| #05 | TOP | BACKNUMBER | FUKAGAWA | B.I.P. | 旧GUEST BOOK | #07 |






1. What Are You Doing the Rest of Your Life ?
2. I'm All Smiles
3. Why Did I Choose You ?
4. Soiree
5. Dolphin-Before
6. Dolphin-After
7. Lullaby for Helene
8. Like Someone in Love
9. Children's Play Song
10. What Are You Doing the Rest of Your Life ?
11. Why Did I Choose You ?
12. Soiree
13. Lullaby for Helene

平成十九年三月三十一日(土)午後一時四十分
BGM : From Left To Right / Bill Evans

 仕事場のベランダに、独身時代の洗濯機を不使用のまま放置していた私が悪いのである。たぶん風雨を避けるのに都合がよかったのだろう、その陰にうずくまってクルクルと鳴いているハトがいたので、さんざん脅したり台所洗剤をかけたり棒で突いたりなど虐待の限りを尽くしてようやく追い払ったのだが、そいつが飛び去った跡を見ると、木の小枝やら何やらが敷かれており、その上に真っ白い卵がふたつ。うが〜、また産みやがった〜。道理でなかなか逃げなかったわけだよな。母は強いのである。って、感心してる場合じゃないんだぜベイビー。前に産まれたときは知らないあいだに割れていたからよかったが、どうすんだよこれ〜。ほっといたら、これ、ハトになるわけだよな? でも根がやさしいボクには、これを生ゴミとして捨てるなんてできません。ハトは迷惑ですが、生まれてくる子供に罪はないのです。卵の段階で処分するのと、生まれてから虐待するのと、どちらがより罪深いのでしょうか。うー。なんだかやたらヘヴィな社会問題みたいになってしまったじゃないか。イヤだ。関わりたくない。自然の摂理に則った展開の中でベストなのはカラスさんとかが来て食物連鎖に持ち込んでくれることであるが、その後もカラスに「餌場」だと思われたら困るよな。さてどうしたものか。

 一昨日の日誌でヘボ雀士扱いしたビル・エヴァンスの名誉のために言っておくが、この「ご本人登場ジャケット」はとても格好いい。これをデスクの脇に立てかけておくと、仕事のモチベーションが上がる。仕事をしている男の横顔は、かくのごとき色気を漂わせていたいものである。ただし、うっかりビル・エヴァンスの真似をすると、買い換えたばかりのキーボードがまた灰だらけになるから気をつけたほうがいい。







1. The Long Way Around
2. Easy Silence
3. Not Ready To Make Nice
4. Everybody Knows
5. Bitter End
6. Lullaby
7. Lubbock Or Leave It
8. Silent House
9. Favorite Year
10. Voice Inside My Head
11. I Like It
12. Baby Hold On
13. So Hard
14. I Hope

平成十九年三月三十日(金)午前十一時五十分
BGM : Taking The Long Way / Dixie Chicks

 まったく、日本サッカー協会周辺からまき散らされる言葉というのは、どうしていつも人を脱力させるのかという話だ。川淵キャプテン、なでしこジャパン、サムライ・ブルーに続いて、こんどは「夢先生」だよ。よくもまあ、こんなに軽はずみで程度の低い言葉を思いつくものである。思いつくだけじゃなくて、きっと会議室に居並ぶお偉方の前でパワーポイントか何か駆使しながらそれを真顔でプレゼンテーションした奴がいるんだろうと思うと、こっちが恥ずかしくて穴がなかったら自分で掘ってでも入りたい心境になるのだった。日本サッカー協会は、間違いなく、日本語をダメにしている元凶のひとつである。

 どうやら「夢先生」というのは、いじめられた子供のトラウマ解消のために派遣されるフロイト先生みたいな夢判断の専門家のことではなく、「夢を持つことの大切さ」を教える先生のことであるらしい。その「こころのプロジェクト」とやらを誰がどういう理由で日本サッカー協会という(所属する選手たちの生活指導さえまともにやれているとは思えない)組織に依頼したのか、あるいは誰も頼んでないのに「善意」という名の商売っ気で勝手にやってるのかは知らないが、その「夢先生」はサッカーの元日本代表選手や現役Jリーガーなんだそうだ。あのね。困るんだよ、そんな人たちに子供の前で「夢を持てば僕たちみたいになれるよ」とか胸張って言われても。先生たちの実現した「夢」がどれほどのもんだっていうんだよ。ワールドカップで勝ち点1が「夢」なのかよ。むしろ悪夢だろそれ。

