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にし・たかヲのサッカー日誌
1999-2000/vol.04



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投稿大募集!

 本誌『愛と幻想のフットボール(FLF)』では、読者の皆様からの投稿を募集しております。原則としてテーマは問いません。h_okada@kt.rim.or.jpまで、どしどしお送りください。このページに関するご意見やご感想など、投稿以外のメールもお待ちしています。なお投稿の際は、通常のメールと区別するため、文末にお名前かペンネームをカッコに入れて記入するよう、お願いします。いただいた投稿は、いったんこの日誌内で紹介し、その後、こちらの投稿欄にまとめて掲載いたします。
7月14日(水)12:40 p.m.
 またまた「知らない方」からメール。投稿ではなく、「EURO96」決トナのビデオを持っていたら貸して欲しい(文面はもっと丁寧でしたが)という内容だった。残念ながら持ってない、と返事を書いた。ますますパブリックな存在感を示す心のオアシス、レンタルビデオ屋FLF。なんだか不思議な気分である。俺って、この日誌を読むとそういう「マニア」に見えるんでしょうか。

 次の仕事の構成案を編集部にファックス。確認の電話が来たので、ついでに〆切について泣き言をたれてみる。しかし現実は厳しい。「今月いっぱい」といっても、どうせ8/10ぐらいまでオッケーだろうとタカをくくっていたのだが、8/4がデッドラインだとか。ありゃりゃ。そっかー。印刷所のお盆休みのこと忘れてた。まったく、みんなでいっぺんに休むなよな。しかし、まじで「3週間で2冊」の強行軍になるのか? やだなー。考えただけで吐き気がするぞ。

 このところ、原稿の量産ペースががくんと落ちている。トシのせいもあるけど、1年前から親指シフトを捨ててローマ字入力に切り替えたのが意外に影響大だったのかも。俺は今でも親指シフトが最高に優れた入力システムだと信じているのだが、3万5000円(!)もしたMac用親指シフト・キーボードがぶっ壊れ、買い換えようにも在庫がないと言われた上に、長年愛用していたワープロ専用機(OASYS)のインクリボンも入手しづらくなってきたので、思い切って「ローマ字入力&仕事もパソコン」(それまで仕事はワープロ専用機、HP作成はMacだった)にしたのであった。いわばローカル・ルールを捨ててグローバル・スタンダードを受け入れたようなものであろうか(Macのどこがグローバルなんだか)。ブラインド・タッチは親指シフト時代からできなかった俺だが、やはり親指シフトは速かった。ふだんはそんなに気にならないのだが、〆切直前になると、ローマ字入力はめちゃくちゃイライラする。キーをたくさん打った手応えはあるのに、あんまり行数が進まないのだ。外来語をローマ字で打つのもいまだに抵抗がある。

 ついでに思い出したのだが、俺が学生のとき何も知らずに買った最初のOASYSには、なんとフロッピィ・ドライブがついていなかった。そのままでは作った文書が保存できない。そこで俺はカセットテープにデータを記録するキカイを買ったのであった。フロッピィ・ドライブは高かったから。あなたは、テープにテキスト・データを保存したことがありますか。ぼくはあります。すっごく時間がかかるんだよ。んで、デッキで再生すると電話でファックスを受信したときみたいな音がするんだ。自分の書いた原稿を「音」で聴くのって、けっこうドキドキしたな。意味もなく、じっと耳を傾けてみたこともあったっけ。なんか原始人並みの体験である。いま使っているキカイも、10年たつと火打ち石みたいなモノになってしまうんだろうかしら。どうせなら、モニターを見つめてるだけで自動的に原稿書いてくれるキカイを作ってくれんか。

 見損ねていたチリ×コロンビア(コパ準々決勝)を昨夜やっとビデオ観戦。サラスの代役ゴンサレスの活躍に感激。てっきりチリはZA-SAのツーマン・チームかと誤解していたが、考えてみりゃ、それでW杯ベスト16に残れるほど甘い世界じゃないわな。一方のコロンビアは、前評判は低かったし、雑なところもいっぱいあるようだけど、ときおり芸達者なところを見せてくれて、俺には面白いサッカーだった。それゆけ、キンタナ。負けるな、キンタナ。NHKのアナが必要以上に彼の名前を口にしているように感じたのは俺だけだろうか。「間違えちゃいかん」という思いが逆にそうさせているようにも聞こえた。右に開いたキンタナ。うーむ。

