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江戸川虎視郎のサッカー日誌
2001-2002/第4節



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11月1日(木)10:20 a.m.

 ナント1−0ラツィオ。
 重度の心的外傷による急性失語症のため、本日休筆。



10月31日(水)14:00 p.m.

 どうも仕事に集中できなくていけない。理由は明白だ。CL1次リーグ最終節ナント×ラツィオ戦の結果が気になって仕方がないのである。ならば結果を見てしまえばいいのだが、今夜7時からWOWOWの録画放送があるので、そうもいかない。なんだか、大学の合格発表を見に行って、掲示板の前で目隠しされているような気分だ。とっとと目隠しを外して、先に結果を知ってしまったほうがいいような気もする。仕事に集中できるし、負けたとわかれば観戦を放棄してその2時間を仕事に当てることもできるからだ。合理的である。うーむ。見ちゃおっかなー、結果。いや、やはり見るまい。結果を知れば落ち着いて仕事に取り組めるかというと、決してそんなことはないからである。負けていれば当然、「仕事なんかやってられっか」と自暴自棄になるだろう。勝っていれば当然、「こんなメデタイ日に仕事なんかやってられっか」という話になる。要するに、勝とうが負けようが、結果を知ろうが知るまいが、仕事には集中できないということだ。もしかしたら、ラツィオ戦があろうがなかろうが仕事には集中できないのかもしれない。

 その証拠に、昨日も一昨日も仕事には集中できなかった。なぜ私は仕事に集中できないのだろうか。なぜ目の前にある仕事をうっちゃって、たとえば土屋賢二×石原壮一郎『哲学を疑え!』(飛鳥新社)などといった毒にも薬にもならない本を夢中になって読み耽ってしまうのだろうか(ラツィオの勝敗が気になって仕事に集中できないのに、読書には集中できるのが実に不思議だ)。端的に言って、それはやはり、私がダメな人間だからなのだと思う。ゆうべ久しぶりに『プロジェクトX』を見て、私は心から自分を恥じた。あの番組に出てくる人たちは、みんな仕事のことばかり考えている。毎日毎日、広辞苑や自動改札機や安いクルマを作る方法や指紋や遺留品のことばかり考えている。ラツィオのことなんか考えている人は一人もいない。えらいなぁ、と思う。毎日毎日、残り枚数を〆切までの残り日数で割り算し、「あと何日サボれるか」ということばかり考えている私とは、人間のデキが違うのである。立派な職業人には、いつまでたってもなれそうにない。そして、土屋賢二のような文章も、いつまでたっても書けそうにない。



10月30日(火)18:20 p.m.

 幼稚園の遠足である。貸切バスで小金井公園へ行くのだという。なので、朝は幼稚園ではなく、集合場所の食品メーカーM美屋前(井の頭通り沿い)まで送り届けた。ったく、母親どもの非常識ぶりは何とかならんもんかと思う。M美屋前といっても、別に広いスペースがあるわけではなく、そこは天下の公道である。なので、園からのおたよりには、「お子さんを送り届けたら、周囲の迷惑になるので立ち話などせず、すぐに帰りましょう」と書いてあった(そんな注意書きが必要だということ自体どうかしている)。にもかかわらず、ほぼ全員、ガキをバスに乗せた後もその場に居残り、車内のわが子に向かって手なんか振ってやがるのだ。新幹線で九州あたりまで行くならともかく、杉並から小金井まで行くわが子をいちいち見送らんでよろしい。そこらに停めた自転車も通行の邪魔だ。

 しかも連中、M美屋の玄関階段に鈴なりである。あのね。そこは会社なのね。幼稚園の施設じゃないんだよ。M美屋社長が幼稚園OBとのことで、好意で本社前を集合場所に提供してくれているわけだが、会社は営業中なんだぞ。社員や関係者がみんなOBってわけじゃない(っていうか社長以外はぜんぜん関係ない)んだぞ。そんなとこで群れてたら邪魔なんだぞ。……などと説教して、あおぐみにおける妻子の立場が悪くなっても困るので黙って帰ったが、ああいう人たちは自分が幼稚園からやり直したほうがいいと思う。しかし愚妻によれば、「この幼稚園のお母さんたちは父母会なんかのときに私語をしないだけ他よりマシらしい」とのこと。某文芸評論家ならずとも、この国はいつからこんなに幼稚になったのか!と叫びたい気分である。

*

 建物全体がブレーカーの交換工事で停電、3時まで仕事場が使いものにならないため、セガレを送った後は自宅に戻ってデータ読み。……をしながら、ついついバルセロナ×ベティス(リーガ第10節)なんか横目で見てしまった。3-0である。バルサ、パーでき! おっとっと、うっかり幼児番組(ひとりでできるもん@NHK教育テレビ)用語を迸らせちまいました。こういうのは、子供のいない人にはバカにしか見えないから気をつけないと。ちなみに「パーでき」とはパーフェクトな出来、ってことです。ともかく、朝っぱらから上等なエンターテインメントを満喫させてもらった。サビオラが1ゴール2アシスト、リバウドが2ゴール、クライファートも1アシストだ。考えてみりゃ、ブラジルとアルゼンチンとオランダの最高級アタッカーを3枚揃えてるんだから、楽しくないわけがない。とりわけ凄まじかったのは、サビオラの先制ゴールをお膳立てしたクライファートの究極のポストプレイだ。コクーのロングフィードに反応して裏へ抜け出し、ハーフバウンドのボールを右足のヒールで完璧なワンタッチ・コントロール。背後に走り込んだサビオラに「はい、どうぞ」である。あんな芸当ができる奴、ほかにいるか。当たり前のようにそこに走り込んでいたサビオラにも呆れた。