 しかも、そいつらの出世頭が、とっととサッカーを放り出してフラフラと自分探しに励んでるんじゃねえか。そんなもん探してないで僕と踊りませんかっちゅう話だ。夢の中っていうのは、現実からの逃避先なんだよ。そんなところで「自分」なんて面倒臭いものと向き合わせてどうするんだよ。そういう「夢至上主義」がどれだけ子供の自意識を無駄に肥大化させてるかってことも少しは考えたほうがいいと思うよ。どいつもこいつも「旅」に出たまま帰ってこなくなっちゃったら、どうしてくれるんだよ。

 だいたいさ、その夢先生たちはさ、小学校で習う計算とか漢字とかできるわけ? 3ケタの掛け算とか「飛」の書き順とか(さらに言えば「夢」っていう字とか!)ちょっと怪しい奴もいるだろ? だけどさ、義務教育っていうのはさ、「ボクはサッカーで生きていくから勉強なんか必要ないよ」とか言ってるガキ共を「夢みたいなことばっかり言ってんじゃありません!」って叱りつけて、非凡で輝かしい「夢」なんか持てない子でも平凡で幸福な人生を送れるように導いてあげる場所だと思うわけです私は。「夢」のことは学校の外でやればよろしい。そうでなくても授業時間が昔より少ないんだから、学校で「夢」なんか見てる暇はないのである。そもそも、誰があいつらに「教育者」の資質があるって認めたんだよ。サッカー選手ならサッカー選手らしく、サッカーを教えに来てください。お願いしますから。

 久しぶりに日誌が盛り上がったような気がする。段落ガニも復活。

 仕事用の椅子が故障している(高さが調節できない)ことを数日前に書いたが、もう部品とかないだろうなと思いながらも試しにスチールケースの販売代理店に電話してみたら修理を委託している工務店を紹介され、そちらに連絡したら出張修理をしてくれた。まだ請求書が届かないが、修理代はおそらく1万5000円程度。もっと早く電話してみればよかった。昔の日誌を見たら、故障が発生したのは2000年の9月である。ほんとうにボヤボヤした男だよまったく。とりあえず直ったので、アーロンチェアだのプリーズだのに買い換えるのはやめることにした。フリーになったときに「商売道具だから」と思い切って大枚をはたいて購入し、それ以来17年間も苦楽を共にしてきた(たぶんベッドよりも密着して過ごす時間が長い)椅子だもんな。ほとんど体の一部みたいなものである。大事にしないといけません。

 聴いているのは、小林よしのり先生もお気に入りの一枚(詳しくは最新刊のSAPIO誌参照のこと)。ちょっと前まではこんな感じの小娘さんたちだったのに、あっという間にニキータになっていたので驚いた。まあ、私がその存在を知ったのが「ちょっと前」なだけで、実際はそれから10年ぐらい経っているわけですが。ともあれ、妙にクセになるアルバムである。デビュー当時のカントリー臭を抜いた代わりに、マクドナルドのポテトみたいな魔法の味つけが施されているような気がしなくもないが、それが何かはわからない。







1. Gloria's Step [Take 2]
2. My Man's Gone Now
3. Solar
4. Alice in Wonderland [Take 2]
5. All of You [Take 2]
6. Jade Visions [Take 2]
7. Gloria's Step [Take 3]
8. Alice in Wonderland [Take 1]
9. All of You [Take 1]
10. All of You [Take 3]
11. Jade Visions [Take 1]





Waltz For Debby

平成十九年三月二十九日(木)午後十二時五十分
BGM : Sunday at the Village Vanguard / Bill Evans Trio

▽ジャズのジャケットは「ご本人登場」で損をしていることが多くはないだろうか、と思うのである。この名盤も、そのせいで最近まで買う気になれなかった。だって、まるで「自分が少牌してることに気づいて茫然としている徹夜明けのサラリーマン雀士」みたいじゃないか。むろん、ヴィレッジ・ヴァンガードは雀荘ではないので、正解は「このライブの直後にスコット・ラファロが死んじゃったので茫然としているビル・エヴァンス」なわけだが、それにしたって、もうちょっと、なんか、やりようがあったんじゃないでしょうか。同日の演奏を収めた「Waltz For Debby」のジャケットと差がありすぎる。▽きのうの日誌に書いた自分勝手な著者が、きょうの口述をドタキャン。火曜日に決めた木曜日の予定を水曜日にキャンセルするんだからすごいよ。すごすぎて顎が外れそうである。一体どこまで人を振り回せば気が済むというのか。表向きはオフィシャルな急用が入ったようなことを言っていたらしいが、どうせウソだよな。たぶん、もう逃げ切れないと観念して「やります」と言ったものの、いざ口述の準備を始めてみたらやっぱり間に合いそうもないのでまた逃げた、といったようなところだろう。▽しかしまあ、もって他山の石とすべしという話ではある。できない約束をしてはいけない。そう心掛けているつもりではあるが、原稿の仕上がり予定を訊かれたとき、ちょっと早めに答えてしまうことはある。というか、たいがい口にした予定より半日から1日遅れる。決してウソをついているわけではなく、キツめの努力目標を掲げることで自分を追い込んでいるのであって、そのへんは相手も阿吽の呼吸でわかっているだろうと勝手に思ってはいるのだが、でもゴメンナサイ。▽結局、最後は私が謝っている。▽神田川沿いの桜は、もうじき満開です。







