深川峻太郎の江戸川春太郎日誌 05-06 season #12
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1.Shine
2.One and Only
3.Almost Gone
4.Nobody Lives Without Love
5.I Misunderstood
6.Trespass Shoes
7.I Will Be There
8.What Does It Matter
9.Beautiful
10.Late Night Radio
11.By the Hour/Two Dancers in the Dark


2005.12.06.Tue. 10 : 20 a.m.
BGM : Shine / Mary Black


 12年前に書いた健康本が文庫化されるのに続いて、こんどは4年前にゴーストした新書に重版がかかった。などと書くと業界外の人には「夢の印税生活」のように誤解されるかもしれないが、本の印税に頼る暮らしはむしろ悪夢に近いのであって、重版ったってお小遣い程度のものです念のため。4年経っても売れ続ける本というのは決して珍しくないが、「4年目の2刷」はかなり珍しい。少なくとも私が手がけた約100冊の中では、2刷までもっとも時間がかかった本である。ふつうは1年、いや半年以内に増刷されなかったら「ジ・エンド…」と溜め息ついてうなだれるからね。なので今回は意表を突かれてとてもびっくりした。ひょっとして、そろそろ出版界も新刊ラッシュにくたびれてきて、これまで作った旧タイトルをちゃんと売ろうという雰囲気になってきたのだろうか、どうなのだろうか。経営の中枢からはるか遠い業界の末端にいるのでよくわからないし、単に景気が上向いてきたということかもしれんが、なんにしろ、そこはかとなく潮目が変わってきたように感じる今日この頃。しかし相変わらず書籍の仕事は声がかからず、それが自分にとって良い潮目なのか悪い潮目なのかよくわからない。

 ゆうべは、まずビジャレアル×バルセロナ(リーガ第14節)をビデオ観戦。混戦状態からのオウンゴールと必殺デコシュートの炸裂で0-2。敵の体に当ててGKの逆を突くデコのアレは、もはや職人芸の域に達しているような気がする。体操の「ツカハラ」「モリスエ」などのように、開発者の名をとって「デコ」と呼びたい。開発したわけじゃないだろうけど。

 引き続き、チェルシー×ミドルズブラ(プレミア第14週)をビデオ観戦。ハッセルバインクの無助走FKを久しぶりに見ることができて嬉しかった。前半は0-0。ロッベンの攻撃はどうしてああもワンパターンなのか。(1)センターラインから20メートルぐらいのところで足下にボールもらう、(2)タッチライン際をドリブルする、(3)2人のDFが止めに来る、(4)2人の間を抜こうとする、(5)抜けない。そのくり返しである。おまえは三都主か。一度だけ華麗に抜いてみせたものの、どフリーのグジョンセンをシカトして使えないほうの右足でろくでもないシュートを撃ったおかげで台無し。ロッベンがいつまでもこねこねこねこねこねこねこねこねドリブルしたり切り返したりしているのを見ていると、スーパーのレジで合計料金を請求されてから、まるでそのとき初めて金を払わなければいけないことに気づいたかのようにバッグの財布を取り出し、期限切れのスタンプカードを出して「なんだ使えないの? どうしても? アラやあねえ」などと言ってからようやく金を払おうとしたものの持ち合わせが足りず、「やあねえ、一万円札があったはずなのに。なんなのよ。えーと、どうしようかしら、じゃあ、そうだなぁ、このビールとリンゴお返しするわ。それで足りるでしょ?」とどういうわけか偉そうな態度でほざいている50代なかばと思しき主婦の後ろで、愚妻に頼まれた桃屋の花らっきょうと500円玉を握りしめて並んでいるときのような気分になる。やあねえ。