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 ゆうべは、ラージョ・バジェカーノ×ラ・コルーニャ(リーガ第10節)を後半だけ観戦。デポルが終盤に見せたヤケクソ攻撃はかなり見応えがあったが、3-1でラージョの勝ち。いつも逆転できるわけではない。とくにどうということもないゲームで、担当アナもあまり好きではなく(最近ラツィオ戦もあの人ばっかりでたいへん不満)、おまけに応援しているチームが負けたのに、それでもリーガの試合は何だか見ていて愉快だ。スコアとは関係なく、客を退屈させたモンが負け、という娯楽の原点がここにはある。ところで、後半42分のラージョの幻のゴールは、ぜんぜんオフサイドじゃなかった。ゴールライン付近に、ディフェンダー(ドナト?)が一人ぽつねんと残っていたのである。たぶん、副審の視界にも入らないぐらい遠くに「置き去り」にされていたんだろう。某連合のギャリー君も、どうせならあれぐらい後ろに立っていればいいと思う。

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 ダービー×チェルシー(プレミア第10節)を観戦。なんたってラバネッリである。元気元気。すげえ生き生きしてた。レンタル移籍のカルボーネという脇役を得て、最初から最後まで主役を張っていた感じである。プレイよりも表情と仕草で、ではあるが。終盤、ちょっとしたモメ事の後、ず〜〜〜っとデサイーの横に張り付いて何やかんやと喋っている姿が可笑しかった。たぶん、イタリア語を喋りたかったんだと思う。デサイーはとても迷惑そうだった。

 そのラバネッリが、開始早々、「なんでオフサイドじゃないの?」と思うような位置からごっつぁんゴール。戻るのが面倒臭くてそこに立っていただけなのに、ラッキーな人だ。それにしても、これでダービーのリーグ戦全8得点のうち6点がラバネッリなんだとか。うわあ。大エースじゃないか。チェルシーのほうは、後半にハッセルバインクがミドルを決めて追いつき、その後も盛んに攻め立てたが、GKプーム(POOM。スカパー的にはポーム?)が大当たりでそのままドロー。一方のボスニッチも好セーブ連発でラバネッリを止めまくっていた。このへんのスリルは、リーガではあまり味わえないところでんな。早く見たいぞヨシカツ。ところで、この試合でいちばん気の毒だったのはゼンデンである。90分間、ブーイングされまくらちよこ。なんでも新聞に「ダービー? どこにあるのかも知らないよ」とコメントしたためらしい。ダービーの場所なんて、知らないほうが普通だと思うけどね。ぶうううう。どうでもいいが、こんな好ゲームを前にして、最初から最後までゼンデンがボールを持つのを待ちかまえてブーイングし続けられる人たちの気持ちが理解できない。そんなことに熱中してて、楽しいか? ま、ゼンデンは明らかに嫌気がさしていたから、効果はあったみたいだけど。



10月29日(月)21:00 p.m.

 きのう休んだお陰で少しは回復したものの、まだ鼻水は出る。咳も出る。だが、すでに年末に向けて尻に火がついた状態なので、これ以上ゴロゴロするわけにはいかん。体調不良は気力でカバーすべし。今日から7週間、週90〜100枚ペースで書けば、万事が丸くおさまるはずじゃ。成せば成る。成さねば成らぬ。成るか成らぬか、それは神様だけが知っている。

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 テロの影響で延期されていたイスラエル×オーストリア(W杯欧州予選最終節)を観戦。ホームのイスラエルは、勝てばプレーオフ進出である。サッカー大好き編集者H氏の奥さんがイスラエル人であることもあって応援していたのだが、結果は実に酷いものであった。ダイブ臭いニムニのプレイにPKが与えられるという僥倖もあって1-0とリードしながら、ロスタイムにヘルツォークのFKが決まって一巻の終わり。テルアビブの悲劇、などというとヤケにキナ臭い感じになってしまうが、まあ、気の毒なことである。それにしても、「ロスタイムの同点弾」はフランス大会以来オーストリアのお家芸といった印象。……などとH氏宛のメールに書いたら、「プチ・ゲルマン魂ってところでしょうか」という返事が返ってきた。なるほど。そういえばオーストリア人もゲルマンであったか。そう思って見ると、トルコとのプレーオフもずいぶん重苦しいものに感じられそうである。



10月28日(日)

 休んでいる場合ではないが、風邪を撃退するには休息がいちばん。というわけで、終日ゴロゴロと寝て過ごす。ただしサッカーはしっかり見た。見なきゃよかった。なにしろラツィオ×ローマ(セリエ第9節)は0-2である。そら鼻水も止まらんっちゅうの。

 別に、勝てると思っていたわけではないのである。そもそも得点なんか取れるような気がしていなかった。ローマダービーに滅法強いデルベッキオに先制点を決められたのも、ある意味しょうがない。いわば年中行事である。もう慣れた。終盤に、ネスタが怒りのオーバーラップを見せてくれただけでも私は嬉しい。