1. B Minor Waltz (For Ellaine)
2. You Must Believe in Spring
3. Gary's Theme
4. We Will Meet Again (For Harry)
5. Peacocks
6. Sometime Ago
7. Theme from M*A*S*H (Suicide Is Painless)
8. Without a Song
9. Freddie Freeloader
10. All of You

平成十九年三月二十八日(水)午前十一時五分
BGM : You Must Believe In Spring / Bill Evans

▽きのうは一分咲きぐらいの感じだった神田川沿いの桜が、今朝は三分咲き程度になっていた。桜がもっともセクシーな時期である。▽日曜の晩に取材した記事を昨夜8時半に書き上げた。春休み中のセガレが一泊二日で祖父母の家に行っているのをいいことに、広告の撮影で出かけていた愚妻と10時に吉祥寺で合流し、John Henry's Studyで晩飯。高校時代に先輩に連れて行かれてから四半世紀になるが、すこしも変わらぬ佇まい。この店が残っているかぎり、吉祥寺という街を好きでいられるような気がする。ゴルゴンゾーラ・ピザが美味。愚妻にとっては、主婦であることをちょっとだけ忘れるひととき。▽「わしズム」春号の業務をすべてフィニッシュし、これで祥伝社の仕事一本に集中できる……と思っていた矢先にPHPのHさんから電話が来るのだから油断も隙もない。ずいぶん前に約8割まで私が原稿を仕上げ、しかし残りの2割が著者の怠慢でストップしてしまい、私としてはとっくにお蔵入りだと思っていた企画をリスタートするというのだった。木曜日に3時間の口述をするとのこと。私が原稿を途中まで仕上げたのは、2004年の暮れのことである。2年以上も放置しておきながら、なんでまたよりによってこのクソ忙しいときに再開しやがるんだかなぁ。まあ、原稿アップがいつになろうと文句は言わせないけどな、この場合。▽それにしても、こういう(ライターを使って本を作りながらそのライターの生活のことなんか微塵も考えようとしない)自分勝手な著者がいるから、書籍原稿の締め切りを守ろうと努力することがときどきバカバカしくなるのだった。しかしまあ、本は著者の物である。いつ世に出すかは著者の問題であって、私の知ったことではない。私は私のやるべき仕事をこなすのみ。そう自らに言い聞かせながら、歯を食いしばっている。







1. Agua De Beber
2. I Can’t Give You Anything But Love
3. Guilty
4. My Baby Just Cares For Me
5. Back Home To Me
6. The Man I Love
7. Lonely In New York
8. I Feel Pretty
9. La Vie En Rose
10. My Heart Belongs To Daddy
11. Ochi Cherney (Dark Eyes)
12. This Time Of The Year

平成十九年三月二十六日(月)午後十二時三十分
BGM : Sophie MIlman / Sophie MIlman

▽金曜の朝9時半に「わしズム」の対談原稿を片づけ、帰宅して昼寝。徹夜をすれば昼間に眠れないのはどういうわけだ。夕刻に起床。愚妻に珍しく広告デザインの仕事が入っており、打ち合わせて夜まで出かけているので、代わりにセガレをピアノのレッスンに連れて行く。セガレはいま、バッハのメヌエットやエンターテイナー(映画「スティング」の例のアレ)などを練習中。驚くべき上達ぶり。自分の息子がバッハを弾く姿を眺めるなどというシーンが我が人生にあろうとは想像していなかった。意外に適性があったようで、本人も今後はドラムや合唱部をやめてピアノとサッカーに集中することにしたようだ。ともあれ、この調子なら「なにげにピアノの弾ける男」になれるのはほぼ間違いない。羨ましいことだ。それだけで、人生、勝ったも同然じゃないか。▽1週間で4度の徹夜はさすがに堪え、体があちこちガタピシしている。とくに首が痛い。また寝違えたような状態で、右を向けない。なので土曜日は休養。たぶん3月に入って最初の休日である。久しぶりに家族と吉祥寺へ行き、シャツや腕時計やサッカーボールやおでんダネやファックスのインクリボンや電気掃除機などを買い込む。買い物は気持ちがいい。いまどき「電気掃除機」って言わないとは思うが。▽日曜日は祥伝社の書籍の資料読み。去年の暮れに京都で取材したもの。それを脇に置いているあいだにいろんな仕事をしていたので、懐かしささえ感じる。夜は8時から、よしりん企画で「わしズム」の取材。これを書けば今号の「わしズム」はおしまいだ。しかし締め切りは明日の夜だというのだから溜め息が出る。そして首がまだ痛い。







