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江戸川駄筆のサッカー日誌
1999-2000/vol.29

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3月11日(土)11:00 a.m.
 警視庁運転免許本部免許管理課から免許証更新連絡書なるものが郵送されてきた。おお、そうであった。三十路も半ばを過ぎて、生まれて初めての「書き換え」ってやつである。なんか、ちょっぴりオトナになった気分。ちょっぴりでどうする。……あれ、なんだよ、カネかかんのかよー。更新時講習手数料を含めて2900円。講習って何? ははあ、俺は優良運転者だから30分の講習でいいのか。すごいな俺。優良だなんて。よせやい、照れるじゃないか。でも30分だって十分に長い。なんでわざわざカネ払ってまで、そんな講習受けなきゃならんのだ。めんどくせー。だいたい俺はこういう「手続き」の類が、酢豚と梅干しと電話セールスの次に嫌いである。それなのに、免許の更新、確定申告、銀行合併に伴う振込口座の変更連絡、J-SPORTS撤退に伴うディレクTVの契約内容の変更、J-SPORTSとSky sportsの統合に伴うスカパーの契約内容の変更、滞納していた都民税の支払いなどなど、やるべき課題が山積みになっているのであった。ちなみに都民税は忘れてただけである。ヤだなー、督促状もって払いに行くの。なんだか犯罪者みたいだ。不良納税者。

 リーズ×ローマ(UEFAカップ4回戦第2戦)をビデオ観戦。ざっくり言って、退屈なゲームだった。お互いにギシギシ潰し合う消耗戦。したがって決定機も少なく、どっちも点が入りそうな気がしない。67分に決まったキューエルの決勝ゴールも、エリア手前から「とりあえず撃ってみた」という感じの、なんとも強引なシュートだった。もちろん本気で狙ったんだろうし、そのシュート力はすばらしいんだけど。1-0でリーズの勝ち。アウエーのローマは1点でも返せば勝ち上がりだったのだが、どいつもこいつも動きが重い。ロスタイムには、スミスごときに挑発されてカンデラとザーゴが同時に退場させられるという醜態をさらしていた。中田は後半途中でディ・フランチェスコと交代。これはあんまり納得いかなかった。代えるならトッティでしょ。よく言われていることだが、「トッティを代えて負けたら何を言われるかわからない」という事情が本当にあるのだとしたら、監督にプロフェッショナルな采配を振るわせない環境を作っているサポーターの存在が、ローマの限界なのかも。それでもトッティが見たい、というなら誰も文句は言わないけれど。

 バルセロナ×ヌマンシア(リーガ第27節)は4-0でバルサ(without リバウド)が圧勝。ロナルト・デブールとフィーゴで左サイドを崩し、ガブリにリーガ初ゴールを決めさせた1点目のシーンは実に鮮やかだった。ほんとうにオランダ人は便利である。ロナルトが、あそこまで左サイドをこなせるとは。W杯でも実証されたことだが、オランダってのは誰が怪我しようと人数が11人いりゃチームになるのである。バルサと関係ない話だが、一度でいいから俺、ダビッツ(右上)をセンターフォワードに置いたオランダを見てみたい。あと、ファン・デル・サールのボランチとかさ。けっこう、やると思うね。

 報道によれば、スカパーはW杯欧州予選、南米予選を全試合生中継 or 録画中継するらしい。ひええ。洪水だな、こりゃ。たいへん結構なことではあるが、あんまり見過ぎると、2002年の本番の頃には飽きてしまうような気がしなくもない。W杯って、「今回のブラジルやオランダはどんなサッカーを見せてくれるんだろう」というワクワク感を味わうものなんだろうけど、予選で全部見てたら、ちょっと観戦時のテンションも下がるよねぇ。どんな御馳走も、毎日食べれば飽きるんである。げっぷ。そういえばスカパーは、なんとJ2まで全試合中継するらしい。これって、お茶漬け? ……梅干しは入れないでね。