 だが、しかし。
 終了間際に、たちつてトッティに華麗なゴールを許したことだけは我慢ならねえんだよ俺はよお。あー、胸糞悪い。

*

 ユベントス×インテル(セリエ第9節)は何やら玄人好みの神経戦でスコアレスドロー。わしゃ玄人じゃないのでひたすら疲れた。風邪ひいてるときに見る試合じゃないな。サッカーを見たというよりは、「朝ナマ」か何かを最後まで見てしまったときのような気分である。損をしたとは言わないがスッキリもしない、って感じ。これもサッカー、それもサッカー、ではあるけれど。

*

 マンチェスターU×リーズ(プレミア第10節)は1-1のドロー。優勝を目指すためには、今季こそ「オールドトラフォードでの勝利」という「お守り(=自信の源)」が欲しいリーズだが、惜しいところで大魚を逃した。苦しみながらも76分にビドゥカのゴールでやっとこさ先制したが、残り15分を守りきれず、88分にスールシャールのヘッドで同点。しばしば指摘されるとおり、ユナイテッド戦になるとヘンにお行儀が良くなる連中だ。ユナイテッドを倒して優勝するには、やはり凶暴さに磨きをかけるしかないだろう。今のレベルじゃ、コワモテの警官にどつかれてアッサリ更正しちゃう暴走族と変わんないぜベイビィ。相手かまわずキレまくる真の武闘派集団を目指して精進すべし。



10月27日(土)12:05 p.m.

 まったく症状が好転しないどころか、喉の痛みが「右耳の周囲」というおかしなところにまで広がってきたので、出勤前に再び内科へ。今日は若旦那ではなく、その父親が診察していた。親子で代わるがわる働いているのである。いいなぁ。いずれ私も、「序章から2章までは父さんがやっとくから、後はおまえが書け」なーんてセガレに押しつけたい。こんな仕事を世襲してどうする。ともあれ、べつに二代目の腕が悪いと言いたいわけではないが、「どうも先日のクスリが効かないようで」と言いやすくて助かった。「じゃあ、ちょっと強いクスリにしましょう」と、抗生物質を大盛りにしてくれた。こんどこそ効いてくれ。

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 レアル・マドリー×ローマ(CL1次リーグ)は1-1のドロー。トッティの「ゴール後の腹見せ」が、運動会におけるセガレの腹見せに似ていた。うげ。ほんとうにやめてほしい。そもそも、なんで腹なんか見せたがるんだろう。トッティもセガレも。ところでラウールは、やはり右足のキックを練習しすぎたせいで左足が錆びつき始めていないか。前半の2つのシュートミスは、ちょっと寂しかった。

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 W杯の組み分けで、どうやらイングランドはシードされないらしい。それって、もしかして、私の観戦する「E2×E3」がイングランド戦になる可能性もある、ってこと? おお。高まる期待。運が良けりゃ、生オーウェンに生ベッカム、そして生シーマンだ。見たい見たい。

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 試合はゆうべ録画しただけで未見だが、ラツィオはガラタサライを1-0で下したらしい。うおおおお。最終節のナント戦、勝てば通過、負ければビリでUEFA杯にも出られないという大勝負だ。その前にラツィオ州ダービーというキツイ日程だが、どちらも死ぬ気でファイトしてほしい。



10月26日(金)10:30 a.m.

 うー。クスリがぜんぜん効かん。あんなに苦いのに効かん。カネ返せと言いたいぐらい効かん。鼻ぐじゅぐじゅ、咳げほげほだ。あの医者、いかにも二代目の若旦那っぽくて、人当たりはいいけど頼りない感じだったからなー。ちゃんと私の体重を勘案して処方したんだろうか。抗生物質、大盛りにしてほしかった。

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 アーセナル×マジョルカ(CL1次リーグ)を観戦。タイムアップ寸前、渋がりアンリのゴールで3-1、2点差をつけたアーセナルが2次進出決定である。左にピレスとファン・ブロンクホルスト(本来はコール)、右にリュンベルクとローレンを揃えた今のアーセナルって、なんだか4-4-2の理想型のように見える。ベルカンプさえ空を飛んでくれれば、ファイナルも夢じゃないと思うのだが。ファイナルは近所だから、車で行けるけどね。

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 マラガ×バルセロナ(リーガ第9節)は1-1のドロー。倉敷・金子・戸塚3氏による鼎談はめっぽう面白かったが、ゲーム自体はとくにどうということもなかった。クライファートの愛をサビオラに奪われたリバウドは、見るからにスネてる感じ。来季はいよいよラツィオ入り……か?



10月25日(木)10:40 a.m.

 きのうは本誌を更新した後に早退して家で寝たのだが、風邪は悪化する一方である。不思議に熱は出ないが、思考力はゼロ。なので、セガレを送り届けてから、幼稚園の正門前にある内科へ寄って薬をゲットしてきた。とにかく、早く治さねば。また別のライターが放棄した(させられた?)仕事がこちらにパスされ、2月末まで3冊の予定が急遽4冊に増えてしまったので、いつまでも朦朧としている場合ではないのだ。がんばれ抗生物質。負けるな抗生物質。

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 ゆうべはユベントス×ポルト(CL1次リーグ)を観戦。なぜか誰も触らなかったFKがへろへろっとゴールインしてポルトが先制したが、デルピエーロのFKで同点、モンテーロのヘッドで逆転、トレゼゲのゴールで駄目押したユーベが3-1で2次進出を決めたのであった。ネドベドはほんとうにえらいなぁ。デルピの同点弾はあの位置でファウルを貰ったネドベドの手柄だし、トレゼゲのゴールもネドベドの粘りと正確なクロスの賜物だ。ダビッツがいまいち目立たないのが寂しいが、それはつまり、ネドベドの加入で「豊富な運動量」を発揮するスペースが狭まったためなんでしょうかね。だったら、キミにうってつけのチームが南のほうに一つあるんだけど、よかったら移籍を考えてみない?



