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1.Jesu, Joy of Man's Desiring
2. Presto from Italian Concerto
3. Montero: Beyond Bach
4.Air
5. Aria from Goldberg Variations
6. Adagio from Violin Concerto No. 2
7. Prelude in C
8. Sheep May Safely Graze
9. Two-Part Invention in D Minor
10. Allegro from Brandenburg Concerto No. 3
11. Adagio from Keyboard Concerto
12. Tocatta in D Minor

平成十九年一月二十四日(水)午前九時四十分
BGM : Bach And Beyond / Gabriela Montero

 きのうは14時から高田馬場のサンマーク出版で打ち合わせ。10年前にゴーストした本を文庫化するにあたって、加筆を頼まれたのである。そのため10年前に自分で書いたものを再読せねばならず憂鬱だったのだが、イヤイヤ読んでみると、まあまあ、ふつうにうまく書いてんじゃん、と、自画自賛。いまと筆致がほとんど変わっておらず、成長していないとも言える。とはいうものの、「40代や50代になると……」という書き方をしている30代の自分には腹が立った。40代と50代を一緒くたに語ってんじゃねぇぞコラ。というわけで、ゴーストされた本の内容にはライターの年齢という要素が微妙に影を落としているのだということに気づいたのだった。気をつけよう。しかし、10〜20歳も離れた著者の年代的感覚を掌握するのは容易ではない。

 打ち合わせ後、高田馬場から銀座一丁目へ。またテナーリコーダーに小さなヒビが入ったので、ヤマハ銀座店(仮店舗)で修理してもらった。今週の金曜日(もう明後日の話じゃないか!)に発表会本番が控えているというのに、難儀なことである。帰宅後、発表会のプログラムに載せる顔写真をデザイン事務所に送る。それで思い出したのだが、著書の顔写真が古い。しかも今より10キロ以上も太っている。重版するなら差し替えられないものかとも思うが、しかしまあ、それを書いたのはそこに写っている(30代の)私なんだから、しょうがないよな。それを含めて書き手の責任。

 そうこうしているうちに昼飯を食い損ねた結果、さらに体重が前日より1キロ減った。食事を省略して減量を図るには、午後2時ぐらいから取材や打ち合わせを入れるにかぎる。原稿書きの場合、昼飯を抜くと3時以降は仕事にならないが、取材や打ち合わせは空腹でもできるからである。2時からなら「メシでも食いながら」という話にはならないし、終わって帰宅するともう晩飯の時間帯になっているので、まことに都合がよい。『発掘!打ち合わせダイエット』という本が書けそうだ。うん。あるある。もっとも、5ページですべてを言い尽くしてしまえるのが難点だけどな。もっと大きな難点は、ぜったいに売れないこと。

 





1. Quizz Kid
2. Crazed Institution
3. Salamander
4. Taxi Grab
5. From a Dead Beat to an Old Greaser
6. Bad-Eyed 'N' Loveless
7. Big Dipper
8. Too Old to Rock 'N' Roll: Too Young to Die
9. Pied Piper 10. Chequered Flag (Dead or Alive)

平成十九年一月二十三日(火)午前十一時四十五分
BGM : Too Old to Rock 'N' Roll : Too Young To Die / Jethro Tull

 きのう朝飯に納豆を食い、昼飯を抜いたら、毎日晩飯の前に計測する体重が前日より600グラム減っていた。これを略すと、「納豆を食ったら体重が減った」となる。あるあるナントカという番組が何を略したのかは、よく知らない。私が知っているのは、体重を減らすには食事を略すのが一番だということである。人はなぜ、こんなに簡単な引き算がわからないんだろうか。欲張りだからだろうか。それともバカだからだろうか。欲張りでバカだからだろうか。略すと欲バカ? ちょっと言い過ぎただろうか。