似てる人シリーズ

 #95 バルセロナのコクーと寺田農。(妻)
 #96 リーズのオレアリー監督とミスター・ビーン。

3月10日(金)11:00 a.m.
 仕事場の窓から見える生産緑地が、鬱蒼と茂っていた木を切り倒されて更地になろうとしている。今まで、「借景ってやつだな」などと言いながら、窓外に巨大な観葉植物を置いているような気分で眺めていたので、ちょっと悔しい。そのお陰で、今まで隠れていた紳士服のコナカの看板が正面に見えるようになった。同時に空が広々と見えるようにもなり、ヌケのいい眺望になったのはいいのだが、やっぱり何だか殺風景。そうでない場所を東京で探すほうが難しいだろうが、この界隈も景色がよく変わる。そういえば最近、自宅と仕事場それぞれの近所にあったコンビニ(ミニストップとローソン)が立て続けに潰れ、井の頭通りに軒を連ねていた自動車販売店(三菱とマツダ)が消え失せてしまった。マツダの跡地にできた本間ゴルフも、とっとと撤退。4軒とも長く空き家になっている。それぞれの店や会社とは縁もゆかりもないものの、寒々しい喪失感を覚えるのであった。

 チェルシー×マルセイユ(CL2次リーグ第4節)を観戦。待ちに待ったバカヨコ対ババヤロの「バカヤロ対決」が遂に実現した。その他にも、ポジェとプジェ、ピレスとペレスなどあって、アナウンサー泣かせのゲームだと思われたが、柄沢アナは無難にこなしていたようである。ずっと前から思っていたんだけど、チェルシーってどうしてチビとノッポしかいないんだろう。見ていて、これほど遠近感が混乱するチームもない。フロやポジェは必ずゾラやワイズより手前にいるように見える。対戦する相手はこれで攪乱されたりしないんだろうか。野球では長身投手を相手にすると目線や顎が上がって打撃フォームが乱れるというが、それに似たようなことがあるんじゃないの? フロをマークしてるとワイズが視界から消える、とかさ。試合は、そのワイズが前半に決めた1点を守りきったチェルシーが1-0で勝利。ロースコアだが、見応えのある好勝負だった。終盤に見せたマルセイユの猛攻は凄かったね。デ・ラ・ペーニャのFKも実に惜しかった。マルセイユは、ひたむきさを感じさせる良いチームになっておる。それにしてもポジェ。相変わらず、撃っても撃っても入らんなぁ。

 先週行われたユベントス×セルタ(UEFAカップ4回戦第1戦)を見る。これだけの好カードだというのに、デッレ・アルピの観客はたったの9千人。平日開催じゃこんなもんかもしれないが、なんだか盛り上がらない。イタリア人って、サッカーやフットボールが好きなんじゃなくて、やっぱりカルチョにしか興味がないのかも。ユーベがジダン抜きの布陣だったとはいえ、アウエーのセルタが互角以上に戦っていたのは立派。とりわけモストヴォイが好調で、惜しいミドルシュートを盛んに放っていた。しかし結果は、デルピのFKに頭で合わせたコバチェビッチのゴールを守って、ユーベの1-0。おいおい、こっちもイチゼロかい。コバチェビッチはこの大会、7試合連続の10ゴールと絶好調らしい。さすがにユーベは手堅く勝つなぁ……と思ったら、きのうの第2戦は4-0でセルタが勝ち、あっさり逆転したそうな。うわお。ちなみに準々決勝のドローは、

・マジョルカ×ガラタサライ
・アーセナル×ブレーメン
・セルタ×ランス
・リーズ×スラビア・プラハ

 ということになっており、なんとイタリア勢は全滅。「世界最高峰はセリエA」というマスコミ的常識が、ますます疑われる状況になってきた。しかし、参ったね。これで(コッパイタリア決勝を除けば)インテルもミランもユーベもローマもセリエ一本かよー。ま、ラツィオのCLも風前の灯火だけどさ。ふん。