7月13日(火)10:00 a.m.
 中田、インタートトカップに出てんじゃん。結局、来季も「毎週ペルージャ」なのか? まあ、「知ってる選手」がユーベやインテル並みに多いチームだから、べつにいいけどさ。ペトラッキなんて、ピアツェンツァやバリあたりにいたら、絶対に顔と名前が一致しなかったはずだよなー。なのに今じゃ、たぶん道ですれ違っても「あ、ペトラッキだ」と指をさせると思う。すれ違わねーよ。

7月12日(月)14:00 p.m.
 昨夜のバカ酒が効いて、とてもかったるい。ブラジル×アルゼンチン(コパ準々決勝)をビデオ観戦してから仕事場へ。両チームの状態とメンバーを考えれば、ブラジルの一方的な試合になるかとも思われたが、さすがはアルゼンチンも意地がある。ラッキー・ゴールでアルゼンチンが先制したせいもあって、目の離せない展開になった。ついに出てきたオルテガも、なかなかのもの。リバウドと逆で、彼は代表チームのほうが生き生きして見える。しかし終わって見れば2-1でブラジル。リバウドの同点FKもロナウドの勝ち越しゴールも見事だったが、それにしてもアルゼンチンはPKが入らん。パレルモ菌がアジャラにも伝染ったか。いまひとつ「泥臭いサッカー」に徹しきれなかったのが敗因のようにも見えた。

7月11日(日)
 Y夫妻来訪。久しぶりに遊んでもらって、セガレは嬉しそうだった。赤チコリのフジッリ&豚ロースと野菜のごった煮でもてなす。上出来。うっかりメキシコ×ペルー、パラグアイ×ウルグアイ(ともにコパ準々決勝)を録画し忘れていたのだが、彼らがビデオを持ってきてくれたお陰で、好試合を見逃さずに済んだ。どちらもギリギリで追いついたチームがPK戦を制するという、残酷な結末。メキシコえらい! ドーピング騒動でどうなることかと思ったが、よく追いついたもんだ。シュートは打たなきゃ入らない、を改めて実感。一方、ウルグアイの粘りは、「コパでは強い」という経験と自信の賜物か。地元チームにあんな勝ち方できないんじゃないのか、ふつう。ともあれ、いずれも肩入れしているチームが勝ちを拾って、ご機嫌な俺である。コパ、決トナに入ってがぜん面白くなってきた。

 セガレが寝付いた後は、「日本代表再建計画」について酔っ払いブレーンストーミング。大いに盛り上がりつつ、両家のあいだでまとまった再建案は以下のようなものであった。背景にあるコンセプトは、「弱い国はヘンなことしなきゃ面白くない」である。あくまでも酒の席での話なので、まじめに取り合わないように。

1)フィールドプレイヤーの選考基準は「サッカーがうまい順」。理想は「小野っち10人」でサッカーをすること。目指すのは「3点取られても4点取って勝つサッカー(あるいは、3点取られて負けても胸のすくような美しい1点をモノにするサッカー)」である。

2)システムは0-10-0。要するに、ぜーんぶ中盤。「サッカーがうまい順」にメンバーを選ぶと、必然的にこのシステムを取らざるを得ないと考えられる。登録も全員MF。こうすると相手は誰をどうマークしていいかわからず混乱する。混乱を助長するためにも、背番号は全員12以上の数字にすることが望ましい。

3)チーム内の約束事、その一。ボールは必ずワンタッチで動かす。ツー・タッチ以上した場合は、ドリブルで15メートル以上前進する責任が生じる。前進せずにパスをしたら罰金10万円。