 いっしょに風呂に入っているとき、セガレが「いま音楽の授業で『ゲド戦記』の歌を歌ってるんだよ」というのを聞いて、あまりよく考えず反射的に「ふざけてるな、それ」と言ってしまった。子の前で軽率に学校や教師を批判するようなことを言ってはいけない。だいたい私は『ゲド戦記』が何なのかも知らないのだ。なんとなく抱いた「イヤな感じ」を思わず口に出してしまっただけなのだ。なので、セガレに「どうして?」と問われて困った。うまく説明できないので、「いや、だって、その、小学生のうちに習うべき歌は他にいくらでもあるじゃないか」とか何とか答えたのだが、しかしまあ、そういうことである。いま世間で消費されている(つまり放っておいても子供の耳に入るであろう)音楽を、わざわざ貴重な授業時間を使って教えるこたぁないでしょう。「子供たちが歌いたい歌を歌わせたい」ということかもしれないけれど、歌いたい歌があるなら家でもどこでも勝手に歌えばよろしいのであって、授業で歌う必要はないわな。音楽は音楽室の中だけに存在するわけじゃないんだから。子供たちが知らない歌を「歌いたい」と思わせるように教えるのが教師の仕事ではないのか。

 きのう集英社インターナショナルのSさんから電話をもらって飛び上がらんばかりに驚愕したのだが、『キャプテン翼勝利学』の増刷(3刷)が決まったそうだ。うっそぉ〜、しぃんじらぁんなぁ〜い。というのはすでに死語のような気もするが、ともかく、こればかりは「あるある」と微塵も思っていなかった。なにしろ5年前、日韓ワールドカップを当て込んで出した本である。そんな本の増刷なんて、とっくの昔に出版界の「ないない大事典」に収録されていたはずの話であろう。どうしてこういうことになったのか、意味がさっぱりわからない。狐につままれた経験はないが、それはきっとこんな気分なんだろうな、という気分。読んでもらうにゃ老だけど絶版にはチョイト若すぎる、ということかもしれない。ともあれ、購入してくださった全てのみなさまに感謝。唯一の著書がまだ死んでいないのは、とてもうれしい。未読の方は、これを機会にぜひ。アマゾンでは1円で売ってるけどね。勘弁してくれ。というか、久しぶりにアマゾンの該当ページを見たら、いつの間にか凄まじいカスタマーレビューが載っていて笑った。でも、ありがたい。「でも」ってことはないですね。そんなわけで、テルアビブの平林君、キミの作ってくれた本は、まだ日本で生きてます。どうもありがとう。

 





1. Angeles y Predicadores
2. Gulpable Enternamente
3. Pasajera en Trance
4. Gramercy Park Hotel
5. Hablando a Tu Corazon
6. Gente Es la Misma

平成十九年一月十七日(水)午前十時五分
BGM : Tango / Charly Garcia & Pedro Aznar

 まだ私の手元には届いていないが、『わしズム』冬号(小学館)は本日発売。特集は、<故郷(パトリ)なき「美しい国」を愛せますか?>である。そんな号の記事を一部、地球の裏側の異国で書いていたかと思うと感慨深いものがあるのだった。とはいえ、ブエノスアイレス滞在中に故郷や祖国に思いを馳せたかというとさほどでもなく、それはたぶん日本チームを応援することで異国でのストレスが解消され祖国を求める気持ちが満たされていたからだろうと思うわけだが、それでも唯一日本が恋しいと感じたのは、やはり食い物である。同行した日本人が多かったので日本語はふつうに喋っていたし、原稿もイヤというほど書いていたので言葉の面ではほとんど欲求不満を抱かなかったが、アルゼンチンの食い物には三日で飽きた。とりわけ食いたいと切望したのは、「汁っ気のあるじゅるじゅるした食い物」である。帰国した晩に家族と鍋をつついたときは、日本ってなんて「美味しい国」なんだろうと涙が出そうだった。この、鰹節やら昆布やらでダシをとった汁っ気のあるじゅるじゅるした食い物こそが、祖国防衛の最終ラインなのではないかと思ったぐらいだ。何のことだかよくわからないが、そういえばイタリアではパスタ、ドイツではビールの製法に関する法律があるという話を聞いたことがあるような気がする。やはり「美味しい国」を守ることに大きな意義を見出しているに違いない。アイスクリームが大好きなお坊ちゃんが首相の座にあることに、一抹の不安を感じたりする。