10月24日(水)13:50 p.m.

 鼻水に加えて咳も出るようになった。ますます朦朧としていくアタマを無理やり回転させながら、またぞろマッキー編集長から頼まれたタイアップ原稿を書く。最近、「スイスの高級機械式腕時計」のタイアップばかりだ。その素晴らしさについて書いていたら、だんだん機械式腕時計が欲しくなってきた。クォーツ時計なんか使ってるようじゃ、オトナの男とは言えないぜベイビー。……って、書いてるおまえが誑(たぶらか)されてどうする。そういえば以前にも、使うアテもない「ゼロハリのアタッシュケース」が無性に欲しくなったことがあった。物欲の強い私のような人間は、広告宣伝関係の仕事をしないほうがいいのかもしれない。扱う商品いちいち欲しがってたらキリがないっす。ま、そんな贅沢品に回すカネはないから安心したまへ。誰に言ってんだ。

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 きのうは幼稚園の先生と個人面談。と言っても私ではなく愚妻が話を聞いてきたのだが、その報告によれば、意外なことにセガレはクラスのムードメーカー的存在なんだとか。良いムードをメークしてるのか、はたまた邪悪なムードをメークしてるのか、それは定かでない。たぶん、「お調子者」を教育業界的配慮によって丁寧語に変換すると「ムードメーカー」になるってことだと思う。「グループに一人いると便利な宴会要員」への道を着々と歩んでいるようじゃ。ま、ムードに流されるタイプよりはメークしたほうがいいけどな。しかしアズーリ(あおぐみ)のムードメーカーということは、つまりディ・リービオみたいな奴、ということか。うーむ。いったい誰に似たんだろう。ぜんぜん思い当たるフシがない。まあ、いいや。トッティみたいな番長タイプよりはマシ、と思うことにしよう。どう転んでも、ネスタみたいな好青年にはなれそうもないし。

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 私は最近、電話セールスに対して寛容になった。とくに、休日の夜に自宅で受けたときなど、じっくり話を聞いてあげることが多い。「電話セールスにはいっさい応じないのが私のポリシーなので、これ以上は何を話してもあなたの大切な時間を奪うことになりますが、それでもよければどうぞお話を続けてください」と宣告しても一生懸命に喋り続ける電話セールス人の姿勢には、感動すら覚える。「へえ、そうなんだ。でも興味ないっす」「あなたも粘るねー。見上げた根性だね。でも買わない」などと相槌を打ちつつ、「どうもお疲れさまでした」と言って電話を切るときは、実にすがすがしい気分だ。きっと青山地所(表記不明)の電話セールス人も、喋るべきことを喋って清々していることだろう。

 むしろ、このごろ腹が立つのは訪問セールス(主に新聞の勧誘員)の「ピンポン」である。呼び鈴が鳴る。仕事の手を止めて玄関に行く。ドアを開ける。敵はそこにいない。隣の部屋をピンポンしている。あるいは、さっさと見切りをつけて別の階へ移動している。何カ所も同時にピンポンして歩いているわけだ。こんなに無礼な話があるか? てめえの都合で人を呼びつけておいて、こっちが出向いたときには背中を向けている。玄関まで歩かされるぶん、無言電話よりタチが悪い。モグラ叩きのモグラ(叩かれないまま引っ込むやつ)になったような気分だ。人を人と思っていないという点では、快楽殺人犯と大差ない。生身の人間を相手にしていることをリアルに感じていたら、こんな真似ができるはずはないと私は思う。さまざまな局面で「このままでは日本は滅んでしまう」といった言説が目に付く昨今だが、いいオトナが平気でこんなことをやっているこの国って、実はとっくの昔に滅んでいるんじゃないだろうか。

 きのうもピンポン野郎は現れた。ドアを開けると、そこには誰もいない。「チッ」と舌打ちして部屋に戻ろうとしたら、そいつ(40代と思しきオッサン)はドアの開いた音を聞きつけて階段の踊り場から引き返してきた。

そいつ「あ、どうも読売新聞なんですが。江戸川さん、新聞はなんか取ってます?」
わたし「……おたく、字ぃ読める?」
そいつ「は?」
わたし「どうやら江戸川って文字は読めたようだから文盲じゃないんだろ? ま、そもそも日本の識字率は100%だけど」
そいつ「へ?」
わたし「これ読んでみ(と、ドア脇の貼り紙を指さす)」
そいつ「えーと、新聞の勧誘はお断りします、ですか」
わたし「そういうこと」
そいつ「あー」
わたし「あー、じゃないだろ。だいたい、人を呼び出しといて姿を消すってどういうことよ。小学生だって最近はそんなイタズラしないぞ」
そいつ「いや、お留守かと思っちゃって」
わたし「あははー。あんた、面白いこと言うね。うちは狭いんだよ。ピンポンから5秒でドア開けられるんだよ。その前に留守だなんて判断してたら、商売になんないんじゃないの?」
そいつ「いや、まあ、えへへへへ」
わたし「えへへへじゃねえぞ、このタコ助。人の貴重な時間と集中力を奪いやがって。俺は腹が立つと1時間は仕事にならねえんだ。どうしてくれんだよ。笑ってないで謝りやがれ」
そいつ「すみません」

