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にし・たかヲのサッカー日誌
1999-2000/vol.15



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『王者の復活 慶応ラグビー部を甦らせた「若者組織論」』(上田昭夫・講談社・本体1500円)……というタイトルの本を店頭で見かけたら、迷わず1冊手にとり、そそくさとレジへ持ってゆき、黙って言われたとおりの代金を払ってください。べつに2冊でもいいです。それがどうしてもイヤだというのなら、平積みの棚から本書を1冊抜き出して、隣の本の上に置いてから立ち去りましょう。こうすると、平積みが2列もあるように見えて目立つからです。あと、この際ですから(どの際だかわかりませんが)各自の出身校は度外視して、関東大学対抗戦および大学選手権で慶応大学蹴球部が優勝することを念じてください。ちゃんと「復活」してくれないと売れないからです。ひとつ、よろしく。人助けだと思って。もちろん、『日本の警察』(佐々淳行・PHP新書・本体657円)のほうも引き続きよろしく。
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10月29日(金)17:40 p.m.
 今朝5時まで奥田英朗『最悪』を読み耽ってしまい、猛烈に眠い。昼前から、久しぶりにセガレと2人で近所の公園へ。このごろセガレは、つまずいてよろめいても転ばないだけのボディ・バランスを身につけてきたようだ。でも、砂場で繰り広げられるおともだちとの玩具争奪戦を制するには、いまひとつガッツとマリーシアが足りない。取られたら取り返さんかい。

 日本シリーズは、拍子抜けするほどあっさり決着。サッカー観戦で忙しいし、両チームへの思い入れ(プラス・マイナスを問わず)も低いんで、福岡に戻ったあたりからじっくり見ればいいやと思っていたら、名古屋で終わってしまった。たいがいの胴上げシーンには無条件でグッときてしまう俺だが、昨夜のは何だか妙に淡泊。昔から、中日の出場する日本シリーズってどういうわけか印象がきわめて薄い。

 アーセナル×フィオレンティーナ(CL1次リーグB組・第5節)を見る。てっきりこのグループはバルサ&ガナーズで決まりなんだろうと思っていたのだが、このゲームに勝ったほうが2次進出と知ってびっくり。でも、片やチェルシーに逆転勝ちした後、片や格下のピアチェンツァに完敗した後だけに、ホームのアーセナルが問題なく勝つような気がしていた。ところがどっこい、バティストゥータの勝負強さときたら。あの威力、あの精度。「シュート」という言葉の意味を正しく体現したような一撃であった。さらに終盤には、カヌのシュートをトルドが驚異的な反射神経で弾き返す。セリエでは大破炎上中のフィオが0-1で勝ち、CLでの生き残りに成功したのであった。わからんもんだなぁ。セリエ3連敗の後、トラパットーニはどうやってあそこまで選手の集中力を高めたんだろう。辞意を表明して慰留されたらしいが、それも人心掌握の手段だったのかもしれんな。
トラップ「おれもヤキが回ったみてぇだ。悪いがガブリエル、あとは頼んだぜ」
バティ「おやっさん、そんな殺生なこと言わねぇで、いま少し辛抱してくだせぇ」
ディ・リービオ「バティ兄さんの言う通りだ。ここでおやっさんに辞められたんじゃ、あっしの立つ瀬がねぇじゃござんせんか。ゼブラ組を破門されたあっしを拾ってくれたおやっさんに、恩返しもできねぇなんて。……おうエンリコ、黙って消えてねぇで、てめぇも何とか言ったらどうでぇ」
キエーザ「へえ、すんません。おやっさん、いま一度、おいらの性根を叩き直してくださいまし」
トラップ「そうかい。男に二言はねぇが、おめぇらがそこまで言うならしょうがねぇ。もう一花咲かせてみせようじゃねぇか。その代わりエンリコ、おめぇさん、ウェンブリーではちゃあんと守備もするんだぜ」
キエーザ「します、します。何でもしますよぅ」
……みたいな会話があったに違いない。ないか。
 バルサ戦で後手を踏んだベンゲルだが、今度は早めにスーケルを投入しDFを一枚下げた直後に失点。ちぐはぐである。昨季に続いて1次リーグ敗退。あの選手層(および年齢層)では、やはり一歩足りないか。それにしてもアーセナル、ゴール前で手数をかけすぎなんじゃないだろうかね。カヌはチェルシー戦で運を使い果たしてしまったような気もする。呪われたようなツキのなさだった。それとも魔法が解けたのか。

