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にし・たかヲのサッカー日誌
1999-2000/vol.05



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7月23日(金)8:20 a.m.
 23時就寝、6時起床。朝型体質になったことが、自分でも信じられない。じじい化が進行しているのだろか。昔は朝刊を読んでから床に就き、夕刊が届く頃に起きる、というパターンになったこともあったのに。しかし、夏の早起きは実に気持ちがいい。あ、それを気持ちよく感じるのが、じじいの証拠か。

 サッカー雑誌でコータのインタビュー記事を読む。パラグアイの街角で、ガリガリに痩せた犬が空の器をなめ回しているのを見て「ハングリーやなと思った」って、おまえ、それ、見たまんまじゃねーか。そりゃ、まあ、ハングリーはハングリーなんだけどよ。まあ、でも、そんなコータが俺は好きだ。日本随一のラテン系ストライカーとしてまっすぐに成長してほしい。

 時期はずれもいいところだが、いまごろ増島みどり『6月の軌跡』を読んだ。言うまでもなく、フランスW杯の日本代表関係者(カズを除く選手・監督とスタッフ)全員にインタビューを試みた労作ノンフィクションである。筆者の執念深い仕事ぶりには頭が下がる。おトモダチからの電話だけで一冊書いてしまうどこぞのジャーナリストにも見習ってもらいたい。

 それにしても、わが代表はなんと息苦しい集団だったんだろう。めちゃくちゃベタな感想だが、いろんな意味で(良くも悪くも)、ここにはこの国の縮図が描かれているような気がした。生真面目。過保護。献身。忠誠。もしかして、旧共産圏の代表チームって、こんな感じだったんじゃないだろうか。単にイメージだけで無責任に言ってるだけだが。「俺たちは監督の目指すサッカーをやるだけ」という意味のコメントをする選手がやたら多いのが気になった。なんだか、サッカー特有の奔放さや解放感みたいなものが微塵も感じられないのである。0-5でアルゼンチンに負けたジャマイカの連中が笑いながら観客に手を振る姿を見て岡田監督が感じたショックも、たぶんそういうことと関係があるに違いない。どうでもいいが、結局、中山や北沢の言葉にグッときてしまう俺って、やっぱりスポ根世代のアナクロニズムを引きずっているんだろうか。

 これを読むと、あのころ自分が言ったり書いたり考えたりしていたことの多くが、当事者に言わせれば「的外れ」だったことがわかる。でも、そんなの当たり前だ。だって当事者じゃないんだから。べつに、ファンは(少なくとも俺は)的を射抜くためにあーだこーだ言ってるわけじゃない。あーだこーだ言いながら、自分の価値観や世界観を確認することに意味がある。サッカーを見る私、だ。そういうきっかけを与えることも、ああいうイベントに自国の代表が参加することがもたらすメリットの一つではないだろうか。当事者はキツイだろうけど、勝てば猛烈に賞賛されるわけだし、世界大会に出てもあーだこーだ言ってもらえない競技のほうが多いんだからさ。いったい、アメリカン・フットボールの日本代表チームについて、どれだけの人があーだこーだ言ったであろうか。最初のW杯で優勝したというのに、テレビ中継もしてもらえないなんて。気の毒。「アメフト界のウルグアイ」にならないようにしようね。

 本末転倒を承知で言うなら、勝つために必要だったかどうかという話は別にして、やはりカズにW杯を体験してきてほしかった。彼がどんな言葉であの3試合を語るか、聞いてみたかった。

7月22日(木)9:00 a.m.
 なんだか知らないが、電話セールスが集中する時期というのがある。1週間から10日ぐらい、毎日のように(それも同じような時間帯に)いろんな業者からかかってきて、何週間か中断したかと思うと、また連日の電話攻勢が始まるのである。それも、1日に何件も集中することはなく、たいがい1日1件のペース。どうも誰かが裏でコントロールしてるように思えてキモチが悪い。

