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江戸川駄筆のサッカー日誌
2000-2001/第11節

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11月14日(火)13:10 p.m.
BGM/ Tower of Power "Back to Oakland"

 フランスのストラスブールに移籍したチラベルト。いきなりデビュー戦で、FKを蹴りに行った後に逆襲食らって失点したらしい。だから言わんこっちゃない。たぶん、ベレスやパラグアイ代表のように、後ろで守ってる子分たちがイエロー覚悟で相手を倒してくれるようなシステムになっていなかったんだろうけど。

*

 昨夜は、青山学院高校裏手の伊太飯屋Tにて、健康雑誌Dの編集長Y氏、編集者Aさん、ワイドショーや週刊B等でお馴染みのN医師と会食。D誌が休刊になったとのことで、半年前まで連載記事を書いていた我々にご挨拶、ということである。休刊編集長と飯食うのはお通夜みたいで気詰まりだから、べつに挨拶なんかしてくれなくていいんだけど。売り上げが向上し、完売号も出ていた矢先の休刊だったらしく、編集長はかなりダメージを受けているようであった。ま、完売でも赤字だったらしいから、しょうがない。内心で、「そうはいっても、会社が潰れて路頭に迷うわけじゃないんだし」などと思ってしまった俺は薄情なんだろうか。薄情だな、やっぱ。手塩にかけて育てた雑誌が「これから」ってときに潰れたんだから、同情してあげないといけません。どうも、日々「食えなくなることの恐怖」と戦っていると、志が低くなっていかん。食えりゃいいってもんじゃ、きっと、ない。

 隣の席で、ワイドショーでたまに顔を見かける男前の弁護士が女連れで飯を食っていた。N医師とは番組で顔見知りらしく、どうもどうもと挨拶をしていた。ワイドショーに出ている男前の弁護士が女連れで飯を食っているのを見ると、「カンジ悪〜い」と思ってしまうのは何故だろう。反対側の隣席では、白人ビジネスマン2人と日本人ビジネスマン2人が英語で談笑しながら飯を食っていた。日本人ビジネスマンが英語で談笑しているのを見ると「カンジ悪〜い」と思ってしまうのは何故だろう。青山学院高校裏手の伊太飯屋には、エスタブリッシュメントな小宇宙が渦巻いているのであった。いちいち劣等感を味わってしまう自分が、イヤだ。ちなみに日本人ビジネスマン(たぶん50代)の一人は、ケータイの着メロがディズニー系の曲だった。どうして、そんな恥ずかしいことができるんだろうか。

 料理は、茄子のパルメザンチーズ焼き、ポルチーニ茸のフェットチーネ、地鶏の煮込みを食ったのだが、どれも美味とは言い難い代物だった。茄子のチーズ焼きはゴムを食ってるような感じ、フェットチーネは泥を食ってるような感じ、地鶏は藁半紙を食っているような感じである。自分で作ったほうが美味い、と断言できる。

*

 帰宅後、アルメニア×ウクライナ(W杯欧州予選第2節)をぼんやりと眺める。アルメニアがどこにあるか、あなたは知ってますか。俺は知らなかったので、このあいだ東急デパートの玩具売場で自分のために買った地球儀で調べた。アルメニアは、トルコとイランに挟まれたちっちゃな国である。データ・アトラスによれば、旧ソ連で最小の国であるらしい。それに比べると、トルコやイランってのは実にでかい。思いがけないほど、でかい。さすがは元帝国である。

 前に、「作曲家と同名の選手はいないのか」というようなことを書いた記憶があるが、これがアルメニアにいた。ハチャトリアンというミッドフィルダーである。はて、『剣の舞い』のハチャトリアンはナニ人だったかと思って百科事典を引いたら、「ソ連の作曲家。アルメニア生まれ」とあった。ハチャトリアンはアルメニア人の名前だということがわかった。剣の舞いというと、俺は何故かキャンディーズを思い出す。正月の隠し芸大会で、キャンディーズの3人がぴょんぴょん跳ねながらこの曲をフライパンで演奏していたからである。だから何なんだ。そういや、アタランタにはロッシーニってフォワードがいたな。ロッシーニといえばセビリアの理髪師である。セビリアは今、スペイン2部だ。だから何なんだってば。



11月13日(月)13:30 p.m.
BGM/ Tito Puente & His Latin Ensemble "Sensacion"

