|Home|投稿欄|バックナンバー|98-99総括|CL観戦記|W杯98|似てる人|リンク集|読書日誌(11/16更新)|BIP|


江戸川駄筆のサッカー日誌
2000-2001/第12節

→ 続きはこちらのページへ!

12月2日(土)

 ゆうべ、ワヤなことになったと評判のレッジーナ×ブレシア(セリエA第8節)を見た。バッジョの3アシストで0-3。とくに素晴らしかったのは、3点目である。左サイドでボールを持ったバッジョが2人のマーカーをひらりと交わしてゴールライン際までえぐり、右足アウトサイドで華麗なクロスを放り込むと、これをエスポジトがやや戻りながらの難しいヘディングで叩きこんだのであった。びゅーちふる。んで、この3点目でレッジーナ・サポーターがキレたのである。客席の椅子を壊してグラウンドに放り込む連中のあいだを、2人の子供の手を引いた父親が逃げまどう。上空には警察のヘリが飛び、ズボンとパンツを下ろして警官にケツの穴を見せてる奴もいた(ただしケツの穴は見えなかった)。ま、どう見たって試合なんか続けられるわけがなく、86分で中止。どうでもいいが、どうしてこういう試合にかぎってコッリーナさんが笛を吹いているんだろうか。



12月1日(金)13:20 p.m.
BGM/ Chick Corea & Origin "change"

 今世紀最後の師走である。来月からは、「今世紀」というと21世紀のことになるわけだな、などと当たり前のことに感慨を抱いたりもするのであった。今やってる仕事は、あと1ヶ月すると「前世紀の仕事」になるわけだ。だから何だというわけではない。しかし、だから何だというわけではないからこそ、そういう区切りに何の意味があるのかよく判らない。よく判らないが、ふと、自分の人生は20世紀と21世紀と、どっちが長くなるんだろう、と考えてしまった。今36だから、平均寿命を考えるとけっこう微妙なところである。人生の折り返し地点が世紀の節目に重なるあたりが、この世代の中途半端なところなのかもしれない。「20世紀の人」にも「21世紀の人」にもなれないような気がする。

*

 英国政府が、ジャック・ストロー内相が提案していた英国代表(イングランド、スコットランド、北アイルランド、ウェールズ)の結成を拒否したんだとか。ふーん。政府が決めることなんですね。もっとも、国民レベルでも猛反発の声が上がっていたらしいけど。「別々にやってるから強くならない」というのが提案の理由だったようだが、イングランド代表が弱い原因はそーゆーことじゃないと思うぞ。だいたい英国代表ったって、今のイングランド代表+ギグスになる程度の話なんじゃないだろうか。あ、つまりジャック・ストロー内相の本音は「左サイドにギグスを置きたい」ってことだったのかしら。

*

 ローマ×フィオレンティーナ(セリエA第8節)を途中から観戦。懸命に守っていたフィオだったが、結局は「バティのいるほうが勝ち」という判りやすい結末になってしまった。つえーなー、ローマ。誰か止めてくれ。8戦で7勝って、そんな殺生な。次々節のローマダービーも、勝てる気がしない。それにしても、バティ一人でこんなに強くなるものなのか。やはりサッカーはスーパーなストライカーがいれば何とかなるもんなのか。いやいや、そんなに甘いもんじゃあるまい。きっと、今だけだ。そうに決まってる。「冬のチャンピオン」だけで終わるに違いない、と思いたい。そう、2年前のフィオと同じように。



11月30日(木)11:00 a.m.
BGM/ Sonny Rollins "This is what I do"

 ゆうべ、風呂場でセガレに「レモンはなぜ酸っぱいの?」と質問された。えーい、めんどくせーなー。よく考えずに「ビタミンCがたくさん入ってるからだ」と答えた。俺、もしかしてウソをついてしまったのだろうか。わからん。答えてから、ビタミンCがなぜ酸っぱいのかと訊かれたらどうしようと身構えたのだが、セガレの次なる質問は「ビタミンCって何?」だった。「ビタミンCってのは栄養素の一つで、これをちゃんと取ってると副腎皮質ホルモンが活性化されて免疫力が高まるから、風邪を引いたりしなくなるのだ」と答えた。えっへん。たまたま、このあいだ口述取材で勉強したばかりなのである。しばらく黙って父親の顔を見つめていたセガレは、一言、「そんなの、意味わかんないよ」と言った。

