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江戸川虎視郎のサッカー日誌
2001-2002/第6節



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3月28日(木)13:10 p.m.

 ポーランド×日本(国際親善試合)をライブ観戦。スコアありドローなら上出来ぐらいに思っておったが、なんと0-2で楽勝である。加茂さんもご機嫌だ。これはつまり韓国を勇気づけるために仕組んだ試合だったのか? ポーランド弱すぎ。ロッテより弱いかも。あ、最近は強いんですか。ロッテ。ともかく、あれじゃ「仮想チュニジア」ぐらいにしかならんっちゅうの。あんなチームがW杯に出られてオランダやチェコが出られないという、この理不尽さは何とかならんのか。あれが無敗で1位突破って、何やってたんだシェフチェンコとスールシャール。しかし、まあ、欧州第2グループの水準なんて実はあんなもんなのかもなー。あんな相手に3ボランチなどという愚策をとらなかったトルシエに敬意を表したいっすね。それにしても市川は頼もしい。



3月27日(水)12:10 p.m.

 インテル×ローマ(セリエ第28節)をビデオ観戦。インテルつおい。レコバ2発にビエリ1発で3-1である。レコバのクロスをヘッドで決めたビエリのゴールはえらいもんじゃった。いわゆる「戻りながらのヘディング」というやつで、たいがいボールを押さえ込めずにポヨ〜ンと上に弾いてしまうものだが、あれをしっかりゴールに叩き込むビエリの背筋は尋常じゃないと思う。もう一度やれって言われてもできないと思うけど。とにもかくにも、気持ちのよい試合であった。前線でイライラしているトッティの姿ほど、見ていて心なごむものはない。長くインテリスタをやっていて、本当によかったと思う。……あ、おい、石投げるなよな。いや、まあ、「長く」はウソだが、私はユーベ戦のセードルフに感動して以来、今季終了まで期間限定インテリスタになると決めたのだ。悪いか。ところで、少し前から気になっていたのだが、セルジオ・コンセイソンはもう橋龍ヘアをやめてしまったのだろうか。その中途半端に伸びた七三分け、貧乏な受験生みたいでカッコ悪いと思うんですけど。



3月26日(火)11:50 a.m.

 すべての日程が(最低でも)1週間押すことになるので、各社に電話して詫びを入れつつ善後策を協議。各社といっても、進行中のK社が終わった後の2冊はいずれも古巣S社の仕事なので話が早い。まず、K社。「御迷惑かけて申し訳ありません。運が良ければ4月のアタマには上がると思いますけど、それじゃ5月には出せないですよねぇ」と言ったら、「いえ、5月には必ず出します」ときっぱり言われた。真のデッドラインが何日なのか、怖くて訊けなかった。運が悪かったときのことも考えておいてね、とも言えなかった。次に、そのK社の仕事が終わるのを待ち構えている古巣S社。話のわかるO先輩に泣きついて、2冊目の〆切をGW明けから5/15まで延長してもらった。安心してる場合ではないが、ひと安心。しかし5月半ばに上げた原稿を6月に出すって、どんな荒技を使うんだろう。

*

 ピレスがW杯絶望。怪我したニューカッスル戦(FA杯の再試合)はライブで見ていて、かなりヤバそうだとは思っていたが、気の毒な話だ。これを機に、FA杯の引き分け再試合制度は見直したほうがいいと思う。そんな悠長な伝統を守っていられる状況じゃないでしょうに。それにしてもピレス、今季の好調さでは世界でも5本の指に入るぐらいの選手だっただけに、W杯で見られないのはとても残念。フランスの連覇も、彼がいるからこそ現実味を帯びていたのにねぇ。まあ、大会を面白くする上では、ちょうどいいハンデになるとも言えるかも。で、フランス代表はどうするのかと思ったら、ピレスの代わりに召集されたのはジョルカエフ。うーむ。やはり新旧交代がうまくいってない印象ですな。



3月25日(月)13:00 p.m.

 土曜日曜といちおう仕事場には来たものの、脳にチカラが入らず、ほとんど原稿は進展しなかった。8週間で800枚の予定が、ふと気づけば6週間半で750枚になっている。「さあ殺せ!」と喚きながら床の上で大の字になってしまいたい気分だな。「どうせ一本ぐらい著者の都合で先送りになるはず」と読んでギチギチに仕事を詰め込んでいたわけだが、そーゆーときに限って全ての口述作業が順調に進むんだから困ったものだ。困っている場合ではない。あー。今年だけ4月を50日ぐらいにしてくれないものだろうか。そういうのって、誰にお願いすればいいの? 神様?

*

 ゆうべは、リバプール×チェルシー(プレミア)をライブ観戦。どこまで行っても点が入りそうな気配がなく、後半途中からうとうとしていたのだが、ロスタイムにスミチェルのゴールが決まって1-0。ところで、チェルシーのグロンキアだかグレンキアだかいうサイドアタッカーは、表情がとても暗い。「生き返ったゾンビみたい」という愚妻の言葉は言い過ぎだと思うが、暗い。暗いのに脚がとても速いのが何だか不思議だ。べつに「暗い」と「速い」が両立したって構わないのだが、「暗い表情で全力疾走している人」は、どこか竹中直人の「笑いながら怒ってる人」を想起させるものがあって、いとをかし。それで思い出したのだが、「暗いのに脚が速い」が偏見であるのと同様、「長身のわりに足元が器用」という紋切り型はノッポ差別だと私は以前から思っている。身長と足元の技術のあいだに因果関係があることを示す有意な統計データでもあるのか? 大男は総身に知恵が回らないと思っているのか? 実際には、「長身で足元が不器用なストライカー」のほうが、むしろ少ないと思う。私が思いつく範囲では、ビアホフだけだ。だいたいフットボーラーなんだから足元が器用なのは当たり前じゃないか。不器用なのに通用するビアホフのほうが特別なのである。



3月23日(土)13:30 p.m.

 というわけで(3/18〜3/22参照)、今日から仕事再開である。37度2分の時点で日誌が途切れていたにもかかわらず、安否を気遣うメールや電話は一つもなかった。ま、そんなもんだ世の中は。まだ頭がボーっとして体もダルいが、ダウンする前もこれぐらいの体調で仕事してたような気がする。5日も休んでしまうと、もう「いかに遅れを取り戻すか」という気にもならない。だって無理だも〜ん。いわゆる一つの開き直り。人間、できることしかできないのである。



3月22日(金)

 やっと悪寒から解放された。サムケがないって、ステキなことね。熱も下がった。一気に36度台だ。明日から仕事に復帰すべく、リハビリの1日。少し外気に触れようと思い、ジジイのような速度で散歩もした。久我山駅前のCD屋で矢野真紀の古いシングル『夢を見ていた金魚』を買う。



3月21日(木)

 最高38度8分。4日も続けて「禁断の38度線越え」をやっていると、あんがい慣れてくるものである。異常気象も10年続けばその平均が「平年並み」になるわけで、もうこれが平熱になっているのかもしれない。あと1週間も続けば、世界最強の「フィーヴァー・ノヴァ夫くん(平熱38度2分)」になれるかも。妄想もだんだんファンキーなものになってきた。夕刻、「なぜ間接FKがあって間接PKはないのか」という妄想と戯れる。間接PKについては、後日あらためて書く。日本はウクライナに1-0で勝った。中盤は、小笠原、小野、中村、稲本、戸田で構成して、森島とアレックスの2トップにすればいいんじゃないかと思った。中田はジョーカー。



3月20日(水)

 ぜんぜん楽にならない。悪寒→高熱→発汗→悪寒→高熱……のくり返し。とくに悪寒が苦痛。真夏のビーチで炬燵に入るほうがマシだと思うぐらい寒い。熱がピークに達すると寒気が収まってホッとする。最高39度2分。きのうK社から仕事場に留守電が入っていたので、電話で現状を報告。「もしもし」と言っただけで「だ、だいじょうぶですか?」と言われたので、よほどひどい声だったのだろう。ずっとベッドに伏していると妄想が膨らんで発狂しそうになるので、午後、少し体調がよくなったこともあって、妻子が『モンスターズ・インク』を観に行っているあいだ、リビングでCLをビデオ観戦。2年続けてローマを撃沈したリバプールは世界一えらい。ローマ敗退は、この1ヶ月間でいちばん嬉しいこと。



3月19日(火)

 解熱せず。近所の内科へ。どうやらインフルエンザらしい。最高39度4分。「よく効いてすぐ楽になる薬」を飲んで終日ベッド。悪夢やら妄想やらと格闘する。どうして私は悪夢の中でも原稿を書いているのだろうか。



3月18日(月)

 発熱でダウン。38度5分。1日で治すべく、終日ベッド。



3月17日(日)19:55 p.m.