 朝、チェルシー×リーズ(プレミア第13節)をビデオ観戦。CLのイングランド枠が4に増えてモチベーションの高まったチェルシーとしては、絶対に勝ち点3が欲しいところである。しかし後半、CKからビドゥカにヘッドで決められて0-1。うーむ。ビドゥカ、頭も使えるのか。なかなかリズムをつかめないチェルシーは、残り15分で選手を一気に3枚とっかえ。ここで投入されたフロが仕事をした。ゴール前の混戦から、浮き玉をヘッドで折り返し。これをポジェがやはりヘッドで押し込んで同点である。フロの身長が役に立ったシーンを、初めて見たような気がする。試合はこのまま1-1のドローであった。世の中、1-1のドローばっかりだ。

 ところで昨夜、コロンビア×パラグアイ(W杯南米予選第9節)における、チラベルトのFKを見た。壁の外を巻いてゴール左隅に飛び込むグレートなゴールである。しかし。1点リードしてる後半44分にGKがFK蹴りに行くかね。リスクでかすぎ。ミハイロだって、その時間帯はCK蹴りに行かないぞ。そういえばCLのディナモ戦では、ユナイテッドのバルテズが、1点リードしてる前半に、職場(ゴールマウス)放棄して大急ぎでスローインを入れるシーンがあった。なんでそんなに慌てる必要があんだ? スターGKは、ときどき不可解なことをする。

*

 CL2次リーグの組み合わせが決定。

グループA
ヴァレンシア
シュトゥルム・グラーツ
マンチェスター・ユナイテッド
パナシナイコス

グループB
ミラン
デポルティーボ・ラ・コルーニャ
パリ・サンジェルマン
ガラタサライ

グループC
バイエルン・ミュンヘン
アーセナル
スパルタク・モスクワ
オリンピック・リヨン

グループD
レアル・マドリード
アンデルレヒト
ラツィオ
リーズ・ユナイテッド

 マドリーとリーズかぁ。うー。燃えてきた。


●(始動時のフォームが)似てる人シリーズ

#128 F・デブールのFKとマッケンローのサーブ。



11月12日(日)

 午前中、ユベントス×ラツィオ(セリエA第6節)の大一番をビデオ観戦。アウエーとはいえ、CL敗退のダメージを負っているユーベをさらに突き落としておきたいところである。しかし先制したのはユーベ。CKをトゥドールにヘッドで叩き込まれた。あまりスコアの動かないカード(昨季は0-0、1-0)だけにヤバイ雰囲気だったのだが、30分、神様がラツィオに微笑んだ。正面でワンバウンドしたサラスのミドルシュートを、名手ファン・デル・サールが何の理由もなく肩越しに後逸。草サッカーでも滅多にお目にかかれないと思われるようなミスであった。魔が差したとしか思えない。ラッキー。こうなると後半は点が入らないだろうと思いきや、やっぱり入らず1-1のドローであった。ラツィオとしては、同点にした後の猛攻で一気に決めたかったところだが、まあ、しょうがない。それにしてもミハイロのキックは精度が戻らんなぁ。あれだけCKがあったら、1つぐらいモノにしないと。しばらく、プレイスキックはベーロンに任せてみてはどうか。

 夜、ボローニャ×フィオレンティーナ(セリエA第6節)をライブ観戦。これまでの流れを考えるとゴールがどっさり入るような気がしたのだが、始まってみるときわめてダルなゲームであった。シニョーリもヌーノ・ゴメスも不発で、1-1のドロー。見なきゃよかった。



11月11日(土)

 向ヶ丘遊園にて、ウルトラマンティガ&ウルトラマンナイス・ショウ(午後の部)を鑑賞。無料の客寄せイベントだし、どうせテキトーな内容だろうと思っていたがのだが、なかなかどうして構成のしっかりした正義と勇気と友情の物語であった。ガキどもを煽動して、ウルトラマンに「がんばれのエネルギー」を送らせる司会進行役のお姉さんなど、実にプロフェッショナルである。場内に渦巻くがんばれコール。もっとも、セガレは黙ってステージを睨んでいるばかりで少しもノセられず、挙げ句の果てに「光線、出てないじゃん」などと呟いていたのだが。クールな奴。