似てる人シリーズ

 #94 ユベントスのユリアーノと美輪明宏。

3月9日(木)9:10 a.m.
 レスター×アーセナル(FAカップ4回戦)を観戦。先日のリバプール戦を含めてたった2試合の印象でいうのも乱暴な話だが、ふだんガツガツ点を取りに行くプレミア勢も、さすがに一発勝負のカップ戦になると慎重になるようで、なかなかゴールシーンが見られない。この試合も90分を終わって0-0。アーセナルが主導権を握り、スーケルが、アンリが、プティが雨あられとシュートを放つものの、レスターのGKフラワーズ(わかりやすい苗字である)が大当たりだった。キーオンのヘディング・シュートを頭で弾き出したサベージのプレイも、涙なしには語れない。あれ、いまのフレーズ、前にも使ったっけ。ともあれ試合は延長戦へ。レスターは、絶好調のフラワーズが故障で延長後半からGKが交替。不安に思われたが何とかしのぎ切り、0-0のままPK戦へもつれ込んだのであった。アーセナルは3人目、レスターは5人目が失敗してサドンデス。PK戦で5人全員が決めることって、ほとんどないような気がする。アーセナルの7人目をレスターのセカンドGKが止めてレスターの勝ち。出場したGKが2人とも当たっていたのがラッキーだった。それにしても、せっかくFAカップが放送され始めたというのに、早くもリバプールとアーセナルが消えたのは寂しい。ベンゲル、あとはUEFAカップにすべてを懸けるしかないか。

 ポルト×バルセロナ(CL2次リーグ第4節)は、0-2でバルセロナ。1点目はCKからアベラルド、2点目はリバウドのFKと、ポルトはまたしてもセットプレイでやられた。不可解だったのは2点目。6枚ぐらい立っていたカベのうち、ジャンプしたのは真ん中のジャルデウだけ。それを見透かしたように、リバウドはジャルデウの足元にグラウンダーのシュートを放ったのである。ボール1個分だけ空いていた、そこしかないというコース。ジャンプしたのがバルサの選手なら見事なサインプレイという奴なのであるが、あれ、何だったんだろう。偶然にしては鮮やかすぎた。ともあれ、CLのバルサは実に安定している。これで早くもベスト8進出を決めたらしい。気になるのは、故障のルイス・エンリケ。どうやら今季絶望で、EURO2000にも間に合わないようだ。残念。あと、ヴィトール・バイアーが来季からまたバルサに復帰するんだとか。それはいいけど、ヘスプはやっぱり退団なのか?

似てる人シリーズ

 #93 ポルトの監督の隣に座っていたコーチと吉幾三。(妻)

3月8日(水)10:45 a.m.
 俺の電話セールス嫌いが何に起因するのかが、ついに判明した。数日前、仕事にかまけている俺を置いて、妻子が俺の実家に遊びに行ったときのこと。茶飲み話の最中、我が父は「最近の電話セールスや訪問販売は、礼儀ってもんがなっとらん!」と憤っていたそうである。とほほ。要するに、遺伝子の仕業であったか。つい先日も、父は屋根の修理屋(べつに屋根専門ではないだろうが)とやりあったらしい。なんでも、近所の屋根を直していた業者が、「上から見たらすいぶん傷んでましたよ」と訪ねてきたんだそうな。いったんは「大きなお世話だ」と断ったのだが、翌日、またそいつがやって来た。以下、又聞きした父と業者の会話。

業者「あー、すいません。うちの社長が、タダで修理させていただきたいって言ってるんですが、いかがですか? この際、ちゃんと直しておいたほうが……」
親父「なんだと、こら。タダとはどういうことだ、タダとは。べつにウチはカネがないから修理しないって言ってるわけじゃないぞ。冗談じゃない。馬鹿にするのもいい加減にしろ。おたくの会社に施しを受ける筋合いはないっ。帰ったら社長にそう言っとけ!」

 なるほど。もっともな話である。
 ……って感心するのはやっぱり俺が彼の子だから?
 そんな父に、母は「最近はへんな人が多いから、あんまり刺激すると仕返しされるわよ」とのたもうたらしい。妻からの窘められ方まで俺とおんなじでやんの。責任転嫁するわけじゃないが、これはもう、DNAレヴェルの性分としか言いようがない。いずれ我がセガレも、「最近のe−ビジネスってさー、ネチケットがなってないよねー」なんて言い出すんだろうか。