 うー。1時間書くと1時間ソファに体を横たえなければ持たないくらい、体調が悪い。背筋に悪寒もあるので試しに体温計を脇にはさんでみたら、37度2分あった。やべー。倒れる前に休むべきか、倒れるまで少しでも原稿を進めておくべきか。それがモンダイだ。



3月16日(土)15:50 p.m.

 やっとのことで、ローマダービーを観戦。いやー、あはははー、そうかー、そーゆー試合だったかー、まいっちゃったなー。気分がブラックになるどころか、頭の中が灰になっちまったぜ。ふっ。ネスタの信じられないポカで0-2にされたあたりで、「なんかさー、高校野球の地区予選の4回戦あたりで日大三高とかのシード校と当たった偏差値60ぐらいの都立高を応援してるような気分だよな」と愚妻に言ったら、「比喩が長すぎる」と一言で切り捨てられた。それが持ち味なのにぃ。ともあれ、結果は読者のほうが先に知っていただろうが1-5である。7回コールドにしてくれ。痛々しくて見ていられないじゃないか。モンテッラっていいストライカーだなぁ。すごいすごい。だけどよー、この世の中に、1-4で負けてるときにトッティにループシュートを決められるぐらい不愉快なことがあるだろうか。合格発表で自分の受験番号を見つけられずに肩を落としている横で、入試前日に右腕を骨折して左手で答案を書いていた友人が「あ、受かった」と呟いているのを耳にしたときと同じぐらい不愉快である。だから長いっちゅうの。しかも意味があまり適切ではない。要するに、「泣きっ面に蜂」ってことですね。紋切り型は効率がよろしい。「3点差にループ」を紋切り型辞典に加えてもらえないだろうか。似たようなものに、「PK取られた上に一発レッド」っていうのもあるんだけど。



3月15日(金)16:50 p.m.

 K社単行本に追われてへろへろになりつつ、その合間に商品情報コラムを撃破。このあいだウチで飲んだとき、タボン夫人のチワ姉さんに「アタシと同じでわがまま」だと指弾(ほんとに指さして言わないでほしい)されたけど、わがままな人間がこんなに働くものでしょうか。タボン君にも「麻雀の打ち方がわがまま(しかし負けるから許されている)」などと言われたが、私はわがままなのではなく、甘えん坊さんなのだと自分では思っている。どう違うのかようわからんけどな。っていうか、甘えん坊さんならいいのか。37にもなって。ま、どうでもいいんだけど、「麻雀がわがまま」って、そーゆーことは20年前に言ってほしかったです。

 ところで商品情報の原稿を書いていて、また欲しいモノがあった。米国スチールケース社が、人間工学、生体力学、工業デザインなど27人の専門家からなるドリームチームを結成して開発したオフィスチェア「リープ」だ。最近その廉価&ダウンサイジング版が出たらしいのだが、なにしろリープというのは「人の背骨の動きを真似る世界初の椅子」なのである。すごいすごい。何がすごいって、「真似る」がすごい。あたかも自ら意思を持って動くかのようじゃないか。きっと、椅子の前に立ってクネクネ踊ると、リープもクネクネ動くに違いない。乱歩もびっくりだ。というベタな冗談はともかく、人間工学に基づいたらくちんな椅子(略して人間椅子)が欲しいよー。あ、でも、このあいだ新しいオフィスチェア(リープかどうかは不明)を会社で導入したヤマちゃんが、「らくちんすぎて寝てしまう」って言ってたっけ。寝ちゃまずいよなー。けど欲しい。いまリープの電話セールスを受けたら、たぶん抗えない。



3月14日(木)13:50 p.m.

 ここ1週間ぐらい苦しんでいた咳がおさまりかけてきたと思ったら、こんどはクシャミが止まらん。まさか、いまごろ花粉症ゲットしたんじゃねえだろーなー。なんだか、もう、眠いわ体調悪いわカネはないわ気分はダークブルーだわで、QOLはドン底である。と、愚痴愚痴言いつつ、昨夜10時に対談130枚ノック終了。2本目の直しは、とりあえず担当ゴンザレスが自分でやってみてくれているというので、(再度こちらに振られる可能性は残っているものの)今日からK社単行本に復帰である。ちょっと計算してみたら、この腐れライターは、これからGW明けまでの8週間でちょうど800枚書くつもりらしい。ふーん。ねえねえお母さん、この人バカなんじゃないの? うがが。最近、「他人の本は考えない悩まないで書くのがコツ」という人生訓(?)をG先輩に教わったので、これを忠実に実践すべし。

 ところで、さっき日誌の日付を書いて気づいたのだが、もしかして明日って確定申告の締め切り? わっはっは。す〜っかり忘れとったわい。そんな暇ないっつーの。GW明けまで待ってくれ。でも、還付金だけ前借りさせてくれんかのう。



3月13日(水)14:30 p.m.

 今朝5時に600字タイアップ2本、マッキー編集部に送稿。ひと眠りして対談原稿の続きに取り組んでいたら、同編集部Kさんから電話。半レギュラーの商品情報記事を金曜日までに書けとのこと。よくもまあ、次から次へとルーズボールが転がってくるものである。それをいちいち拾いに行く私って、ダービッツみたいだ。漫画家対談はなかなか終わらないわ、月曜に上げたラッパー対談には無茶な修正要求が入るわで(もっと哲学的になるように言葉を補うって一体どういう意味だろう)、K社単行本にはいつになったら取りかかれるやら。しかし元はといえば、去年秋に書いた単行本2冊をK社がなかなか本にしてくれないからカネがないのだ。カネがないからルーズボールを拾わずにいられないのだ。書いた順番どおりカネにならんと困るじゃないか。そっちが遅れるならこっちも遅れたるわい。という理屈が正当なものかどうかは知らぬが、物は考えようで気が楽になったので仕事に戻ろう。いつまでたってもサッカー日誌にならない。



3月12日(火)15:30 p.m.

 先週はサクサクと仕事が片付き、週末にはG先輩&タボン君夫妻と拙宅で愉快な時間を過ごしたり、凄まじいイタリア・ダービーを観戦したりしたので、本来なら本誌のテンションも上がるはずだったのだが、諸事情あって気分は猛烈なローテンション。色で言えば、ややドス黒いダークブルーか。なので仕事も停滞し、きのう終わるはずだった対談原稿をまだやっている。だからローマダービーも(結果を含めて)まだ見ていない。おまけに、240本ノックの余韻も醒めやらぬうちに、マッキー編集長から600字のタイアップ2本(を今夜中に書いてくれと)の依頼。K社からは単行本の進捗状況をたずねるメールも来た。「申し上げにくい状況」としか答えようがない。だって、先週はその原稿を1行も書いていないのだ。やれやれ。ローマダービー、どうだったんだろうか。見ると、ダークブルーがスカイブルーになるんだろうか、それともブラックになるんだろうか。



3月8日(金)14:30 p.m.

 今日も今日とて、雪下ろしはサクサクと続く。某論壇誌の対談記事30枚、さっき完了。淀みなく話がつながっていたので、わりと楽だった。「おらおらっ、もういっちょ来いっ!」と高校球児のごとき汗と涙と魂の叫び声を内心で上げつつ、次は某漫画家と某ラッパーの対談記事50枚だ。ラッパーとはラッパを吹く人のことではなく、ラップをする人のことである。ラップをする人と言っても台所に立つわけではなく、ラッパーはステージに立つのだった。さらにその次には、某漫画家と別の漫画家の対談50枚も待っている。対談3連発、計130枚ノックである。うー。ちょいと気分転換しようと思ってG先輩のHPを拝見したら、なんと先輩も先週、キャプション240本をひいひい書いてらっしゃったようだ。うへえ。あんまり気分が転換されない。お互い様でしょうけど。業界のそこここで響きわたる、ノックの打球音。つまり球春、なのか。だったらこの雪、溶けてくれんかのう。



3月7日(木)17:40 p.m.