 いまも数日前から、その時期に突入している。墓地とかリフォームとかお得な投資信託とか屋根の修理とかペット可のワンルームマンションとか、俺はいらないってば。屋根、持ってないし。1日に何本ぐらい電話するのか知らないけど、これって、すげー効率の悪いやり方だと思うぞ。電話もらって、「あら、ちょうど今お墓が欲しかったところなのよ」なんて人が、いったいどれだけいるというのだ。

 あと、人の仕事場に電話してきて、「あ、御主人様ですか?」とか「奥様はいらっしゃいますか?」とか訊くのはやめてほしい。俺は誠実な人間だから、いちいち「御主人様かどうかは知らないが、私はにしです。あなたは誰ですか」とか「ここは仕事場なので主人もへったくれもありません」とか「ここにはおりませんが、ひょっとしておたくは家内のお知り合いですか?」とか「私ではなく妻と話したい理由を200字以内で述べなさい」などと答えなければならず、とても面倒臭い。

 だいたい、俺が結婚していることをなぜ知っている? 知らないで言ってるんなら、まず「あなたは結婚されていますか?」と確認するのが筋ではないのか。それも失礼といえば失礼だが。それとも、「奥様はいらっしゃいますか?」というのは「あなたには配偶者があるのか」という意味の質問なのだろうか。だとすると、「いません」と答えた場合は未婚者か離婚者だと思われてしまうことになる。ならば、これからは「いますよ」と答えるべきか。「奥様はいらっしゃいますか?」「いますよ」「それでは、ちょっとお話をさせていただきたいのですが」「どうぞ。既婚の私に何のご用ですか」「いえ、御主人様とじゃなくて、奥様とお話を」「なんだ。だったら最初からそう言えばいいのに」「申し上げませんでしたか?」「たぶん言ってないと思う。ともかく、家内と話すのは無理だな」「あ、奥様はお忙しいんですか」「そうでもない。たぶん、子供と遊んでると思う」「じゃあ、3分ぐらいで済みますので、ちょっと……」「だから、それは無理だってば」「でも、奥様いらっしゃるんでしょう?」「いますよ、5年前から。でも、ここにはいません」……あー、余計めんどくせー。

 関係あるような無いような話だが、むかし友人の職場に電話して「にしと申しますが」と名乗ったところ、「どちらのにし様でいらっしゃいますか?」と訊かれて困惑し、面倒になって「杉並区のにしです」と答えたことがあった。ラジオ番組にリクエストでもしてんのか俺は。杉並区にお住まいのにしさんからお電話です。まあ、「ライターの」とか「友人の」とか言えばいいんだろうけど、それでは「どちらの」という質問の答えになっていない。そういうのが、誠実な俺にはちょっと我慢ならないのだ。「誠実」と「偏屈」は紙一重なのである。俺が何者だか知りたければ、「どんなにし様ですか」とか「何のにし様でしょう」とか「おのれ、何者だ」とか訊いてもらいたい。

 ともかく、こういうイレギュラーな生活スタイルを取っていると、何かと面倒である。同窓会の名簿用往復ハガキに連絡先を書くときなんかも、たまに「ご就職先の電話番号」という欄があったりすると、いちいち「世の中サラリーマンばっかりじゃねーんだよ」と一人でぶつぶつ文句を言っている俺であった。「勤務先」だってちょっと違和感があるのによ。俺はこの仕事場に「勤務」してるのか? お願いだから、人は必ず組織や集団に所属しているものだとか、個人名義の電話には必ず御主人様か奥様が出るものだとか、決めつけないでおくれ。