 





1. Ain't No Way To Forget You
2. Driving At Night
3. Play Something Sweet
4. Sweet Johanna
5. I Came Here To Party
6. Take Me To The River
7. Standing On A Mountaintop
8. Let's Do It In Slow Motion
9. Audience For My Pain

平成十九年一月十六日(火)午前十時十五分
BGM : Levon Helm / Levon Helm

 元ザ・バンドのリヴォン・ヘルムは『LOST』のチャーリー(ドラッグ好きの英国人ロックミュージシャン)にとてもよく似ているという、およそどうでもいいことに気づいた寒い朝である。リヴォン・ヘルムは何かのインタビューで、ロックミュージックとドラッグカルチャーが一緒くたに語られることへの嫌悪感を表明していたけれど。

 ゆうべ、『いちご白書』を観た。藪から棒に何を言い出すんだ私は。と、思わないでもないが、いままで観たことがなかったのである。中学時代、主題歌であるところの『サークル・ゲーム』のシングル盤を友達から借りてことのほか気に入り、何度も何度も聴きながら「映画も観たいなぁ」と思って以来、30年の歳月が流れていたのだった。嗚呼。何がどう「嗚呼」なのかよくわからないが、「いちご白書を観なかった30年」は「嗚呼」としか言いようがない。一度も観たことがないくせに、もう一度観たがってる人の歌はさんざんカラオケで歌ってきましたけれども。嗚呼。

 ともあれ、数ヶ月前に録画してあった『いちご白書』を観た。1970年に作られたこの映画でもっとも印象的だったのは、サイモンがリンダに向かって言うこんな台詞である。戦争やら人種差別やらで腐りきった国との戦いを主張する活動家の彼女に対して、彼は苦しげに(字幕によれば)こう訴える。

「国にチャンスをやりたいんだ。もう一度だけ」

 国家やら政府やらに対して所謂「お上意識」の強い私たち日本人には、ちょっと思いつかない発想であるよなぁ、と、思ったのだった。社会科の教師にとっては、生徒に国民主権ってやつの本質を理解させる上で恰好の教材であろう。すこし前、『民主と愛国』という本が話題になったが、この台詞の中ではその二つが見事に両立しているのではないか。「親」を敬うようなタイプの愛国と、「子」を慈しむようなタイプの愛国と、愛国には二種類あるのかもしれない。「チャンスを寄越せ」と国にねだる人と、「チャンスをやる」と国を見下ろす人と、どちらがオトナであるかは明白だ。さて、いまの日本で真っ先に「再チャレンジ」の機会を与えられるべきは、いったい誰なのでしょうか。と、ちょっぴり青臭い気分になっている寒い朝である。

 





1. You Really Got Me
2. At the Crossroads
3. Laugh at Me
4. Backsliding Fearlessly
5. Rock and Roll Queen
6. Rabbit Foot and Toby Time
7. Half Moon Bay
8. Wrath and Wroll

平成十九年一月十五日(月)午前十時四十分
BGM : Mott The Hoople / Mott The Hoople

 モット・ザ・フープルのファーストアルバムはジャケットがエッシャーの絵であるということを、先日のスーパーエッシャー展で知った。同展には他にも何点かエッシャーを使ったアルバムジャケットが展示されていたが、エッシャー自身に使用を断られた者もいたという。ミック・ジャガーである。なんでモット・ザ・フープルはOKでミック・ジャガーはNGなのかは謎。ワニが無限ループしているこの絵にしろ、例の「でんぐりでんぐり」にしろ、登っても登っても上に行かない階段にしろ、エッシャーの世界はわりかしローリングな感じなのに。