1. Re: Person I Knew
2. Polka Dots and Moonbeams
3. I Fall in Love Too Easily
4. Stairway to the Stars
5. If You Could See Me Now
6. It Might as Well Be Spring
7. In Love in Vain
8. Very Early

平成十九年三月二十三日(金)午前三時十分
BGM : Moon Beams / The Bill Evans Trio

▽きのう(21日)は終日「わしズム」のコラムに没頭。深夜に書き上げたが、コラムはラブレターと似たところがあるので、朝、恥ずかしいことが書かれていないかどうかチェックしてから送稿。それでも恥ずかしいことが書かれていたらそれが実力としか言いようがない。ややあって、担当N嬢(産休中)の代打S君からOKの電話。遅くなったことを詫びると、「いえ、安心しました」と言われた。原稿を送って「安心しました」と言われたのは初めてだ。ほんとに不安だったんだろうな。正直な青年である。▽月刊PLAYBOY5月号が届く。「銀座クラブの礼儀作法」という特集のうち、藤田宜永さんと石田衣良さんの対談記事、ベルベとグレとエルとザボンのママ(もしくはチーママ)のインタビュー記事、寿司屋に関する山本益博さんのインタビュー記事を担当した。よく働いたもんだよまったく。対談記事の写真を見るとわかるが、藤田さんの煙草はハイライトである。なんだか嬉しかった。取材後に飲んでいるとき藤田さんのハイライトが切れたので、私のを何本か差し上げていたら最終的には箱ごと持って帰られてしまったのも嬉しい。▽本日は「わしズム」の対談記事にかかりきり。雑誌の対談記事って、10年前よりも増えてないだろうか。それはいいのだが、いつ終わるか見当もつきません。もう3時かよ。このところ毎日、誰かに「遅くなってすみません」と言ってるような気がする。







1. インヴィテイション
2. ブルー・サージ
3. ショウ・タイプ・チューン
4. ザ・ネイチャー・オブ・シングス
5. アー・ユー・オール・ザ・シングス
6. ア・フェイス・ウィズアウト・ア・ネイム
7. フォーリング・グレイス
8. ハイ・リリ、ハイ・ロウ(フォー・エレイン)
9. 風と共に去りぬ
10. ブラジルの哀愁

平成十九年三月二十一日(水)午前十一時二十五分
BGM : Intuition / Bill Evans

▽一昨日まで、ひどい生活をしていた。憲法25条に抵触するのではないかと思ったぐらいだ。▽健康で文化的な最低限度の睡眠時間って何時間?▽木曜から月曜まで3回しか寝なかった。国内にいながら3泊5日だ。しかもそのうち2回はきわめて浅い昼寝。▽人はなぜ徹夜をすると自慢したくなるのだろうか。誰も褒めてくれないことはわかっているのに。▽インスタントコーヒーは猛烈な勢いで減り、リポビタンDの空き瓶と灰皿の吸い殻は猛烈な勢いで増え、カップめんと冷凍食品の包みを開けるのが妙に上手くなり、そして体重が3キロ増えた。▽健康で文化的な最高限度の体重についても考えなければいけない。▽連続徹夜中はいくら起きていても眠くならず、睡眠中枢が壊れたのではないかと思って怖かった。▽睡眠中枢というものがあるのかどうかは知らない。▽あまりにハイテンションのまま原稿を書き続けていられるので、事によると人間とは別の生命体になってしまったのではないかと思ったぐらいだ。デビルマンとかキカイダーとかそういうやつ。▽書くキカイダー。▽柳沢サンも「産むキカイダー」って言えば笑って許してもらえたのにな。▽ちなみにアニマル浜口はキアイダー。▽大量の原稿をガシガシ書いていたらMacのキーボードのガタつきがひどくなったので買い換えた。そういえば、ずいぶん長く使っていたのだ。煙草の灰やら手垢やらにまみれて、他人だったら触りたくないぐらい汚れてもいた。新品のキーボードはとても快適。筆記用具はマメに交換すべし。▽あとは椅子だな。レバーが壊れていて高さを調節できないので、長く座っていると膝が痛くなってダメだ。スチールケース社のセンサーという椅子なのだが、修理はできるのだろうか。しかしセンサーは80年代の椅子なので、ほんとうは最新の人間工学に基づいたものに買い換えたい。▽第一候補は無論ハーマンミラーのアーロンチェア。でもデザインがしっくりこないというか、使用している知り合いもいるのでこんなことを言うのもアレですが、なんつうかこう、ターミネーターとかエイリアンとか、ハリウッドのSFキャラっぽくないスか。▽ほんとうに「書く機械」になってしまいそうな気もする。▽なので、どっちかというとスチールケースのプリーズのほうが好み。でもアーロンチェアは物書き業界でものすごく評判がいい。迷う。▽などと買い物ごっこをして遊んでいる暇はないのであって、幻冬舎の単行本は一応フィニッシュまで持ち込み、「わしズム」の仕事も半分は終わったものの、対談はあと2本あるのだし、幻冬舎が片づくやいなや祥伝社のSさんから「そろそろ取りかかってるとは思いますが」という脅迫メールも届いた。▽そして、「わしズム」のコラムを書いていなかったことを思い出した春分の日である。