4)チーム内の約束事、その二。1人1試合シュート5本がノルマ。しかし枠へ飛ばなかった場合は罰金10万円。シュートが5本未満で終わった場合は罰金100万円。

5)チーム内の約束事、その三。ケンカになるので、PKおよびFKは倒された選手が自分で蹴る。相手のハンドによる場合は、それを誘発した選手が蹴る。

6)チーム内の約束事、その四。30メートル以上のパス禁止。たとえゴールに結びついても、ロングパスを出したら罰金10万円。間違っても、ウズベキスタン戦のような不細工な点の取り方(井原のロングボールが呂比須の頭をかすめてゴールインしたやつ)をしてはいけない。どんなに自陣に押し込まれても、セイフティーファーストのクリアなど慎むべし。すべてのキックは「シュート」か「パス」でなければいけない。

7)罰金額はゴール、アシストなどの貢献具合に応じて減額。競技場の電光掲示板およびテレビ画面の右下には、常に各選手の「現在の罰金額」を表示する。

……この他にもいろいろあったような気がするが、あんまりばかばかしいので忘れた。Y夫妻が帰った後、ちょっぴり頭痛がした。

7月10日(土)12:30 p.m.
 ダビッツがマンチェスターと交渉を始めたと思ったら、こんどはユーベがキャプテン・キーンに触手を伸ばしているとか。ややこしい話じゃのう。よくわからんが、この「MF花いちもんめ」は、どっちも損するような気がするぞ。

 五輪アジア最終予選の組合せが決定。日本はカザフスタンおよびカタールもしくはタイと同組。どういう政治力が働いたのか知らんが、中東へ行かなくて済むかもしれないというのはありがたいっすね。ニュースステーションでカザフのサッカー解説者とやらが「カザフは攻撃的なのか、守備的なのか」という質問に「攻撃的だ。われわれはイタリアのようなサッカーを目指している」と答えていたが、それって矛盾してないか? ともあれ、タイのほうが与し易そうな気がする反面、カタールあたりをきっちり叩いておく機会もあったほうがいいような気もする。カザフもカタールも日本人にとっては「ロスタイムの同点劇」が記憶に染みついた土地だから、ここで両方とも払拭してしまうのも悪くないかも。それにしても、ドーハやアルマトイで経験した「ガッカリ感」とコパで味わったような「ガッカリ感」と、見てるほうにとってはどっちがマシなんだろうか。

 一方、2002年の出場枠問題はこじれまくって紛糾しているようである。やっぱ、初めての共催(開催国で枠を2つ占める)が最弱地域のアジア、てのがまずかったんだろうなぁ。こうなったら、開催国特権は1ヶ国だけにして、まず日本と韓国が血みどろの決定戦をやり、負けたほうはアジア最終予選から参加、でもいいんじゃないだろうか。少なくとも日本代表にはそれぐらいの負荷を加えないと強くならんような気がする。なんにしても、アジアから「4か5」は多すぎだと思うけれど。そもそも32ってのがねぇ。12しか出てないコパを見てると、チーム数や試合数をいたずらに増やすのは考えものだ、と感じてしまうのであった。

7月9日(金)
 なんと我が家の家宝ダビッツが、マンチェスターU入り濃厚との報。こりゃ、いよいよスカパ導入計画に拍車がかかるな。デシャン、ダビッツという2つの「肺」を失うことになりそうなユーベは、どんな手を打つんだろうか。このままじゃ陸に上がれないかも。エラ呼吸の練習でもすんのかな。

 数日前、名曲『アランフェス協奏曲』の作曲者ロドリーゴ氏が亡くなった。亡くなったことにではなく、まだ生きてらっしゃった(いや、もう生きてらっしゃらないんだが)ことにびっくりした。とりあえずチック・コリアの『スペイン』やマイルス&ギルの『スケッチ・オブ・スペイン』なんか久しぶりに聴いてみたのだが、どうもこれでは哀悼感がいまひとつだし、あの曲は引用やカバーをされ倒している有名な第2楽章も勿論素晴らしいのだが、第1楽章も捨てがたい。んで、正調アランフェスのCDを買ってきた。軽快で陽性だがどこか物悲しさの漂う第1楽章を聴きながら、こういう南欧的情緒がスペイン・サッカーにもあるのかなぁ、などとぼんやり考える。