 ……と謝られたって、腹の虫がおさまるわけではないのであった。こんなふうに人を愚弄する新聞に、人権問題を語る資格などない。何が失礼で何が失礼でないか、そんなことは人権以前のモンダイだ。人権のないゾウやカエルや奴隷とのつきあいにだって、礼儀はたぶんある。あらゆる新聞社は、世の教育問題を論じる前に、勧誘員の教育を一からやり直すべし。

*

 レアル・マドリー×セルタ(リーガ第9節)を観戦。前半、CK後の混乱期を制したカターニャが先制ゴール、ジダンの官能的なラストパスをグティがループで決めて同点。そのまま1-1のドロー。セルタはモストヴォイがあまり仕事をさせてもらえなかったこともあり、儲けモンの勝ち点1である。マドリーの攻撃は、1点しか入らなかったことが信じられないぐらい美しかった。ゴール前でのパス交換は、「縦横無尽」という言葉をビジュアル化したかのようだ。今これができるのは、ユナイテッドとマドリーぐらいか。ただし、ユナイテッドの縦横無尽には「譜面(練習)どおりの完璧さ」を感じるのに対し、マドリーの場合はまさにアドリブの妙。かたやウィーン・フィル、かたやハービー・ハンコック率いるVSOPクインテットってところでしょうか。ベタな譬えで恥ずかしい。



10月23日(火)11:45 a.m.

 あー。セガレに風邪うつされて鼻水が止まらん。アタマも朦朧としてきた。きっと、脳味噌も少し鼻から流出しているに違いない。

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 ゆうべは、リーズ×チェルシー(プレミア)を観戦。派手なゲームになるかと思いきや、スコアレスドローだった。ほんとにチェルシーはスカパーで放送するときにかぎって点が入らない。惜しかったのは、65分のシーン。スルーパスに反応して裏に抜けたハッセルバインクが、相手DFの足につまづいて体勢を崩しながらシュートを撃って外したのだが、倒れりゃPKもらえたと思う。インザーギ家の人間なら、ものすごく痛そうな顔をしながら腹這いになっていたことだろう。ま、そこで倒れないでフィニッシュに持っていくのが彼のいいところだけど。ともあれ、同じ0-0でも、ラツィオ戦の10倍は見応えアリ。なんたって、決定機の数が違う。イングランドでGKの評価が高いのは、つまり、それだけ活躍の機会が多いということなのかもしれない。チェルシーでは、左サイドのルソーが目立っていた。エリクソンの前で、いいアピールができたんじゃないだろうか。あと、久々に見たGKボスニッチが絶好調だ。ヘンなところでニタニタ笑う不気味な人格。いっしょに酒を飲みたくないタイプだが、見てるぶんにはおもしろい。リーズのほうは、例によってチーム全員、感情のコントロール能力が低すぎ。あれを何とかしないと優勝はないような気がする。オレアリーも、そこを鍛えられるかどうかが名監督になれるかどうかの分かれ目かも。サッカーだけ教えりゃいいってもんじゃない。もっとも、それがチームカラーということもあるから、おとなしくなると弱くなるのかもしれんな。だったら、むしろそれを徹底して、もっと凶暴でやさぐれた集団になるのも一つの手か。

*

 引き続き、インテル×ミラン(セリエ第8節)を見た。まだ始まったばかりとはいえ、いちおう優勝争いに直結するミラノ・ダービーって、初めて見るような気がする。前半はインテルのゲームだった。カロン&ベントラの2トップは小粒だが小気味よい。どこがと具体的には言えないけれど、カロンというストライカーは実にオトナな感じだ。落ち着きがあって、まわりがよく見えている。そのカロンが、後方からのロングボールをペナ右サイドで巧みに捌いて折り返し、脱兎のごとく飛び込んできたベントラが体ごとゴールインして、インテル先制。前半は1-0。しかし後半、ルイコスタ−シェフチェンコのコンビで同点に追いついた後は、ミランのゴールラッシュであった。早いリスタートから途中出場のコントラが豪快なミドルを決めて試合をひっくり返すと、さらにシェフチェンコ&インザーギがたたみかけて、気がつけば1-4。インテルは前回のダービーから2試合で10失点である。もろいのう。どんどんダメになっていくインテルを見て、愚妻は「これじゃインテルじゃん」と呟いていた。なんて含蓄のある言葉なんだ。前節までの好調で、やっとインテルのクーペル化に成功したかと思えたが、このダービーを境にクーペルのインテル化が始まるのか。難儀なチームである。しかし終了間際に一矢報いたカロンのゴールは救いだった。あの反転スピードは驚異じゃ。というわけで、結果は2-4。派手なゲームではあったが、「すごい!」と驚嘆するシーンはあっても、思わず「うまい!」と唸るシーンが皆無だったのは何故なんだろう。脈絡はないが、ルイコスタにはやはり髪を伸ばしてほしい。なんか迫力ないし、どこにいるのか判りにくくて困る。



似てる人シリーズ

#174 ミランのガットゥーゾと『独裁者』のチャップリン。(妻)



10月22日(月)15:10 p.m.