 だあああっ。終わったっ。後半戦99本、総計243本ノックをやり遂げたのである。あらかじめマッキー編集長に引き取ってもらっといてよかった。あと100本書けって言われたら、たぶん荷物をまとめて夜汽車に飛び乗ると思う。どこ行くんだよ。「ブルゴーニュ」とか「トラットリア」とか「和空間」とか「和のミニマリズム」とか「北京ダック風生春巻き」とか「オリジナルブラッディーメアリー」とか「進化したネオジャパニーズキュイジーヌ」とか、ふだん使い慣れない言葉を書いて書いて書きまくるのは大層クタビレるのであった。ジネディーヌは楽に書けるのにキュイジーヌは指先がもつれる。タイプミスが多そうだなぁ。なにしろ進化したネオジャパニーズキュイジーヌだ。見てるだけで舌噛みそう。「見たことも聞いたこともない新しい和食」じゃダメなんだろうか。それにしても、「進化」は凄い。凄すぎてダーウィンもアゴ外しそうだ。しかも進化してるくせに「素材の味」だけは十分に引き出してたりなんかして。口の中でパチパチ弾けたりする得体の知れないガキの駄菓子のほうが、よっぽど進化してるような気がする。あと、にわかには信じられない話だが、「無国籍の和食」を食べさせる店もあるのだから東京という街は凄い。おいおい。俺たちゃ難民か? 243店のうち、私が行ったことがあるのはたった1軒だった。不向きな仕事としか言いようがない。

 ともあれ、ここ数日で再校チェックが終わり、飲食店ノックが片付くなど、だんだん荷物が軽くなる。今日と明日で30枚と50枚の対談記事をやっつければ今週は一段落じゃ。週末には来客があるので、ぜんぜん素材を厳選しないシンプルで素朴かつ場当たり的でフレンドリーな人工味たっぷりの家庭料理風イタリアンを作ることにしよう。トマトソースの隠し味は、工場で大量生産されたケチャップにかぎる。



3月6日(水)11:00 a.m.

 昨日は、まず骨董通りに飲食店情報前半戦144本分のフロッピィを配達。激務と睡眠不足で消耗したカラダに表参道駅の階段は堪える。危うく遭難するところだった。途中でビバークしようかと思ったよ。それはふつうビバークではなくホームレスという。その後、神保町にゲラを届け、さらに大手町パレスホテルでF先生の取材。どういう巡り合わせか半蔵門線1本で用が済む今日この頃である。ま、だから自分で届けようと思うわけだけど。しかし昼間の半蔵門線はやけに本数が少なくないか。地下鉄自体があんなもんなのかな。あんまり外出しないのでよくわからない。2時間の口述は、途中1時間ほど目を開けたまま気絶していたような。気絶してたんだから、目を開けてたかどうか定かではないが。帰宅後、飲食店ノック後半戦に着手。わしゃフラフラじゃ。さて本日も、午後からW先生の取材。これで昨日のF先生と合わせて2冊分の口述が終了だ。書くべき材料ばかりがどんどん溜まっていく。書いても書いても減らない。降雪量に追いつかないペースで雪下ろしをしているような気分である。江戸川の屋根にネタ降り積む。ぜんぜんサッカー日誌にならない。



3月4日(月)23:30 p.m.

 あー。今夜も私は飲食店ノック。どうして世の中のレストランというのは素材の味をそのまま生かした料理ばかり作るんだ? 素材の味素材の味って、そんなに素材が旨けりゃそのへんの草でもむしって喰ってろと暴言を吐きたくなるぐらい、素材の味が大切なのだこの世の中は。そりゃあまあ「素の味」はいいかもしれんが、「味の素」だってなかなかのものだと思うぞわしは。だいたい、素材の味を大切にしながら一方では「他では味わえない料理」を目指すなんて大変じゃあないか。牛は牛の味がするのだ。鶏は鶏の味がするのだ。トマトはトマトの味がするのだ。通常の5倍ブチ込もうが何しようが鰹ダシは鰹ダシの味がするのだ。他では味わえない味を出したいなら素材の味をぶっ殺してケミカルにデッチ上げたほうが簡単だぞきっと。だいたい素材の味を作ってるのはシェフじゃなくて農家の人だ。プロの料理人なら素材より旨いモン作ってみろってんだコンチクショー。

 ……ふう。いくら書き飽きたからって、こんな乱暴なことを書いてはいけないと思う。でもスッキリした。なので、そろそろ仕事に戻ります。本誌は私の精神安定剤なのです。ところで昨日、ラツィオは4-2で勝ちました。クレスポが3点に、パンカロが1点です。パンカロの移動攻撃は、いつも自分がやられていることを相手にやってみました、という感じでした。それなりに学習していてえらいなぁ、と思いました。こんどはそれを守備に生かしてほしいです。



3月1日(金)17:40 p.m.

 春だねぇ。あったかいし、少しは気持ちにゆとりを持たんといかんと思い、仕事場周辺をぷらぷら散歩した後、改装したばかりのジョナサンで昼メシ。ドリンク・バーなるものができていた。いちいち席を立ってコーヒーを注ぎに行かないといけないので、たいへん面倒臭い。せめて最初の一杯ぐらい、運んでくれないものか。

 ところで最近、こうして仕事場の近所でメシを食ったり買い物をしたり歩いたりするのに妙に気を遣う。どこで幼稚園のお母さん方に見られているかわかったもんじゃないからである。愚妻は幼稚園のお母さん方に会うと、「ご主人、ジョナサンでお食事なさってたわね」とか「(自販機で)缶コーヒー買ってるのを見た」とか「ラフな格好(つまりジャージ姿)で歩いてました」などといった報告をしばしば受けるらしい。ラフで悪かったな。あと、「自販機で飲み物」ではなく「缶コーヒー」とまで特定されているのが怖い。ともあれ、こっちは向こうの顔をいちいち覚えていないが、幼稚園に子供を連れていく父親は目立つので、向こうにはこっちの面が割れているのだった。イヤだなぁ。なんか、楳図かずおになったような気分。私を「見た」から何だと言うんだろう。うれしいのか? 今日も、ジョナサンの店内に子連れの母親集団がいたので(それがG幼稚園関係者かどうかわからないが)、自意識過剰になっちまった。ウエイトレスにもヘンに愛想良く振る舞っちゃったりなんかして。料理が来るのが遅くても、文句とか言えないじゃないか。「R太郎くんのパパ、ジョナサンで暴れてたそうよ」なんて幼稚園で噂になっちゃタマらんからなー。立ち小便なんかもってのほかだ。しないけど。そこらにいる人が「俺を知っているかもしれない」という前提で行動するのは疲れる。ま、それが人として正しい生き方なのかもしれないけど、都市の匿名性が私のほうだけ成立しないなんて、ちょっと不公平だと思う。せめて、自販機のボタンを押す瞬間まで見届けるのはやめてほしい。



2月28日(木)17:00 p.m.

 口述の速記録とフロッピィ、対談を収録したカセットテープ、段ボール箱一杯の飲食店情報、役に立つ参考文献、話をややこしくするだけの参考文献、ゲラ刷りなど、次から次へといろんなモノが宅配便で届く今日この頃である。封筒がいちいち爆弾に見えたりなんかして。A3爆弾やらB4爆弾やら箱詰め爆弾やら、爆弾もいろいろだ。これを俗に「仕事しろ爆弾」という。玄関の呼び鈴が鳴るたびに、防空壕へ逃げ込みたい気分。ピンポーン、空襲警報でーす。ハンコ押したくない。物流の発達はほんとうに人を幸福にしたのだろうか。文明め。加えて、知り合いの編集者が手がけた新刊も届く届く。ついパラパラと眺めているうちに読み耽ったりしちゃうじゃないか。こちらは俗にいう逃避爆弾。難儀な戦争である。戦争じゃないですね。でも援軍がほしい。誰か最終兵器リライトマシン2号を宅配してくれ。取説を読んでるあいだに1日が終わってしまいそうだけど。機械め。

 しかし一方でホッとする連絡も。さすがに気の毒だと思ってくれたのか、はたまた江戸川は信用ならないと思ったのか知らないが、マッキー編集長が100本ほど引き取ると言ってくれた。この期に及んで100本って。毎度のことながら大ざっぱな話である。そのノック、誰が受けるんでしょうか。ともあれ、強化合宿は1日で済みそうだ。そんなこんなで、残りはたった180本。当初の予定から言えば、すでに半分終わった計算である。楽勝楽勝。対談記事30枚、断らなくて正解だったかも。もっとも、この油断が往々にして命取りになるのだが。嗚呼、ミッドウェイの象徴性よ。



2月27日(水)14:40 p.m.