 負傷しても戦おうとする正統派ヒロイズムの権化・ティガに対して、やや三枚目のナイスが、
「焦るなティガ。休むのも仕事のうちだ」
と言う場面で、俺は声を上げて笑ったのだが、まわりは誰も笑っていなかった。前の席のお母さんが振り返って、「なんで笑ってんの?」という顔をしていた。あらら。ここ、笑うところじゃなかったのかしら。てっきり、このセリフはお父さんたちへのサービスだと思ったんだけど。あんまり切実すぎて、笑えなかったのか。笑えよ。おかしいじゃんか。

*

 夜、アタランタ×ブレシア(セリエA第6節)をライブ観戦。何とか州ダービーであるらしい。好調アタランタが早い時間帯に先制して、優位に試合を進める。好調なチームは、常に選手たちが労を惜しまずあっちゃこっちゃへ動いているように見えるものである。一方のブレシアは、復帰したバッジョがやろうとしていることを誰も理解してない感じ(だからといって俺がバッジョの意図を理解しているわけではもちろんない)。それでもアタランタが守りに入った前半の終盤には何度か惜しいチャンスがあったが、この時間帯に得点できなかったのが痛かった。終了間際にもGKのミスからベントーラに決められて2-0。アタランタ強い。

 その後、アーセナル×ダービー(プレミア第13節)を後半から観戦(前半は0-0)。判官贔屓で、いまだ白星のないダービーに「がんばれのエネルギー」を送る。ダービーは、歯を食いしばって戦っていた。強豪相手のアウエー戦でも臆せず前からプレッシャーをかけ、がむしゃらにゴールを狙う。魂のサッカーだった。GKプームの奮闘、アンリの低決定率にも助けられて、0-0。年に一度か二度しか見られない、興奮と感動のスコアレスドローであった。



11月10日(金)13:00 p.m.
BGM/ The Gadd Gang "Here & Now"

 マンチェスターU×ディナモ・キエフ(CL1次リーグ第6節)を観戦。18分のシェリンガムのゴールを守りきって、1-0でユナイテッド。ディフェンダー、コール1人に4人も引っ張られたらあかんわ。でも惜しかったなぁ、ディナモ。あの85分の決定機で、ユナイテッドを地獄に突き落とせるかと思ったのに。残念。ま、バルサ、ユーベに続いてユナイテッドまで消えたらシャレにならないけど。バルサはベジクタシュから5点も取っていた。6点取ってもうなだれていたW杯のブルガリア戦を思い出す。スペイン人って、ホンキ出すのが遅すぎるんだろうか。

 ベローナ×インテル(セリエA第5節)は2-2のドロー。ベローナは、せっかく前半で2-1としたのに、勝ち越しゴールを決めたイタリアーノが喜びすぎてゴール裏の看板を飛び越えて退場(イエロー2枚目)。そりゃ気の毒だということなのか、イタリアの協会は、これが自動的に警告の対象となるルールを変更するよう、FIFAに求めているんだとか。それって、FIFAの規定だったのか。中山ゴンもしょっちゅう看板飛び越えてるような気がするけど、いちいちイエローもらってるかなぁ。どうでもいいが、イタリア人でイタリアーノっていう名前はどうかと思う。スペイン人でハポン(日本)さんっていうのもどうかと思うけど(そういう名前の、バルサ贔屓で有名な審判がいたはず)。そういえばイプスウイッチにはホランド(オランダ)という名前のアイルランド人がいたような気がする。ひょっとして日本にも阿蘭陀さんがいるんだろうか。米国(よねくに)さんや英国(ひでくに)さんは間違いなくいそうだ。伊太利亜さんはきっといない。伊太利亜長介。とか。

*

 朝日新聞の悪口ばかり書いてもしょうがないのだが、今朝の天声人語も噴飯モノであった。
 

「当落報道を急ぐことはない。確定票が出てからでいい」といった声は日本でも聞く。けれど、それでは官報だ。ニュースを早く知りたいのは人の常。それに米国には、選挙管理委員会の公式発表が数日後、という事情もある。メディアはますます競争にしのぎを削る。誤報しては何の意味もないのだが。
 言うまでもなく、米大統領選の当確取消騒動について書いているのである。「けれど、それでは官報だ」「メディアはますます競争にしのぎを削る」って、あんた、それ、役所発表垂れ流し&抜け駆け厳禁完全横並びの記者クラブ制度への批判があること知ってて書いてんのか?
「裏付け取材を急ぐことはない。警察発表が出てからでいい」といった声は社内でも聞く。なぜなら、われわれ新聞は官報だからだ。
ってな具合に書き直してはいかがか……というようなツッコミをたぶん10万人ぐらいが入れていることに気づいていないとしたら、救いようがないぐらい(あるいは、どっかの首相と同じぐらい)鈍感である。脳天気である。アメリカのメディアについて書くとき、それが同時に自己言及的なものになるってことに、まさか気づいていないわけじゃなかろうな。サンゴ事件などなかったようにゴッドハンドの捏造を「鬼の首」で糾弾する態度もそうだが、どうもこの人たちには、自らを省みる気持ちとか羞じらいといったようなものが欠落しているとしか思えないのであった。