 哀悼といえば、その前には谷岡ヤスジ氏も亡くなった。まだ50代の若さだったことを知ってびっくりした。残念ながら単行本の持ち合わせがないので業績を偲ぶことはできなかった。合掌。この国は今、ヨルに近いヒルーッなのだろうか、それともアサに近いヨルーッなのだろうか。少なくともヒルに近いアサーッ、ではないような気がするけれど。しかしサッカーだけは、ヒルも来んのにいきなりヨルになってもらいたくないものである。鼻血ブーは望月だけで十分だ(痛そうだったねぇ)。でもこのままじゃ3年後の6月、日本中が鼻血ブーで卒倒するようなことにならんともかぎらない。……やっぱり、鼻血ブーって凄まじくインパクトのある言葉だな。天才の切れ味。

7月8日(木)14:40 p.m.
 アルゼンチン×ウルグアイ(グループC)を後半25分まで見て仕事場へ。ひと仕事終えたものの、早く次に取りかからないとまずいから、ぼやぼやしていられない。なんか知らんがここ2日ほど立て続けに新規の依頼が入り、2月から5月までヒマにしてた後ろめたさもあって、つい引き受けてしまったのだった。しんどい夏になりそうである。しかしまあ、それが片付いた頃に欧州シーズンも開幕だ。それまではアリになろう。というか、いままでがキリギリスだったのではあるが。

 昨夜は、6/6に行われたインデペンディエンテ×ボカ・ジュニオルス(ARGリーグ後期17節)を観戦。ボカは前節で連続40試合無敗という国内記録に並び、この試合に勝てば新記録と後期優勝が同時に達成できるという重要なゲームである。今まで関心の低かったリーグだが、パレルモ君がいるとなると興味が湧く。
 試合は地元で優勝させてなるものかと気合いの入るインデが開始5分(ぐらい)にカルデロンという選手(現代表?)のゴールで先制。しかしその5分後、パレルモが倒されてボカがPKを得る。さすが絶好調のチームだけあって追いつくのが早い、と思ったが、キッカーはパレルモ。あっさりGKに止められてました。蹴る前に、解説の金田さんが「彼、このあいだも外してましたけどー、大丈夫ですかねぇ」と心配しておったが、いったい今年に入ってからPK何本はずしてるんだろう。ってゆーか、決めたことあんのか。そういえば俺も小学生の頃PKが苦手で、練習では2回に1回も入らなかったような記憶がある。だからPK戦になったときは俺が名簿順位最下位になることになっていた。みじめ。中学でやってたハンドボールでも、ペナルティ・シュートが滅法ヘタだった。だって、どきどきしちゃうんだもん。そういう意味ではパレルモ、俺にとっては憎めない奴である。俺とパレルモの共通点は、とりあえず「背が高い」ってことかなー。背が高い奴は気が小さいのだ。たぶん。以下、パレルモをめぐる我が家の会話。

妻「アッタマ悪そうだよねー」
俺「ああ、まあ、ヴィエリ系ではあるな」
妻「いや、もっと悪いと思う」
俺「ひでーなぁ。なんか根拠あんのか」
妻「顔」

 なんちゅーか、もう、身も蓋もないのであった。間髪入れずに、顔、である。エクアドル戦のときは「リチャード・ギアにちょっと似てるね」とか言ってたくせに。そう言ったら、「ちょっとしか似てないし、あたしは別にリチャード・ギアが好きなわけじゃないもん」だってさ。ふーん。ともあれ試合のほうは、その後カルデロンのハットなどもあってインデが4-0で勝利。カルデロンの3点目は、なんとセンターサークル内(やや敵陣寄り)から放ったシュートだった。この1年に俺が見たゴールの中では間違いなく最長のロングシュートだったな。しかし同じ日に2位のリーベルが負けたとかで、ボカ優勝。最終節のペルージャ×ミラン戦と同じで、みんな嬉しそうだった。パレルモも大はしゃぎしてた。1ヶ月後、自分の身に何が起きるかも知らないで。

 ところでアネルカである。レアル入りを希望していたらしいが、アーセナル側の都合だか何だか知らないが、ラツィオ入りが決定したようだ。やったぜベイベ。レアルなんかに行かれると見るときの気分が複雑になるところだった。それがラツィオに来てくれるとは。とてもとても楽しみである。