 耳よりニュース。どうやら「フジテレビが2002年W杯欧州予選(一部除く)、南米予選の放送権を獲得した。同局ではBSフジ、スカイパーフェクTVに権利を売却して地上波、BS、CSの3メディアでW杯予選を放送する予定」であるらしい。おお、これは楽しみ。地上波組のみなさんも、さぞお喜びのことでありましょう。たしか今月はいきなり第1節からアルゼンチン×チリという、ラツィオ・ファンが目を覆うようなカードがあったはず。シメオネがサラスを削るシーンは、あんまり見たくない。

 昨夜は、リバプール×ブラックバーン(FAカップ4回戦)を見た。プレミア対ディヴィジョン1。カップ戦の醍醐味は下克上と言われているわけだが、このゲームもカップ戦の存在意義を再確認させるような展開になってしまった。終始リバプールが優位に試合を進めたが、ゴールが奪えない。そして0-0のまま迎えた85分、ブラックバーンが鮮やかな速攻を決めて決勝点をモノにしたのであった。なんとステレオタイプな。強豪相手だとほんとうに素晴らしい試合をするリバプールだが、格下相手になると、どうも気合いの入れ方がわからなくなってしまうような感じだな。いつもの「熱」が感じられないぶん、ゴールが遠かった。

 ミラノ・ダービーの続きをビデオ観戦。ディ・ビアッジョのゴールをアシストしたサモラーノのポストプレイは、あらためて見たら粘り強くも何ともなかった。セードルフのパスを軽くはたいただけ。いかに俺の観戦記がデタラメなものであるかということを、きのうの記述は証明している。「サモラーノ=ガッツ&フィジカルの強さ」という固定観念に縛られていたわけで、これじゃマスコミを嗤えないのであった。やれやれ。試合は終了間際にPKでミランが一矢報いたが、ほぼインテルの一方的な試合だった。ミランは、そろそろボバンがフィジカル面で限界か。パスもシュートもコントロールが微妙に狂ってるように見えた。素人の憶測にすぎないが、いわゆる「踏ん張りがきかない状態」になってるんじゃないだろうか。さらばミラン、というには早すぎるけれど。インテルはかなりいい感じ。次節のラツィオ戦が、対ユーベ挑戦者決定戦ということになるんだろうか。見るのが怖い。

 CLのチェルシー戦もビデオで続きを見た。ポジェのヘディング、惜しかったよなぁ。デ・ラ・ペーニャは何やってんのか全然わからなかった。ところで試合とは関係ないのだが、「ラツィオが北海道で合宿をしたことがある」って、一体どういうことなんだ。そんな興味深い話、途中でやめないでよ岩佐さん。いつ、どういう事情で北海道に来たわけ? 誰か教えてちょうだい。

 録画しておいたCLハイライトで、そのラツィオの負けっぷりを確認。うわー、ベーロンすごいじゃん。あんな芸当もできんのか。あのミラクルなゴールに加えて、マンチーニのシュートが入っていたら、4-1ぐらいのお祭り騒ぎになってたかもしれないのにね。明日未明(日本時間)に行われるアウエーのフェイエノールト戦が正念場である。きっちり粉砕してこい。

3月7日(火)9:30 a.m.
 駄筆つぁんはね サッカーが大好き ほんとだよ
 だけど 忙しいから
 試合を半分しか 見られないの
 かわいそうね 駄筆つぁん

 ……というわけで、昨夜はミラン×インテル(セリエA第24節)を後半途中までビデオ観戦。ビエリが故障のインテルはレコバ&サモラーノの2トップ。ここでビエリがいないのはきついかと思われたが、とんでもない。2人とも絶好調である。とりわけレコバがむちゃくちゃキレておった。前半の終わり頃、セードルフ(じゃないかもしれない)のスルーパスで抜け出すと、アッビアーティと1対1。当然シュートだろうと思ったら、ゴール正面にかっとんできたサモラーノに落ち着き払ってラストパスを出してくれやがった。これを難なくサモラーノが決めてインテル先制。ごっつぁんです。うっす。レコバは後半にも強烈なシュートを何本も放っていた。サモラーノも粘り強いポストプレイでディ・ビアッジョのゴールをアシスト。そこまでしか見なかったが、えーと、1-2でインテルが勝ったんだったかな。