*

 それにしても、きのう午後の嵐は凄かった。地球もなかなかやるもんだ、と感心。たまたまマーラーの2番『復活』なんか聴いていたもんだから、仕事場にはえらい異様なムードが漂った。天を切り裂く稲妻、轟く雷鳴、世界が丸ごと洗濯機に放り込まれたかのような驟雨、そして、猛り狂う強風に翻弄され苦しげにのたうち回る生産緑地。ビカッと稲光が瞬くと同時に、曲が「ジャジャーン」とフォルテシモになったりすると、おお、これが恐怖の大王の正体かぁぁぁっ、などと妙にコーフンしたりもするのであったが、どうやら単に梅雨が明けただけのことらしい。荒れ狂う窓外の景色に見とれていたら、妻から「停電してテレビが消えちゃった。せっかく『いないいないばぁ』(愚息お気に入りの幼児番組)やってたのに」との電話が入った。「そっちもいつ停電するかわかんないから、書いたもの、マメにセーブしといたほうがいいよ」とのこと。気が利くねぇ。

*

 江藤淳氏が自殺。対談記事の取材で、一度だけお会いしたことがあった。とても無邪気に笑い、がつがつと(しかし上品な仕種で)よく食べる方だった。たしか、そのときは「日本に成文憲法は必要ない」というようなお話をされていたと思う。合掌。

7月21日(水)8:45 a.m.
 仕事場の廊下に、壊れたビデオデッキが2台も置いてある。模様替えをしたついでに粗大ゴミに出そうかと思ったのだが、ちょっと待てよ。もしかして、メーカーに無理いって修理させるのなら、いまがチャンスなのか? 東芝の製品じゃないけど(ビクターとNEC)、どこもいまは襟を正してバカ丁寧になってるだろうからなぁ。さすがに10年も前に買った奴じゃ直らんか。でも、「わたし、ホームページ持ってるんですよねー」とか言ったら、新品と交換してくれんかね。……なんと卑劣なことを考えとるんだ、俺は。

 どういうわけか、いま「交響曲」がマイブームである。俺は中学2年くらいまで、いけすかない「クラシック少年」だった。当時のマイヒーローは小沢征爾である(思えば彼はノモ君やナカタ君より20年以上も早く「世界」で勝負していたのだなぁ)。同級生がキッスだベイ・シティ・ローラーズだと言っているときに、俺は『春の祭典』に衝撃を受けたりしていたわけだ。いけすかない。しかしまあ、そういう過去を持っているにしても、我ながら今回のブーム再来はひどく唐突。なんでか知らんが、「スクエアな感覚」みたいなもんを求める気分にでもなっているのだろうか。ともあれ、いま気に入っているのはチャイコフスキーの5番とブラームスの1番である。ディープな愛好家にとっては通俗的すぎてつまらん曲かもしれんが、やはり美しいものは美しい。

 ところでサッカー業界には、チャイコフスキーという名前のロシア人選手とかベートーベンという名前のドイツ人選手とかドビュッシーという名前のフランス人選手とかショスタコビッチという名前のユーゴ人選手(本物のショスタコはロシア人である)とかいないんだろうか。作曲家にかぎらず、「歴史上の人物」と同姓の選手って、あんまり聞いたことがないような気がする。「MFドビュッシー(フランス代表)」とかいたら、変幻自在なパスを出しそうでいい感じだと思うんだけど。バッハ(ドイツ代表)なんて、いいGKになりそうじゃん。ロシア代表のストラビンスキー、も当たりが強そうで怖いかも。そういえば、ドイツにはいま「ヒトラー」とか「ゲッペルス」とかの姓を名乗ってる人っているんだろうかしら。どうでもいいんだけど、気になる。

*

 あれから2週間が過ぎた。「あれ」というのは、7/6の日誌のことである。いまだに「彼」からはノー・リアクション。自分としては枠に向かって思い切りシュートを放ったつもりだったのだが、実は枠を逸れていたのだろうか。ゴールネットを揺らした手応えがないのはもちろん、GKに弾かれた感覚もない。「彼」は今、大長編の反論を執筆中なのだろうか。それとも、俺はすっかり愛想を尽かされてしまったのだろうか。嗚呼。無視されるぐらいなら、罵倒されたほうが百倍マシである。誰か俺の姿勢と手口を叱ってくれ。