1. マイ・アイデアル
2. ガラスの部屋
3. ブルー・プレリュード
4. ハイ・タイムズ
5. タンゴナート
6. ミッシング・ユー
7. スイート&ラブリー
8. アナスターシャ
9. リズム・オブ・チェンジ
10. グッドバイ
11. セレニティ

平成十九年三月十五日(水)午後十一時五十分
BGM : Blue Prelude / Karel Boehlee Trio

▽ジャケ買いジャズ美脚部門の最終兵器と噂される1枚である。▽美脚部門って、例のアレとコレしか知らないけど。▽早まって「カレルちゃん萌え〜」とか口走ってはいけない。カレル・ボエリーは男のピアニストである。しかもオランダ人。▽「しかも」ってことはないか。▽したがって、この娘さんは単なるモデル。▽目の保養になることは否定しないが、こういうのはデザイナーの仕事としてどうかと思う。だってCDの中身となーんも関係がないのだ。相乗効果がないどころか、むしろ音楽を損ねている。こういう毒にも薬にもならない哀愁を帯びた甘美なジャズ(それが悪いとは言ってない。毒と薬しかないセカイで私は暮らしたくない)に、ニキータは似合わない。ちょい不良ジャズならお似合いかもしれんが。▽ちょい不良ジャズって何だろうか。チェット・ベイカーとか?▽ともかく、ここまで中身と関係ないパッケージが許されるなら、『キャプテン翼勝利学』の表紙に早苗ちゃん(翼クンの奥さん)の入浴シーンを使っても許されるだろう。いや、そのほうがまだ関連性があるというものである。▽そうか。その手があったか。▽そんなの高橋陽一先生に頼めるわけないけどな。▽ともあれ、こういうのは「ジャケット」ではなく「景品」という。▽こんなものを買う奴は、プロ野球スナックのカードだけ集めてスナックを捨てていたガキ共と同じだ。▽そんな下劣な男が自分の身近に一人でもいたら、私には耐えられない。▽耐えられない。▽それにしてもくたびれたのだ。きょうは幻冬舎業務をちと脇に置いて、わしズムに浮気。書いても書いても終わらない。一体なんでおれはこんな商売を選んだんだ?▽などと晩飯を食いながら愚痴ってしまい、いかんいかん息子の前で父親が弱音を吐いちゃダメじゃないかと思っていたら、セガレに「でも、物書きになれてよかったじゃない。子供の頃からなりたかったんでしょ?」とたしなめられた。▽うー。おまえはおれの何なんだ。▽さらに「なれなかったら、今頃バイトしてたかもしれないんだし」とも言われた。▽はあ?▽子供って、どこで世間を学んでくるかわかったもんじゃない。テレビで正社員とフリーターの格差問題でも聞きかじったんだろうか。▽そんな世情を小学生でも正しく把握してしまうような世情ということ。







1. ストレート・ノー・チェイサー
2. ラヴァー・マン
3. ホワッツ・ニュー
4. 枯葉
5. タイム・アウト・フォー・クリス
6. スパルタカス 愛のテーマ
7. ソー・ホワット