 後半も点が取れるような気がしなかったのだが、もっとも危機感が募ったのはエッシェンの顔を見たときだった。前半に転倒した際にべったりついたオデコの石灰が、そのまま白く残っている。ふつう、ああいうのはハーフタイムに落としてくるものだろう。しかしそれが残っていたということは、本人は鏡を見る余裕がなく、チームメイトも彼に「おまえ、顔汚れてるぞ」と教えてあげる余裕がなかったということではないのか。そう思ったから、なんかチームがまずいことになっているんじゃないかと感じたのである。実際はどうだか知らないが、テリー主将がチームにカツを入れるかのような強引な攻め上がりをしていたのを見ると、まあ、なんか緩んでるのかなぁと感じなくもない。なんにしろ、極東のテレビまで映るんだから、ハーフタイムには顔ぐらい洗ってこようよね。結果的には、そのテリーがCKからヘッドで今季初ゴールを決めてくれたおかげで1-0。

 それにしてもこの試合で頭に来たのは解説者の発言だ。
 アナ「ランパードは見た目のせいもあって非常に真面目な印象がありますね」
 解説「けっこう悪いですよ」
 アナ「…………」
 それだけである。言いっ放しで何の説明もナッシング。なんなんだそれは。「悪い」ってどういうことだよ。何の根拠があってそんなこと言ってんだよ。おまえがランパードの何を知ってるっていうんだよ。「意外にそうでもないんじゃないですか」ぐらいなら世間話レベルの戯れ言として受け流してやってもいいけど、公共の電波で理由も言わずに人のこと「悪い」って決めつけてんじゃねえぞコラ。そういうの名誉毀損って言うんじゃないですか。だいたい、小学生の学級会じゃあるまいし「ランパード君が悪いと思いまーす」ってアンタ、そんな貧困な語彙で語るような問題じゃなかろうが。ったく、あの解説者って本当に悪いですよね。ええ。







1.Oh My
2.Crystal Light
3.Doctor Doctor
4.Space Child
5.Rock Bottom
6.Too Young To Know
7.Time On My Hands
8.Built For Comfort
9.Lipstick Traces
10.Queen Of The Deep


2005.12.05.Mon. 12 : 00 p.m.
BGM : Phenomenon / UFO


 寝不足でボーっとしているのはゆうべ代々木で3時まで飲んでいたからであり、代々木で飲んだのは夕刻から代々木のスタジオでおさらい会の第1回リハーサルがあったからである。べつにリハーサルをしたからといって必ず3時まで飲まなければいけないということではないが、それはまあそういうものだ。

 スタジオでトロンボーンは吹いたことがあるがギターを弾くのは(遊びで鳴らした経験を除けば)初めてだったし、スタジオで演奏すること自体がものすごく久しぶりだったので、とても新鮮な気分。デカいアンプでデカい音を出すと失敗もデカく聞こえるのでビビるのではないかと思っていたが意外にそうでもなく、それなりに落ち着いて思い切りよく弾くことはできたものの、やはり一人で練習しているときはできることがそこではできなかったりする(むろん一人で練習しているときにできないことはもっとできない)わけで、これは習うより慣れろというようなものであろうから、その意味でもこのおさらい会というのは初心者にとって必要なプロセスだということを実感した。

 今回手伝ってくれるタボン君、ヤマちゃん、モルちゃんとは学生時代に例えば『It's All Right With Me』というジャズのスタンダードなんかを一緒に演奏したことがあり、そういうメンバーとまさか20年後にツェッペリンを演るとは思わなかったというか、世間的なイメージとしては各年代でやる音楽の順番が逆ではないかと思ったりもするわけだが、それはともかく、一緒にやり慣れているはずのタボン君のベース&ヤマちゃんのドラムが、トロンボーンとギターではまったく違った感触で受け止められるのが面白い。トロンボーンのときは彼らの作るリズムに乗っかって演奏するような感覚で、それはそれで心地よかったけれど、ギターを持ってそのリズムを彼らと一緒に織り上げる作業(勿論まだちゃんとできていないので「織り上げる努力」ということだが)には、それとまるで違う種類の愉しさがあった。なるほどリズムセクションの人たちはこんなにキモチいいことをしておったのかということを、まだほんの一端ではあるが垣間見たような気がする。ギター弾けるようになりたいという気持ちが、ますます昂揚した夜だった。しかし眠い。