 途中でビデオを止めたのは、23時からレッチェ×ラツィオ(セリエA第24節)の録画中継が始まったからである。ラツィオはCLでミハイロが怪我しちまったんだとか。あーあ。しかしまあ、こういうときのための分厚い選手層である。がんばれコウト。試合は、例によってボールの収まりが悪いラツィオらしい展開であった。ついユーベと比較してしまうんだけど、やっぱラツィオって散漫な感じ。両サイドを広く使うか狭く使うかというスタイルの違いによる部分が大きいんだろうとは思うが、どうもコートを広く使うぶんラツィオは「薄い」のである。「厚い」の反対ではなく、「濃い」の反対の「薄い」なんだけど。どうでもいいか。前半、ネドベドのゴールで先制。レッチェの汚いファウルが多く、また怪我人が出るんじゃないかと心配になった。後半開始早々、まぶたが言うことを聞かなくなり、あとを妻に託して寝る。どうやらあのまま0-1でラツィオが勝ったらしい。あぶねぇなぁ。

3月6日(月)
 ディレクでネイションワイド・リーグやFAカップやスコットランド・リーグの放送が始まった。ネイションワイド・リーグというのは、イングランドの1〜3部リーグの総称であるらしい(って前にも書いたっけか?)。1部(プレミアの下だから実質的には2部)のゲームでさえ観客がぎっしり入っているのを見ると、「さすが母国」と感心すると同時に、「こいつら、ほかに楽しいことないのか?」などと思ったりもする。それを極東で見てる俺に言われたかないだろうけど。スコットランド・リーグは、レンジャーズとセルティックというグラスゴーの2強がダントツのようだ。順位表の得失点差を見ると、1位のレンジャーズが+46、2位のセルティックが+36(ぐらいだったと思う)とかで、3位以下はみんなマイナス。そんな現状を証明するかのように、きのう見たグラスゴー・レンジャーズ×ダンディ・ユナイテッド(スコットランド・リーグ第?節)は7-1でレンジャーズが圧勝していた。グラスゴー・ダービー以外は、見る価値ないかも。

 マンチェスターU×リバプール(プレミア第27節)を見る。いやはや、ドラマチックな一戦であった。前半27分、魂をこめて勝ちに行っていたリバプールが、ベルガーのFKで先制。威力、スピード、コントロール、すべてに申し分ない左足の一撃である。このまま前半を1-0で折り返したかったリバプールだが、40分に守備の要である主将ヒーピアが右足の甲を負傷してピッチ外へ。ここでウリエ監督が迷った。前半は残り5分。ハーフタイムでヒーピアが治るなら、交替させずにとりあえず10人でしのぎたい。しかしユナイテッドが猛攻をしかけてくるのは火を見るより明らかである。「ここ一番」に懸ける奴らの集中力を考えれば、ヒーピアを諦めて交替選手を投入すべきだとも思えた。だがウリエ監督が下した結論は前者。10人で5分間をしのぎ、ヒーピアが復活するほうに賭けたのである。ところが、これが完全に裏目に出る。ロスタイムにスールシャールのゴールが決まって1-1。結局ヒーピアが後半のピッチに立てなかったことを考えると、悔やまれて仕方がない。後半は一進一退。そしてリバプール攻撃陣に疲れが見え始めた77分、ウリエ監督が最後のカードを切る。カマラOUT、オーウェンIN。おお。意外に早く治りそうだとは聞いていたが、ここに間に合わせてきたか。世界中が息を飲んだ(大袈裟)のは、ワンダー・キッドがピッチに立った直後のことだった。マーフィーのスルーパスに反応したオーウェンが鋭く飛び出して、猛然とゴールに向かって疾走する。DFを振り切って、GKと1対1。右足が小さく振られ、ボールはGKの脇をすり抜ける。世界中で何十億人の人々が、ネットの揺れるシーンを思い浮かべたことだろう(ものすごく大袈裟)。しかしボールはやや左にカーブを描き、無情にもゴールポストのわずか左に逸れてしまったのである。オーウェンが「伝説」を一つ作り損ねた瞬間であった(これはそんなに大袈裟じゃないと思う)。嗚呼。その後は、例によってユナイテッドが「時間の問題」的な怒濤の攻め。しかし集中力の途切れないリバプールは立派だった。ヒーピアの代わりにCBを務めていたカラガーがシェリンガムのシュートをヘッドで弾き出したシーンは、涙なしには語れない。1-1のドロー。リバプールの未来にとって、とても意義のある勝ち点1だったのではないだろうか。