 きょうは旧成人の日である。月曜日なんだから、その場合は昔どおりに一月十五日が所謂「ハッピーマンデー」になるように法律で規定すればよいではありませんか、と、青年の主張をしたくなるのは私だけだろうか。なんだか間抜けというか、不真面目な法律である。まあ、やたらと三連休を増やすこと自体が不真面目だと私なんかは思うわけだが。ここ数年、各方面でプロにあるまじきミスによる事故や事件が頻発しているのを見るにつけ、「三連休が日本人をダメにした」ということはないのだろうかと思ったりする。仕事であれスポーツであれ音楽であれ、長く休むと下手になるものだ。

 先日、矢野真紀のライブを収録したDVD『Live your life 矢野真紀 at パルコ劇場』を買って観た。去年の四月に発売されていたのだが、どういうわけか「イヤな予感」がしてならなかったために、今まで手を出さずにいたのである。しかし、いつまでも観ないわけにはいかないのだし(そうなのか?)、タワーレコードをぶらついていたら目に留まったので購入したのだったが、悲しいかな予感が的中。ファンにとってはかなり残念な映像作品であった。ノリが悪くテンションの低い演奏、野心の感じられないおざなりなアレンジ、聴いていて気恥ずかしくなるほど芋臭〜いホーンセクションのフレーズ、およそ意図というものが感じられない場当たり的な演出、思わず「貞子かよ!」と口走ってしまったホラー映画さながらの不気味な照明(彼女に下からライトを当てちゃダメだ)、そして躍動感皆無の退屈な映像。どうしてこのステージをDVDにしてしまったのか理解に苦しむのであるよ。矢野真紀初心者には決してオススメしたくない作品である。矢野真紀本人もひどく調子が悪そうだが、それはきっと周囲が余計なことを「企画」しすぎてヨソ行きのステージになってしまったからに違いない、と、私は勝手に決めつける。悪いのはヤノマキではなくトリマキなのだと思いたいです。

 





1. River Of Joy
2. Hobo's Hop
3. Mood Indigo
4. Monon Blues
5. Keep Your Lamp Trimmed And Burning
6. Ragtime Gal
7. Wrap Your Troubles In Dreams
8. Three Sisters' Waltz
9. Monday Morning Blues
10. Maplewood
11. Arkansas Ramble
12. Dink's Song

平成十九年一月十一日(木)午後十二時二十分
BGM : Ragtime Gal / Mary Flower

 暮れからこっち、レコーダーに20回分ぐらい溜まっていた『LOST(シーズン2)』を毎晩のように見まくっている。夏から年末まで、毎週たった1時間のテレビドラマを見る余裕さえないほど忙しかったのかと思うと恐ろしい。寒気さえ覚える。もっとも、それは時間がないのもさることながら、「目を休めたい」という心理も働いてのことだったのだなというのが、こうして一晩に何時間もテレビを見ているとよくわかるのだった。2時間も見るとショボショボしてしまい、目がショボショボしてくると、もう他のことをやる気力が湧いてこないのである。サッカー中継をほとんど見なくなったのも、たぶん同じ理由だろう。もしかしたら、ブラインドサッカーに強い関心を向けるようになったのも、自分自身が「目の不安」を抱えるようになったことと関係があるのかもしれない。目の不安ったって、私の場合は単なる疲れ目だから視覚障害者と同列に語るつもりはないけれど、慣れない眼鏡を使用するようになってから、目のことばかり考えているような気もする。目に自覚的になったというか、まあそんなようなこと。それにしても不思議なのは、目は酷使するとこんなに疲れるのに、耳はいくら音楽を聴いても疲れないということだ。そういえば「鼻が疲れた」とこぼす人にも会ったことがない。「最近、歳のせいか味見してると舌がショボショボしちゃってねぇ」という料理人もたぶんいないだろう。なんで目だけ疲れるのでしょうか。それとも目の見えない人は耳が疲れたりするのかな。こんど訊いてみよう。