*

 ダービー×マンチェスターU(プレミア第15節)は、シェリンガム、バット、ヨークのゴールで0-3。前節、やっと今季初白星をあげたダービーにちょっぴり期待してはいたのだが、ま、そんなもんだろう。コール&スタムが長期離脱、さらにベッカム&ギグスを休ませても、この強さ。何とかならんのか。シェリンガム、調子良すぎ。狂い咲きのように当たりまくっている。ベッカムの代わりに右サイドを担当していたのは、チャドウィックとかいう若造であった。育ちの悪そうなガキには事欠かないプレミアの中でも、こいつは極めつけに人相が悪い。「食べ方とか、すごい汚なそう」とは愚妻の弁。まあまあ、そこまで言わんでも。

 バルセロナ×オサスナ(リーガ第12節)を観戦。バルサはまだセラ・フェレールが指揮を執っている。ガスパールは意外に辛抱強い。なぜかリバウド抜きで臨んだ前半は0-0。同じオランダ人同士のくせに、クライファートとオフェルマルスの息がまるで合っていない。そら、オランダ代表も勝てんわな。初めて見る現在最下位のオサスナは、カウンターからそれなりに決定機を作っていた。先制してもおかしくなかった。しょうがないのでリバウドを投入した後半もバルサは攻めあぐねていたが、68分、ジェラールのスルーパスを受けたクライファートが先制ゴール。彼のゴールって、ものすごく久しぶりに見たような気がする。途中で寝てしまったのだが、どうやらロスタイムにセルジがゴールして2-0で終わったらしい。


似てる人シリーズ

#129 マンUのシェリンガムと『危険な情事』のグレン・クロース。
#130 マンUのフォーチュンとミランのGKジーダとモハメッド・アリ。



11月29日(水)14:00 p.m.
BGM/ U-sen B-25ch Weekly Artist Selection "ABBA"

 ゆうべ、風呂場でセガレに「電気はどうして光るの?」と質問された。げ。わからん。そもそも電気って何なのか、光って何なのかが、わからないのである。困るなぁ。むろん、「光らないと、夜、暗くて何も見えないだろ」とか「目立ちたがり屋さんだから」とか、本質に背を向けた(文学的な)答え方がないわけではない。しかし、それではイカンと俺は思うのである。しょうがないので、「どうしてだろうねぇ。そのうち学校で習うから、そしたら父さんにも教えておくれ」と言ったのだが、理系の父親なら何と説明するんだろうか。誰か教えてください。電気って何ですか。どうして光るんですか。

*

 ボカ・ジュニオルス×レアル・マドリー(トヨタカップ)を観戦。「メラー・パス」「ラウール・マドリード」「母国対王国」など、さまざまな「鼻白みワード」を提供してきた日テレ式トヨタカップ中継、今年のキーワードは「マラドーナの再来」であった。「……と呼ばれている」って、いったい誰がリケルメをそう呼んでいるのか。越後&明石家も暗に「比較にならん」って言ってたし。少なくとも、アルゼンチン人は絶対そんなこと言わないと思う。わかんないけど。言うのかな。だけど、そもそも「○○の再来」っていうときの「再来」って、死んだ人が別の姿で生まれ変わるっていう意味じゃないのかなぁ。いっぺん去らなきゃ、再び来ることはできないわけで。マラドーナ、たぶん、まだ生きてるぞ。「辛うじて」かもしれないが、死んではいないと思う。まぁ、実況担当がゴルゴル28(もっと多かったっけ?)こと船越じゃなかったことが救いではあったけれど。試合のほうは、ばかづきパレルモが6分で2ゴールを決めて、2-1。すでに欧州移籍が噂されるパレルモだが、これで価格高騰するんだろうか。マドリーのほうは、ラウールがゲームに集中できていなかった感じ。フィーゴは試合後、審判に何をぶつぶつ文句つけてたんだろうか。