 昼は仕事場で単行本、夜は自宅で350本ノック。昨日ヤマちゃんにメールで言われたとおり、ノックのほうはマシンと化してコツコツこなしている。日本式の特訓の悪いところは選手の思考力を奪うことだと何かで読んだ記憶があるが、「まさに」と言うしかない。今日から私のことは「リライトマシン1号」と呼んでくれ。2号、どっかに売ってないかな。中古でいいんだけど。誰かアキハバラとかで見つけたら教えてください。なにしろまだ30本しか終わっていないのだ。「1日100本」の強化合宿を2日ぐらいしないとダメだなこりゃ。それはいいが、すると単行本のほうが滞るのであった。うー。いよいよ抜き差しならない状況になってきよったわい。うーうー。そんな状況にもかかわらず、私ときたら、また新たに某論壇誌の対談記事(400字×30枚)を引き受けてしまった。うーうーうー。なに考えてんだ江戸川。自分で自分のことが信じられない。勝ち目のない戦争に突き進んでいった日本軍もかくやと思わせるほどの自滅行為かも。要するにヤケクソ。でも、ほとんど絶体絶命のピンチであるにも関わらず、気分だけは妙に明るいのは何故だろう。私は壊れているの? らりほー。

*

 そんなわけで、アタランタ×ラツィオ(セリエ第24節)は飲食店ノックを受けながら横目で眺めていたため何だかよくわからないが、けったいなポボルスキーのゴールでラツィオが勝ったようだ。ポストに当たったボールが手前に跳ね返ればシモーネ君のゴールになったはず。試合には勝っても、彼だけは眠れないほど悔しがっているに違いない。他の場面はほとんど見ていないが、「何やってんのよ」とか「ンもう、へたくそっ」とかいう愚妻の罵り声がしばしば耳に入ったから、まあ、しょうもないゲームだったんだろう。サッカー1試合のあいだに200字のリライトは15本できることがわかった。青山や西麻布には「大人が寛げる雰囲気の店」がたくさんあることもわかった。大人はみんな寛ぎたがっているのである。わしもじゃ。



2月26日(火)10:40 a.m.

 うー。完全に積載量オーバーで、何から手えつけてええのかわからんのである。優先順位が高いのは明らかに締め切りの早いムック原稿だが、単行本のほうもまだ担当者に一行も見せていないので、ほっとくわけにいかんよなー。あー。私がもう一人ほしい。どこかにいないのか私。出てこい私。仮にいたとして、二人の私が共に仕事に精を出すとは思えないけど。もう一人の私がいたら、私はきっと彼に仕事を任せて旅に出ることだろう。ああ、そういうことか。もう一人の私はいま旅に出てるわけだな。くっそー。もう一人の私め。羨ましいぞ。

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 レアル・マドリー×アラベス(リーガ第27節)を途中から観戦。見始めたときは、すでに0-1でアラベスがリードしていた。どうやらマドリーはひどい出来であるらしかった。きっとラウールがいないせいに違いない。Cマークこそまだイエロが巻いているが、すでにラウールは実質的なキャプテンなのだ。たぶん。しかし前半ロスタイム、強引に突破を図ったサルガドをアラベス守備陣が取り逃がしてクロスを放り込まれ、どフリーのグティが頭で決めて同点。なぜ人はロスタイムになると弛緩するのだろうか。スピードスケートの選手がゴール前で惰性に任せるようなもん? ともあれ、この1点に救われたマドリーが、後半に投入されたラウールのゴールなどもあって3-1で勝利。ラウールには「男」を感じますね。あんなにセクシーなフットボーラーが他にいるだろうか。

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 冬季五輪がやっと閉幕したらしい。スポーツの難儀な面とアメリカの浅薄な面がさらけ出された2週間だった、ってことかしらね。いや、アメリカの浅薄さがスポーツを難儀なものに見せてしまっただけなのか。「嫌米本」がバカスカ売れそう。仕込んどけばよかった。「嫌米」って、米作農家の皆さんに怒られそうなコトバですね。ともかく、こんなに溜め息ばかり出る五輪も史上空前であろう。あんだけカネと手間暇かけて、世界中に溜め息つかせてどうする。ま、韓日W杯の引き立て役になってくれたという見方もできるかもしれないけど。ウォザースプーンやプルシェンコなど有力選手の失敗も目立ったが、きっと彼らのセルフイメージを縮小させる「何か」が会場に立ちこめていたに違いない。それは、単なる「地元選手への熱烈な声援」などではないと思う。そんなものに動じる彼らではないだろう。ソルトレークに漂っていたのは、もっと根が深い何かだ。人から集中力やら意欲やら闘争心やら自尊心やらを奪い去る、邪な何か。それが今後も彼の地から世界へ発散されないことを祈りたい。世界が去勢されちゃたまらん。



2月22日(金)11:10 a.m.

 中教審の答申(をかいつまんだ朝日新聞の記事)をナナメ読み。何なんでしょうか、「死や挫折を学ぶ機会充実」って。こんなとこに「充実」なんてコトバを置いてしまえること自体が病んでいるような気がするぞ。さあ、これからみんなで目一杯、死と挫折を学びましょう。高校生にそれが必要なんだそうだが、いったいどんな「機会」を「充実」させるのか見物である。みんなでロシアン・ルーレットでもやれば、両方とも学べそうだな。死ぬ奴もいれば、引き金を引けない自分の弱さに挫折感を味わう奴もいることだろう。「名文の暗唱」ってのも何だかなぁ。『声に出して読みたい日本語』が売れたから? そーゆーポピュリズムが教育を蝕んできたんじゃないのかしら。だいたい、誰が「名文」を選定するんだろう。間違っても、大江健三郎とかに頼まないでほしい。そんなことより、まずは憲法の悪文を直すことのほうが先だと思うのは私だけですか。あと、「音楽美術などの文化芸術とスポーツ活動」(引用は不正確かも)みたいな表現もあった。相変わらず、スポーツは文化とも芸術とも見なされていないらしい。なんで「音楽美術スポーツなどの文化芸術」じゃいけないんだ?

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 やたらアルゼンチン人とブラジル人が目に付くバルセロナ×ローマ(CL2次第3節)をビデオ観戦。やはりデコーダ不調で、半分ぐらいしかまともに映っていなかった。でもゴールシーンはちゃんと映っていたのが不幸中の幸い。バルサの同点ゴールは、またしてもプジョール→クライファートのホットラインによるものだった。ゴールライン際で粘ったプジョールのマイナスの折り返しを、クライファートがうまく抑えてハーフボレー。これが芸術じゃなくて何なんだよ中教審。プジョールのタマ際の強さは実に頼もしい。ハートも強そうだし、数年後には腕にCマーク巻いてるかも。結果は1-1のドロー。ローマをけちょんけちょんに叩いてもらいたかったので残念である。叩ける試合だった。オフェルマルス投入するなら、下げるのはサビオラじゃなくてリバウドじゃないのかなぁ。持ちすぎ&不調のリバウドがいると、オフェルマルスのスピード感が相殺されてしまう感じ。どうもレシャックって人は信用ならん。ベンチで水飲んでる姿は、酒飲んでるようにしか見えないし。話は変わるが岩佐さん、「モッタがボールを持った」は早野さんに言わせてあげなさい。



2月21日(木)9:55 a.m.

 シーマン復活。髪の毛伸びたな。そのぶん足が短くなったような気もするが、たぶん昔からあんなもんだったんだろう。いないと淋しいが、いるとやっぱりムサ苦しい男である。「髪の毛ほどいたら、連続××魔みたいな感じかも」とは愚妻の弁。××のところは、あまりにもシーマンが気の毒なので書けない。長期離脱の原因になった肩の故障はデカい魚を釣り上げたせいだというマヌケな噂もあったが、本当だろうか。なにしろ「シーマン」だけに、そんなことがあっても不思議ではない。そういえば、たしかパリュウカも釣り好きだったと記憶しているが、GKと釣りのあいだには何か因果関係があるのだろうか。よくわからない。よくわからないが、ヨシカツが釣り糸を垂らしているところを想像すると、妙に鬼気迫るものがあって怖いのであった。ずううっと独りで何事かブツブツ呟いてそうだし。たまに「ぐふふ」って笑ったりなんかして。ところでレバークーゼン×アーセナルのほうは、WOWOWのデコーダ不調でまともに録画できておらず、何もわからずじまい。ユーベ×デポルも同様。コンセントの抜き差しを試してから、修理人を呼ぶことにしよう。



2月20日(水)13:15 p.m.

 昨日は、神保町にゲラを届けた後、表参道でマッキー編集長と打ち合わせ。えらい仕事を引き受けてしまったものである。200字の飲食店情報のリライトを350本。与えられた時間は約10日。その間に単行本の原稿と対談記事2本も進めなきゃいけない。仕事というより特訓だな、こりゃ。このノックを受けて何が身につくかというと、たぶん根性が身につくのである。ま、持ってなかったものが身につくのは悪いことではない。でも。

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 今朝は幼稚園の「発表の会」に出席。すごいタイトルのイベントだが、要は季節はずれの学芸会みたいなもんである。あおぐみの出し物は、『ありゃりゃ村にお化け』と題したミュージカル仕立て(?)の寸劇であった。馬と鳥と豚と猿が暮らすありゃりゃ村にお化けが出るお話だ。セガレは猿だった。猿軍団の先頭を切って登場したセガレは、とても嬉しそうな表情で「アイアイ」を踊っていた。10ヶ月前の入園式では周囲といっさい同調しなかったあの男が、みんなと振りつけを合わせて「アイアイ」を踊るとは。安心するような淋しいような、ちょっぴりフクザツな心境である。

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 バルセロナ×ラ・コルーニャ(リーガ第26節)をビデオ観戦。ファインゴール連発の好ゲームは、3-2でバルサの逆転勝ちであった。サビオラのゴールをアシストしたリバウドのプレイに絶句。後方からのロングパスを受けたリバウドは、2度のリフティングでDFをかわすと、ボールを一度も地面に落とさないままループシュートを放ち、枠をわずかにそれたこのボールをサビオラが押し込んだのであった。リバウドは年に一度か二度、ああいう漫画テイストなプレイを見せてくれる。あと、クライファートのダイビングヘッドと、それをアシストしたプジョールのクロスにも驚嘆。今季の「世界大バケ大賞」は間違いなくプジョールでしょうな。ちょっと信じられないほど存在感が増大している。



2月19日(火)10:15 a.m.