 そんなことより『LOST』だ。南の島(ロケ地:ハワイ)に墜落した旅客機の乗客たちが、数々の謎や危機に直面しながら、愛し合ったり憎み合ったり信じ合ったり疑い合ったり殺し合ったりする素敵なお話である。シーズン1の頃は「この話、最後はどう決着させるんだ?」ということばかり気になっていたが、だんだん、そんなことはどうでもよくなってきた。どうせ、「キリスト教を理解していない日本人には何のことやらさっぱりわからないだろうね明智君」的な結末になるんだろう、というような気もしたりして。あるいは、「これがアメリカという国の行く末を暗示している」的な例のアレか。「例のアレ」って何だかわからないが、まあいいや。どっちにしろ私にはあんまり関係なさそうだ。いま私が言いたいのは、アナ・ルシアを死なせないでほしかったということである。とても味のある芝居をしていて、出演者の中で将来もっとも出世するのは彼女ではないかと思っていた矢先のことだったので、あっさりマイケルに撃ち殺されてしまったときはヘコんだ。そんなことでヘコむなよ俺。

 





Il Giardino Armonico
Bach・Biber・Corelli・Locke
Monteverdi・Rossi・Vivaldi(11CD)

平成十九年一月九日(火)午前十時十五分
BGM : Vivaldi : The Four Seasons / Il Giardino Armonico

 謹賀新年。以下、年末年始の行状。

■12月23日、ヤマハ銀座店のリコーダーフェアでドイツ製(moeck)のテナーリコーダーを購入。笛のくせに(私の)ギターより高いってどういうことだろうと思うが、しかし「木管楽器」にしては安いような気もする。でも笛。
■クリスマスは京都出張。宗教学者から座禅の話を拝聴する。クリスマスなのに。
■12月28日、渋谷でエッシャー展を鑑賞。セガレは「でんぐりでんぐり」がいたく気に入った模様。
■12月30日、合奏の練習中に、買ったばかりのテナーリコーダーが割れた。使い始めは管理が難しい楽器なのだ。頭部管に約5センチの亀裂。後厄の掉尾を飾る災難。陰鬱な気分で年を越す。
■元日は私の実家、2日は愚妻の実家へ。例年と変わらぬ穏やかな正月であった……と言いたいところだが、ひょんなことから親子で口論。兄と一緒になって老父を攻撃してしまい、おせちの並ぶ食卓に険悪な空気を演出してしまった。べつに楽器が割れて機嫌が悪かったせいではないが、親に向かって「言っていいことと悪いことがあるだろ!」って、それ自体が言って悪いことです。反省。
■3日、割れた楽器を持ってヤマハ銀座店へ。購入時に使用上の注意をちゃんとしなかったというヤマハ側の不手際もあって、購入代金を返してもらい、交換用の新品が入荷するまで修理した楽器を借りて使用することになった。念のため言っておくが、私がそう要求したわけではなく、先方の提案である。修理の手際は見事なもので、演奏に支障はない。見た目も、ちょっと傷がついている程度のもの。最終的には、新品のほうではなく、それを中古価格で買い取る選択肢もある。浮いたお金でアルトが買えるかも。災い転じて福である。世間ではそれを「焼け太り」と呼ぶのだろうか。
■その後、上野で家族と待ち合わせて、ダリ展を鑑賞。2時間待ちの行列にウンザリ。ダリってそんなに人気があるのか。たぶん所ジョージのせいだと思うが。
■6日、吉祥寺の新星堂ロックインで注文していたRolandの電子ピアノが届く。楽器ばかり買っている。先生に「手の形がとても良い」と褒められてやる気満々のセガレはもちろん、高校までピアノを習っていた愚妻もうれしそう。『弾きたくてバッハ』という演歌みたいなタイトルの楽譜集を買って再チャレンジしている。私はピアノを習ったことがないが、きのうからジムノペディの練習を開始。ジムノペディを弾けるようになるのは、人生の目標のひとつ。
■7日、セガレがお世話になっているサッカークラブの新年会に出席。いつも熱心に指導してくれているコーチの皆さんに挨拶できてよかった。忙しくて何ヶ月もセガレのプレイを見ていないが、コーチたちの話では、このところ急速に上達しており、練習態度もとてもひたむきなんだそうだ。わが子が親の知らないところで成長しているのは頼もしい。二次会はカラオケスナック。大半が初対面の皆様の前で3曲も歌ってはいけなかったような気がしている。襟裳の春は何もない春です。
■イル・ジャルディーノ・アルモニコの「春」は異常気象のような春だな。
■平成十九年がみなさまにとっても私にとっても幸福な一年でありますように。