 どぅわっはっは。マンチェスターU×ボルトン(プレミア第9節かな)は1-2でワンダラーズである。ファーガソン、CLであんな負け方した後に、こんなにメンバー落としたらアカンわ。右にバット、左にスールシャールって、いくら何でも相手をナメすぎである。休ませるんなら、むしろバルテズでっしゃろ。それに、いまさらコール&ヨークに頑張れって言ったって、モチベーション上がらんと思うぞ。「故郷でCLファイナル」のことばっかり考えてると、選手の信頼を失って晩節を汚すことになるから気をつけたほうがいい。

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 ボローニャ×ユベントス(セリエ第8節)は、最後の数分しか見ていないがスコアレスドロー。ユーベは優勝確実かと思っていたが、ブレーキかかってますな。この試合で、サラスが全治6ヶ月の怪我をしてしまったらしい。あーあ。だから帰っておいでって言ったのにぃ。

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 思い出したくもないが、ベネチア×ラツィオ(セリエ第8節)は例によってスコアレスドローであった。せっかくセリエ&CLで連勝したのに、乗り切れない。ってゆうか、波に乗れるような勝ち方してなかったんだけどさ。とにかく、まあ、見ていて溜息ばかり出る。もう、貴重な日曜日の2時間を割いてライブ観戦する価値がないな、ありゃ。ニューカッスル×トッテナムでも見りゃよかった。

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 今日は、浜田山の神戸屋キッチンでランチ食いながら、G先輩に身の上相談。お目にかかるのはかなり久しぶりだが、メールだウェブだでお互いに近況を熟知(?)しているので話が早い。アタマの回転の速い人と話をしていると、「なるほど、そうかそうか」の連続で、こっちまで賢くなったような気がするから不思議だ。お忙しいところ、ありがとうございました。それにしても、このあいだ愚妻と吉祥寺で昼メシ食ったときにも思ったのだが、「郊外の昼時のレストラン」というのは主婦層で大賑わいである。ええモン食っとるのう。ま、そういう家庭のダンナは平日半額バーガーなんか食ってないんだろうけど(と、思いたい)。



10月21日(日)

 だはは。マンチェスターU×ラ・コルーニャ(CL1次リーグ)は2-3でラ・コルーニャである。いかにもポカが多そうなキャラにも関わらず実は滅多にミスしないGKバルテズが、連続ポカポカで自滅だ。ブランのチューには何の御利益もないことが実証されたゲームであった。

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 アーセナル×ブラックバーン(プレミア第9節かな)を観戦。めっけモンの好ゲームであった。前半を0-1で折り返したアーセナルが後半あっさり2-1と逆転してみせたが、ブラックバーンも粘る粘る。2-2、3-2と点を取り合って、最後は21歳の若者ダン(だったかな)がGK不在のゴールにこぼれ球を流し込み、3-3のドローである。これぞプレミアって感じでしょうかね。80分頃、そのときは決勝点かと思われたゴールを仕留めたアンリは、さすがに渋がってもいられず投げキッスなんかしていた。だめだめ、そこでこそ「俺はこれぐらいじゃ満足しないんだぜえ」ってクールに振る舞わないと。それにしてもアーセナルは守りがゆるすぎ。やっぱシーマンじゃなきゃダメだ(てのひら返し)。



10月20日(土)

 わお。ヴェルディがエヂムンド獲得だ。むちゃしよるのう。大バクチも大バクチ、散り際のヤケクソといったところか。しかし、もしJリーグに彼を使いこなせるクラブがあるとしたら、それはヴェルディ以外にないかもしれん、とも思うのであった。フロントおよび首脳陣があの猛獣を手なずけて本気にさせることができたら、尊敬に値する。ある意味では、そこで読売クラブ時代から積み上げてきた伝統の真価が問われるといえるかも。通訳兼調教師としてラモス起用、なんて奥の手もありそう。何にせよ、こりゃあ見逃せない。東京スタジアムのチケット、いきなり入手困難になるんだろうか。



10月19日(金)10:50 a.m.

 近頃、英文の勧誘メールが多い。どうせ読んでもわからんし気持ち悪いのでSubjectだけ見て捨てている。今朝も2通、届いていた。1通は、「Do you owe money? 」というもの。イ、イエース・アイ・ドゥー。なに汗かいてんだ。しかし見知らぬガイジンからいきなり「ヘイ・ユー、借金してるかい?」なんて訊かれたくないぞ。ヘイとは言ってないですねヘイとは。もう1通は、「Have tax problems?」というご質問。一瞬、tをsと見間違えてしまい、なんちゅうえげつないメールじゃ、と思った自分が悲しい。どっちもこっちも江戸川さんたら読まずに食べた。さっきの手紙の御用はなあに♪

*

 古巣S社で書籍編集をしている先輩O氏より電話。声にも張りがあり、わりとお元気そう。某保守派文芸評論家のゴーストを依頼されて快諾。女性誌芸能ニュース班時代、毎晩いっしょにバブル真っ盛りの六本木にくり出していた頃は、いっしょに単行本を作ることになるなんて想像もしなかった。例によって、企画を聞いた段階ではけっこう売れそうな気がしてしまうのだが、皮算用はするまい。まあ、売れるかどうかはともかく、仕事として面白そうなので何よりである。3月下旬刊行とのことで、11月中旬〜1月中旬にかけてヘヴィな仕事を抱えている私としては日程的にちょっと難しいかと思ったのだが、なんと「2月中に上げてくれりゃいい」そうだ。「ウチはほら、雑誌ペースだから」ということだが、原稿アップから1ヶ月で店頭に並べられちゃうもんなんでしょうかね。5月に書き終えて、まだ本になっていないものもあるっていうのに。書籍の進行は謎だ。ともあれ、早く本になると早くカネになるのでありがたい。気安い間柄なもんで、昨今の窮状を訴えて弱音を吐きつつ、ざっくばらんに条件面をご相談。入社からわずか3年、会社が初期投資を回収する前に「給料泥棒」と陰口を叩かれながら(?)辞めた人間としては、あまりガメツイことも言いにくいが、それはそれ、これはこれ、である。甘えさせてくれる古巣はありがたい。