 バリ×ユベントス(セリエA第7節)は、石川アナと加藤久さんのトーンの低い暗〜い会話にウンザリして、ペソットの先制ゴールが決まるところまで見てやめてしまった。1-1という結果も知ってたし。バリのゲーム、八塚&金田コンビだとバラエティ番組のような躁状態になるのに、石川&加藤コンビだと追悼番組のような湿っぽさである。何とかしてくれ。

10月28日(木)13:10 p.m.
 名波のイタリア公式戦初ゴールは、感動のサヨナラFK!……というわけで、昨夜はディレクTVで生中継していたベネチア×ペスカラ(コッパ・イタリア2回戦第2戦)を観戦。ペルージャ戦も同時に中継しており、スカパーに持って行かれた中田・名波を何とか売り物にしようとディレクも必死である。ともあれ、ペスカラ・ホームの第1戦を0-0で引き分けた後の第2戦。どちらもやや腰の引けた戦いぶりで、点が入りそうな気がしないゲーム展開だった。前半は0-0、後半もロスタイムに入るまでノースコア。延長突入は必至かと思われた。しかし後半49分、エリア近くの右45度という絶好の位置でベネチアがFKを得る。ラストチャンス。「俺が蹴る」という意気込みを漲らせ、真っ先にボールを拾ってプレイスしたのは名波だった。体を右に傾け、首を大きく縦に振る独特のフォームで、左足が鋭く振り抜かれる。壁をすり抜けたボールは微かにクロスバーをかすめて、ゴール右上に突き刺さったのであった。チームメイトにもみくちゃにされる名波。直後にタイムアップを告げる笛が鳴る。うおお。すばらしい。これで彼も地元ファンのハートをぐぐっと掴んだに違いない。ディレクも初ゴール・シーンをゲットして、ちょっぴり溜飲を下げたというところか。

 前半は中田がサブだったのでベネチア戦だけ見ていたが、後半12分に中田が投入されたのを見て、ペルージャ×テルナーナ(コッパ・イタリア2回戦第2戦)もザッピング観戦。シュートが放たれるたびにチャンネルを切り替える。あー、忙しかった。前半は0-1でテルナーナがリード。第1戦はアウエーのペルージャが1-2でモノにしているので、そのまま終わればペルージャの勝ち抜きだが、実力には大差ないようで、いつ2点目を取られてもおかしくない感じだった。しかし名波のゴールを見届けてからペルージャに戻ると、スコアは1-1。後半46分にバの同点ゴールが決まったらしい。2〜3分ペルージャのほうが遅れて始まっていたから、ほぼ同時刻に名波とバが得点していたようだ。ベネチア、ペルージャともに3回戦進出で、ディレク関係者もホッと胸を撫で下ろしたのではないだろうか。めでたし、めでたし。

 ミラン×チェルシー(CL1次リーグH組・第5節)をビデオ観戦。ヘルタ・ベルリンに敗れた試合は未見だが、グループ3位のミランは最大の正念場。ミラン負けろー、1次で敗退してしまへー、と念力を送りながら見ていたが、フローが決定的なヘディング・シュートをGKの正面に撃ってしまった直後に、ビアホフの味も素っ気もない実務的なゴールが決まる。クロスを上げたセルジーニョはやはり侮れない。しかしその2分後。投入されたばかりのディ・マッテオが縦に放り込んだボールを、何故か最前線を疾走していたワイズが冷静に決めて同点。よっしゃー。ワイズ、なんであんなとこにいたのかようわからんが、とにかくナイス。1-1のドローで、勝ち点はヘルタとチェルシーが8、ミランが6。ホームでガラタサライに負けたヘルタは痛い星を落としたものである。ヘルタが抜けててくれれば、問題なくミランを地獄に突き落とせたのに。最終節でヘルタとチェルシーが引き分け、ミランがガラタサライに勝つと3チームが勝ち点9で並ぶわけだが、その場合どうなるんだろう。直接対決の成績が優先されるんだっけ? なんにしろ、1次リーグの最激戦区はここだったのである。がんばれガラタサライ。

 ニューカッスル×ダービー・カウンティ(プレミア第12節)は、2-0でニューカッスル。これでニューキャッスルはやっと降格圏外に脱出したらしい。どう見てもそんなに弱いチームには見えないのだが、リーグ戦ってのは難しいものだ。得点はいずれも右サイドからのソラーノの折り返しによるもの。1点目はオウンゴールだったが、DFが触らなければその向こうに詰めていたシアラーのゴールになったはずである。それがよほど悔しかったのか、2点目はもうちょっとでマリッチが触りそうだったボールを無理やり(?)横入りしたシアラーが奪ってゲット。現役時代、ボテボテのセカンド・ゴロをサード・ゴロにしてしまったという長嶋茂雄みたいなものか。ひでぇなぁと思ったが、この図々しさがなけりゃストライカーはやっていけないのである。