 





L. V. Beethoven
The Complete String Quartets
Alban Berg Quartett

平成十八年十二月二十二日(金)午後一時四十分
BGM : String Quartet Op.18 No.2 in G major / Beethoven

 以前『月刊サッカーズ』で私の連載コラムを企画してくださり、現在はスポーツナビでどういうわけか格闘技を担当されている(したがって年末はやけに忙しそうな)Yさんのお計らいで、同サイトにブラインドサッカー世界選手権アルゼンチン大会のリポート記事を書かせていただきました。興味のある方は、こちらをどうぞ。この場合、自分のサイトにアップするのと何が違うのかよくわからないと言えばよくわからないわけだが、書きながらHTMLのタグを打たなくてもいいというのは感覚がずいぶん違うのだし、やはり「編集」される原稿とされない原稿は同じではないのだということが、読んでもらえばよくわかると思う。すでに、告知する前に目ざとく発見した友人からは、「日誌のほうが面白い」というきわめて真っ当なご意見も頂戴したしな。まあ、それはそういうものである。と、思う。いいのかそれで。

 





1. Spaceman
2. People
3. I Would Find You
4. Here We Are
5. Hustler
6. Next
7. Nickel and Dime
8. Karma


平成十八年十二月十四日(木)午前十時十分
BGM : Next / Journey

 どうやら、シメオネ監督がどえらいことをやってのけたようだ。一昨日、ブエノスアイレスで知り合った現地在住のライター・ガルシア千鶴さんからメールを頂戴し、アルゼンチンリーグ最終節でシメオネ率いる(しかもヴェロンのいる)エストゥディアンテスが奇跡的にボカに勝ち点で並び、13日に優勝決定戦が行われることは聞いていた。このサイトをご覧になって私がシメオネ贔屓であることをお知りになり、わざわざ教えてくださったのだ。そうと知っていれば私が現地にいるあいだに「エストゥディアンテスの試合や練習場にお連れできたのに」とのことで、残念無念である。こんどアルゼンチンに行ったら、会う人会う人にいちいち「シメオネが好きなんですけど」と言うことにしよう。

 ともあれ、さっきYAHOO ! ARGENTINAのスポーツ欄をチェックしたところ、優勝決定戦は前半3分にパレルモのゴールでボカが先制したものの、後半19分にソサという人、35分にはパボンという人がゴールを決めて、エストゥディアンテスが逆転勝利を収めた模様。なにしろスペイン語で書かれていることなので間違ってたらゴメンナサイだが、嬉しいニュースである。「最終節のミラクル」といえば、99-00シーズンのラツィオを思い出さずにはいられない。おそるべきはシメオネ&ヴェロンの神通力である。ラツィオがダービーで大勝し、シメオネが逆転優勝を果たし、私も帰国後から相次いでいる重版通知にニマニマしている今日この頃。うへへ。ラツィオ関係者に追い風が吹いているような年の暮れである。私はぜんぜん関係者じゃないが、ひょっとすると、今夜は日本でピオホ君がどえらいことをやってのけるかもしれん。

 