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 バルセロナ×バレンシア(リーガ第8節)を観戦。かなり良くなってきたバルサだが、攻めが良くなりゃ守りが悪くなるのがサッカーの難しいところである。フランク&プジョールのCB2枚が不安定で、常に先手を取られる苦しい展開。ガブリのスーパーなシュート(記録は背中に当たったココのゴール?)で何とか2-2のドローにしたものの、ロスタイム突入直前にクライファートを引っ込めて守備的な選手(名前忘れた)を投入したレシャック采配は何だかよくわからない。ホームなのに、同点で時間稼いでどうする。

 それにしてもサビオラだ。ココがニアのスペースに入れたクロスに走り込んで、どんぴしゃのダイレクトボレー。あの若さでこのクラブに来ていきなり結果を出してみせるのはすごい。アルゼンチンは彼をコリアジャパンに連れてきてくれるんだろうか。イングランドと対戦して、4年前にオーウェンにやられたことをサビオラがやり返す、なんていう物語を見てみたいものである。イングランドのほうも、シメオネにやられたことをジェラードがやり返せばよろしい。10分後には倍にしてまたやり返されると思うけど。報復の連鎖。

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 そのサビオラ、バルセロナ×レバークーゼン(CL1次リーグ)でも大活躍であった。ドリブルで左サイドを突っつき、DF3人引き連れて中に切り込んでから、絶妙のタイミングでクライファートへスルーパス。見事なコンビネーションじゃ。この2人、しばしば「兄弟みたい」と評されるわけだが、私には「おっきなコドモとちっちゃなオトナ」に見えなくもない。外見的にはクライファートが兄貴ヅラしているものの、実質的にリードしてるのはサビオラのほうだったりして。試合のほうは、CKからレバークーゼンが同点にした直後、ルイス・エンリケがどさくさ紛れに強烈なごっつぁんゴールを決めて2-1。そんなに思いっ切り蹴らんでも。そこまで見て寝たのだが、そのまま終わったんだっけ?



10月18日(木)11:10 a.m.

 勝った勝った、また勝った。

 ラツィオ×PSV(CL1次リーグ)は、2-1だ。セリエ&CL連続初勝利だ。フィオーレだピオホだペルッツィのスーパーセーブだ。ちなみにシモーネもPKゲットだ。それが仕事だ。だけど蹴らせてもらえなくてたいへん不満だ。おまけに故障の癒えたクレスポと替えられて文句タラタラだ。何が良くて勝てたのかわからんが、とにかく勝ち点が大事だ。もうちょっとでUEFAカップ出場権ゲットだ。

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 アーセナル×パナシナイコス(CL1次リーグ)も2-1。攻守がスピーディに切り替わる好ゲームであった。前半42分にコールが見せた完璧なスライディングタックルに感動。あれ一発でファンになりそうだった。しかし後半にはラフなタックルも目に付いたから、あのプレイは偶然の産物だったのかも。アンリがゴール後に見せる「渋がり方」は、いよいよ磨きがかかってきた。あんなふうに振る舞いたい年頃というのが、男の子には、ある。しばらく姿が見られなかった故障中のシーマンは、客席で娘らしき女の子を抱いていた。ちょっとホッとした自分が意外だった。このあいだヤマちゃんに指摘されたとおり、実はシーマンが好きなのか私は。嘘だろ。頼むから嘘だと言ってくれ。ちなみに、娘らしき女の子を見て、「うわー、可愛い。お母さんが美人なのかしら」と言ったのは私ではない。

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 一昨日の日誌を読み直して気づいたのだが、フルアムのフランス人FWサハは、スカパー的には「サア」だったと思う。「キミの名前は?」「サア」……って、おまえは記憶喪失か。名前の読み方といえば、今いちばん問題なのはセルタのフランス人LUCCINである。どっちがスカパーでどっちがNHKか忘れてしまったが、「リュクサン」と「ルーチン」が両論併記で大混乱だ。もし彼が代表に選ばれた場合、W杯のときにスカパーとNHK等のあいだで統一されるのかどうか、ものすごく心配である。私が心配してどうなるものでもないが、せめて「ラクチン」とは読まないでね。



10月17日(水)11:00 a.m.

 ギャラアップの交渉は疲れる。生活防衛上やむを得ないこととはいえ、たぶん相手にも多大な心理的負担をかけているはずなので、できればこんなことはしたくない。初版部数が辛い数字だったため当初の約束よりも上乗せしてもらったのだが、苦しいのはライターも版元も同じというのは百も承知なので、なんだかすごく悪いことをしたような気分。ゼニの話は本当に苦手だ。やはりナカタニアキヒロ先生のおっしゃるとおり「倍にならない金銭交渉はすべきでない」のかもしれない。でも独り身ならともかく、家族がいる以上、そんなこと言ってると生活が成り立たないので、今後は少しピッポ君的「人でなしストライカー」のメンタリティに学んだほうがいいのかも。「わがまま」の烙印を押されてボール(仕事)が集まらなくなったんじゃ、元も子もないけれど。