7月20日(火)11:10 a.m.
 昨夜は、アヤックス×フォルトゥナ・シッタート(アムステル・カップ決勝)を観戦。フォルトゥナ・シッタート? 前半15分までにグロンキャル(?)の2ゴールでアヤックスが主導権を握り、そのまま2-0で優勝した。2つのゴールは、いずれもロングボール一発でDFの裏を突いたもの(パス出した選手の名前は忘れた)。とはいえ、決してアバウトなキックではないのがすごい。ちゃんとギリギリのところを狙って通してるんだよなー。50メートルのスルーパス、という感じ。アルゼンチン戦でベルカンプに通したフランク・デブールのロングパスを思い出したりした。

 アヤックスでのファン・デル・サール、リトマネンはこれで見納め。俺はこの1年しか見てないけど、古くからのアヤックス・ファンは寂しい思いをしてるんだろうね。たぶんチャンピオンズ・リーグを獲ったときのメンバーが「そして誰もいなくなった」なんでしょ? あと、オリセーもユーベに移籍するんだとか。なんか、乱獲で絶滅の危機に瀕している野生動物みたいだぞアヤックス。

7月19日(月)10:30 a.m.
 サッカーネットの常連さんとおぼしき方からメールをいただく。「似てる人シリーズ」が面白かったので、わざわざ「保存」したとか。オタフクニシさんのネタも笑えたそうです。よかったね。サッカーネットの投稿の中では、「秋田ときたろう」「柳沢とマッスル北村」というネタが妙に笑えた。

 ブラジル×ウルグアイ(コパ決勝)は、3-0でブラジルの楽勝。先制されるまでは「これは」と思わせる動きを見せていたウルグアイだったが、ここまで5試合で4点しか取ってないんじゃ、こんなものか。やっぱ、欧州でプレイしてる一流どころを揃えたウルグアイを見たかった。アルゼンチンもそうだけど。それにしても、こういう大会って、やっぱり開催国が早く負けると盛り下がるのかなぁ。どうも「決勝へ向けてテンションが上がっていく感じ」がいまひとつ味わえなかったような気がする。ま、俺は順位当てコンテストで優勝したからモチベーション維持できたけどね。えへへ。

7月18日(日)
 上原すごい。最近めっきりテレビの前でじっくり観戦することのなくなったプロ野球だが、今夜の阪神×巨人はなかなか見応えがあった。誤審(?)によるメイの退場、新庄のアンビリバボーなホームラン、村田の泥臭い犠飛、今岡の大飛球、後藤の美技、そして上原の熱投。いったん代打を出されかけながら、その前に勝ち越したために続投し、9回裏をぴしゃりと締めてみせた上原の集中力は見上げたものであると思った。

 一時的に起きて観戦したメキシコ×チリ(コパ3位決定戦)は、2-1でメキシコ。世に「3決不要論」は多く、そこには一理も二理もあるとは思うけど、まあ、やってもいいんじゃないの、と俺は思うね。W杯のクロアチアも今回のメキシコも、けっこう勝って嬉しそうにしてたしさ。フィギュアスケートのエキシビション、みたいなもんかな。

 大相撲七月場所は、なんと出島の逆転優勝。曙がコケたおかげで、妻の機嫌が悪くて困る。二子山勢力に翳りが出てきたように思われた大相撲界だが、こんどは武蔵川勢に制圧されるのか。たのむよ曙。どうせ負けるなら、もっと早めに3敗ぐらいしてくれ。千秋楽のどんでん返しはダメージが大きすぎていかん。

似てる人シリーズ#52
 メキシコの決勝ゴールを決めた選手(セパダ?)と川崎麻世。(妻)