1. Lights
2. Feeling That Way
3. Anytime
4. Do Da
5. Patiently
6. Wheel in the Sky
7. Somethin' to Hide
8. Winds of March
9. Can Do
10. Opened the Door


平成十八年十二月十二日(火)午前十時二十五分
BGM : Infinity / Journey

 見えない人たちのサッカーを追いかけているうちに見える人たちのサッカーとすっかり縁遠くなり、そのせいかどうかは知らないが、この日誌の閲覧者も半減している今日この頃である。なにしろローマダービーの日程も頭に入っていなかったのだから、お話にならない。どうやら日曜日にやってたようだ。先週、このところのローマおよびトッティは絶好調だという話をローマ贔屓の某サッカー誌編集長から聞いていたのだが、ラツィオが勝ったっていうじゃないか。うわあ、「ラツィオ」って打つの久しぶりだなぁ。ラツィオ。ラツィオ。ラツィオ。ほんと、打ちにくいクラブ名だよな。でも、なに、スカパー!で見られないわけ? なんで? どうして? すずき君、ちゃんとわかるように説明してください。しかしまあ、しょうがないか。そういう世の中なんだろう。剣道の世界選手権で日本が米国に負けるような時代なんだから、日本でローマダービーの中継がなくても不思議ではない。ぜんぜん関係ないけどな。悔しいじゃないか。よりによって剣道で米国に負けちゃダメじゃないか。それも真珠湾攻撃の季節に。

 でも、ローマダービーは最高だ。だって3-0だぜ3-0。そんなローマダービーが現在の科学で可能だったなんて知らなかったよ。少なくとも、ニュートン力学やダーウィニズムでは説明できない結果だと思う。ゴールシーンはYouTubeで見た。いい時代なのか悪い時代なのかよくわからないが、コレコレコレ(三つとも消え失せてしまったので、こちらのハイライトをどうぞ)。すんげえよレデスマ。左足のロングシュートがズドーンだ。10月のブラインドサッカー日本選手権決勝におけるアブディン君(たまハッサーズ所属のスーダン人)の先制ゴールがあんな感じだったが、そんなことはともかくとして、誰だかぜんぜん知らないけどレデスマえらい。おれ、レデスマのことは一生忘れない。レデスマ。レデスマ。うん、覚えた覚えた。なるほどそうか、いま調べてみたら、おまえってばアルゼンチン人なのか。さすがだよな、アルゼンチン。だからアルゼンチンは好きだよ。オッドもPK決めやがった。今回ばかりは抱きしめてやりたいよ。パンデフの倒れ方もすばらしく技巧的だったよ。3点目のムタレッリって誰だっけ。知ってるような気もするし知らないような気もするが、クロスバーからの跳ね返りによくぞ詰めていた。んで、セリエAの順位表を見てみたら、ラツィオ5位じゃん! チャンピオンズ狙えるんじゃん! 勝ち点のペナルティがずいぶん軽減されたのは知っていたが、こんなに頑張ってるとはなぁ。試合、見たいなぁ。

 





1. On a Saturday Night
2. It's All Too Much
3. Anyway
4. She Makes Me (Feel Alright)
5. You're on Your Own
6. Look into the Future
7. Midnight Dreamer
8. I'm Gonna Leave You


