを初めて見たような気がする。なるほど、あのキックを持っているなら、ときどきランパードを差し置いて蹴りたがるのもわからなくはない。2つの同点ゴールで、彼が本当に勝負強いストライカーなのだという認識を新たにした。そんなエースを擁したコートジボワールもさすがに三度目は追いつくことができず、カメルーンが2-3で勝ってグループ首位に立ったのだが、その数週間後に行われた最終戦のロスタイムに彼らにとっての悲劇が起きたわけで、だったらこの試合で引き分けてりゃ「PK決めても出場ならず」になってウォメもツラい目に遭わなかったのにねぇ、というのは完全無欠の結果論。おめでとう、ドログバ。残念でした、ジェレミ。と、自家用ジェットで観戦に行ったというオーナーと監督も自軍の選手たちに声をかけたことだろう。







1. Erroll Garner: Misty
2. J. S. Bach-Brandenburg Concerto No.3: Allegro
3. J. S. Bach: Fugue
4. Anonymous: Batalla famossa
5. Henry Mancini: Loeki the Lion on the trail of the Pink Panther
6. Johnny Mandell: The shadow of your smile
7. Paul McCartney: Michelle
8. J. C. Bach-Allegro and Rondo grazioso: Allegro
9. J. C. Bach-Allegro and Rondo grazioso: Rondo grazioso
10. Vivaldi-Concerto in D: Allegro
11. Vivaldi-Concerto in D: Grave assai
12. Vivaldi-Concerto in D: Allegro
13. Rimsky-Korsakov: Nocturne
14. Paul Leenhouts: When shall the sun shine?
15. Charlie Parker: Scrapple from the apple
16. Peter Shott: Aan de Amsterdamse Grachten
17. Beethoven: Tango fur Elise


2005.10.25.Tue. 12 : 50 p.m.
BGM : Extra Time / Amsterdam Loeki Stardust Quartet


 仕事場に来なかった(ので更新もしていなかった)ここ数日間のあれこれ。


木曜日

●晩飯後、どういう風の吹き回しかセガレが突如として将棋をやりたいと言い出したので、仕事を脇に置いてためしに対局。私も基本ルールを知っているだけのウルトラヘボなので、たぶん上級者が見たら幼稚園児のサッカーみたいなレベルだと思われるが、やっているほうはかなり楽しい。2局目か3局目に、「おまえ、次の一手で勝てるぞ」と教えてやったら見事に詰まれた。相当に手加減してやったとはいえ、負けは負け。嬉しいような悲しいような。

●夜、チェルシー×ベティス(CL1次リーグ)をビデオ観戦。時間が経ってしまったので展開もスコアもよく覚えていないし調べるのも面倒だが、とにかくチェルシーの勝ち。ショーンライトフィリップスの弾丸クロスをヘッドで叩き込んだクレスポのゴールは最高に気持ち良かった。


金曜日

●書き残していたマッキー事務所の原稿を朝イチで片づけ、10時ごろ愚妻と吉祥寺へ。仕事場用の新しいブラインド、デジカメ、今月26日で71歳になる母への誕生日プレゼントなどを買う。昼飯は伊勢丹催事場の北海道フェアで買ったカニ・イクラ弁当。ほかにも、とても旨いタラコやとても旨いシシャモなどを買う。あんなもの、いっぺん試食してしまったら、もう誰にも止められるものではない。デパートの北海道フェアほど財布の紐がゆるむイベントがあるだろうか。

●午後、セガレの下校を待って小金井の実家へ。父母ともに元気そう。将棋に目覚めたセガレは、早速おじいちゃんと対局。自分の父と子が向かい合って将棋を指す姿を見るなんて想像したこともなかったので、なんだか不思議な気分。外見的にはほのぼのとした微笑ましい光景だが、昔から勝負事になるとムキになりやすいタチの父は孫相手に「待った」をかけたりする局面もあり、やや大人げなかった。


土曜日

●朝起きるなり、セガレと将棋。ネットで見つけた詰め将棋(一手詰め)をいくつかやらせたら、私が間違えた問題も正解しやがる。子供は覚えが早い。いや私がバカなのか。私がバカなのだ。私はバカなのだ。5番指して、私の2勝3敗。ちょっと勝たせすぎた。

●夕刻に一家三人で原宿へ行き、『アレグリア2』を鑑賞。愚妻は以前『サルティンバンコ』を観たことがあるが、私とセガレは生のサーカスを初めて観た。数々の曲芸やピエロの芝居はもちろん、生バンドが演奏する音楽もかなりレベルが高く、とてもよく出来たステージ。空中ブランコの最中、ずーっと歌ってる歌手の人は大変だなと思った。曲芸師はロシア人やウクライナ人などが多いようで、たぶんバレエの素養があるのだろうが、身体の動きが実に美しい。


日曜日

●大学時代に所属していた音楽サークルのOB会ライブにFBOが出演するので、昼過ぎに新橋のライブハウスSOME DAYへ。12時半から5時までライブをやったあとに宴会という、やたら長丁場のOB会である。なにも最初から顔を出すことはないのだが、FBOはトップバッターなのでしょうがない。演奏後、メンバーの中には「調子が悪かった」と言う人もいたが、全体的にはとてもバランスが良くて快適なバンド・サウンドを聴かせてもらった。そのあと、卒業したばかりの若いOBたちの演奏も聴いたのだが、それと比べると、なるほど四十前後ともなるとベテランらしく成熟しているのだなということがよくわかる。品格というか風格というか、そんなものを感じさせる演奏だった。