10月27日(水)13:15 p.m.
 久我山駅前にドトールがオープンした。ありがたい。ありがたいが、いまだにマクドナルドもケンタッキーもダンキンドーナツも吉野屋もない(辛うじてバーガーキングはある)商店街が、いずれ「日本中どこでも見られる駅前風景」になる前兆かもしれないと思うと、ちょっとつまらない気もする。

 トリノ×ローマ(セリエA第7節)をビデオで観戦。トッティは復帰したものの、こんどはカフー不在(理由不明)でローマはなかなか戦力が揃わない。「替え」のきかない選手の離脱は痛かろう。ポイントゲッターと化しつつある右サイドの飛び道具がいないため、ローマの攻撃は左サイド偏重に。しかし攻め上がるのがカンデラでは役者不足は否めない。そして21分、カンデラが上がった後ろのスペースを狙っていたトリノのディアワラが、突如としてオーバーラップを敢行。アウダイールをあっさりかわし、余裕を持って上げたクロスをスカルキッリが押し込んでトリノが先制した。お見事。55分にセットプレイからディ・フランチェスコのヘッドで同点にしたものの、ローマはそれが精一杯。1-1のドロー。全体的に見ればトリノのほうが押していたと思う。

 それにしても、気にならないときはまったく気にならないのに、いったん気にし始めると際限なく気になるのが、深夜の時計の音と実況の拙さである。この試合でも、大庭アナが解説の信藤さんにとても迷惑をかけているように聞こえた。だってさー、信藤さんが「ローマはこのセットプレイを大事にしたいですね」って盛り上げようとしてるときに、「カペッロ監督は後半の戦い方についてどんな指示を出したと思われますか?」なんてトンチンカンなこと訊いてるんだぜ。しかも後半開始から10分もたってんのに。あそこはじっくりプレイを追う場面だろ。案の定、信藤さんが絶句してるあいだにプレイが始まって、ディ・フランチェスコのゴールが決まったのであった。慌てて「おーっと入ったぁ」とか叫んでいたけど、めちゃ間抜け。信藤さんは心優しいから一生懸命にフォローしてあげていたけれどもさ。自らアナウンサーとしての「聞かせどころ」を台無しにしてんだから話にならん。はっきり言って、プロの仕事じゃないね。こんどから、下手なアナウンサーのときは副音声の「スタジアム・サウンド」にしたほうがいいかも。

 その後、CSのチャンネルをごちょごちょいじっていたら、ボカ・ジュニオルス×サン・ロレンソ(アルゼンチンリーグ前期第8節)が後半20分を迎えていた。いつもなら「こんなもん見てる余裕はない」と無視するところだったが、なんと実況が倉敷アナ。実はアルゼンチンリーグ好きでもある金田さんとのコンビとなれば、それだけで見る価値があるってもんだ。口直しにはもってこいである。スコアレスドローだったが、楽しそうな二人の喋りを聞けただけで大いに満足。ボカのほうは、パレルモが出ていなかった。移籍が決まった選手は使わないのだろうか。それともボカでさえレギュラー張れない奴をラツィオは獲得してしまったのだろうか。不安である。

 引き続き、A・ビルバオ×バレンシア(リーガ第8節)をうたた寝しながら見る。ウルサイスのゴールを守りきったビルバオが1-0で勝利。なんでか知らんが、スペインの中堅チーム同士の試合を見ると、いつも「琴錦×安芸乃島戦みたいなもんだな」と思う。とくに重要でもないのに、どうも見逃せないということか。こういう「ベテラン小結・関脇」に相当するクラブって、イタリアには見当たらない(横綱・大関の下は前頭って感じでしょうか)が、スペインにはたくさんある。でもスペインには大関がいない。