平成十八年十二月十一日(月)午後十二時二十分
BGM : Look Into The Future / Journey

 帰国から一週間が過ぎたが、いまだ微妙に時差ボケ。夕方四時ぐらいからネムネムな感じになってアクビ連発、夜十時には目が開けていられなくなり、気絶するように眠りこけて朝七時にはパッチリと目が覚めるのである。……あれ? これって普通に人間らしいサイクルだっけ? うーむ。アルゼンチンへの出発直前まで昼も夜もなく働いていたし(団塊本を脱稿したのは出発当日の朝四時だ)、アルゼンチンを出国する日も徹夜で原稿を書いていたので、なんだかよくわからないことになっている。帰国後も、旅の余韻に浸る暇もなく『わしズム』の対談原稿二本をガシガシまとめて、土曜日にようやく片づいた。時差ボケとかそういうことではなく、異様に脳が疲労してるってことかもしれない。八月以降、バカみたいに働いたもんな。四ヶ月で単行本四冊書いてるあいだに、『わしズム』が二号あったし、『日本の論点』やら月プレやらもわさわさあったし、出張も六回ぐらいした。これからも、クリスマスに京都へ出張するまで年内にやること山積み。ブラインドサッカーの取材を始めて以来、自分でも驚くぐらいアグレッシブな働き方になっている。厄年が終わるというのは、こういうことなのかもしれない。

 ブエノスアイレスではひたすらホテルと競技場を往復する毎日で、観光らしい観光もせず、夜遊びのようなこともしなかったので(タンゴを鑑賞できなかったのは痛恨)、街の雰囲気をじっくり味わうことができなかった。それでもあえて上っ面の印象をいうなら、「荒っぽくて汚いけど勢いのある街」といったところだろうか。欧米の大都市から帰ってきた日本人はしばしば「向こうの歩行者は信号を守らない」という話をするものだが、私の狭い知見の範囲では、ブエノスアイレスの歩行者が赤信号を無視する度合いは世界一だ。あそこまでリスクを冒して道を渡る人たちは、ニューヨークでもパリでもローマでもロンドンでも見たことがない。あまりブレーキを踏もうとしないクルマの前をギリギリのタイミングで身を翻しながら渡っていく様子は、DFラインの狭いギャップをすり抜けていくメッシのドリブルによく似ていた。これからブエノスアイレスに行く人は、現地の人につられて渡らないよう気をつけたほうがいいと思う。半歩でもスタートが遅ければ、そこには死が待ってます。

 とにかく、そんなに急ぐ用事がある人たちだとは思えないのに、みんな前へ前へと行こうとするのがブエノスアイレスである。ふだん、どいつもこいつもノロクサと歩いている東京の街に苛立っているせっかちな私には、とても歩きやすい街だった。そんな街だから、タクシーの運転の荒さも天下一品だ。以前、ナポリでタクシーに乗ったときに「これはレースなのか?」と驚き、それが私の中では危険度ナンバーワンだったのだが、ブエノスアイレスのそれはナポリをはるかに凌駕している。急加速と急ブレーキの連続。ちょっとでも隙間があれば抜こうとするのは、歩行者も運転手も同じである。「いや、そこは無理でしょう」と日本語で何度呟いたかわからない。競技場へ行くのに、ほぼ毎日リベルタドール大通りという六車線のやたら広い道路を通っていたのだが、それを無理やり八車線ぐらいに使ってビュンビュン走ってる感じだった。一度、通常は30分弱かかる道のりをわずか18分で走りきったクラウディオ・ロペス似の運ちゃんがいて、そのときは本気で「ヘルメットがほしい」と思いました。横Gかかりまくり。生きた心地しないっつうの。

 物価はとても安い。タクシーの初乗りはおよそ100円、地下鉄は何駅乗っても一律およそ30円。食事も、ワイン一本飲んで牛肉たらふく食っても800円から1000円ぐらいで済んでしまう。そんなに安いとは思わず、到着した日に450ドルもペソに両替したのだが、これがぜんぜん減らない。しかも帰国時、うっかりドルに再両替するのを忘れてしまい、アルゼンチンペソなんか日本に持ち帰ってもただのゴミにしかならないので(アルゼンチンで持っていてもゴミみたいなボロい紙幣なのだが)、空港の免税店で無理やり使い切った。これからアルゼンチンに行く人は、一万円ぐらいずつ小出しに両替したほうがいいと思う。って、行かないよな。アルゼンチン。遠いもんな。でも、居心地は決して悪くない国。また行きたいかと訊かれると、微妙としか言いようがないけれど。

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