11月9日(木)12:50 p.m.
BGM/ Sonny Rollins "G-MAN"

 シラけるCL。バルサはもちろん、ユーベも1次リーグ敗退である。こりゃあUEFAカップが面白くなるわい……と思ったら、ありゃまユーベは4位なんすか。いきなりスクデット一本かよ。去年のミランといっしょでやんの。んで、ジダンの出場停止は来季に持ち越されるんだろうな、きっと。出場権を逃したら、何年後まで持ち越されるんだろうか。どうでもいいか、そんなこと。それより、2次リーグの組み合わせはいつ決まるんだろう。トルコ勢とは一緒になりたくない。いや、もちろん、ラツィオの話だが。

*

 重信房子、国内で逮捕。それって、また公安が世界に恥をさらしたってこと? ともあれ、レバノンで日本が優勝した直後、ってのが暗示的ではある。代表の活躍を見て里心がついたんだな、たぶん。そんなことはないですね。警察のポスターで馴染み深くはあるものの、我々の世代(80年代に高校生・大学生だった世代)にとっては距離感が掴みにくい中途半端な存在だと言ってよかろう。子供の頃(といっても中学生ぐらいだったと思うが)、「なんだか名前みたいな苗字だなぁ」と思った記憶がある。シゲノブは名前だろう、やっぱり。そんなわけで、大した思い入れはないけれど、かといって「カンケーないね」と放っておけるほどでもない。アジア杯で「レバノン」とか「ベイルート」とかいう地名に触れただけで何となくキナ臭さを感じてしまう程度には、巻き込まれている。

 それにしても、「武装して暴力に走ったことが彼女たちの間違いだったんでしょうね」って、同世代としてそんな簡単なまとめ方(彼らの言葉では「総括」か?)でいいのか久米宏。朝日新聞も、「その行為は断じて許されるものではない」って、当たり前だろそんなこと。たとえば20年後に現在逃亡中のオウム信者が逮捕されたとして、わざわざ「断じて許されない」なんて書くか? あえて「暴力がイカン」とか「行為は許されない」などと言えば言うほど、「やったことはダメだけど気持ちはわかる」的なノスタルジーとシンパシーが見え隠れするように感じるのは俺だけだろうか。ある世代にとって彼女が一種のヒロインだということは、わかる。「世界的に著名な日本人女性」という意味ではヨーコ・オノに次ぐ人物かもしれんから、ビッグ・ニュースには違いないんだろう。でも、連行されながら拳を突き上げてる写真、扱いがデカすぎないか。あれほど醜悪なガッツポーズを、俺は他に知らないぞ。



11月8日(水)12:30 p.m.
BGM/ John Coltrane "Blue Train"

 幼稚園の入園料を納めた。3年分の施設使用料(空港かここは)なるものを含めて13万円。高い。痛い。辛い。早くも教育費ってもんの重さに音を上げているのであった。それにしても施設使用料って何だ。アンケートのことといい、「試験ではない」と言いながら子供を試すような場面が散見された面接といい、料金のことといい、いちゃもんをつけたい点は山ほどあるのだが、カネ払ってるのに強い態度に出られないのは、「ユーザー」が親ではなくセガレだからである。親が文句つけて子供が辛い立場になるのは気の毒だ。教育産業って、子供を人質にとって親を言いなりにさせてないか。「保護者の会合」で何をさせられるのか、今からユーウツである。

*

 ゆうべ「プレミアリーグ・ハイライト」を見ていたら、パヌッチがチェルシーで先発していた。日曜日に飲んだ際の、「どっかに移籍したはず」という発言は間違いでした。すみません。ところでガスコインはまた怪我をしちまったらしい。また半年ぐらい休んで、来季は別のチームにいるんだろうか。へんなひと。