 2時になったのでもう寝ようと思いつつチャンネルを変えると、ピアチェンツァ×フィオレンティーナ(セリエA第7節)が0-0で後半を迎えていた。ピアチェンツァはやたらコンディションがいいらしく、猛烈に走り回る。とくに、無駄な消耗を厭わずに果敢なフリーランニングを繰り返すラステッリの動きが目立った。フィオのほうは、バティストゥータが鉄人ビエルコウッドの徹底した密着マークに封じられ、キエーザもどこで何やってんのかわからない。まさに消えーざ。83分にピアチェンツァが先制。キエーザに替えてバルボを投入するも、フィオは相変わらず攻め手なし。88分にはエリアに侵入したラステッリをディ・リービオがたまらず倒してPKを与え、万事休す。なんと3連敗である。さらば戦艦フィオレンティーナ。早くも気持ちは来季へワープか。最後までバティを殺したビエルコウッドの奮闘に拍手。

似てる人シリーズ#64
 ラツィオのシメオネとWOWOW番組ガイド10月号の『エイリアン4』紹介記事(10ページ)左下にある写真で銃を構えている怪人。(妻)

10月26日(火)14:10 p.m.
 ゆうべはラグビーW杯、イングランド×南アフリカ(準々決勝)を再放送で見る。序盤はPGの蹴り合い。平塚晶人が『ウェールズへ』で書いていたイングランド×南アフリカのテストマッチも、こんな展開だったのかもしれない。たしかに、面白くはない。ただ、一手一手慎重に駒や石を置いていく将棋や囲碁のような緊迫感は感じられた。もっとも、このままではラグビーが「いかに良い位置でペナルティをもらうか」を競うゲームになってしまうような危うさもある。12-9から、最初に外したのはリードしているイングランド。その後、南アが最初のトライを奪ったのは、PGを外したことでややイングランドのムードが悪くなったことと無縁ではないような気がした。将棋や囲碁のことなど皆目わからんが、たった一手のミスが流れを変えてしまうことは多いに違いない。後半、15-16までイングランドが詰め寄るが、なにしろ南アはデビアーというSOが絶好調。日本国内の試合でDGが決まるシーンなんて滅多に見ないが、彼のキックはいとも簡単にバーをクリアする。5本蹴って5本成功。何度も楽な位置で蹴らせるイングランドもイングランドである。今朝の新聞によれば、テストマッチでの5DGは世界記録なんだとか。終わってみれば44-21で南アの勝ち。44点のうち34点がデビアーの右脚によるものだった。ラグビーのプレイスキッカーは、野球の投手と同じぐらい重要な存在なのだなぁ。まあ、これも「フットボール」なんだから、それでいいのかもしれんけど。

 引き続き、バルセロナ×A・ビルバオ(リーガ第9節)を観戦。主審の不可解なジャッジで序盤にビルバオの選手が退場させられた時点で、試合への興味は80%ぐらい失われてしまった。どうやら昔から「ヘタクソ」で有名な審判らしいが、退場以外にも、ルイス・エンリケのハンドは見逃すわ、フィーゴのダイブにはPKを与えるわ、明らかにバルサ寄りのジャッジばかりである。俺はバルサのファンだけど、こんなんで勝っても少しも面白くない。「これだけサッカー見てると、審判や解説者が下手だと一気に見る気が失せるわよね」とは愚妻の弁。たしかに。去年はサッカーが見られるだけで幸福だったが、最近は観戦しながら審判や解説者やアナウンサーに文句を言うことが多くなっている。試合のほうは、4-0でバルサ。ちなみにバルサはまたアルナウがGKを務めていた。ヘスプは怪我してるわけでもなく、ベンチで待機。なんでだ? かつて「ヘスプが10ならアルナウは3」と酷評していた金子達仁は、CLでの活躍を見た後でも「まだアルナウは信用できない」と語っていた。どういう意図かわからんが、ファンハールに死角があるとすれば、GKの起用法かもしれない。

10月25日(月)16:30 p.m.
 きのうは午前中、前夜に途中まで見たトッテナム×ユナイテッド戦の後半を見た。カーのゴールを追加してトッテナムが3-1で勝った。チェルシー敗北のショックが、少しだけ癒された。

 午後は、愚母の誕生日が近いため小金井の両親を呼んで晩飯を振る舞う。メニューは、ブロッコリーと海老の炒め物、ポルチーニのリゾット、タコと白身魚のトマト煮。どれも上出来だったが、どうもリゾットは両親の口に合わなかった疑いがある。口では「うまい」と言いながら、平らげるのに物凄く時間がかかっていた。年寄りにイタリア米を食わせるのは難しかったか。