 マルセイユ×チェルシー(CL2次リーグ第3節)を前半だけ観戦。結果は知っていたんで、どうやってチェルシーが負けたのかと思っていたのだが、ピレスのシュート(ほんとにシュートだったのか?)は異空間を飛び越えていくような不思議な軌道を描いてゴールに入っていったのであった。入るかね。ラツィオが負け、チェルシーが負けて、このグループはごちゃごちゃになってきよったばい。選手登録したはずのビアリはどげんしたとか。

 23時からの生中継は、ユベントス×バーリ(セリエA第24節)ローマ×トリノ(同)を並行観戦した。やった。ついに奇跡のザッピングに成功である。いや、まあ、奇跡ったって、ゴールシーンを1つも見逃さなかったってだけなんだが。ユーベのゴールは、コンテとデル・ピエーロのPK。ゴールに向かって一直線に突進していったコンテの背中に「男」を感じた。俺の背中はどんな背中なんだろう。人間、背中に贅肉がつき始めたらおしまいである。格下相手のユーベはいまひとつ緊張感に欠けるきらいがあるな。相手なりに走ってるんだろうけど。2-0の楽勝であった。一方のローマは、デルベッキオ。中田からクサビを受けて振り向き、左足でねじこんでいた。パスを出した後エリアに侵入してDFを引き連れ、デルベッキオのシュートコースを作った中田の動きが光った。中田、どうやらデルベッキオとウマが合う感じ。随所になかなかのコンビネーションを見せていた。向こうはミラノ出身だけに、余所者同士の連帯感ってやつがあるのかも。んなこたないか。1-0でローマの勝ち。ローマは、攻撃が中へ中へ入りすぎて四苦八苦。故障で不在のカフーの存在感ばかり目立ったゲームであった。

3月5日(日)10:45 p.m.
 きのう、仕事の合間にテレビをつけたら、その5秒後に福西の同点ゴールが決まった。抑えの効いたすばらしいシュートである。こりゃ面白そうだというわけで、仕事をうっちゃってジュビロ磐田×名古屋グランパス(ゼロックス・スーパーカップ)を後半途中から観戦。その後は双方とも得点なく90分を終えたが、えらいおもろいPK戦を見られてラッキーである。名古屋は、ストイコビッチと平野が続けて失敗。3-1となったところでお終いかと思ったら、楢崎が2本連続でセーブ。5人目の呂比須が決めればサドンデス突入……と思ったら、こんどは尾崎が止めて磐田の優勝であった。5人の失敗がぜんぶ(枠を外したのではなく)GKのセーブってのが凄い。GKがうまいんだかPKが下手なんだか知らないが、とにかくおもしろかった。こういう試合を見た後は必ず「これからはJも見よう」と思う。でも結局、物理的に無理、ってことになっちまうのであった。見切れないほど欧州サッカーが放送されることが、日本サッカーのためにいいことなのかどうか、よくわからない。

 その後、夕刻より吉祥寺の日本料理屋で宴会。先週は大学のサークルだったが、今回は高校時代の吹奏楽仲間と。どういうわけか、同じ時期にこういう飲み会が続く。創立30周年だった先週とは違い、今日はとくに大義名分があったわけでもないのだが、われわれの代を中心に4世代18人が集まった。意外に思い出話は少なく、それぞれがそれぞれの「今」を語っていた印象。広告代理店で死ぬほど働いてる人、中3の担任で進路指導に苦労している数学教師、毎朝4時起きで出勤する2児の母、4月から新設大学の教授になる人などなど。みんな、それぞれに大変で、それぞれに充実している。そういう同世代の現状を耳にすると必ず、俺ってばお気楽、と思うのであった。