 マジョルカ×ビジャレアル(リーガ第12節)をビデオ観戦。2-1でマジョルカの逆転勝ち。終盤、ビジャレアルが同点PKのチャンスをもらったかに見えたが、線審に確認した後でダイブの判定になった。審判がこれほどあからさまに判定を覆すシーンを、初めて見たような気がする。ま、あれぐらいハッキリしてりゃ、誰も文句は言わないか。ところで、最初の誤審でイエローを食らったマジョルカの選手、ちゃんと取り消してもらったんだろうか。心配だ。



11月28日(火)12:15 p.m.
BGM/ Keith Jarrett "My Song"

 きのう帰宅したら、部屋の隅にクリスマスツリーが登場していた。愚妻とセガレが一緒に飾り付けたらしい。電飾やサンタのおじさん等に混じって、セガレのコレクションである円谷プロ系の怪獣指人形(1個90円)もちりばめられており、なかなかのオリジナリティ。少なくともポケモンよりは独自性がある。レッドキングとかシーボーズとかペギラとかダダとかクレージーゴンとか、キリスト教徒が見たら腰抜かすかも。てっぺんにはゴドラ星人が君臨していた。ゴドラ星人って、ちょっとセミっぽい。そろそろ<クリスマス=サンタ=プレゼント>という図式を理解し始めたセガレには、すでに「クリスマスまで良い子にしていたらサンタさんがプレゼント持ってくるぞ」と言い含めてある。気がついたら、そうやって世間並みのウソをついていた。まぁ、なんちゅうか、これも親にとっての通過儀礼みたいなもんだろうか。風呂に浸かりながら、セガレにプレゼントは何が欲しいのかと訊くと、「地球防衛軍の基地」と答えた。がんばって地球の平和を守ってほしい。

*

 ラ・コルーニャ×セルタ(リーガ第12節)を観戦。ふだんは娯楽性あふれるプレイを見せてくれる両チームだが、やはりダービーとなるとリアリズムが頭をもたげてくるのか、お互い相手にサッカーをさせない窮屈な試合展開。前半は0-0で、華のない内容のまま終わりそうな気配も漂っていた。しかし、そんな空気を一掃したのが、後半12分頃から出場したジャウミーニャである。さすが「ヘンなことをする」が(たぶん)モットーだけあって、「It's show time ! 」とばかりに、ラボーナでのスルーパス、ノールックのヒールパスなど、非紋切り型プレイの連発。そして後半35分、ディエゴ・トリスタンがペナルティ・エリア右サイドのスペースに出したボールに反応したジャウミーニャは、ワンタッチの切り返しでディフェンダーを振り切るやいなや、返す刀で左足のシュートを放ち、これがドリーミーな弧を描いてゴールネットに吸い込まれていったのであった。こういう記憶に焼きついて離れないようなスーパーゴールを、久しぶりに見たような気がする。これ一発だけで、退屈な90分を許すことができた。このまま、1-0でデポルの勝ち。終盤にマカーイの惜しいシュートなどもあったが、入ってたら「蛇足」にしかならなかったと思う。このゲームはあの1点で勝つのがもっとも美しい結末だったといえよう。



11月27日(月)14:30 p.m.
BGM/ Pat Metheny Group "STILL life(talking)"

 くっそお。審判に試合を盗まれた。パルマ×ラツィオ(セリエA第8節)は2-0でパルマ。ラバネッリの豪快なダイビングヘッドによる同点ゴールは、プレイに関係していなかったクレスポがオフサイド取られて認められず、フゼールは完全無欠のシミュレーションだったのにコウトが2枚目のイエローで退場させられた。頭に来る。しかしまあ、コンセイソンとアルメイダのいるパルマはさすがに強いなぁ。クレスポとディノ・バッジョのいるラツィオは弱いなぁ。どっちがチャンピオン・チームかわからない戦いぶりだった。まだ結論は早すぎるが、今季の補強、大失敗。先制点を決めたコンセイソンは、思い切り溜飲が下がったに違いない。エリクソンのイングランド行きは、いよいよ前倒しか。やっぱ監督が次の就職先を決めちゃいけないんだと思う。