 夜は、まずラツィオ×レッチェ(セリエA第7節)をライブ観戦。ホームとはいえ、ネスタがいないだけに「取りこぼすならこの試合」というイヤな予感の漂う相手である。その予感どおり、先制したのはレッチェ。ネスタの代わりにCBに入ったセンシーニがオフサイドを取り損ね、ルカレッリに決められてしまった。解説の金田さんも言っていたが、ネスタなら絶対にオフサイドを取っていたと思う。レッチェは、丁寧だが思い切りのいいサッカーをする好チームだ。しかしラツィオは慌てず騒がず、27分から5分間で3ゴールの大爆発である。1点目、ぐぐっとドロップするミハイロのCKに飛び込んだのはパンカロだった。彼のゴールなんて初めて見た。さらに今季初の先発で張り切るスタンコビッチが連続ゴール。GKのファンブルを見逃さなかった執念と機敏さ、ボクシッチのクロスに合わせたポジショニング、いずれも見事だった。腐る寸前に起用してパワーを引き出したエリクソンは采配の妙を見せたといえよう。だがしかし。3-1とした1分後に再びルカレッリに決められて前半3-2。ゆるい。後半は一転して膠着状態となったが、ラツィオ守備陣を手こずらせていたルカレッリ&セサを引っ込めるというレッチェ・ベンチの不可解な選手起用にも助けられ、なんとか1点差のままロスタイムに突入。勝ったとしても、このまま3-2で終わったら許さんぞ……とぶつぶつ言っていたのだが、終盤に投入されたシモーネ君が、ヴェーロンが粘りに粘って上げたクロスに頭から飛び込んでごっつぁんゴール。よっしゃ。だけどラツィオ、勝っても勝っても課題ばかりが残る今日この頃である。レッチェは決して侮れない立派なチームであるが、こんなことで次節のインテル戦を戦えるのか。疲れているのか、アルメイダがつまらんミスパスを連発していたのが猛烈に不安である。

 レッジーナ×パルマ(セリエA第7節)は、開始からわずか35秒後に、フゼールのFKにクレスポが合わせてパルマ先制。そのまま前半は0-1で終えたが、レッジーナが押し気味に進めていた。レッチェとレッジーナは、まったくもって上位にとって難儀な相手だ。そして後半、角度のないところから蹴ったバローニオのFKが何故かころころと直接ゴールインして、レッジーナ同点。やっほー。すぐにクレスポの勝ち越しゴールが決まったが、ホームのレッジーナは勇猛果敢である。FKにピルロー君が飛び込んで2-2のドローに持ち込んでしまった。ベローナ、フィオに連勝してやっと乗りかけていたパルマにとっては、痛い痛い引き分けであろう。試合とは関係ないが、カンナバーロに弟がいるなんて知らなかった。パルマ・ベンチに控えていた弟は、お兄ちゃんそっくりだった。とくに眉毛が。

 さらにミラノ・ダービー、インテル×ミラン(セリエA第7節)をビデオ観戦。キックオフから10分ぐらいは、発煙筒の煙で何も見えない。あの異様な雰囲気は、一度でいいから現場で味わってみたいものである。試合が動いたのは、前半20分。エリア内左サイドで倒されたロナウドが、自らPKを決めてインテルが先制した。ところが、そのロナウドがアジャラ(だったかな)に肘打ちを喰らわせて一発退場。いきなりレッドは気の毒とも思えたが、リプレイで見ると、ロナウドはボールを放棄して後ろを振り返り、相手の顎の位置をしっかり確認してからアタックしていた。判定の是非はともかく、まったく不要なファウルだったことは間違いない。せっかく先制ゴールを決めて、久しぶりに笑顔を見せていたのに、自ら復活へ向けた勢いを殺してしまった感じ。ともあれ、先制されたとはいえ優位に立ったミランだったが、やはり不調なのかインテル守備陣を崩せない。前半は1-0。流れが変わったのは、業を煮やしたザッケローニがビアホフに代えてシェフチェンコを投入してからだった。チェルシー戦に向けて温存したかったのかもしれないが、背に腹は変えられないというところか。そして73分、ゴール前の混戦からこぼれたボールが立っていただけのシェフチェンコの膝に当たってゴールイン。まるでオウンゴールのような同点弾だった。シェフチェンコ、妙な運まで持っている。その後、DFラインを完全に破って突進するヴィエリを倒したアジャラが退場し、スコアも人数もイーブンに。俺としてはそのまま引き分けて欲しかったのだが、途中出場のボバンが仕事をした。ロスタイム、ウェアの勝ち越しゴールをお膳立てしたCKは見事な精度。ダービーらしい熱戦を、1-2でミランがモノにしたのであった。調子が悪くても、しぶとさの目につく鬱陶しいチームである。