 それにしても、トマソン氏が教えてくれた「インフォシーク」なんて、見たことも聞いたこともないなぁ。なんで引っかかるんでしょうか。このあいだ他人の日記を検索したときには、ついでに「goo」とかいうところで登録してみたけど。よくわからん。しかし、いくら何でも「呂屁須」は気の毒(笑)。ま、ほかに「ぺ」って読める漢字もありそうにないんだけど。

 とりあえず投稿欄は、「いったん日誌内で紹介した後に投稿欄へ格納する」という方式にしてみました。ころころ変わってすんません。今後ともよろしくお願い申し上げます。

 ところで昨日すれ違った楳図かずお、向こうも俺を見て「あ、こいつ久しぶりだな」とか思ってたら怖いな。まんざら、あり得なくもないように思えるのが不気味なところである。都市生活の空恐ろしさよ。

7月7日(水)16:45 p.m.
 いい天気。脱稿の翌日にこういう青空の下を歩くのは実に気持ちがいい。
 昼すぎ、TVドラマ演出家のT氏と吉祥寺で飯を食いつつ面談(雑談)。共感するところが多く、刺激にもなった。たまにはこうして人と会って話をしないといけない、と痛感。テレビ業界もいろいろたいへんなようで、モノを作るのが好きで、それに命を懸けるようなタイプの人間にとってはきつい状況になっているようだ。テレビは1日24時間しか売ることができないから、出版などとくらべると冒険がしにくい世界なんだろうな。

 T氏と別れて仕事場までぶらぶら歩いていたら、久しぶりに楳図かずおとすれ違った。新宿以西の中央線沿線で暮らしている人間にとって、彼とすれ違うのはきわめて日常的な出来事であるが、俺は自分があんまり出歩かない生活を送っているせいで、ここ数年はあまり見かけなかったのである。それでも「あまり」と言えてしまうあたりが、その日常性を物語っているわけだが。以前、何かの雑誌で「電車や街で楳図かずおをよく見かけるが、これは彼の外出頻度が高いせいなのだろうか、それとも彼は有名人でしかも風貌が特徴的だからよく気づくだけで、私たちはふだんそれと気づかぬうちに同じ人としばしば電車や街で遭遇しているのだろうか」という意味の文章を読んだことがあったが、ほんとのところ、どうなんだろう。それにしても、楳図かずおは老けないな。若い頃から老けていた、と言ったほうがいいのかもしれないけれど。

 しばらくコパから遠ざかっていたが、昨夜は民放で日ボリ戦のダイジェスト中継を見た。やった。すごい。フランスから宿題として持ち帰った勝ち点1をゲットだ! 大物パレルモでさえ3回のうち3回は外すというPKを難なく決めてみせた呂比須も偉い! ……とでも言ってないと気分が滅入るばかりの今日この頃である。しかしパレルモ、歴史に名を残すストライカーになったことだけは間違いない。長いサッカー史の中で、PK3回蹴って3回はずした奴っているんだろうか。しかも国際Aマッチで。ふつう、3回目は蹴らんだろうし。ある意味、ギネス級かも。

*

「知らない人」の日記を読むってどんな感じなんだろうと思って、某所で「サッカー日誌」で検索をかけてみたところ、あるねぇ、けっこう。ちょっとサーフィンしただけで熟読はしなかったが、一つ興味深かったのは、「僕は著作権のこととかよくわからないので、選手の実名を出していません」という意味の断り書きを出してる人がいたこと。「実名使わないでどーやって書くの?」と思って見てみたら、ほんとに偽名にしてるんだよなー。こういうのをネット上であげつらうのはあんまり趣味のいいことじゃないけど、われわれ日本人の「著作権意識」が奇妙なことになっているんじゃないかと感じたのでちょっと紹介しておくと、那珂多、七海、尾野、柳佐和、さらには那珂武良・駿、などという難解なものもあるんである。いくら何でも「二本代表」ぐらい実名にしてもいいんじゃないか(「日本代表」って固有名詞なのか?)と思うのだが、そのへんがこのウェブ・ライター氏の「誠実さ」だったりするんだろう。昔、マンガの世界には「実名巨人軍漫画」を売り物にするものがあって、そうではない(実名の使用許可が取れない)チープな作品では「江河」「長縞」「江奈津」みたいな苦し紛れの当て字が飛び交っていたことがあったが、何だかなぁ。彼、外国人の名前はどう表記してるんだろうか。グリエルミンピエトロとか、漢字にすんのはかなりキツイぞ。愚理柄留眠稗吐露。わかんねーよこれじゃ。「呂比須」だってすでに許容範囲を逸脱してるんだから。……あ、彼は「呂比須」をどう表記するんだ? 「ロペス」ならいいのか? ……こういうネタを書くと、投稿で妙な当て字が流行るような気がするが、気持ち悪いから(多用するのは)やめましょうね。禁止するわけじゃないけど。