平成十九年三月十四日(水)午前九時三十分
BGM : What's New / Bill Evans with Jeremy Steig

▽ゆうべは駿河台の山の上ホテルでフレンチを食いながら対談取材。▽取材中に食っためしって、ほんとうに記憶に残らない。▽寝不足状態でワインを飲んだため、途中で目を開けたまま気を失っていた。▽いけないことです。▽あ、きょうはホワイトデーってやつじゃないか。忘れてた。▽誰が決めたのか知らないけれど、なんで「ホワイト」なんだろう。▽まあ、「ブラック」ではないだろうが。▽白い一日といえば井上陽水である。また音(きのうよりもさらに貧相なサウンド)が出るので気をつけろ。▽ちなみに作詞は小椋佳。▽「白」は「一」と「日」の合体漢字だということに、いま気づいた。▽フジテレビの「IQサプリ」という番組にそういうコーナーがあるんです。▽「白」と「一」だと「百」。▽「日」と「一」と「一」と「白」だと「自白」。▽おお。その4つで「自由」も作れるじゃないか。▽ここから出て自由になりたかったら、とっとと自白しやがれ! ▽白い一日。▽ビル・エヴァンスがフルートのジェレミー・スタイグと共演した「ホワッツ・ニュー」は、高校時代にLPでさんざん聴いていた作品。▽コレといいイアン・アンダーソン(ジェスロ・タル)といい、じつはおれってツバ飛ばし系フルートが好きなのか? ▽そういえば、最初に出会ったビル・エヴァンスがこれだったような気がする。▽あまりまっとうな順番だとは思えない。▽情報が少なく、ジャズを聴く友達もいなかった(ジャズを聴かない友達がいたかどうかも怪しい)のに、どうやってこの作品の存在を知り、なけなしの小遣いをはたいて買おうと思ったんだろう。まるで思い出せない。▽ひょっとしてジャケ買いだったのかな。どこか苦しげにも見えるビル・エヴァンスの横顔を、飽きもせずに眺めていたような気がする。▽高校生にジャケ買いする余裕なんかあるわけないよな。▽まあいいや。思い出に浸ってないで仕事しなきゃ。▽さらば青春。▽これも音出ます。▽こっちは黒い水と犬。謎めいた歌だよまったく。







1. Candy
2. Since I Fell for You
3. C.T.A.
4. All the Way
5. Who Do You Love, I Hope ?
6. Personality
7. All at Once You Love Her

平成十九年三月十三日(火)午前十一時五十五分
BGM : Candy / Lee Morgan

▽ハトを何とかしてくれ。▽以前、ベランダにCD−Rを吊したことは書いたが、あんなもの屁の役にも立たない。▽ためしに台所洗剤をまいてみたこともあるが、まるで効果ナッシング。▽どんどん図々しくなって、もはやバタン!と音を立ててサッシを開けたり閉めたりしても馬耳東風である。▽いつの間にか割れていたが、卵を産まれたこともあった。▽それはつまり、交尾もしたということなのか。▽ちくしょう。▽まあ、畜生だわな。▽ベランダだけではない。窓の下に建物の出っ張りがあるのだが(なんで出っ張ってるんだろう)、そこにもよく2〜3羽で集まって、夜中の2時だろうが3時だろうが、くるっくぅくるっくぅと鳴きやがる。▽銃があったら、どれだけ撃ち殺しているかわからない。▽血まみれの小さな鳩が私の窓辺で……という反戦フォークがあったっけ。▽五つの赤い風船。厨房の頃、好きだった。▽歌詞はこんな感じ。うっかりアクセスすると音(それもかなりくだらないサウンド)も出るので注意してね。▽真の平和はいいとして、なんで鳩なのよ。▽サヨってホントにろくなこと言わないよな。▽鳥という生き物に対するイメージはヒッチコックさんのほうが圧倒的に正しい。▽なにしろ先祖は恐竜だからな、あいつら。▽都知事選では、具体的かつ実効性のあるハト撲滅策を打ち出した候補に投票する。▽せめて、五輪誘致に成功した暁には開会式でハトを使わないことを公約してほしい。