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 ユベントス×トリノ(セリエ第7節)を観戦。なぜか今季はまだまともに見たことがなかったユーベだが、えらい試合をやってもうたもんである。前半はネドベドが全ゴールにからむ活躍で3-0。ところが後半、トリノがアスタ主将を先頭に猛反撃を開始し、終わってみれば3-3である。ルカレッリもフェランテも物凄いファイトだった。さすが伝統のダービーマッチ、ということか。気の毒だったのはサラスである。幾度かの決定機を外した挙げ句に、87分にはPKを天高く蹴り上げてしまった。このPKは、ユーベの生え抜き選手に蹴らせるべきだったのではないか。そう思うのは、トゥドールのダイブにも見えたプレイに主審がPKを宣告した瞬間、サラスは複雑な表情でうつむいていたからである。フェアプレイを重んじる心やさしいサラスのことだ。「ユーベって、いつもこうだよな」という思いが、心の片隅に微塵もなかったとは言えまい。だとすれば、キックの精度が狂っても不思議ではないのである。いずれにしろ、サラスはしばらくユベンティーニに顔向けできないかもしれない。もう、いいから南のほうに帰っておいで。できることならネドベドと一緒に。

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 チェコ×ブルガリア(W杯欧州予選最終節)を見た。勝ったほうが2位以内ゲットという最高に緊迫した状況だったわけだが、予想に反して一方的な展開。なんと6-0である。ロシツキとネドベドが2ゴールずつ、あとはバロシュとロクベンツ。ネドベドのFKは見事だったなぁ。あんなこともできるのか。ユーベ戦から立て続けに好調ぶりを見せつけられ、とほほ感がいやが上にも増すのであった。帰っておいでってば。ともあれ、チェコには是が非でもベルギーに勝ってもらいたいものである。本大会では、「バロシュとロシツキの大ブレイクでベスト4以上」もあるような気がしてきた。ところでベルガーはプレーオフに間に合うのだろうか。



10月16日(火)10:40 a.m.

 意外なことに、Gガイドが使えた。取説には「CATVの場合は会社によって使えたり使えなかったりする」と書いてあり、一昨日は表示されなかったのでやはりダメなのかと諦めていたのだが、昨日は表示された。「?」と思って取説を熟読したら、「番組表を受信するまで設定から1日程度かかることもある」とのことだった。なんだよ、使えるんじゃんか。だったら、Gコード無しの515でもよかったんじゃんか。ったくもう。まあ、よい。Gコードがあったほうが何となく安心だし、515を80GBに増設すると15万ぐらいになっちゃうからな。それに、715のほうがリモコンのデザインがカッコいいのだ。なにをムキになって715購入を正当化してるんだ。

 で、Gガイドである。これは便利。死ぬほど便利。死んじゃいけないが、とにかく便利。1週間ぐらい先まで地上波とBSの番組が表示されるから、がんがん予約できる。すでに今週のCLは全部予約してしまった。プラス、今日のスカパーも4試合ほど予約。時間を操る神になったような気分である。HDビデオはすばらしい。「21世紀最初の家電購入」として、これほど相応しいものもない。どうだ、欲しくなってきただろ。はっきり言って、これは冷蔵庫や洗濯機レベルの革命的商品だ。日本経済は、HDビデオを景気回復の起爆剤にすべきだと思う(←興奮しすぎ)。

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 というわけで、昨夜は追っかけ再生やら何やらを駆使しながら効率よく2試合を観戦。まずはアストン・ヴィラ×フルアム(プレミア第8節)である。シュマイケル対ファンデルサールという、へんなところが妙に派手な対戦カードだ。ちなみにFULHAMは、スカパー的には「フルアム」である。雑誌によっては「フラム」と表記することもあるようだ。「フルハム」って読みたいなぁ。でも、これをフルハムと読むと、ベッカムはベックハム、シェリンガムはシェリングハム、トッテナムはトッテンハムと、なんだか間抜けなことになってしまうわけだな、きっと。試合のほうは、2-0でヴィラ。先制点を演出したムスタファ・ハッジのクロスが見事だった。フルアムは、終盤にサハがPKをしくじったのが痛い。たぶん、シュマイケルの威圧感に負けたんだろうな。ゴールがやけに小さく見えた。

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 セルタ×ベティス(リーガ第8節)は3-1でセルタ。モストヴォイ絶好調、である。彼ほど楽しそうに試合をする選手を、私は他に知らない。削られて相手に突っかかるときも楽しそう。主審に文句つけるときも楽しそう。なんちゅうか、すべてを自覚的に「演じて」いるような余裕を感じるのであった。常に何かイタズラを企んでいるような、茶目っ気たっぷりの目も素敵。うふ。私にとっては、世界一愉快なフットボーラーである。ロシアのE組入りを望む。ベティスは全体的に冴えない感じだったが、3-0から一矢報いたカラードの30mシュートは凄まじかった。あんなゴールを決められりゃ、試合なんか勝とうが負けようがどっちでもいいに違いない。

 ……と、8時から12時まで上記の2試合をビデオ観戦しているあいだにも、『ER』を録画できたりするHDビデオは、ほんとうにすばらしい。

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 ところで、今日は愚妻の誕生日である。誕生日の前日に結婚式を挙げたのだ。半殺しにされるのはイヤなので、トシは書かない。これから吉祥寺に行って、セガレが幼稚園にいるあいだに2人でうまいものを食うことになっている。バレたらセガレに半殺しにされるかもしれない。



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