 リーズ×アーセナル(プレミア第15節)は1-0でリーズ。最近シーマンの姿が見えないので好感度が高まったこと、ユナイテッドの独走を許したくないことなどあってアーセナルに肩入れしているのであるが、あかんかった。



11月26日(日)

 昨晩は、エバートン×チェルシー(プレミア第15節)をライブ観戦。前半はプレミアにあるまじきモタモタした展開であった。ハーフタイム直前、19歳のイタリア人MFダ・ラ・ボーナのゴールでチェルシーが先制。ところが後半、急に出来がよくなったエバートンに、あっさり逆転されちまいやがった。さすがの勝負弱さで、2-1。フロをスコットランドに放出したらしいが、そんなことしてる場合なのか。

 まさに「決勝戦」となった鹿島×柏(J1最終節)はスコアレスドローで鹿島が優勝。レイソルは通算勝ち点1位にもかかわらず、年間「3位」の扱いになるんだそうな。非常識な話である。せめて三つ巴の決定戦にできないものか。五輪の野球やソフトや大リーグなんかもそうだが、「総当たりのリーグ戦の後にプレーオフ」という仕組みを俺は絶対に認めたくない。総当たりのリーグ戦で最高の成績を上げた者がチャンピオンに決まってるじゃないか。



11月25日(土)

 どうやらラツィオ×リーズ戦がデジタルWOWOWでしか見られないようなので、「毒を食らわば皿まで」と半ばヤケクソな気分でラオックスへ。しかし、BSデジタルチューナーは10万円もするのであった。知らなかった。3万ぐらいで売れよ。そんな大枚はたいてラツィオが負けたらバカバカしいので、断念して帰る。WOWOWめ。アナログWOWOWでも再放送しろよ、この野郎。



11月24日(金)

 赤プリで終日口述取材。帰宅後、スパルタク・モスクワ×アーセナル(CL2次リーグ第1節)を見る。滅茶苦茶なピッチで見事にボールをコントロールしたモスクワが4-1でアーセナルを粉砕。この手の圧倒的な「ホームの利」がCLの醍醐味ではある。カヌが寒そうで気の毒だった。そんなことより、ラツィオがアンデルレヒトごときに負けやがった。ばか。



11月23日(木)

 赤プリで終日口述取材。夜、ほぼ半年ぶりに雑誌のアンカー作業。どんどん、短い原稿が苦手になっている。たった2ページ分、わずか3000字を書くのに5時間ぐらいかかってしまった。プロのスピードじゃないな、こりゃ。先日、ある女性週刊誌のアンカーマンをやらないかというオファーがあったのだが、断ってよかった。ぜったい、できない。



11月22日(水)

 赤プリで終日口述取材。帰宅後、ミラン×ガラタサライ(CL2次リーグ第1節)を見る。ガラタサライが前半0-2とリードしたものの、終わってみれば2-2のドロー。なんとなく、ハジって、あと10年たってもまだガラタサライにいそうな気がする。



11月21日(火)15:45 p.m.
BGM/ Fleetwood Mac "Rumours"

 きのうは、朝寝坊した上に雨が降っていたので、なんとなく仕事場へ行く気にならず、昼間からトッテナム×リバプールの続きやマンチェスター・ダービーなどダラダラ見ながら過ごす。ライターは気楽な稼業ときたもんだ。トッテナムはあのまま2-1で勝ち、ユナイテッドがシティを1-0で下していた。シティ、ジョージ・ウェアが残ってりゃ2点ぐらい取れたような気もするんだけどなぁ。

 夜、サラゴサ×バルセロナ(リーガ第11節)を観戦。なんと、3-0でサラゴサの勝ちである。バルサ、大崩壊。なんか、あの人たちって毎年崩壊してるような気がする。プティのバックパスをGKアルナウが処理し損ねて失点した2点目が致命傷だった。ドゥトゥルエルもミス連発で失格、アルナウもダメで、これからGKどうすんだ。どうせなら究極のオールマイティ、ミスター便利屋のコクーにやらせてみてはどうか。意外にやれるかも。しかしまあ、だからヘスプを手放しちゃいかんと言ったのになぁ。誰に言ったんだかよくわからんが。