 昨夜は、ゲラに手を入れながらラツィオ×キエーボ(セリエ第23節)をビデオ観戦。ラツィオの控えメンバー(DF)に見慣れない名があった。コマッツィという人だ。ごく一部の読者にしか理解できない話だが、一人称は「わし」だな絶対。二人称は「おぬし」かも。元気なのかコマッツィ。たまには飲みたいぞ。試合のほうは、コマッツィに出場機会が与えられないまま、1-1のドロー。せっかくシモがキエーボお得意のオフサイドトラップを破って先制点を決めたのに、85分にCKから失点。ザッケローニは慌ててピオホを投入していたが、手ぇ打つのが遅いっつうの。っていうか、PK決めとけよクレスポ。八塚アナには「4位争いの直接対決」なんて言われていたが、これはラツィオを持ち上げすぎ。現在9位である。センタリング賞だな。今日は内輪ネタばっかりだ。それにしても、頭上にベローナとトリノがいるという、この現実この事実。ふと気づけば、降格圏内のブレシアとはたった6ポイント差じゃあないか。ところで、キエーボのGKってどうして10番なんかつけてるんだ?



2月18日(月)19:00 p.m.

 いちいち「ゆーえすえー、ゆーえすえー」とやかましい今日この頃である。なにしろ個人競技のフィギュアでも「ゆーえすえー、ゆーえすえー」だもんな。個人主義が聞いて呆れる。ところで、誰も教えてくれなかったのが淋しいが、米国はアイスホッケーに出場していないわけではなく、1次リーグを免除されていたのであった。なあんだ。おかしいと思ったんだよな。1次リーグ、五輪っていうより欧州選手権になってたからさ。でも、だったらその1次リーグ、五輪前の欧州予選で済ませておくわけにはいかないんですか。3試合もやって疲労してから2次リーグに進む国があるなんて、フェアじゃないと思う。その2次リーグは2次リーグでトーナメントの組み合わせ決めるだけだって言うし、どうもアイホ業界の考えていることがよくわからない。手間を省きたいのか増やしたいのか、どっちなんだよオマエら。関係ないが、アイホって、ロイホに似ている。とっても安っぽい感じ。ふつうはどう略すんだろう。アイホケ? それとも、アホ?

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 それにしても、今に始まったことではないとはいえ、採点競技のキモチ悪さよ。談合で金メダルをもらったカナダ組より、100分の3秒という僅かだが明確な差で敗北して悔しがることのできる清水のほうが、よほど幸福そうに見えるぞ。アスリートは「勝つため」に闘っているのではなく、「勝ち負けをハッキリさせるため」に闘っているような気がしてきた。4年間の努力がもっとも報われないのは、負けたときではなく、勝ったのか負けたのかハッキリしないときなんじゃないかと思う。だいたい、われわれは小学校に入ったときから延々と「複雑な人間関係上の力学に翻弄されつつ先入観や打算に満ちた他人の主観によって評価されることの厄介さ」を日常的に味わっているのである。そんな灰色の世界を、わざわざスポーツで見たくないと思ったりするのは私だけだろうか。しかしまあ、どんな競技にも灰色部分はあるから、しょうがないか。結論としては、失敗すんなよロシア組、ってとこでしょうかね。見てないけど、中途半端に失敗したから話がややこしくなったんだろ? 出来レースはちゃんと最後まで出来レースにしないとダメぢゃないか。どうせ失敗するなら、もっと致命的に失敗しろ(暴論)。あと、技術力と芸術性を別々に採点できるという二元論的な発想自体に、近代合理主義の陥穽があるんじゃないか、なんてことも考えたりするのであった。絵画や彫刻や音楽だって、技術がダメなら芸術性もダメだろう。ヨロけて観衆をハラハラさせた瞬間に、芸術性も大幅ダウンするんじゃないかと私は思うのだがどうだろうか。ところで、圧力に負けて不本意ながらカナダ組のほうに軍配を上げた審判はいなかったんですか。



2月14日(木)15:50 p.m.

 朝から精神科医W先生の口述。2日連続の口述(計7時間)は結構くたびれる。喋るほうも大変だろうが、黙って聞いてるほうもあんがい消耗するものなのである。そうこうしているあいだに、今月も半分終わってしまった。うへえ。まだ一行も書いてないじゃないか。2月は短いのう。マッキー編集長からムック一冊分のリライトを頼まれて安請け合いしてしまったのだが、まずかっただろうか。プラス口述作業2件、ゲラ直し1件と計5冊分が同時進行で、脳味噌フリーズしそう。コンセント抜きたい。

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 冬季五輪の感想。男子モーグル選手の反射神経は尋常じゃない。リュージュはスポーツというより何かの罰ゲームのように見える。本田のSP2位はちょっと不思議な感じ。男子フィギュアのプルシェンコ(ロシア)を見ていると何故かトッティのことを思い出す。堀井にはがんばってほしい。どうしてアイスホッケーに米国は出場していないんですか。あと、スピードスケート男子500の一本目が終わった後に選手を捕まえてくどくどインタビューしてる報道関係者が腹立たしかった。彼らはまだ試合中だ。そっとしといてやれ。少なくとも、ウォザースプーンの転倒のことなんか訊くべきじゃない。それが彼らのメンタルに及ぼす悪影響について真剣に考えよ。ついでに言っとくと(言うまでもないかもしれんが)、私は326が嫌いだ。



2月13日(水)

 午後からグランドパレスで、文芸評論家F先生の口述。事前の打ち合わせのため、退社以来12年ぶりに古巣S社に顔を出す。ちょっぴりドキドキ。1階にあった文具店がなくなり、エレベーターがきれいになっていた。が、社内の空気は相変わらずな感じで妙に落ち着く。担当O先輩をはじめ、W取締役、文庫編集長Oさん、ガンちゃんなど懐かしい面々と名刺交換。W取締役が退社したNさん(元雑誌部長)とメールでゴルフの打ち合わせなんかしているのを知り、ちょっとおののいた。今どき当然とはいえ、昔はデスクの上にワープロを置くと周囲に人だかりができた(力道山時代の街頭テレビみたいだ)ぐらいだったのにねぇ。そんな時代に一緒に働いていた人から、「テープ速記、メールで送る?」なんて言われると、とっても違和感があるのだった。



2月12日(火)16:50 p.m.

 金曜の晩に、スカパーのチューナーが受信不能になった。やっと仕事が一段落してサッカーがゆっくり見られると思っていた矢先のことだったので、プンプンしながらパナソニックのカスタマーセンターみたいなところに電話したら、今朝、修理人がやって来た。症状を見た修理人はちょっと小首を傾げてからキカイの背面に回り、コンセントを抜いて、また差し込んだ。テレビにプレミアリーグの試合が映し出された。ユナイテッドが1-0で勝っていた。つまり修理が完了したのである。修理なのかそれは。むしろ「手当て」ですかな。ふむ。どうせお持ち帰りで1週間ぐらいかかるものと思っていたんで、ひどく脱力した。修理人によれば、原因は不明だが、キカイ内部のコンピュータが「フリーズ」していたらしい。なんだ。そうだったのか。近頃はチューナーまでフリーズするのか。イヤな世の中だ。でも、そうならそうと言ってくれればよかったのに。フリーズ慣れした私のことだ、コンセントの抜き差しぐらい当たり前のこととして試してみただろうに。試していれば、パルマ×ラツィオ(セリエ第21節か?)をフジテレビで見てシュートシーンになるとやおらギャースカギャースカ吠える某アナの実況に不愉快な思いをすることもなかったろうに。ま、どっちにしろ愉快じゃないけどな。負けたから。負けるなよ。ともあれ、スカパー利用者のみなさまにおかれましては、チューナー不調の際、コンセントの抜き差しをしてから修理人を呼ぶことをお勧めいたします。修理人のみなさまにおかれましては、不調を訴えるユーザーにコンセントの抜き差しにトライしてみるよう、事前に電話で指示することをお勧めします。それでも回復しないキカイのことを、最近は「抜き差しならない状態」と言うらしい(ウソ)。ラツィオも、いっぺんコンセント抜いてみたらどうだろうか。



2月8日(金)10:30 a.m.