1. Cool Struttin'
2. Blue Minor
3. Sippin' At Bells
4. Deep Night
5. Royal Flush
6. Lover

平成十九年三月十二日(月)午後七時三十五分
BGM : Cool Struttin' / Sonny Clark

▽やっと原稿が四百字詰換算100枚を突破。首を長くして待っているはずのシギー&コギー嬢に送る。今回は海千の彼と山千の彼女のダブル担当なのだ。▽あ、「海千山千」って、あんまり褒め言葉じゃないよな。悪賢い人のことだもんな。失礼しました。▽「海千シギー山千コギー」って、ちょっと漫才コンビみたいだし。▽送稿したついでに「どうしても250枚ないとダメでしょうか」と泣きを入れてみたところ、折り返しコギー嬢から電話。図版がたくさん入るし組みもユルくするので200枚ぐらいあれば足りるとの有り難いお言葉。▽女神様の許しを得たような気分である。▽頭のまわりを天使が飛び回っているのも見えた。▽寝不足って怖い。▽きのうから、どうしたわけか久しぶりに気が向いて、ジャズばかり聴いている。▽某男性誌が次号でジャズ特集を組むという話を聞いていたからかもしれない。▽いま、ほんとうはアート・ファーマーの「モダン・アート」を聴いているのだが、演奏はすばらしいものの、あんまり掲載したい感じのジャケットじゃないので、こっちの有名なやつにしてみた。▽このジャケットはみんな脚ばかり見るが、タイトルのデザインがとてもカッコイイと思う。▽あと、道の向こう側を歩いている男性は、この手の女の人が好きで、画面にちょっと出るのも好きなことで有名なアルフレッド・ヒッチコックではないかと私は以前から睨んでいるのだが、そんなことはないだろうか。▽そんなことはない。▽アート・ファーマーは同じ年(1958年)の1月に「クール・ストラッティン」のレコーディングに参加し、9月にリーダー作の「モダン・アート」を吹き込んでいる。仕事に恵まれた、いい年だったんだろうな。▽私もセッション業務には恵まれているので、リーダー作のほうを何とかしたいものである。▽なんちゃって。







ディスク:1
1. 青い果実
2. 禁じられた遊び
3. ひと夏の経験
4. 冬の色
5. 夏ひらく青春
6. 横須賀ストーリー
7. パールカラーにゆれて
8. 夢先案内人
9. アイ・ケイム・フロム横須賀
10. 歌い継がれてゆく歌のように
11. イミテイション・ゴールド
12. 秋桜
13. 乙女座宮
14. プレイバック・パート2
15. 絶体絶命

平成十九年三月十日(土)午後十一時五十分
BGM : 百恵復活 / 山口百恵

▽絶体絶命。▽いまの私には心に沁みるような言葉である。▽座りっぱなしのせいで生じる膝の痛みと眠気と肩凝りと眼精疲労に耐えながら朝から原稿を書き、午後から初台のオペラシティ53階のラウンジで対談を取材したのち、帰宅してセガレと風呂に入って家族みんなでカレーライス(ものすごく美味しい)を食って仕事場に戻って再び原稿を書いていたら、かなり以前に編集部からもらっていた資料の中に、まだ目を通していなかったものがあることに突如として気づき、それを使っていればここまでの作業がもっと捗っていたはずなのにぃ〜、と、放心している土曜日の深夜11時半である。▽ちなみに「ぜったい」は「絶対」で、「ぜったいぜつめい」は「絶体絶命」です。▽まだ違いがわかってない困ったちゃんのために言っておくと、前者は「対」で後者は「体」なんだよ。▽まあ、おれもさっき知ったんだけどさ。悪かったなバカで。▽つまり「絶体絶命」は「絶対に死ぬ」といってるわけではないということですね。「絶体」かつ「絶命」しそうな状況、ということだろうか。▽よくわからない。▽「絶体」は「死に体」と似たニュアンスなのかも。▽よくわからないが、要するに追い詰められた状態ということ。▽どうでもいいが、こういうのを聴いていると、つい一緒に歌ってしまうので、ますます仕事にならない。▽ごめんね〜、去年の人とまた比べている〜♪ ▽そんな深夜11時半。▽そうか。どうもこのごろ昔の歌の歌詞ばかり見出しにしていると思ったら、どうやら私ってば、カラオケに行きたくて行きたくてしょうがないのかもしれない。▽だからって、誘わないようにね。▽放心。







1. I Should've Known
2. Fifty Years After the Fair
3. 4th of July
4. Could've Been Anyone
5. Put Me on Top
6. Stupid Thing
7. Say Anything
8. Jacob Marley's Chain
9. Mr. Harris
10. I Could Hurt You Now
11. I Know There's a Word
12. I've Had It
13. Way Back When