7月17日(土)12:40 p.m.
「今月中に突貫工事で」と言われていた仕事が企画段階で滞り、とりあえず来月以降に先送り。あー、よかった。ひと安心したところで、以前から懸案だった仕事場の模様替えを敢行。今まで背を向けていたベランダ側を向いて仕事をするレイアウトにした。目の前が生産緑地なので、なかなかの眺望。はりきって窓なんか拭いちゃったよ。デスクを移動する際、こんがらがったキカイの電源コードやケーブル関係と格闘していたら、絶望的なカオスの中からどこにも接続されていない(しかも新品同様の)モジュラー・コードが1本、出てきた。なんでだ。電話もファックスもインターネットもちゃんとつながってるから別に問題はなさそうだが、ものすごく不安。いつ、どういう理由で余計なモジュラーが紛れ込むんだろう。まるでコードが自己増殖したみたいで、すごくキモチ悪いぞ。自分の部屋で起きていることが理解できない。セカイは不思議に満ちている。

 仕事場のマンションに、ケーブルテレビ(J-COM東京)が導入されることになった。部屋が北向きなので今まではパラボナが取り付けられなかったのだが、これからはカネを払えば、NHKの衛星放送やWOWOWはもちろん、ESPN(EURO2000予選など)もJ-SPORTS(スペイン・アルゼンチン・ポルトガルリーグなど)も、おまけにSKY sports(プレミアリーグ!)も仕事場で視聴可能ということである。げげ。どうしよっかなー。愚妻にこのことを話したら、「家に帰ってこなくなるから、やめてください」と言われた。はあい。

7月16日(金)12:00 p.m.
 知らない人達に向かって発言するのってどういう感じなんだろうと思って、サッカーネットというところに行き、これまでの「似てる人シリーズ」を一挙公開してみた。半日のあいだに、13件ものレスポンスがあった。おそるべしサッカーネット。東芝暴言騒動なども横目で見つつ、ネットの威力を思い知らされる今日この頃である。しかしみんな、けっこう「似てる人」が好きなんじゃん。

 と思っていたら、オタフクニシさんから「似てる人シリーズ」が届きました。おお。初の女性投稿者だ。やった。今後も心の止まり木に華を添えるチーママ的存在として活躍してくれることを期待しましょう。ちなみに彼女は、だいぶ前にベイスターズがらみの投稿をしてくれた「元キングキリエンコ」氏の奥様です。ネタのほうは、そんな映画の細部まで記憶してないんで、俺にはわからん。こんど見る機会があったら確認したいけれど、そのときはソラーノの顔を忘れていそうな気がする。

 エルナンデスはW杯のときに愚妻が「アフリカ奥地でゴリラの生態を研究している女性動物学者(実在するか否かは不明)」というネタを発表しましたが、先日来訪したY夫人によると、CSやCATVで見られる「ディスカバリー・チャンネル」の番組に、オランウータンを研究するエルナンデス似の女性学者が登場していたそうな。愚妻、おそるべし。

 サッカーネットに書き込みをしたとき、それが「マスト」なんだと勘違いして、うっかりメールアドレスやこのウェブのURLを公開してしまった。よく見たら、ほとんど誰もアドレスなんか書いてないでやんの。だいじょうぶかなー。面倒なことにならなきゃいいけどなー。

 アネルカのラツィオ入りはご破算になったとか。ちぇっ。

似てる人シリーズ#51
 チリのパラシオス(右サイド・2番)とつまみ枝豆。

7月15日(木)13:40 p.m.
 昨夜はヤクルト×巨人を観戦。愚妻が仕事先でチケットをもらってきたので、テレビではなく神宮球場で。愚息にとっては初の野球観戦である。どうせ何も覚えちゃいないだろうが。小雨の降る中、外野自由席(レフトポール裏)に陣取る。フジテレビのナイター祭りとやらで、大林素子が始球式を務めていた。遠目に見ても、でかかった。さすがにボールがキャッチャーまで届いていた。5回終了後に、センター後方で打ち上げ花火。これもナイター祭りの余興である。なんか得した気分。試合はとくに見るべきところもなく、セガレも飽きてきたので、6回表の松井の三振を見届けて帰る。「やっぱ野球は球場で見ないと」という人は多いが、はっきり言ってテレビのほうが野球自体は面白いと俺は思う。外野席から見てたって、桑田がなんであんなにパカスカ打たれるのか全然わからん。現場で見るのが楽しいのは、詰まるところ「拍手ができる」からなんだと思ったね。俺の拍手が、二岡や清水の耳に届いている、という手応え。ちょっと酔っ払えば、センターに向かって「まついーっ。ボーっとすんなよー」と声をかけることもできるんである。かけなかったけど。ボーっとすんなよ。あと、球場観戦でいちばん不愉快なのは、応援団のラッパだな。1億歩譲って吹き鳴らすのは許したとしても、楽器がヘタクソなのはどうしても許せない。万単位の大観衆の前で披露できるような腕前じゃねーぞ、おまえら。吹くんなら、もっといい音を出さんか。あいつら、野球も楽器も愛していないんじゃないのかね。