 ふう。10日ぶりの更新である。とりあえず仕事は一段落したので、来週からは従来のペースに戻るつもり。だが今回は諸事情あって、いつものような脱稿感および解放感があんまりないのであった。まだやるべき作業も残ってるし。ふだんの仕事が学校の期末試験みたいなもんだとすれば、今回は入学試験という感じでしょうかね。試験が終わっただけでホッとはできないのである。肩にのしかかる重圧感が平社員と社長ぐらい違う、とも言えるかも。うう。息苦しい。しかしまあ、非日常的な1ヶ月であったなぁ。セルフイメージの拡大/縮小を激しく繰り返す自分をこんなに持て余したことはない。よい経験をしたものじゃ。いろいろお騒がせした皆様、ありがとうございました。



1月29日(火)10:00 a.m.

 告知もせずに2週間も放置してしまった。何度も足をお運びになった方々にはお詫び申し上げる。まだ仕事は片づいていないので、引き続き更新は滞る予定。サッカーはそれなりに見ている。先週はバカ勝ちしたラツィオだったが、今週はまた負けた。0-1だ。決めたのがルカレッリだったのが救いだが(内輪ネタ)、明日のキエーボ戦も思いやられる。クレスポ&シモの故障でチャンスを得た期待の新星エバークオ(19歳)は、なんだか手足の動きがバラバラで頼りなかった。もうちょっと下で練習してきなさい。でも、このところユナイテッドが負けるのを立て続けに見たので、わりと機嫌はいいのであった。

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 20日の日曜日に、家族3人で千鳥ヶ淵へ行った。前日の夕刊で、フェヤーモントホテルがなくなることを知ったからである。結婚式を挙げた施設がなくなるのは、何とも淋しい。なくなるなよな。引き出物を出席者全員に2つずつ与えるほど手際の悪いホテルだったが、相変わらずレストランのウエイトレスの段取りが悪くて微笑ましかった。帰り際、ホテルの前で親子の3ショットを撮影。ついでに靖国神社の骨董市で、ブリキのおもちゃセット(10個入り800円)を買う。

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 相変わらず矢野真紀を聴いている。リクエスト・アルバム『たからもの』も、聴けば聴くほど味の出る名盤だ。しかし、オマケでついていた矢野真紀カレンダーは、いつの間にか矢野真紀の写真の上にセガレの写真が貼り付けられ、R太郎カレンダーになっていた。 ちなみに、「R太郎」は「楽太郎」ではありません。



1月16日(水)17:30 p.m.

 ピアチェンツァ×ラツィオ(セリエ南1局)は、パンカロのせいで0-1。いったんマーカーの背後に消えてから前に飛び出すというヒュブナーの単純な忍術に、パンカロはあっさり引っかかっていた。ま、ダメだったのはパンカロだけじゃない。どいつもこいつも、何がやりたいのかぜんぜんわからなかった。サッカーがやりたいのかどうかさえわからない。この4年間で最低のゲームかも。ちゃんと練習してから試合に臨んでほしいと思う。もっとも、「このチームでのモチベーションがなくなったからヤメたい」なんて言ってる奴(ネグロ)がキャプテンマークを巻いているようなチームが、勝てるわけないけどな。ヤメたい奴はヤメさせてやれ。ザッケローニも、もう去ってよし。ヴィオラ組を追い出されたマンチーニ親分を呼んできなさい。ついでに現役復帰も許す。そのほうが、負けてもまだ納得がいく。



1月15日(火)14:55 p.m.

 週末にはサッカーを何試合か見たのだが、どうもそれについて書く気にならない。たぶん、仕事でサッカーのことを書いているからだろう。実際、ちょいとヘヴィな仕事なので、たかが知れている全能力を集中しないとクリアできそうにないのである。なので、今月は更新ペースが落ちると思います。あしからず。



1月12日(土)

 ナマ矢野真紀の日である。5時半にハチ公前でタボン君と待ち合わせをした。ハチ公前で待ち合わせをしたのは15年ぶりぐらいかもしれない。南蛮亭で串焼き盛り合わせと鳥唐サラダと中ジョッキ2杯を腹に詰め込んでから、タワーレコード地下1階へ。意外に混んでいて立ち見だった。とはいえ、どう見ても400人はいない。せいぜい200人ぐらいか。矢野真紀は6曲歌ってくれた。どれもすばらしく印象的な歌だった。矢野真紀はハーモニカも吹けるということがわかった。喋り方がちょっと桃井かおりに似ていることもわかった。あまりトークには向いていないこともわかった。言いたいことを整理せずに喋り始めるから、だらだらとあらぬ方向に話が転んでいくのだろう。タボン君は、われわれのバンドでバンマスを務めていたUみたいだと言っていた。こういう人の口述は整理するのに苦労するので、ゴーストはしないほうがいいかもしれない。そんなわけで、矢野真紀についていろいろなことがわかったのだが、いまだによくわからないのが彼女の「顔」である。CDジャケットやポスターを見てもいちいち違う顔をしているので、素顔はどんなものか興味があったのだが、これが判然としない。素のときと歌っているときとではぜんぜん顔が違うし、そもそもどれが「素」なのかわからないのである。たぶん街ですれ違っても気づかないだろう。まあ、声さえあれば顔なんかどうでもよい。ライブ終了後、タボン君と2人でカラオケ屋に行った。アメリカだったら、まず間違いなくホモだと思われたことだろう。もちろん矢野真紀を歌いたかったからだが、許し難いことに1曲も入っていなかった。しょうがないので、タボン君はコロナ、私はライムサワーを飲みながら、ビートルズやキャンディーズや井上陽水やミシェル・ガン・エレファントなどを小一時間歌って帰った。自分が何を目指して生きているのか、ちょっとわからなくなりそうなサタデーナイトだった。



1月11日(金)

 H君がイスラエルでお土産を買ってきてくれた。箱入りのデーツである。たしかに干し柿っぽい外見で、干し柿よりも小さい。おそるおそる食ってみた。「あんこをさらに甘くしたような味」と聞いていたので、口に入れた瞬間に歯が溶けるのではないかと危惧していたのだが、予想したほどではなかった。でも甘いことは甘い。やはり、これをチョコの味付けに使ってはいけないと思う。

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 夕刻、帰宅して晩飯を食った後、仕事場に戻ろうかどうしようか思案していたら、セガレが「今日はもうやめれば?」と言った後、「あし〜たがある、あし〜たがある」と歌い始めた。そうだよな。明日があるよな。なんて親孝行な息子なんだろう。いい選曲家になれるかもしれない。



1月9日(水)10:20 a.m.

 CSフジの「サッカー座談会」を途中から見た。いつも思うが、いまどき珍しい投げやりなタイトルである。出席者は木村、金田、長谷川、水沼、風間の5氏。金田さんは例によって正月だというのにすっかり日焼けしていた。また沖縄に行って来たらしい。「エクアドルはアギナガとカビエデスがいいねー」とコメントしたあと、「金田さん、知ってる名前並べてるだけでしょ」と健太に突っ込まれて、半分マジで怒っていた。やはり金田さんの世間知らずは業界でも有名なのだろう。なにしろニューカッスルの控えメンバーについて、「ここにはチャウチャウとかいうアフリカ人FWがいますよねぇ」などと思い切ったことを言ってしまう人だ。正解はルアルアですが。サッカー座談会は、今もっともおかしいトーク番組かもしれない。

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 レアル・マドリー×ラ・コルーニャ(リーガ第19節)を観戦。5分にモリエンテス、7分にマカーイ(PK)、10分にジダンと、ほとんどハンドボール並みのペースでゴールが入るフシダラな序盤であった。新春大安売りってところでしょうか。でもジダンのゴールは、「さすがベルベル」と唸るしかない超絶技巧。ありゃ手品だろ。タネや仕掛けがあるとしか思えない切り返しだった。後半にはラウールのゴールもあって3-1。モリエンテスがPKを取ってもらえず、チーム全体がカリカリしているときに強引な突破でゴールを決めてみせるあたりが、ラウールの立派なところである。Cマークこそつけていないものの、こういうところに彼のキャプテンシーを感じるのであった。代表でも彼がこの存在感を示せれば、スペインも少しは世間の期待に応えられるかも。

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 数日前、正月にWOWOWで録画しておいた「キャンディーズ・フォーエバー」を見た。日比谷野音の「ふつうの女の子に戻りたい」から後楽園球場の「私たちはしあわせでした」までをまとめたものである。このファイナル・カーニバルの映像はこれまでにも何度となく見ているが、いちいち感動してしまう。同じ後楽園で発せられた「永久に不滅です」に勝るとも劣らない印象的な引退メッセージと言えよう。70年代の後楽園って、実は引退セレモニーのメッカだったのかもしれない。キャンディーズは引退じゃなくて解散か。ところで、キャンディーズのファンはどうしてメガホンを持ってコンサートに行くのだろう。70年代のコンサートはみんなああだったのだろうか。いま見るとかなり異様だ。だいたい、こんなに威勢のいい男ばかりが集まるイベントって、近頃は滅多にないんじゃないだろうか。場内に漂うムードが、かぎりなくデモに近い。国会議事堂を取り囲むようにキャンディーズを取り囲んでいる。私の見たところ、当時のキャンディーズ・ファンの55%は大学生、30%は暴走族、残りはたぶん大半が阪神ファンだ。そんな雰囲気。メガホンも黄色が多いし。それにしても、あれがもう四半世紀も前のことだとは。キャンディーズ解散後に生まれた人が、もう社会人になってるってこと? その世代にとってのキャンディーズって、私の世代にとっての「三人娘」みたいなものなのかしら。あらまあ。



1月8日(火)14:40 p.m.