1.Mother And Child Reunion
2.Me And Julio Down By The Schoolyard
3.Kodachrome
4.Something So Right
5.Loves Me Like A Rock
6.50 Ways To Leave Your Lover
7.Still Crazy After All These Years
8.Late In The Evening
9.Slip Slidin' Away
10.Hearts And Bones
11.Diamonds On The Soles Of Her Shoes
12.The Boy In The Bubble
13.Graceland
14.You Can Call Me Al
15.Spirit Voices
16.The Cool, Cool, River
17.Adios Hermanos
18.Love
19.Hurricane Eye


2005.12.02.Fri. 9 : 30 a.m.
BGM : On My Way, Don't Know Where I'm Goin' /The Paul Simon Collection


 しばし更新が途絶えていたのは、うっかりすると広島の被疑者の名前について書いてはいけない戯れ言を書いてしまいそうだったので自粛していたというよりは仕事が立て込んでいるからなのであり、久々に肩凝りと腰痛で呻いている。どういうわけか膝も痛い。しかしそれも仕事があればこそだと思うと有り難く感じられるから不思議だ、などと言えるほど人間は出来ていないのである。くたびれました。きのう対談原稿を仕上げ、残るは最後の座談会のみとなったと思うやいなやマッキー事務所から新規ご発注の電話が来たりなんかして、なんとも師走な感じだわいなぁ。

 などとボヤいていたら、12年も前にゴーストした健康関係の実用書が文庫化されるとの連絡があって小躍り。12年前って、おれ、20代じゃん。20代の自分がどんな原稿を書いていたのかと思ってパラパラ眺めていたら、まあ、文章はふつう以上でも以下でもないのだが、「いま流行のJリーグでも試合で脚光を浴びるのはゴールを決めた選手になりがちです」なんて書いてあるのが古くて笑った。なんで健康関係の実用書でそんなことを書いているのかというと、べつに内容的には必要ないが行数稼ぎには必要な譬え話である。そういや、実用書の譬え話というと野球を持ち出すのが常道だったのが、93年以降の数年間はサッカーをしばしば使ってったっけね。といった感慨はともかく「いま流行のJリーグでも」はまずい。当然、編集部のほうで修正してくれていると思うが、最初から「サッカーでも」と書けばよかった。これからは10年後でも通用する原稿を書くよう努めよう。いまどき、そんなことを前提に企画される本は滅多にないけれど。







1.Hocus Pocus
2.Clochard
3.Janis
4.Moving Waves
5.Focus II
6.Eruption


2005.11.29.Tue. 12 : 15 p.m.
BGM : Moving Waves / Focus


 きのうは久しぶりに、夜中まで仕事。晩飯後に「行ってきます」を言ったのは、3ヶ月ぶりぐらいかもしれない。そういう生活が長く続くとウンザリするが、たまにやるとアドレナリンか何か分泌されるのか、テンションが上がって妙にハイな感じになる。「それいけー」と気勢を上げながら、午前中にいったん書き上げた『わしズム』のコラムを、編集部の意見を容れて修正。弁当箱のおかずを一つ増量するような種類の手直しだったが、現在の小学館版は、いつも「あと5行あればなぁ」と呻いていた幻冬舎時代よりもさらに行数が減っており、そもそもギチギチに詰め込んだ原稿だったので、圧縮は容易じゃない。おかずを増やしたぶん、ご飯が減ったんじゃ意味がないもんな。しかし文章というのは、「もう無理だ」と思っても詰めれば詰まるものだ。はみ出そうなご飯をギュウギュウと行間に押し込んで行数を整える作業はとても良い訓練になったし、やっていて面白かった。なんとか必要な情報量をキープして、MP3化を避けられたような気がする。

 フォーカスはオランダのプログレバンドである。どうせ「知る人ぞ知る」のマイナーな存在なんだろうと思っていたら、けっこうヒット曲のある有名な人たちなんですね。このアルバム1曲目の『ホーカス・ポーカス』はその筆頭であるらしい。ロックの曲をゲラゲラ笑いながら聴いたのは初めてだったので、「ヨーデルなんだぜ〜」と面白がって愚妻に聴かせたら「これ知ってる」と言うのでビックリ&ちょっとガッカリだ。ロイオロロイオロ、ロッパッパ〜。オフェルマルスやクライファートが代表からいなくなって以来、やや気持ちが離れていたオランダのことが、また少し好きになってきた。