 そんなことより気になったのは、隣で友人らしき人物と2人で観戦していた30前後とおぼしき男性であった。試合中に、やおら小型のパソコンを鞄から取り出し、ケータイに接続したのである。以下、彼が友人らしき人物に向かって口にした科白と、俺の無言のツッコミ。

男性「他球場の途中経過、インターネットで見てみよっかな」
おれ(そんなもんが気になる時期じゃねーだろ)
男性「もう、雨降らないよねぇ。濡れるとまずいんだよなー」
おれ(だったら、しまっとけ)
男性「あ、ボールが飛んできても困るな」
おれ(だから、しまっとけってば)
男性「あ、阪神が勝ってるよ」
おれ(だから何?)
男性「(ふと顔を上げてスコアボードを見て)あれ、1点入ったんだ」
友人「うん。佐藤がホームラン」
男性「あはは。見てなかった」
おれ(おめーは何しに来てんだよ。野球を見ろ野球を)
男性「あ、メールが来てる。返事書かなきゃ」
おれ(そんなに急ぐなら、そのケータイで電話すりゃいいじゃん)

 メールを送信した彼がキカイを大事そうに鞄にしまった直後、球場の電光掲示板に他球場の途中経過が表示されていた。あほか。なんちゅーか、まあ、最新式のキカイを見せびらかしたい&使いたい盛りなんだろうけど、何だかな。せっかく球場まで来てんのに、液晶画面とにらめっこしてどーすんだ。それとも、「野球場にいながらにして他球場の途中経過もバッチリわかります。これは便利!」という通販番組の売り文句みたいなことを体現してみたかったのか? そのために雨の神宮まで足を運んだのか? たぶん、この手の「本末転倒モバイラー」は世の中に多いんだろうけど、こういうのを「キカイに使われてる」って言うんじゃないだろうか。ま、本人がそれで楽しいんなら別にいいけど、手段と目的を混同するとろくなことにならんぞ。そういうのが、メールのおかしな使い方を助長しているようにも感じたのであった。たとえば、どう考えても電話で処理すべきことをメールで連絡してくる人、あなたの周りにもいませんか。そういう通信手段の「使い分け」は、いっぺんちゃんとみんなで考えたほうがいいと思う。みんなって誰だ。

 帰宅後、ウルグアイ×チリ(コパ準決勝)を観戦。ちくしょー。ウルグアイ、PKうめーなー。サラスのばか。2試合も出場停止喰らった挙げ句に、PK外すんじゃねーよ。どこまでチームに迷惑かけりゃ気が済むんだ。なんかこの大会、やたらPKばっかり印象に残るな。

 今朝はブラジル×メキシコ(コパ準決勝)を見てから出勤。メキシコの奮闘を期待したが、歯が立たなかった感じである。どうでもいいが、ロナウジーニョって札幌のアシスの弟なんだね。へえ。マラドーナ弟、バルデスの双子の片割れ、そしてロナウジーニョ兄と、なんで札幌って「ビッグネームの兄弟」に縁があるんだろう。まさか、全部ビッグネームのほうだと勘違いして契約してんじゃねーだろうな。……デ・ブール兄弟って、実は三つ子だったりしないのかなー。もう一人いるなら、欲しいぞ。



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