2005.12.19.Mon.
15 : 20 p.m.
BGM : Circus / Mary Black
きのうから今朝にかけて、いずれも「紙一重」のスリリングな試合を四つ観戦。まず日曜の夕刻に見たのは、えーと、何だっけ、チーム名がいまだに覚えられないが、とにかくトヨタカップの地球3位決定戦である。いや、さすがの日テレも「地球3位」とは言ってなかったと思うけど、「地球一」ってなぁ。火星や金星でもサッカーやってるみたいじゃん。「世界一」といえば、それはもう「この世の一番」なんだから絶対値としての「頂点」という感じがするが、「地球一」ではその「世界」が宇宙全体にまで広がって価値が相対化されてしまうので、むしろ有り難みが損なわれるのだった。いや、私はべつにトヨタカップが世界の頂点を決めるのにふさわしい大会だとは思っていないが、そうだと言い張りたいなら「地球一」じゃなくて「世界一」のほうがいいんじゃないの、ということである。というような話は別にしても、どんなにふだんサッカーを見ない視聴者だって「地球一」なんて子供じみた物言いには鼻白むと思うのだが、なんで番組を作っている人たちだけそれがわからないのかが、わからない。
でも、試合は終盤の逆転劇もあって見応えがあった。積極的な攻め合いの結果、3-2でどっちかの勝ち。当初は大会自体にあんまり興味がなかったものの、セガレが妙にトヨタカップには関心を寄せていて熱心に見るので(その意味では日テレのお子様向け盛り上げ作戦も一定の効果はあったのかもしれんが、そのセガレも「地球一」には違和感を抱いていた模様でした)、カロンとかヨークとかカズとか懐かしがりながら1回戦から一緒に何となく見ていたのだが、欧州と南米以外のクラブが、晴れの舞台を与えられたことを意気に感じて「ええとこ見せたろやないか」と張り切っている様子はとても良かった。テレビ局の演出ではなく、フィールド上の熱気がセガレのハートを掴んだのかもしれない。
引き続き観たサンパウロ×リバプール(トヨタカップ決勝)は、リバプール憎しのわれわれ夫婦はもちろん、セガレも短期間のうちにGKセーニをヒーロー視するようになっていたので、テレビの前で一致団結してサンパウロを応援。セガレはふだん親に媚びて応援するチームを決めることがない(なにしろ部屋にはベッカムのポスターが貼ってある)ので、こういうケースは珍しい。もしかしたらW杯の日本戦以来のことかもしれない。試合はそのセーニがファインセーブを連発し、「同点は時間の問題」と思われたリバプールの猛攻をどういわけかしのぎきったサンパウロが1-0で勝ったので、のたうち回ってギャーギャー言いながら家族でとても愉快な90分を過ごすことができた。新トヨタカップ、わが家的にはナイスな暮れの風物詩になりそうな予感。
セガレにオヤスミを言ったあと、ラツィオ×ユベントス(セリエ第16節)をビデオ観戦。今季はじめて観るラツィオのホームゲームである。アウエー扱いのローマ戦も含めてオリンピコでは無敗とやけに強いわけだが、やっと放送してくれたと思ったらユーベ戦なので、「こんなことなら見せてくれないほうが良かったのに」という結果になることを私が恐れていたのは言うまでもない。
だがしかし、ラツィオはそんな予想を裏切ってくれたのだった。なるほどホームでは本当に強いんだなと思わせてくれる、勇敢な戦いぶり。守備時に危なっかしいシーンが多いのは、まだ発展途上のチームなのだと思って目をつぶろう。それより、ズルズル下がることなく高いラインを保ってボールを奪いに行く姿勢に志の高さを感じられたことが嬉しい。攻撃も、ユーベの早い出足に潰されるシーンが多かったが、弱い相手ならきっと華麗なゴールを決めてるんだろうなと思えるだけのアイデアとスピードと連携があった。久しぶりに、ペルッツィのネ申セーブも拝むことができた。ダメだったのは相変わらずマッシモ君で、なんでそれだけの時間と空間を与えられながら山なりのクロスがボヨヨ〜ンとゴールラインをはるかに超えていくのかがどうしても理解できないが、放物線を描いてターレの頭に上から落ちてくる「タテの線で合わせるクロス」(はたして「クロス」なのかそれは)もそれなりに珍しくて面白かったから、まあ、いいや。
試合は1-1の引き分け。決定機の数もそんなに違わなかったように思うので、フェアな結果である。ユーベから勝ち点を奪ったのは、インテルをアシストするという意味でもすばらしいこと。ローマ戦に続いてユーベ戦でも先制ゴールを決めてくれたロッキの特大ポスターを付録につけてくれる雑誌があったら、買って仕事場に貼りたい。
今朝は、セガレを学校に送り出したあと、アーセナル×チェルシー(プレミア第16週)をビデオ観戦。べつに、セガレがアーセナル・ファンになってしまうことを恐れて陰で観ているわけではありません。序盤の15分間はチェルシーが押し込みまくり、やっぱマケレレさんがいると2列目の迫力が倍増するよなぁと思っていたものの得点には結びつかず、あんまり調子こいてるとカウンター食らってアンリーにガツンとやられるぞおまえら、とビクビクしていたら、アンリーのシュートがガツンとポストを叩いてくれてヨカッタ。さらに、こんどはポストとポストのあいだにちゃんと収まったファン・ペルシーのゴールが、リプレイを見れば完全無欠のオンサイドだったものの判定はオフサイドでラッキーの上塗り。ラッキーってすばらしい。これだけ隙を見せていたにもかかわらず、試合の終盤に「チェルシーの守備にはまったく隙がない」とか「カウンターをいっさい許さない」とか言ってた実況および解説は、チェルシー・ファンが聞いていてもどうかしていると思うので、アーセナル・ファンは安心したまえ。
前半40分頃に決まったロッベンの先制ゴールは、ファン・ペルシーのそれよりもオフサイド臭い飛び出しだったし、本人の表情や仕種も「なんでダメなの?」と言っているように見えたので一瞬ノーゴールかと落胆したのだったが、それはどうやら「これぐらい当然だろオレなんだから」という余裕の表情だったようだ。2人の副審の配置が左右逆だったら、スコアも逆になったことだろう。ラッキーってほんとうにすばらしい。さらに後半、モタついたローレンからボールをかっさらったジョー君が、キャンベルが懸命に伸ばした右足とレーマンが懸命に伸ばした左腕のあいだに生じたほんのわずかなコースにシュートを流し込んで0-2。うめえ。うめえよジョー。
というわけで、ホームとアウエーいずれもバカヅキに恵まれたチェルシーがアーセナルに連勝である。そんなことが可能だなんて、3年前には思いもしなかった。どうせなら、誤審なしに1-0からチェルシーが逆転するところを見たかったような気もするので、やや残念な試合ではあったけど。と、日誌には書いておこう。ぐふふ。いずれにしろ、私にとってこの試合における最大の収穫は、ロッベンの顔がブッシュ大統領に似ていると判明したことだ。ああ、だから昔からいまひとつ好感度が高まらなかったのかぁ。
|