*

 すったもんだの末にお公家集団の加藤派が分裂して、内閣不信任案は否決。意気地がないのう。ま、あんな駆け引きベタに首相として外交が務まるわけはないから、しょせん「器じゃない」ってことか。手下に「あんた大将なんだから」と肩叩かれてめそめそ泣いてるようじゃダメだ。壇上からコップの水ぶっかけた松浪健四郎が直後に見せた「やってもうた」の表情が、人間臭くておかしかった。余計なところで余計なことしちゃう奴って、おかしい。ただの通行人Aがすっ転んでNGになったドラマの撮影、みたいなものか。そういや主役も「ドラマの始まり」だって言ってたな。茶番もまたドラマ、なのか。



11月20日(月)

 ゆうべは、ブレシア×ユベントス(セリエA第7節)をライブ観戦。スコアレスドロー。いつも日曜の晩は3〜4試合同時に生中継していて、どれを見るか迷うのだが、どうもいちばん退屈なゲームを選んでいるような気がしてならない。バッジョはいつになったらゴールを見せてくれるのか。あのチームでトップ下やってても、あんまり意味がないような気がする。ディフェンスばっかしてるんだもん。むしろヒュブナーと2人でトップに張って、イタリアン風味の華麗な速攻(フランスW杯で見せたようなやつ)を見せて貰いたい。

 その後、トッテナム×リバプール(プレミア第14節)をライブ観戦。こちらは派手な点の取り合いであった。このところ、セリエがプレミアの引き立て役になっている感がある。相変わらず、走ること走ること。マーフィが絶妙なトラップで落としたボールを、ファウラーが決めてリバプール先制。しかしスピード&パワー十分のサイド攻撃を仕掛けるトッテナムの出来が素晴らしく、ファーディナンドとシャーウッドのゴールで逆転してしまった。最後まで見届けたかったが、2日続きの酒が堪えて、2-1となった前半だけ見て、寝る。



11月19日(日)

 ラツィオ×ミラン(セリエA第7節)をビデオ観戦。開始早々、ディノ・バッジョのキャノンボール・シュートが炸裂してラツィオ先制。距離といい威力といい、度肝を抜かれるようなスーパーゴールであった。彼、これでラツィアーレのハートをグッとつかんだと思う。しかし後半、シェフチェンコにしてやられて1-1のドロー。毎週毎週、積み立て貯蓄みたいにコツコツ点取るやっちゃのう。料理しながらだったのでよく見ていないが、やっぱベーロン不在が痛かったのか。ユーベ、ミランとの連戦で勝ち点2は、かなり物足りない。

 夕刻より、愚妻の友人Pさん、Rさん夫妻が来訪。Pさんと愚妻はかつて後援会に入っていたほどのファンなので、曙の優勝で大いに盛り上がる。メニューは、鶏とキノコのサラダ、あさりのトマト煮、プッタネスカ、ゴルゴンゾーラのリガトーニ、豚ロースの赤ワイン煮。前菜以外は、2週間前とほぼ同じである。どうもレパートリーが増えない。こんどは中華にでもチャレンジしてみるか。



11月18日(土)

 サッカー好きの若手編集者H氏がロンドンで買ってきたというビデオを拝借して鑑賞。古今東西の「オウンゴール」を集めた残酷かつ意地の悪い企画モノである。のっけから、めちゃ笑わせてくれた。白黒だからかなり古い試合だと思われる。GKがサイドスローでフィードしようとしたのだが、ボールが手にくっついてリリースが遅れ、彼はそのままボールを後ろのゴールに放り込んでしまったのである。ゴールにボールを投げ入れた選手って、彼が最初で最後かも。そこから始まって、あらゆるパターンのオウンゴールが紹介されるこのビデオには、人間の哀しさがぎっしりと詰まっていた。かつてオウンゴールは「自殺点」と呼ばれていて、陰惨なイメージが嫌われてその呼称は使われなくなったようだが、これは意味の上でも間違っていると思う。オウンゴールは自殺点ではなく、「自滅点」だ。自殺は本人の意思によるものだが、自ら好き好んで自滅する奴はいない。もっとも、中には「死の欲動」に突き動かされたとしか思えないオウンゴールもあるけれど。