*

 ゴッドハンド旧石器捏造事件が、教科書業界を揺さぶっているらしい。ああいうニュースは、人間臭くて俺は好きだ。「なんか見つけなきゃ食っていけない」となれば、そりゃあ人間、何だってやるさ。「何もせんでも安定収入」の学者や記者は、「食えなくなることの恐怖」に鈍感だからいけない。だいたい、ここ掘れワンワンじゃあるまいし、誰かもっと早く気づけよ。新聞を読むかぎりでは、ゴッドハンドの活躍に疑問を呈する学者は昔からいたのに、メディアも学界も相手にしなかったそうじゃないか。そんなあやふやな「発見」に基づく知見を教科書に掲載していた側の迂闊さは糾弾されないわけ? 新聞は反省しないの? 一面で大々的に報じて、正義漢ヅラしてる場合じゃないんじゃないのか朝日新聞。サンゴにKYって書いたの誰だよ。



11月7日(火)15:00 p.m.
BGM/ Tania Maria "The Real Tania Maria : WILD ! "

 昨夜は、ラス・パルマス×バルセロナ(リーガ第9節)を観戦。ラス・パルマスは初めて見た。チーム名に「ラス」はまずいんじゃないだろうか。バルサのほうは、驚いたことにオランダ人ゼロの布陣。リバウド、シモン、プティ以外は全員スペイン人である。0-1でバルサの勝ち。土壇場のCLを踏まえた省エネ作戦か。他力本願で、ミランに勝利ボーナスを払うという噂もあるが、リーズは好調だしミランは不調なので、あまり期待できそうにない。


似てる人シリーズ

#126 フィオレンティーナのヌーノ・ゴメスと高見知佳。
#127 バルセロナのシャビと千田光雄。



11月6日(月)

 前日、友人Mと4時まで深酒したため、今日は終日、死に。久々の二日酔いである。まとわりついてくるセガレを、「とーさんは今日ビョーキだから遊べないのだ」と払いのけながら、リーズ×リバプール(プレミア第12節)など昼間からダラダラと観戦。ビドゥカの4ゴール(!)でリーズが4-3の逆転勝ちであった。ビドゥカ、実は大物だったのか。からだを1回転させてディフェンダーを置き去りにしたシーンは圧巻だった。



11月5日(日)

 昨夜は、フィオレンティーナ×ペルージャ(セリエA第5節)をライブ観戦。プレミア・テイストな殴り合いは、3-4でペルージャの勝ち。負けたとはいえ、土臭い闘争心(なんだそりゃ)を剥き出しにしたフィオのがむしゃらな戦いぶりは、それなりに魅力的でもある。でもホームで4点も取られちゃダメだ。

 午前中、ラツィオ×ボローニャ(セリエA第5節)をビデオ観戦。中2日で好調ボローニャを迎えるのはやや不安であったが、ボローニャは思いのほか志が低く、2-0の楽勝であった。ピオホ欠場でチャンスをもらったサラスがいい。ネドベドの先制点をアシストしたときのタテへの突破はド迫力。インテル入りの噂が絶えないが、やはり彼には残っていてほしい。俺がラツィオを応援し始めたときからの選手って、守備陣を除くと、サラスとネドベドとスタンコビッチぐらいしかいないもんなぁ。

*

 夜は、O一家、Y夫妻、Mを招いてアジア杯祝勝会。メニューは、ムール貝入りカポナータ、じゃがバタ、スパゲティ・プッタネスカ、烏賊の一夜干し、リガトーニのゴルゴンゾーラ・ソース、スペアリブの赤ワイン煮。中途半端なイタリアン系居酒屋みたいである。

 深夜、中田が先発したブレシア×ローマ(セリエA第5節)を観戦。2-4でローマが逆転勝ちしたものの、中田は後半30分で引っ込められていた。この試合展開で途中交代はまずいよなぁ。中田ファンのY夫人は、「この家で観戦するとロクなことがない」と呟きつつ、またしても肩を落として帰宅。

 その後、Mと飲み続けながらヌマンシア×レアル・マドリー(リーガ第9節)を見る。前節のバルサ戦をロスタイムでドローに持ち込んだヌマンシアは、堂々たる戦いぶり。なんと3-1でマドリーを下してしまった。好調そうに見えたマドリーだが、マジョルカ戦に続く連敗である。ちなみにMはマドリー好き。どうも我が家のテレビでは、客の応援するチームや選手が結果を出せないようである。