10月24日(日)
 昨日は、日本人ダービー、ロンドン・ダービー、ミラノ・ダービーと、ダービー尽くしの一日であった。まずは22時からペルージャ×ベネチア(セリエA第7節)をライブ観戦。名波、スタメン定着がこの日に間に合って良かったね。しかし記念すべき一戦は雨で最悪のコンディション。ほとんど水球やってるような感じである。解説のセルジオ越後は、まったく試合展開を追わずに「雨の日の戦い方」ばかり熱心にだらだらと喋っていた。日本代表の試合はともかく、彼のセリエA解説は死ぬほどつまらない。相棒の石川アナも、セルジオの饒舌に相づちを打っているだけで、重大な局面を重大にアナウンスすることができないお間抜けな仕事ぶり。名波が中田からボール奪取したシーン、二度とも関係ない話してやんの。べつに日本人だけに注目しろとは言わないが、「キックオフ直前特番」まで組んでるんだから、あそこはきっちり盛り上げないと。……というわけで、コメンタリーの拙さばかり気になる中継だったのであった(柱谷兄もいたが、ほとんど喋る機会なし)。試合のほうは、マニエロのPK入れ直し(私信=Z・Jさん、ラッキーでしたね)でベネチアが先制し、0-1で前半を折り返す。

 ここで我が家はチャンネルをロンドンへ。予定の行動だったが、セルジオ&石川コンビの喋りから解放されてすっきりした。なにしろチェルシー×アーセナル(プレミア第12節)の好カードである。これをライブで見ずに何を見る。スタメンにゾラとベルカンプの名前がなくてやや寂しかったが、アーセナルのほうはプティが復帰。やはり彼がいると中盤が締まって見える。しかし先制したのはチェルシー。38分、ペトレスクのアーリークロスに、珍しく先発出場のフロがヘッドで合わせたものだった。20日前にユナイテッドを粉砕したときと同じパターンである。さらに52分にはペトレスクのゴールでホームのチェルシーが2-0とリード。ところが。チェルシーの楽勝かと思われたゲームが、残り15分から風雲急を告げたのであった。ヌワンコ・カヌ、まさかの3連発。どれも彼らしい意外性に富んだプレイだったが、とりわけロスタイムの3ゴール目は圧巻。ゴールライン際の角度のないところから、へろへろっと放り込んでしまった。魔法だな、ありゃ。もともと後半に弱いチームらしいが、チェルシー、こんなゲーム落としたらあかんわ。それにしても今日はコメンタリーが気になる日で、この中継も東本さんと金子アナの息が合っていなかった。金子アナ、選手の移籍金の話ばっかりしすぎである。うざったいんで、途中、英語のコメンタリーに切り替えたほどだった。

 ロンドンの激闘を見届けてから、再びチャンネルをペルージャへ。当然スカパーの生中継は終わっているので、初めてフジテレビのセリエAを見た。こちらはちょうど後半が始まったところで、綱渡りのような観戦である。サッカーおたくと噂される青嶋アナは、「ほら、僕ってうまいでしょ。機転が利くでしょ」という驕りが鼻につくものの、スカパーに比べれば百倍マシ。試合は中田&アモルーゾのコンビで2点を取ったペルージャが逆転勝ちを収めた。中田、ほんとに逞しい。

 さらにロンドンに戻って、トッテナム×マンチェスターU(プレミア第12節)を観戦。ギグスのゴールで先制したが、ユナイテッドはやはりおかしい。シルベストルとボスニッチの初歩的な連携ミスでやらずもがなのCKを与え、これをイベルセンが押し込んで同点。おまけにスコールズが見事なオウンゴールを決めてくれて、トッテナムが逆転した。ユナイテッドのふがいなさを確認し、前半だけ見て寝る。断腸の思いだったが睡魔に負け、ミラノ・ダービーは明日ビデオで見ることに。

10月23日(土)
 昨夜はビデオでマルセイユ×マンチェスターU(CL1次リーグD組・第4節)を観戦。テュラムの薫陶を受けたかのような、狂気の攻撃参加を見せたガラというフランス人選手が強烈な印象を残した。CBのくせにオフサイド取られたときから何かやらかす男だとは思っていたが、すげー迫力だったなー。あれだけ堅く守っていたユナイテッドDF陣をドリブルとワンツー一発で打ち破るとは。彼のゴールを守ったマルセイユが1-0で勝ち、グループ首位に。ファーガソンは見るからに弱気になっておる。

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