1.ロマンチック
2.私のお気に入り
3.ウィークエンドの手品
4.Under Surveillance
5.夕暮れよ
6.プラネタリウム
7.Takin' it slow
8.ブルー・バード
9.It's a short life


2005.11.28.Mon. 15 : 20 p.m.
BGM : Debut / 土岐麻子


 金曜日は、中目黒のスタジオで『わしズム』の座談会取材。その前に表紙の撮影があり、私には用がなかったのだがそうとは知らずにその時間に行ってしまったので、撮影が終わるまで隅っこで2時間ほどボーっと眺めていた。邪魔にならないように気配を殺してそこに佇み続けるのは、わりと得意なほうだ。あれは「ウインドマシン」と呼ぶのか、扇風機の親玉みたいなキカイがあり、それを使った撮影は初めて見たのだが、あの風を浴びて写真を撮られるのはちょっと面白そうだな。と思ったものの、「記念に私も撮ってもらえませんか」などと言っていいわけはないので、黙って見ていた。

 きのうの日曜日は、夕刻に代々木のカラオケ店へ。それなのに一曲も歌わなかったのは、それがカラオケ大会ではなくリコーダー同好会の練習だったからだ。カラオケボックスのテーブルに譜面を広げ、笛を手にしたオトナたちがバッハのフーガを吹いている様子は、かなり奇怪。トイレから戻ってドアを開けると、わかっているのにギョッとする。ギターで手一杯なのでろくに練習しておらず、一夜漬けでサラッとさらっていただけなのでひどいものだったが、やはり合奏はエキサイティングだ。練習後に飯を食った店を、おさらい会の打ち上げ会場として予約。そちらの練習や本番も代々木でやるのである。ある意味「代々木系」な今日この頃。

 帰宅後、ポーツマス×チェルシー(プレミア第12週)をビデオ観戦。パウロ・フェレイラの強烈なロングシュートを、GKの鼻先に矢のように飛び出して右足のアウトに当て、コースを変えてゴールインさせたクレスポの瞬間芸にはたまげた。あれがやれただけで、「移籍してヨカッタ」と思えるに違いない。自ら連続出場記録更新を祝うランパードのPKも決まって、0-2でチェルシーの勝ち。

 吉祥寺パルコのヴィレッジヴァンガードで流れているのを聴いてうっかり衝動買いしたのが、いま聴いている土岐麻子という人のCDである。「元シンバルズのボーカル」といわれてもシンバルズを知らない私にはピンと来ないわけだが、「土岐英史の娘」といわれればピンと来る。買ってから知ってびっくりした。土岐英史(ジャズ方面のサックス奏者です)の娘が29歳なのかよー。そうかよー。彼も参加していた松岡直也&ウィシングのモントルー・ライブが25年前だということを考えれば不思議でも何でもないのだが、グッと来る話だよなぁ。で、土岐英史の娘がどんな音楽をやっているかというと、まあ、おしゃれ雑貨のような音楽である。おしゃれ雑貨のような音楽は、おしゃれ雑貨に囲まれた店内で聴くのが一番、とだけ言っておこう。それにしても、矢野真紀の『このまま・・・』といい、このアルバムといい、近頃は証明写真みたいな素っ気ないジャケットが流行ってるのか? せめて風でも浴びせたい、と思わなくもない。







1.Tight Rope
2.Out in the Woods
3.Me and Baby Jane
4.Manhattan Island Serenade
5.Cajun Love Song
6.Roller Derby
7.Carney
8.Acid Annapolis
9.If the Shoe Fits
10.My Cricket
11.This Masquerade
12.Magic Mirror