*

 夜、友人Mと連れだって、W大アンサンブルR第31回リサイタル(光が丘IMAホール)を鑑賞。俺もMもこのサークルのOBである。存続の危機を乗り越えて開催にこぎつけたということもあって、久しぶりに足を運んでみる気になった。初めて大江戸線なる地下鉄に乗って行った光が丘は遠かった。演奏は、思ったより上手だった。でも、聴いていると、どういうわけか物凄く疲れる。ぐったりしてしまうほど疲れる。15年前に自分がそこで感じていたあれやこれやが、肩にずっしりとのしかかってくるからだろうか。プログラムの最後は、WRのバードランドだった。よりによって、いちばん難しそうな「8:30」バージョンだった。オリジナル・バージョンか、あるいはメイナード・ファーガソン版でやったほうが、ノリやすかったんじゃないかと思う。4年生演奏では、フルート、ドラム、ベース、キーボードの4人でスペインをやっていた。こちらはライト・アズ・ア・フェザーの正調版。せっかくフルバンドが揃ってるんだからアレンジすりゃいいのに、とも思ったが、まあ、「一度やってみたかった」ってやつなんだろう。とても上手だった。でも、お行儀がよすぎて面白くない。デタラメな選手がいない少年サッカーの強豪チームみたいな感じ、かな。……というのは、デタラメだった自分へのエクスキューズでしかないのだが。やっぱり、上手い奴はえらいし、かっこいい。俺も楽器が上手くなりたかった。Mと新宿で2時半まで飲んで帰宅。



11月17日(金)

 ブラジル×コロンビア(W杯南米予選第10節)を観戦。たった2試合で得点王(7ゴール)のロマーリオは故障と称して「や」の字。弱小国(ボリビアとベネズエラ)相手のときだけ出てくるあたりが狡い。この試合では代わってエジムンドが呼ばれていた。9試合で6失点と、らしくない堅守を誇るコロンビアを後半ロスタイムまで崩せず、新監督レオンいきなり卒倒かと思われたが、タイムアップ寸前のラストプレイでCKから決勝点をゲット。なんとか勝ち点3をモノにしたが、あかんなぁ、ブラジル。2002年に誰が監督やってるのか、見当もつかない。

 チリ×アルゼンチン(W杯南米予選第10節)は0-2でアルゼンチン。このカードって、もしかしたら世界一長髪率が高いかも。シメオネの代わりにアルメイダ、ボナーノの代わりにブルゴスなんかが出てると、なおさら長髪感が強い。バティもピオホもクレスポも不在で誰がトップに入るのかと思ったら、ボローニャのクルスが呼ばれていた。いきなり決定機を外して意気消沈したまま試合を終えていた。あの3人がいないと急に格が落ちるのね。どうせならサビオラ君とか使えばいいのに。そんなことより、この試合でベーロンが故障。復帰まで4週間ぐらいかかるとか。困るなぁ。



11月16日(木)13:10 p.m.
BGM/ Keith Jarrett "The Koln Concert"

 今朝、子供番組の流れでつけっぱなしになっていた教育テレビの「たったひとつの地球」という番組を横目で見ていたら、どこぞの小学生たちが、池だか沼だかの「生き物調査」みたいなことをやっていた。どうやら近所の池だか沼だかの周囲にコンクリート工事が施された結果、池だか沼だかに住んでいる生き物が減った、ということが言いたいらしい。

 彼らはまず、前年(つまり工事前)にカウントした「生き物の数」を表組にして発表した。メダカ何十匹、ドジョウ何十匹、カメ何匹、アメンボ何匹、といった細かい数字が大きな模造紙に書き込まれている。その数字がどれだけ正確なものなのかという問題はあるが、それはまあ、よろしい。困ったちゃんなのは、その次である。司会の清水国明が「で、今年(つまり工事後)はどうなりました?」と訊くと、彼らの代表らしき生徒は「減りました」と答えた。そうか、減ったか。で、どれぐらい減ったんだ?と思って見ていたのだが、待てど暮らせど今年の数字は出てこない。ただ「減りました」と言うだけである。おいおい。じゃあ、さっき示した去年の数字には何の意味があったんだよ。