11月4日(土)

 午後から小金井の実家へ。親父は前日、銀座まで行ってジャイアンツの優勝パレードを見てきたらしい。さすがに60年も巨人ファンをやってきた人は愛の深さが違うなぁ、と妙に感心。少し羨ましくもあった。「これ買ってきたから、やる」と言われて手渡された紙袋には、ジャビットのフェイスタオルと長嶋胴上げの写真をあしらった下敷きが入っていた。下敷きって、久しぶりに見た。セガレに使わせようかどうしようか、いささか迷っている。



11月3日(金)

 来春からセガレが通う幼稚園で、園長先生と面接。べつに「お受験」でも何でもなく、単なる顔合わせにすぎないのであるが、少しばかり緊張した。どうも、ああいう場面で「わたし」という一人称が口から出てこない。つい「ぼく」と言ってしまい、親らしくないなぁと自嘲する。そういえば昔、社員研修やコンサルティングの仕事をしている友人から、新人研修では自分のことを「わたし」と言えるようにするのが重要課題の一つ、と聞かされたことがあった。36にもなって「ぼく」と言ってるようじゃ、世間では通用しないのである。でも、「わたし」って自分のことを言ってるような気がしない。

 ところで、面接前の待ち時間に書かされたアンケートに、こんな項目があった。

 ●保護者の参加する会合について
  1.積極的に参加したい
  2.他人の集まりに入るのは苦手なので参加したくない

 選択肢はこの2つだけである。困ったちゃんだなぁ。これで「2」に丸つける人っているんでしょうか。せめて「3.その他」を用意しとけば少しはマシだが、それにしたって「参加したい」にかかる副詞が「積極的に」だけで、「参加したくない」の理由が「他人の集まりに入るのは苦手なので」に限定されているのはあまりにも乱暴である。しかしまあ、世の中のアンケートには多少なりともこの手の暴力が潜んでいるような気もするのであった。キカイの取説にぴたりと当てはまる症例が載っていないのと同じように、アンケートの設問も必ずどこか自分の考えとズレているのである。お仕着せの「最大公約数」に自分を押し込むときに生じるストレスが、イヤだ。選択式のアンケートに答えていると、自分自身に不本意なレッテルをべたべた貼り付けているような気分になる。ちなみに俺は、「1」に丸をつけた。「会合に積極的な、やる気満々の保護者」というレッテルを自らに貼り付けたのである。もう逃げられない。なるほど、つまりこれは逃げられないようにするために用意された罠なのであるか。もしかすると、子を持つ親の前には、こういう類の罠があちこちに仕掛けられているのかもしれない。



11月2日(木)14:10 p.m.
BGM/ "The Best Of Swing Out Sister"

 ラツィオ×ブレシア(セリエA第4節)をライブ観戦。序盤にPKで先制を許したものの、シモーネ君の2ゴールで何とか逆転勝ちしたのであった。負傷退場のピオホに代わって途中出場のシモーネ君、早くも4得点で、なんとゴールランキング首位に躍り出たようである。しかし2ゴールとはいっても、1点目はたぶん蹴る予定ではなかったPKを「俺が蹴る」と主張してゲット。2点目はラバネッリのシュートにゴール前でちょこっと触って自分のゴールにしたもので、どちらも「かっさらった」得点であった。「俺だ俺だ、俺のゴールだ!」と拳を突き上げるシモーネ君をよそに、ラバネッリに駆け寄るチームメイトたち。兄弟そろって、チーム内に敵ばかり作りそうな雰囲気であるなぁ。なんでこんなに似てるんだ、こいつら。性格も能力も兄と正反対(似てるのは顔と声だけ)の俺には、とっても不思議に思える。それはともかく、バッジョ抜きのブレシアにこの苦戦(勝ち越しは79分)はまずい。クレスポはまるで動けてないし、ピオホは2〜3ヶ月かかりそうだというし、ヴェーロンはミスパス多すぎるしで、前途は暗いのであった。好材料は、体が締まってキレを取り戻したラバネッリが意外に使えそうなことぐらいか。あと、センシーニを出してディノ・バッジョを獲得したとのことだが、どれだけやれるんだ? 昨季はパルマで退場になるシーンばかり目に焼き付いているのだけれど。