2005.11.25.Fri. 9 : 15 a.m.
BGM : Carney / Leon Russell


 ずっとヒマでブラブラしていたが、『わしズム』の作業がスタートして突如バタバタしている。コラム、対談、座談会と、1週間でやること三つ。久々の慌ただしさに、まだ脳と体が馴染まない。その合間を縫って、ゆうべはBunkamuraオーチャードホールでレオン・ラッセルのコンサートを鑑賞。なにしろ変装が容易な人物なので帽子とサングラスと大量の白髪&白ヒゲを用意すれば誰でもレオン・ラッセルになれる、杖をついてステージに現れたときは「本物か?」と訝しんだものの、声を聴けばそれは紛れもなくレオン・ラッセルなのだった。当たり前だけど。挨拶抜きで始まったオープニングナンバーの『デルタ・レディ』から十数曲をノーMCでガンガン演奏する矢継ぎ早の展開。一曲終えるやいなや、「ドーモ!」も「サンキュー!」もナシに、ワンタッチのパス回しのごとく拍手の中で次の曲のイントロが始まるのだった。「一丁アガリ!」「あいよっ!」という掛け声が聞こえてきそうな、ある意味100本ノック風の仕事ぶりである。聴衆が余韻や感慨に浸る余裕のあったアル・クーパーやソニー・ロリンズとは違って、なんちゅうか、こう、ビジネスライクなコンサート。終盤に一度だけ本人のMCが入り、女性ボーカリストのソロと『ソング・フォー・ユー』の弾き語りで「メリハリ」の「メリ」をつけてはいたが、基本的には「ハリ」っぱなしのステージだった。やるべきことをテキパキとやり倒して、「ほなサイナラー!」と去っていったような感じ。竜巻のような人だ。月曜日のアコースティック・ナイトのほうでは演奏したのかもしれないが(ゆうべはエレクトリック・ナイトだったのだ)、『This Masquerade』が聴けなかったのがちょっと残念。







1.There's More Where That Came From
2.One's a Couple
3.I May Hate Myself in the Morning
4.Last Time
5.He Oughta Know That by Now
6.Twenty Years and Two Husbands Ago
7.Happiness
8.When You Get to Me
9.Painless
10.What I Miss About Heaven
11.Waiting for the Sun to Shine
12.Stubborn (Psalm 151)
13.Someone I Used To Know














セガレの撮った雷門。




浜離宮から見た東京。




仲見世を歩く妻と子。


2005.11.22.Tue. 12 : 25 p.m.
BGM : There's More Where That Came From / Lee Ann Womack


 土曜日は小学校の学習発表会(学芸会)があり、セガレは『スーホの白い馬』という音楽劇で歌を担当。いちばん前に出てデュエットで歌う子供たちが何組かあり、セガレは自らオーディションを受けてその役になったらしい。やはり人前で歌ったり踊ったりするのが好きなようだ。あまり緊張した様子もなく、落ち着いてしっかりと歌っていた。5年生と6年生の合奏なども聴いたのだが、びっくりしたのはティンパニーを3台も使っていたこと。昔の小学校にティンパニーなんかなかったよねぇ。音楽教育には力を入れていると聞いていたが、たしかにどの学年も(昔より人数が少ないせいもあるだろうが)よくまとまった合唱や合奏を聴かせており、とりわけ6年生の『アフリカン・シンフォニー』は、パーカッション隊の活躍もあって、迫力のあるすばらしい演奏。セガレもあれには感激したようで、将来は自分も「ボンゴ叩いてみたい」などと言っていた。体育学習発表会よりも学習発表会のほうが、親にとっても楽しみである。

 日曜日は一家三人で渋谷の東急ハンズへ。ラーメンズのセリフにしばしば出てくる「ハンズ」にはセガレも興味津々だったし(工作好きなセガレにとって、造形作家でもある片桐仁は憧れの存在なのだ)、クリスマスツリーやカレンダーも探したかったので、いちど連れて行ってみることにしたのである。セガレは、誰が何の目的で買うのか私には皆目わからない木材のコーナーが気に入った模様。何に使うのか皆目わからない小さな木片のようなものをいくつかお小遣いで買っていた。母親に加えてラーメンズも美大出身なので、そっち方面への志向がますます強まっているような印象。もっとも、学習発表会で展示されていた図工作品には、さほど気合いが入っていなかった。たぶん、人に言われて「作らされる」のはあまり好きじゃないんだと思う。青色LEDを使った小ぶりのツリーと、3人分のカレンダーを買って帰宅。暮れである。