3月4日(土)10:45 p.m.
 2002年の第3回世界クラブ選手権が日本で開催される可能性が高いんだとか。結構なことではあるが、それまで持つんだろうか、あのイベント。しかしこれが実現すると、いまアジアで戦っている磐田や清水が出場するかもしれないのはもちろん、2001年のJチャンピオンも開催国枠ってことで出られたりするらしい。うわー。8チーム中、2つがJ。A組、B組双方にJが1つずつ。いいのか? そういう大会にしてしまっていいのか? 誰かちゃんと考えてんのか? そりゃ俺だって、ラツィオとコンサドーレの試合を見たくないわけじゃないけどさー(理論上はあり得るのだ)。しかし、「開催国の責任」ってやつを年に2つも背負えるのか日本サッカー。成績はともかく、運営面の事を考えても、W杯だけに集中したほうがいいんじゃないのかしら。

 ……と書きながら思いついたのであるが、あの大会、欧州と南米は抜きにして「その他の世界クラブ選手権」にしたほうが、かえって盛り上がるような気がするぞ。そんで、優勝したらトヨタカップの勝者と試合させてもらえばいいじゃん。っていうか、「その他の世界王者」も加えてトヨタカップを巴戦にすればいいのだ。おお。これは相当に参加クラブのモチベーションを高めるに違いない。で、「その他の世界王者」がトヨタカップをゲットした暁には、欧州と南米を別格扱いするのをやめるってことでどうだ。うんうん、それがいいそれがいい。あとでFIFAにメールでも出しとこ。いや、むしろUEFAに出したほうが賛成してくれるか。

 フィオレンティーナ×バレンシア(CL2次リーグ第3節)を観戦。いろんな意味で、似た者同士って感じの対戦である。国内リーグの戦いぶりを見るかぎり、「なんでこれがチャンピオンズリーグ?」と思わないでもないわけだが、まあ、それは言わない約束だろってことで。試合自体は、アウエーのバレンシアががんがん攻めていたこともあって、けっこう見応えがあったと思う。再三にわたって右サイドを攻略したアングロマの動きが目立った。来季で引退とのことだが、ちょっと勿体ない気がする。決定機を多く作ったバレンシアだったがフィニッシュを決められず、ミヤトビッチのPKによる1点を守りきられて1-0。フィオのほうはバティに元気がない。温存してもらったパルマ戦で代役バルボがいいところを見せていただけに、ここはゴールが欲しかったところなのだが。

 バタバタした撃ち合いになったレアル・マドリー×バイエルン・ミュンヘン(CL2次リーグ第3節)は、2-4でバイエルン。マドリーにとっては、GKカーンの壁が厚かった。しかし、わからんもんだねぇ。スペインダービーで完敗したバルサが4-2で勝ち、完勝したマドリーが同じスコアで負けるとは。やはり国内リーグと欧州戦は両立しがたいということか。それにしてもラウールのゴールを生んだロベカルのクロスは凄かった。ただ、「まさにワールドクラスですね」という解説者氏のコメントを聞いて思ったのだが、「ワールドクラス」って何? いや、俺も使ったことはあるんだけど、考えてみるとこの言葉、意味がわかるようでわからん。要は「世界で通用する」ってことなんだろうけど、その「世界」とは具体的に何を指しているのか。もし「世界でも一流といわれているビッグクラブでも通用する」という意味であれば、いまさらロベカルのことを「ワールドクラス」というのはヘンでしょ。Jリーグで中山のプレイを見て「代表クラスの動きですね」って言ってるのと同じなんだから。「○○クラス」とか「○○級」というのは、「今は非○○だけど、○○としても遜色なくやれる」というニュアンスのホメ言葉なんじゃないだろうか。プロ・ゴルファーに向かって「プロ級の腕前ですね」なんて言ったら殴られるだろ、きっと。それとも「ワールドクラス」とは、他の星と地球がサッカーの試合をするときに、「世界代表」のメンバーに入れるぐらいのレベル、という意味なんだろうか。