 いったい、このクラスの担任教師は科学的実証の方法論についてどういう指導をしておるのだ。イヤだなぁ。番組と教師と小学生たちが共有している「予断」がイヤだ。たぶん、数えてみたら減ったのは減ったけれど、統計上有意といえるほどの劇的な差は生じていなかったんだろう。中には、増えている生き物さえあったかもしれない。なにしろ去年の調査では、カメは「1匹」だったのだから。2匹見つかりゃ、倍増だ。ともあれ、数字を発表したくなるほどには減っていなかったのは間違いないと思われる。

 それでも彼らは「工事によって生き物が減った」と主張し、「環境破壊=生物減少」という結論を導き出そうとするのであった。乱暴である。これぞ「予断という名の暴力」である。仮に去年より今年のほうが生き物が少なかったとしたって、その原因がコンクリート工事だと特定するためには、かなり多くの手続きが必要になるはずだ。自然減があるかもしれない。誰かが持ち去ったのかもしれない。伝染病が蔓延したのかもしれない。去年の数え方が間違っていたのかもしれない。教育とは、そういう物事の考え方を教えることではないのか。予断に基づいた調査・研究手法を身につけた彼ら小学生が、将来、第2のゴッドハンドにならないことを祈るばかりである。

*

 昨夜は、マンチェスターU×ミドルスブラ(プレミア第14節)を観戦。ボロはユナイテッド戦になると頑張る印象があるので期待していたが、のっけから圧倒されまくって息ができない状態になっていた。こりゃ窒息死も時間の問題だと思っていたのだが、どうも今季はノリの悪いヨークが決定機を3つも外してくれて命拾い。そうこうしているあいだに、高い位置でボールを奪ったカランブーが右に開いたリカルドとワンツーを決めてゴール前に飛び出し、難しいバウンドになったラストパスを巧みにさばいて先制ゴールを入れてしまったのであった。これが移籍後初得点なんだとか。あっぱれカランブー。しかし、ユナイテッドから先制点を奪ったチームにとって、90分は実に長い。長すぎる。後半、例によって人権蹂躙レベルの猛攻が繰り返され、まずは右サイドでベッカムからボールを受けたキーンのセンタリングにバットが詰めて同点。さらにヨークのシュートがDFに弾かれたところに立っていたシェリンガムがこれを豪快に叩き込んで逆転である。悔しいなぁ。同点にされた後に投入されたボクシッチも、ろくに仕事できず。試合勘がいまひとつなのか、らしくないトラップミスが目立った。



11月15日(水)12:40 p.m.
BGM/ Bob Dylan "Desire"

 ラ・コルーニャ×サラゴサ(リーガ第10節)をビデオ観戦。珍しくBS-1を録画したのだが、トゥル・フローレス様が「実は不器用?」(山本アナ)とか「シュートのときは最後までボールから目を離すな」(柱谷弟)とか、何様のつもりで放送しとるんじゃおまえらは。ま、ごくフツーのプレイにも「すごいすごい」を連発するプレミア信奉者の金子アナもどうかとは思うが。ともあれ、ホームのデポルは無敵である。そして素敵である。2-0の圧勝だ。シビれたよなー、ディエゴ・トリスタン。右利きであの角度(右45度)を得意にしてるとは、やはりタダ者ではない。名前がシメオネと同じってのもいいじゃないか。あ、フツーは「マラドーナと同じ」っていうんですか。

 ハイライトによれば、バルサはビジャレアルにも負けたようである。いくら何でも負けすぎ。たしか一昨年も、初昇格のビジャレアルにホームで負けていた。当然、セラ・フェレールの解任話が浮上しており、後任にはルイス・フェルナンデスの名前が取り沙汰されているんだとか。彼って、いまはフリーだったんだっけ? 話は変わるが、プレミアの3チームがチェルシーをクビになったビアリを欲しがっているらしい。ただし監督としてではなく、選手として。さすがはベテランを大事にするお国柄である。本人も現役復帰に前向きだってんだから、えらいこっちゃ。どんな顔してチェルシーと試合するんだか。ワイズやルブーフだって削りづらいっちゅうの。



前のページはこちら!



Back to "BIG INNING PROJECT"