 きのうの月曜日は学習発表会の代休だったので、昼から一家三人で浅草までドライブ。以前から、いちど行こうと言っていたのである。せっかく平日に出かけたのに、ロシアのえらい人が来ていたせいなのか、それとも普段からあんなもんなのかわからないが、行きも帰りも首都高大渋滞で参った。前日のハンズで買い物グセのついたセガレは、仲見世でもキーホルダーやお守りなどを次々とゲット。こまごまとした買い物が好きなのは、親に似たのかもしれない。私も、それまで使っていたやつの使い勝手が悪かったので、金色の招き猫がついたキーホルダーを買った。右利きの猫が招くのは「金運」、左利きの猫が招くのは「人」だというので、迷わず右利きのほうを選択。無論、お金は「人」が持ってきてくれるものと知ってはいるが、このさい単刀直入なほうがよろしい。

 おみくじで「凶」を引いたセガレを慰めつつ仲見世を出て、水上バスで浜離宮へ。初めて乗ったが、1階の客席は対面式になっており、喫煙席も十分に用意されているので、なかなか居心地がよかった。煙草の吸える乗り物がどんどん減っていく昨今だけに、きわめて貴重な存在である。浜離宮から見渡す東京は、ときどき美しく、おおむね醜くかった。CK時のゴール前におけるポジション争いみたいにひしめき合った巨大なビル群を眺めていると、遠近感が狂って目眩がする。それに引き替え、仲見世の消失点に建つ浅草寺のたたずまいは実に端正だ。ちなみに、トップページ左上に使った写真も浜離宮で撮影したもの。以前から、デジカメを買ったら東京の「空」を撮りたいと思っていた。自分では、結構うまく「ニッポン」を撮れたような気がしている。その後、再び浅草に戻り、天麩羅屋で晩飯を食って帰宅。

 週末(とはいえ月曜も含むが)に観たサッカーは3試合。まずは日曜の晩に、レアル・マドリー×バルセロナ(リーガ第12節)をビデオ観戦。名前的にはどちらもほぼベストメンバーだったものの、故障明けの選手が多いマドリーはコンディションに問題があったのか、終始バルサが圧倒する展開。敵地のクラシコであんなにやりたい放題のバルサは初めて観た。エトー、ロナウジーニョ、ロナウジーニョで0-3。名前だけで選手を起用せざるを得ないルシェンブルゴのことが、ちょっと気の毒になる。それも含めて指導者の「器」ではあるけれど。

 引き続きビデオ観戦したチェルシー×ニューカッスル(プレミア第12週)も贔屓チームが3-0の圧勝で御機嫌である。またぞろ内輪モメが伝えられていたクレスポが得点を決め、みんなと抱き合っていたので安心安心。真っ先に駆け寄ったランパードに「もっと強く抱きしめてやってくれ!」と茶の間からお願いしていた私だった。ニューカッスルのオーウェンをまだ見ていないので、故障で不在だったのは残念。アップで映し出されたリカルド・カルバーリョの顔を見て「デル・オルノ!」と口走ってしまう人が実況を担当していたのは、もっと残念。あの人、もしかして、「白人か黒人か」だけで選手を識別してないか? 名前だけでアナウンサーを起用せざるを得ないスカパー!のプロデューサーのことがちょっと気の毒に……なりませんね。なりませんなりません。

 ゆうべは、なぜか放送してもらえたサンプドリア×ラツィオ(セリエ第12節)をビデオ観戦。渋滞の中を運転してひどくくたびれていたし、試合もたいへんツマラナイものだったので、途中から気絶するように熟睡してしまった。どうやら2-0で負けた模様。やはりアウェイではからっきし意気地がない感じ。




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深川峻太郎の江戸川春太郎日誌 05-06 season #12