 ローマ×リーズ(UEFAカップ4回戦第1戦)を見る。なぜかカペッロは、キックオフの前からテクニカル・エリアに出て、しゃかりきになって指示を出していた。まだボール動いてないのに、なにムキになってんだ。リーズの布陣が予想と違っていて慌てたのか? べつにプレミアでやってるのと大して変わりなかったように見えるが。試合が始まってからも、カペッロはやたら派手なゼスチャーで怒りまくっていた。ユーベに負けて「せめてUEFAカップは」という焦りが出たのかもしれん。しかしチームは、リーズのベタベタしたしつこい守備にアタッカー陣が封じられてゴールを奪えない。挙げ句の果てに、カウンターからキューエルの決定的なシュートを浴びるなど、冷や冷やもんの展開であった。結局、どちらも惜しいシュートを放ちながら決められず、スコアレスドロー。リーズにとっては狙いどおり、勝ったも同然の結果である。中田は、ほとんど守備一辺倒。カペッロの指示によるものだろうが、もう少し攻撃に参加させてやれば結果は違ったような気がする。もっとも、彼が効いていたお陰で相手を完封できた面もあるんだろうから、両刃の剣だが。要するにカペッロは、リーズが怖かったんだと思う。だから必要以上に慎重になった。それもこれもユーベ戦の敗北が尾を引いた結果に違いない。

似てる人シリーズ

 #88 バレンシアのイリエとマイケル富岡。
 #89 バルセロナのフィーゴとサリーちゃんのパパ。
 #90 バルセロナのフィーゴと猛禽類。
 #91 ローマのザーゴと小堺一機。
 #92 ローマのザーゴとジェリー藤尾。

3月3日(金)12:15 p.m.
 ひなまつりか。いきなり春を感じさせる陽気である。なんだか短い冬だった。ラツィオはホームでフェイエノールトに負けたらしい。いかん。いかんぞこれは。いよいよ本気でコッパを獲りに行かねば。

 また寝言。こんどは俺、切なそうに「足りない……」と呟いたそうな。なんだ。何が足りないんだ。時間か。カネか。原稿の枚数か。脳味噌か。あるいは、その全部か。

 このクソ忙しいときにCLが再開してしまい、観戦が追いつかない。録画したマドリー×バイエルン、フィオ×バレンシアを未見のまま、昨夜はバルセロナ×ポルト(CL2次リーグ第3節)を見た。マドリーに惨敗したバルサは、ヘスプが復活。当然である。グアルディオラとフランク・デ・ブールもスタメンだった。一方のポルトは、GKヴィトール・バイアーが故障で不在。古巣相手のゲームで、しかも自分を追い出したヘスプが出てるわけだから、無念だったに違いない。試合はポルトがジャルデウのゴールで4分に先制したものの、リバウドの左足(FK)、フランク・デ・ブールの頭、クライファートの超絶技巧が炸裂して、前半は3-1。クライファート、どうやってシュートしたのかリプレイを見てもよくわからん。ほんと、簡単なことは下手だけど難しいことは上手い男である。後半、またまたジャルデウのゴールでポルトが追いすがったが、最後はリバウドが右足で締め括って4-2。あそこで切り返して右足で撃つのはずるい。どうせなら、またラボーナ(後ろで脚を交差させて反対の足で蹴るやつ)で撃てばよかったのに。イベリア半島ダービーといいながら、ゴールを決めたのはブラジル人とオランダ人だけであった。どうでもいいが、奥寺さんの解説を聞いていて旧世代のプロ野球解説者を連想してしまうのは俺だけだろうか。別に腹立たしいわけでも辞めてほしいわけでもないんだけど。なんか野球っぽいよねぇ。ジャーナリスティックでもなければ専門技術者的でもないという、いまどきのサッカー界には珍しいタイプである。

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