 朝10時から音羽で口述。忙しくて事前に何も準備できなかったため、混んだ地下鉄に揺られながら、リスクマネージメントに関する著者の本に慌てて目を通す。そうなのだ。来月以降の仕込みが何じゃかんじゃとあるから、サッカー以外のことも考えねばならぬのだった。おまけに資金繰りのことも考えなければいけない。ほかにも、昼飯に何を食うか、いつエアコンのフィルター掃除をするか、どうしたら体脂肪率が減るのか、電気が光る理由など、考えることはいろいろある。考えることについて考えてみたい気もするが、そんなことを考えている余裕はどう考えてもありそうにない。

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 案の定、インテル×ラツィオはスコアレスドローだった。首位チーム相手にアウエーで勝ち点1はそう悪い結果ではない。問題はネスタの故障である。自分で歩いてたからそんなに深刻じゃないだろうと思っていたのだが、全治5週間だとか。やれやれ。ネスタが引っ込んだ後の守備陣を見ていたら、なんだか絶望的な気分になってきた。ふと気づけば、ネグロ、ファバッリ、パンカロのレッツゴー3匹が十年一日のごとくうろうろしている。2年ほど前のアーセナルを思い出したりしますな。イタリア版、腐れフェイマスバックスリー。どうして3人とも、あんなにノラリクラリとしているんだろう。このうえコウトが怪我なんかしたら、そこにミハ色が加わるわけか。ある意味すごいなそれ。どんな騒ぎになるのか、ちょっと見てみたい。

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 アストンヴィラ×マンチェスターU(FAカップ3回戦)を後半途中から観戦。チャンネルを合わせたら1-0でヴィラが勝っていて、小さくガッツポーズ。さらにフィリップ・ネビルの自滅点で2-0となり、大きくガッツポーズ。GKにバックパスしようとしたのか、外に出してコーナーに逃げようとしたのかわからない、実に中途半端なヘディングだった。だはは。愉快愉快。だが、しかし。さすがギャリーの弟だよなぁ、血は争えないよなぁ、この自滅兄弟の父親は責任感じちゃってたまらんだろうなぁ、などと愚妻と2人で軽口を叩いていたら、どこからともなくファン・ニステルローイが現れてあっという間に2-3になっていた。ぎゃふん。よく覚えていないが、10分もかけずに3点取ったんじゃないだろうか、あの人たち。久しぶりにサー・アレックスの下品な狂喜乱舞を見て、たいへんムカムカしました。大監督ならではの人間的な重みってもんを感じないんだよな、あのお方には。



1月7日(月)14:15 p.m.

 昨夜(今朝?)3時半に越年ワークをやっとのことで脱稿。ふう。帰宅して風呂入ってビール飲んだら、東ラスの大一番、インテル×ラツィオ(セリエ第17節)のライブ中継が始まったので、前半だけ見た。なにしろ事実上の優勝決定戦である。眠いなどとは言っていられない。ロナウド&コルドバ抜きのインテルとパンカロ抜きのラツィオだ。アウエーとはいえ負ける気がしない。もっとも、過去のインテル戦はパンカロがけっこう活躍してたんだけどね。2年前、ロスタイムに同点ゴールを決めた頃、私はまだパンカロが好きだった。ふっ。人の心なんて転がる石のようなものなのさ。中途半端な比喩はやめましょう。

 ラツィオとしては、キックオフ直後の華麗な展開からフィニッシュを決められなかったのが痛かった。中盤で小気味よくポンポンとつないで右サイドのポボルスキーがクロス。一連の流れに、まったく迷いがなかった。思うに、あれは「1分以内の度肝を抜く先制ゴール」を狙って事前に綿密に打ち合わせた乾坤一擲のプレイだったのではないか。キックオフもセットプレイの一種なのだ。入んなきゃしょうがねえけどな。その後は、22人全員が目立つ感じの濃密な好ゲーム。結局は疲労と睡魔に負けてしまったので後半は未見だが、「お互いに最後まで集中を切らさずスコアレスドロー」の臭いがぷんぷん漂う前半ではあった。

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 明けて本日より新たな仕事に突入。今月はサッカー関係の原稿だ。朝から晩まで公私ともにサッカーのことだけ考えていればいいので、たいへんハッピーである。気分一新の意味もあって、去年ヤマちゃんに貰ったPM6300/120を去年ヤマちゃんに貰ったPM8500/132に交換。ところが、セッティングして立ち上げてみたら内蔵MOドライブがこれまで使っていたディスクを読み取ってくれないわ、OS8なのにネット接続が昔懐かしいConfig PPPだわで、しばし思考停止。ネット接続は自前のOS8をインストールし直せば解決するが、そうすると、せっかく居抜きで譲ってくれたイラストレーターやらフォトショップやらフォントやら何やらかんやらが「無」になってしまうので、いかにもモッタイナイ。どうしたもんかヤマちゃんに電話して相談したら、「そのマシンを使っていたMacに詳しい社員が休んでいるので数日後に対応策を検討する」とのことなので、再び去年ヤマちゃんに貰ったPM8500/132を去年ヤマちゃんに貰ったPM6300/120に交換した。あー忙しい。



1月6日(日)14:50 p.m.

 この1年、セガレを熱狂させ続けてきた『百獣戦隊ガオレンジャー』はもうじき最終回を迎え、すぐに次のシリーズが始まるらしい。すでにガキのテレビ雑誌はその話題で持ちきりである。新作のタイトルは『忍風戦隊ハリケンジャー』だ。「ハリケーン・レンジャー」の略ですね。でも、もしかすると『ハリー・ポッターと賢者の石』の略かもしれない。自称省略言語評論家の私としては、「ハリポタ」よりも「ハリ賢者」のほうが略称として美しいと思う。略称は「切れ味」がイノチだ。「ハリポタ」はダラシない。

 それにしても、つまりこの「ハリケンジャー」というネーミングは、サブリミナルな便乗戦略によるものなのだろうか。だったら、わしもこの際、『ハリ賢さんと邪悪なポッタ石』ってタイトルの童話でも書いてみようかのう。むかーし昔のそのまた昔、あるところにハリ賢さんとビリ賢さんというそれはそれは愚かな兄弟が、なかよく貧しく暮らしておったそうな。裏山のてっぺんには、さわると祟りのあるそれはそれは大きな岩があったそうな。2人の兄弟は、それをポッタ石と呼んでいましたとさ。めでたしめでたし。童話は字数が少ないから楽である。三題噺かそれは。どうでもいいが、「忍風」ってなんだろう。ハリケーンって、あんまり忍んでる感じじゃないと思うけど。

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 きのう深夜に帰宅したら、愚妻は寝ていたが、スカパーでは『ひゃくプロポ』の第6話を放送していた。ひと晩に3話ずつ放送しているのだ。すでに「死にましぇんの巻」は終わっており、浅野温子は長谷川初範と出会っていた。長谷川初範は武田鉄矢の会社の課長だった。嗚呼、なんて不幸なんだろう。しかし、あんなサエない係長のいる会社に、あんなカッコいい課長がいるものだろうか。会社って、社員のテイストが不可避的に似てしまうものだと思うんだけど。偏見ですか。婚約を解消した鉄矢は会社を辞めたが、再び奮起して温子に「あなたを取り戻します!」と宣言していた。おまけに「夢だった弁護士を目指します!」とまで言い放って私を驚かせもした。そんな展開だったとは。意外に覚えていないものである。それにしても、たった6回目でここまで話が進んでいるんですね。あと7回、どんなドラマが待っているのだろう。ぜんぜん覚えていない。



1月5日(土)12:50 p.m.