平成十九年三月九日(金)午後十二時五十分
BGM : Whatever / Aimee Mann

▽カタカナの「ス」をやろうとして、ちょっと失敗しているエイミー・マン。▽人は意外に「ス」で寝ていることが多いような気がする。▽「残り時間」が減っていくのを見るのは締め切りに追われるライターにとって精神衛生上たいへんよろしくないので、ヒデキ・ティッカーは撤去しました。▽きのうは午後2時から新宿ワシントンホテルで座談会取材。その最中、避難訓練のアナウンスが何度も大音量で流れた。お役所の指導なのか何か知らないが、部屋でボリュームを下げることもできないらしい。録音しているテープが聞き取りにくくなるので、こういうのは本当に頭に来る。あんなホテルは、二度と使いたくない。ということは、そこでの避難訓練も不要ということ。▽池田晶子さんが亡くなっていたことを、さっきまで知らなかった。▽世の中の動きにまったくついていけていない。▽ジャイロボールって何? 浄水器がないから何だっていうの?▽以前、トランスビューの中嶋さんから池田さんの著書「14歳からの哲学」を頂戴していたのに読んでいなかったので、手にとってみる。▽たまたま開いたページに、こんなことが書かれていた。▽<だから言葉は大事にしなければいけないんだ。語る言葉の一言一句が、君という人間の品格、君の価値なんだ。ネットでおしゃべりする時には、うんと気をつけてするがいい。くだらない言葉を書きちらすほどに、君はくだらない人間になる。君の人生は価値のないものになる。それは、せっかく持っている宝石の数々を、それと知らずにドブに流しているようなものなんだ。>▽日誌を書くのはやめて、真面目に原稿を書くことにする。







1. Lose My Head
2. Can't Behave
3. Permanent
4. Mental
5. Time For Goodbye
6. Somersault
7. Traveling Light
8. Hanalei Road
9. Can You Sleep
10. Love Song (For Everyone)
11. This Is The Day
12. Love Me

平成十九年三月八日(木)午前十時三十五分
BGM : Traveling Light/Courtney Jaye

▽大好評べっぴんさんシリーズ。▽きのう始まって、きょうで最終回だけど。▽もしかして、同性に嫌われるタイプ?▽キャンディーズ風味のポップナンバーも聴ける好盤ではある。▽っていうか、前にもこのジャケット掲載したことあったっけ?▽だとしたら、ものすごく好きみたいで恥ずかしいぞ。▽目が疲れるのは手元が暗いせいもあるのではないかと思い、手元が暗いのはデスクライトが小さすぎるからなので、きのう、吉祥寺のロフトで大きいデスクライトを買った。手元はもちろん、部屋全体が明るくなってうれしい。まるでお花が咲いたよう。▽というのは大袈裟だが、ライトひとつでこんなに雰囲気って変わるものなんですね。▽あの手この手で懸命に自らのモチベーションを上げようとしている今日この頃。





1. 風のうわさ
2. ラファエル
3. みんな
4. 溺れるあなた
5. うらおもて
6. 部屋の中の空
7. 男たち
8. 注目の的
9. 悲しい歌
10. 極端な私
11. アムール
12. 最後の一分間

平成十九年三月七日(水)午前十時
BGM : ケルカン・マ・ディ〜風のうわさ/Carla Bruni

▽もう七日ですか。▽二月が三十一日まであれば、まだ四日なのにな。▽三十日までだとしても五日。閏年なら六日。▽いくら言っても日付は戻らない。▽明日からは「わしズム」の対談ラッシュも始まる。▽コラムのネタも決まらない。▽原稿は遅きこと亀のごとし。筆の重きこと象のごとし。▽やや絶望的な状況。▽「やや絶望的」って言葉遣いはおかしいか。▽絶望に程度の差なんかないもんな。▽絶望的な状況。▽言い直さなきゃよかった。▽できるだけのことをやってみよう、という高校球児のような心境。人間には、できることとできないことがある。できるだけのことしかできない。▽いや、ここはむしろ楽しむことにしましょう。仕事だと思うからいけない。これは冒険なのだ。限界への挑戦なのだ。▽うんうん、楽しい楽しい。楽しいような気がしてきた。▽さあ走り出せよヤングマン。▽愚妻があらためて医者へ。インフルエンザではないとのこと。咳がひどく、マイコプラズマの可能性がなきにしもあらずということだが、本当のところはよくわからない。とくに検査もしなかったようだ。▽マイコプラズマは家電製品の部品でもウルトラマンの必殺光線でもなく、肺炎の一種。▽それまでとは別の抗生物質を与えられて飲んだら、ようやく熱が三十六度台に下がったという。まだ辛そうではあるものの、とりあえずはひと安心である。▽抗生物質ってすばらしい。▽いっそ「抗生労働省」でもいいかもしれない。▽でも「抗労省」じゃまずいか。おまえらがニートになってどうするというのだ。▽聴いているのは、元スーパーモデルの吐息アンビエント。最強のお昼寝ミュージック。▽お昼寝しちゃだめなのに。



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