●2時過ぎにOB会ライブを中座して、代々木へ移動。5年ほど前にシギーが言い出したものの頓挫していたリコーダー・アンサンブルを、二人の女性を加えた4人で立ち上げることになり、その最初のミーティングである。ギターの上達具合も予定より遅れているというのにリコーダーなんか練習しているヒマがあるのかとも思うが、ほかの3人もそれぞれバイオリンやらチェロやらピアノやらを習っているのだし、まあ、何とかなるだろう。人生の幅が広がるのは悪いことではない。5年前にシギーが買ってきてくれた楽器(アルト、ソプラノ、ソプラニーノの3本)も使わないともったいないし。……と思っていたら、「手がデカい」という理由で私はテナーを担当することに。結局、また新しい楽器を買うことになるのだった。ミーティング後、早速カラオケボックスで初練習。シギーのテナーを借りて吹いたのだが、ドとレの穴が遠くて右手にかなりの負担がかかる。ギターは左手、リコーダーは右手。人生の幅ではなく、単に指と指の間隔を広げているだけのような気がしてきた。長くトロンボーンを吹いているとうっかり忘れるのだが、世の中の大半の楽器は「指」で操作するのであるなぁ。

●7時前に再び新橋に戻り、OB会の夜の部に出席。数十人の出席者の中では、タボン君とヤマちゃんと私の3人が最年長世代だった。昭和のうちに大学を卒業したのも私たちだけ。ふーん。あと2年もすると、平成生まれが大学生になるのか? だから何だというわけではないが、まあ、そういうポジションなのである。そういうポジションなのに、OB会の年会費を払わないまま帰ってきてしまったのはとてもイケナイこと。

●帰宅後、バルセロナ×オサスナ(リーガ第8節)をビデオ観戦。3-0ぐらいでバルサが勝ったはずだが、酔っ払っていたせいか、内容はさっぱり覚えていない。記憶にあるのは、どういうわけか、脚を怪我したデコがとても痛そうな顔をしていたことだけ。痛そうにしているデコは、あまり松崎しげるに似ていない。あ、そうだ。もう一つ思い出した。メッシは伊丹幸雄によく似ている。


月曜日

●朝、ローマ×ラツィオ(セリエ第8節)をビデオ観戦。トッティの先制ゴールは吐き気を催すほど不快だったが、このサッカー観戦における最大の不快感を味わうことができたのは試合中継があったからこそなのであって、それはそれで幸福なことかもしれない。予定日を過ぎた身重の妻が観戦する前でトッティがやってみせた「分娩ごっこ」は、おそらくサッカー史上もっとも下品なゴールパフォーマンスであろう。ボールをユニフォームの腹に入れて仰向けになり、両脚を広げやがったその姿は、まったくもって正視に耐えないものだった。目が腐るわ。それに比べて、ロッキのヘディングによる同点ゴールのなんと清々しかったことか。セーザルが左サイド深くから巧みに上げたクロスを、DFの背後から前に回り込みながらジャンピングヘッド。首や上体があり得ないような角度で強引にひねられていた。今季初めて見たラツィオのゴールは、鳥肌が立つほどかっちょいいものだった。満足の1-1。さらに嬉しかったのは、いつの間に戻っていたのかGKバロッタの雄姿を拝めたこと。ジンジャー・ベイカーやチャーリー・ワッツと見紛うほどの圧倒的なヨボヨボ感だったが、1失点に抑えたのはえらい。

●引き続き、エバートン×チェルシー(プレミア第9週)をビデオ観戦。ミスでボールを奪われたショーンライトフィリップスが相手をムキになって追いかけ、フートがカバーしてるんだから放っておけばいいのに倒しちまってPKを与えたのは、とても良くないプレイだった。前半1-0。しかしまあ、いつもの展開といえばいつもの展開なので、どうせ勝つんだろうと思っていたら、後半早々にスローインからランパードのミドルシュートが呆れるほど簡単に決まって1-1。逆転は時間の問題と思われたのであるが、途中でグジョンセンを投入したのは良かったものの、たぶん、そこでエッシェンではなくショーンライトフィリップスを引っ込めたのが良くなかったのだと思う。ギャラス一人になった右サイドからの攻撃が成り立たず、ひたすら左サイドに偏った一本調子の展開になってしまった。それでも何とかなるだろうとタカをくくってはいたが、何ともならずに1-1の引き分け。痛くも痒くもないとはいえ、最下位のチームに連勝を止められたのは悔しい。いや、でも、ユナイテッドに止められるよりはマシだな。2週間後に迫ったユナイテッド戦の前に一服するのは、そう悪いことではない。

●夕刻からは、ギターのレッスン。おさらい会まであと約2ヶ月、すでに会場の予約も済み、いよいよ緊迫してきた。もちろん技術的に未熟な点は山ほどあるが、人前で演奏するからには、「音楽としてどう聴かせるか」という表現にまつわる部分も考えなければいけない。本番で師匠と一緒に弾く曲の譜面を渡され、ソロのバッキングなどやってみる。リコーダーの練習もそうだったが、どんなに小規模でも「合奏」って何だか興奮する。結局のところ、高校のブラバン時代から味わってきたこの感覚が忘れられなくて、いまさらのように楽器に手を出しているのかもしれない。




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深川峻太郎の江戸川春太郎日誌 05-06 season #10