 ところでこの試合、コメンタリーは前節から結成された水沼&柱谷兄コンビであった。アナウンサーはなし。あまりに中継が多すぎるから、ひょっとするとアナウンサー払底による緊急避難かもしれんが、これはなかなか悪くない。なぜなら静かだから。たまに「ラツィオのセンターバックは不安だよねー」「そうだねー」という具合に、茶の間で観戦してるような雰囲気でぼそぼそ喋るのが、控えめでいい。でも前から思っているのだが、水沼さんって、どうしてあんなに小声でコソコソ喋るんだろうか。プレイスタイルもそんな感じだったのか。ともあれ、これを聞いていると、アナウンサーってほんとに必要なのか疑問になる。たとえばアジア杯の中継で、NHKのアナウンサーがめちゃくちゃ鬱陶しかったのは俺(と愚妻)だけ? だって、いちいち「日本が攻め込まれている原因は?」とか「流れを変えるにはどうしたらいいんでしょうか」とか「この交代の意図は?」とか「今のは?」とか、原さんに質問ばっかりしてうるさいんだもん。視聴者はサッカーの勉強したくて見てるんじゃないんだからさ。それに、原さんは放っておいたって、思いついたこと喋ってくれるってば。喋るの好きなんだから。だいたい、「今のは?」って何だよ。アジア杯といえば、スタジオの長谷川健太もかなりの困ったちゃんだった。いい加減、現地音声とのタイムラグやスロー再生を止めてもらうタイミングに慣れてほしい。要領悪すぎてイライラする。あんなに「間合い」を読むセンスがなくて、よくフォワードなんかやってられたもんだ。それと、山本アナとそんなに見つめ合わなくてよろしい。ドキドキしちゃうじゃないか。あとで金田さんが解説だったと知り、決勝をTBSで見なかったことを猛烈に後悔したわれわれ夫婦であった。



11月1日(水)10:30 a.m.
BGM/Chick Corea Elektric Band "Light Years"

 おっとっと。エリクソン、来年7月からイングランド代表監督を引き受けるつもりらしい。あんまり得な役回りとは思えないが、大丈夫なのか。んで、ラツィオの後任監督はてっきり内部昇格でマンチーニだとばかり思っていたのであるが、なんとリッピやベンゲルの名前が浮上しているとか。うーむ。リッピは愚妻が大嫌いなので困るなぁ。ベンゲルも、試合の解説に田中孝司が「先日も向こうでお世話になったんですけどねー」とか何とか言いながらしゃしゃり出てきそうな気がしてイヤだ。どうせならアルゼンチン人監督って手はないのか。でもやっぱりマンチーニがいいなぁ。とりあえず弱くなると思うけど、俺は見たいぞマンチーニ監督。ところで、そのラツィオが日本代表と対戦したがっているらしい。いいねー、いいねー。受けなさい。是が非でも受けなさい。ただしカウンターの練習してから試合してね。穴はパンカロ(もしくはファバッリ)が上がったときの左サイドだ。いまのミハイロなら高原でも勝負になる。

*

 書き忘れていたが、日曜日にイタリア代表×セリエA外国人選抜(イタリア聖年記念試合)なるものを見た。ローマ法王の80歳と西暦2000年を祝って、ということらしい。場所はオリンピコ、外国人選抜の監督はエリクソンとカペッロである。呉越同舟。法王は、初めてのサッカー観戦なんだとか。しかしゲームのほうは、法王を居眠りさせるに十分な展開でスコアレスドロー。ま、あれだけ大勢の選手を取っ替え引っ替え使って25分ハーフでは無理もない。みんな、終了後に法王に会って手にキスするのが目的みたいだった。前日にプレミアの試合があったゾラが召集されていて、ご苦労なことだなぁと思っていたのだが、たぶん本人が望んでのことなのであろう。とくに南米の連中のほうが舞い上がっているようで、カフーやコルドバは奥さんや子供まで連れて法王に会わせていた。クリスチャンでない俺にはよく判らないが、みんな法王が好きなのだ。そういえば昔、観光のついでにバチカンで法王のスピーチを聞いたことがあったが、広場に集まった人たち、みんな興奮してたもんなー。スーパースターなんだな、と思った記憶がある。ちなみに、この試合で最大の決定機を作った自称「無神論者」の中田も、照れくさそうに法王の手を捧げ持ってチュッとやっていた。あんなこと、生まれて初めてやったんじゃないだろうか。日本の葬式に参列して、見よう見まねで焼香している外国人のようだった。それも経験、これも経験である。



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