 待望の「ナマ矢野真紀」まで、早いものであと1週間である。「ナマ春巻き」と同じイントネーションで発音しないように。じゃあどこにアクセント置けばいいんだと訊かれると困るけどな。ところで昨日、朝から晩まで仕事しながら有線のリクエストチャンネルを聞いていたら、十数時間のあいだに矢野真紀の『タイムカプセルの丘』という感動的と評する以外に形容する言葉の見つからない名曲が、4回もかかった。おお。キテるのか矢野真紀。もしかしてブレイク寸前なのか。今年の紅白ではこの曲が聴けるのか。それとも同じ奴が3時間おきにリクエストしてるのかなぁ。念のため言っておくが、私じゃないからね。ま、いちいち仕事の手を休めて聴き入ってるんだから同じようなもんかもしれんが。J-WAVEとかでは、かかってないんでしょうか。矢野真紀。タイムカプセルの丘。どんとみすえて。

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 きのう深夜に帰宅したら、愚妻がスカパーで『101回目のプロポーズ』を見ていた。91年の作品である。あの頃なんで毎週見ていたのか考えているうちに、番組スタート前に雑誌の取材でプロデューサーにインタビューしたことを思い出した。それで「どんなもんじゃろ」と1回目を見て、そのままハマってしまったのだ。「ぼくは死にましぇん」の巻は、新潟の民宿でラッパ吹きのK先輩と泣きながら見た記憶がある。涙もろいのである。ゆうべ見たのは、武田鉄矢がボーナス82万円強を全額1-7一点にブチ込んでしまう話(第2話)と、部長のセクハラを咎めて課長昇進をフイにしてしまう話(第3話)の2本だった。オハナシとして、たいへんよく出来ている。浅野温子は目でしか芝居してないな、と思った。主題歌の『Say,Yes』は歌詞が少しヘンだな、とも思った。ところで、長谷川初範はどういう経緯で浅野温子と出会うんだったっけ。とても気になる。



1月4日(金)16:30 p.m.

 マンチェスターU×ニューカッスル(プレミア)を観戦。にわかカッスリアン(?)として声なき声援を送ったが、ファンニステルローイ&スコールズ2発で3-1。つまらん。監督も負けてるのにへらへらしていて、ニューカッスルは全体的に気合いが感じられなかった。まあ、しょうがないよな。正月だもん。私もまだ原稿に気合いが入らない。いかん。



1月3日(木)13:30 p.m.

 あけましておめでとうございます。
 本年もよろしくお願い申し上げます。
 私は今日から仕事です。原稿が越年してしまったのです。
 ウンザリです。

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 持つべきものは友であるなぁ、とシミジミ思う年の暮れであった。28日にはヤマちゃんがMacをくれたし、30日にはタボン君が渋谷のタワーレコードから電話をくれた。矢野真紀のライブ整理券付きCD(おまけに矢野真紀カレンダーまで付いているらしい)を2枚、買ってくれる(つまりライブにも同行してくれる)というのである。なんていい人なんだろう。先着400名に与えられる整理券は、発売4日目でまだ160枚ぐらいしかさばけていなかったようだ。売れてないな矢野真紀。1店舗で1日平均40枚ということは本ならベストセラーだが、矢野真紀の場合、首都圏在住のファンはほぼ全員が整理券を求めて渋谷のタワーレコードで買うはずだから、首都圏で160枚しか売れていないってことだ。たぶん。ともあれ、ヤマちゃんもタボン君もありがとうございました。今年は何とかご恩返しをさせていただきます。

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 暮れは31日の夕刻まで仕事をして、私の実家がある小金井へ。紅白歌合戦では、平幹二郎と高橋恵子の心中芝居に心を奪われた。細川たかしのリズム演歌も悪くなかったと思う。上村と福田と南に関しては、ノーコメント。何を言っても心が寒くなるばかりだ。セガレは、何とかという女性演歌歌手の歌が気に入ったようで、「お母さーん、お母さーん」という歌詞を、何を聞き違えたのか「オカダさーん、オカダさーん」と歌って祖父祖母を大笑いさせていた。

 元日は小金井でおせちを食ってから愚妻の実家がある調布へ移動。セガレは従兄たちと人生ゲームエキストラ&坊主めくりで盛り上がっていた。坊主めくりは面白い。1枚30円ぐらいのレートでやったら、大人でもかなり熱くめくれそうだ。ちなみに蝉丸は頭に何かかぶっているが坊主なので油断してはいけない。

 2日は再び小金井へ移動して、千葉から来た兄一家と合流。その時点で、セガレはまた熱を出してぐったりしていた。興奮しすぎなのである。しかしここでも従兄や従姉と坊主めくり。朦朧とした目つきで札をめくるセガレがちょっと痛々しかった。

 その夜に帰宅して、年賀状を読む。例年よりやけに多いと思ったら、セガレのクラスメイトからどっさり届いていた。なるほどね。今年の年賀状大賞は、桜台にお住まいのO君一家に決定。お子さまの画力に感服した。ちなみに私の年賀状はさっき投函したなかりなので、到着までしばらくかかります。すまぬ。

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 その後、録画しておいたリバプール×ボルトン(プレミア)を観戦。忘れた頃に飛び出すジェラードのゴールでリバプールが先制したものの、ノーラン(だったかな)のゴールでボルトンが追いつき、1-1のドロー。オーウェンは珍しくサッカーをするのがとても面倒臭そうだった。しょうがないよな、正月だもん。私も原稿を書くのがとても面倒臭い。

 その後、やはり録画しておいたBS−1のW杯名場面集、カメルーン×コロンビアなどをちらほらと眺める。ロジェ・ミラ対イギータはロジェ・ミラの勝ち。2点目のシーン、実況では「イギータ出過ぎ」という話になっていたが、あの失点は、あそこでイギータにボールを返したディフェンダーの責任だと思う。あんな位置でGKにバックパスしてどうする。と、12年も前のプレイに文句つけてもしょうがないのであった。

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 セガレのほうは、今朝になったらすっかり元気になっていた。今年も、大きな怪我や病気をしないで育ってくれれば、それでよい。



12月28日(金)7:30 a.m.

 おお。ラツィオがダビッツにオファーとな。交換要員はメンディエータ。なんかドキドキしてきた。改名しなきゃよかったかな。もし実現したら、結果的にネドベドと花いちもんめしたことになるわけですね。ネドベドと共にラツィオから消え去った「アダルトなガッツ」を取り戻すのに、ダビッツほどの適材はない。ボランチは人手(人足か)が足りてるから、どうせならポジションもネドベドと同じ左サイドで使えばいいと思う。なにしろオランダ人だ。どこだって出来るに違いない。たぶん一塁も守れると思う。左利きだし。投げるのは右なのか。じゃあ遊撃手だな。6番ショート、ダビッツ。高木守道と組んだら鉄壁の二遊間になりそうだ。あと、ダビッツは運動量が豊富だからサードとレフトは要らないかも。左半分はぜんぶダビッツの守備範囲だ。そのぶん、右中間に外野手を4人並べればいいんじゃないかな。気が済んだらとっととサッカーの話に戻りなさい。戻った。ダビッツとラツィオの話だ。ユーベではジダンがいたために半ば封印していた攻撃力を、ここで開花させればよい。あれはEURO2000前のベルギーとの親善試合だったか、センターライン付近から左サイドでドリブルを開始したダビッツが、あれよあれよという間に3人か4人抜いてゴールを決めたシーンが思い出される。あれを毎週やってくれ。ただし最後はクレスポにごっつぁんパス出してね。でもユニフォームが似合うかどうか心配だ。メンディエータは縞馬が似合いそうだが。あ、まだオファー出しただけか。カモォン、エドガア。いずれシメオネとWボランチなんか組んだりしたら、私としてはもう思い残すことはない。シメオネとダビッツの後ろにネスタとスタムなんかいたら、どうやったって失点しそうにないぢゃないか。4人のうち今いるのはネスタだけなんですけどもね。うー。

 一方、フィオーレも退団が決定的になっている模様。誕生日が同じなのでちと淋しいが、まあしょうがないか。でも、今季の補強はいったい何だったんでしょうかね。端的に言って、二度手間。中田との交換も取り沙汰されていたが、これはラツィオ側が拒否したらしい。彼がラツィオ入りすると私としても応援の仕方がなんだかややこしいことになりそうなので、それはそれで良いと思う。ま、中田がいると必ずライブ中継される&コメンタリーの質が上がるというメリットがあるわけだけど。あと、コバチェ君もひっそりソシエダに移籍。何の感慨もない。ま、1部残留に貢献してくれたまへ。



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