 もしかしてサッカー愛好家のウェブでは、奈化太クン(言ったそばから、もう自分でやっている)のおかげで選手の諸権利に対してヘンにナーバスな空気が流れているのかも。「菜課他網」(まだやっている)では無断転載や引用を厳しく禁じているが、ネット上での転載や引用の概念って、どうなってるんだろうか。「情報を分散管理する地球規模のハイパーテキスト」(これを「地球規模の1枚の紙」と表現した文章も読んだことがあったな)というWWW本来のコンセプトが今も生きているとするなら、極端な話、ネット上に掲載した時点ですべてのテキストは「引用」されているとも言えるような気がする。

 よく「リンクフリー」って書いてるページがあるけど、そもそもWWWってのは「リンクフリー」を前提に成立してるんじゃないのか? もちろん、礼儀として「リンク張っていいですか?」とか「張らせていただきました」とか連絡したほうがいいんだろうとは思うけど、知らないところで張られていたって文句は言えないのがこの世界だと俺は思うんだけどね。ま、俺も一種の疑似クローズドサイトを作ってリンクを遠慮してもらったことがあったから言ってることとやってることが矛盾してるが、それだって「遠慮」してもらっただけで、「禁止」しようと思ってもできないし、誰が見ても大きな問題にはならないよう配慮していたつもりである。

 それはともかく、知らない人の日記をちらほら眺めていると、なんで俺はこんな日誌をせこせこと書いているんだ? と考えさせられないでもない。まあ、動機なんて十人十色で一言では語れないもんだろうけど、ざっと見るかぎり、ウェブ上のサッカー日記は「私の見るサッカー」を語るものと「サッカーを見る私」を語るものに大別できるような気がした。すごく大雑把だし、同じ人の中でもその両面があるわけだけど。一見この2つは似ているようだが、実はジャーナリズムとブンガクぐらいの違いはあるのかもしれない。俺は、べつにこのつまらぬ日誌がブンガクだなどとは1ミリも思っていないものの、どっちかっていえばやっぱり後者なんだろう。

 あと、トマソン氏の投稿を読んで思い出したんだけど、この日誌を始めた頃の俺には、ここ数年サッカー業界(何を指すのかようわからんが)にそこはかとなく漂っていた「にわかファン」を軽蔑する雰囲気に反発する気分があった。さいわい本誌の投稿者諸氏はそんな傾向を毛の頭ほども持ち合わせていないけれど(持っていたら俺の日誌なんか読んでいられるわけがないし)、そういうのって、アイドルの追っかけが「あたしはナントカ君のことを売れる前から応援してたんだから、売れてから好きになった人に大きな顔してほしくないわ!」と言ってるのと同じで、みっともないよねぇ。好きなアイドルが売れたんなら素直に喜べばいいし、新しいファンが知らない魅力や昔話を親切に教えてあげれば、みんなが楽しくてハッピーになれるんだから。

 ともあれ、物事を楽しむのは、「何となく!」でいいんですよね、トマソンさん。「にわか」には「にわか」の楽しみ方があるし、「にわか」だからこそ感じられる新鮮な驚きというのもある。「私の見るサッカー」を語るのは難しい面もあるけれど、「サッカーを見る私」なら誰にだって語れるわけなのであった。

 それから、俺はタボン氏とユベ氏のやりとりが「険悪」だと思っているわけでは全然ないし、したがってお二人の関係を心配もしていません。そもそも、何が2人のあいだで議論になっているのかさえようわからんし(笑)。きのうの日誌に、「険悪」を厭わない気分、と書いたのは、俺自身が「険悪」のタネを蒔くことを厭わない、といったような意味であります。



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