edogawa's diary on 2002-2003 season #07.
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9月30日(月)17:45 p.m.

 HDVに溜まったゲームを消化すべく、セガレを幼稚園に送り届けた後、朝から2試合も見てしまった。午前10時から「あっ、フリーだ!」「うぎゃあああ」などと盛り上がってる夫婦って、ちょっとどうかと思う。最初に見たのは、ベティス×バルセロナ(リーガ第4節)である。何やらペナルティが科せられたとかで、開催地はウエルバ。ちょっと前に読んだフィル・ボールの『バルサとレアル』というロクでもない邦題をつけられた好著が、このスペインサッカー発祥の地の話から始まっていた。陰惨なイメージの情景描写から、きっとうら寂しい街に違いないと想像していたのだが、ウエルバのスタジアムは想像どおりに薄暗かった。フィル・ボールの筆力おそるべし。だが、その薄暗さを忘れさせるようなベティスの明朗快活なサッカーではあった。アルフォンソのPK、ホアキンのドリブルシュート、さらにはバレラによる驚天動地の4人抜きもあって、3-0でバルサを粉砕である。おかしな4人抜きだったよなぁ。唖然としながら棒立ちで仲間のドリブルを眺めていたベティスの選手たちの姿が印象的。最後まで、本人も自分がシュートを撃つとは思ってなかったに違いない。一人抜くたびに、バレラの頭の上で「あれ?」というクエスチョンマークが増えていくような感じだった。バルサは、ルイス・エンリケが消えすぎ。いったん消え始めると際限なく消えてしまうのが彼の悪い癖だ。乱闘騒ぎのときしか顔を見なかったような気がする。ところで、デニウソンは大好きなサビオラのユニをゲットできたんだろうか。スカパーには、総力を挙げて来週までに調べておいてもらいたいです。

 引き続き、インテル×アヤックス(CL1次第2節)を観戦。アヤックスを見るのは、ものすごく久しぶりである。で、ズラタンだ。彼、ズラタンって名前だったのかー。ズラタン。名前つけるのにズラタンってこたぁないよなぁ。なにしろ「ズラ」で「タン」だもんな。「ズラ」で「タン」で、おまけに「イブラヒモ」だ。日本人には「ゴリライモ」を連想するなと言うほうが無理だが、イブラヒモはアブラハムと何か関係があるのだろうか。そんなことはどうでもいいのだが、ズラタン・イブラヒモビッチは上手いんだか下手なんだか判りにくい選手である。なーんか見ていて妙に居心地が悪い。そこに立っているだけで、見る者をそこはかとなく不安にさせるのはなぜだろう。体格、容姿、プレイスタイル、そして何より名前など、さまざまな面で人間としてのバランスが微妙に歪んでいるのかもしれない。なんか非道いことを書いているような気もするが、とにかく、マンマークにつきたくないタイプの人だ。試合のほうは、アルメイダのアーリークロスを魂の爪先でねじ込んだクレスポのゴールで、インテルの1-0。この2人にコンセイソンが抱きついていたりするのを見ると、「それはラツィオのゴールなのではないか?」という疑問をどうしても頭の中から振り払えない。「ドローで十分」の慎重な戦いぶりを見せたアヤックスだったが、後半途中から「なんかインテル弱いかも。俺たち勝てるかも」と欲が出てちょっとずつ前がかりになったところで返り討ちにあった感じか。



9月29日(日)

 午前中、まとわりついてくるセガレを手で払いのけながら、ラツィオ×ミラン(セリエ第4節)をビデオ観戦。ふだん、好カードはセガレが寝てから見るのだが、こればっかりは夜まで待てない。愛するクラブを守るために売られていったネスタがブーイングを受けているのは気の毒だったが、もしかしたらラツィアーリも泣きながらやってたのかもなぁ。お互いの未練を断ち切るために必要な儀式だった……というのは見方が好意的に過ぎますかね。前半、リバウドのFKをマルディーニがバックヘッドで決めてミラン先制。ネスタ移籍で最大のメリットを享受したのはマルディーニなのかも。すっかり復活してポイントゲッターにまでなっちまった。さてラツィオのほうは、スタムを右SBに回した結果、CBがコウト&ミハイロという恐るべき布陣である。敵にとってじゃなくて、味方にとって恐るべきなんですけどね。言わなくてもわかるか。しかし、ペルッツィの好セーブ連発もあって失点を1に抑えたのは立派立派。すごーく立派。攻撃も、パンカロのサイドアタック以外はなかなか見応えがあった。パンカロって、相手のクロスはやすやすと入れさせるのに、どうして自分のクロスは最初からコーナー取ることしか考えてないんだろう。相手がパンカロの前で切り返すと必ずクロスがゴール前に飛んでいくのに、パンカロが相手の前で切り返すと必ず攻撃がそこで終わってしまうのである。脚を痛めて引っ込んだときは、ほんとうにホッとした。ともあれ後半、ピオホのゴールで同点。その後も、ポストが折れそうなスタムのFK、下インザーギの空振りなど惜しいシーンがあったが、1-1のドローであった。でも、あのミラン相手に勝ち点1はかなりえらい。結果以上に、ひたむきでハートフルな戦いぶりに好感を持った。このままシーズンを通して、サッカー本来のハラハラドキドキを味わわせてくれればそれでよい。ちなみに上下インザーギのオフサイド合戦は、兄貴の圧勝でした。

 午後、大分に引っ越すりんご君一家を見送りに妻子が羽田まで出かけているあいだに、W杯のダビング作業。未見だったポーランド×アメリカ(グループD)ベルギー×ロシア(グループH)を読書しながら横目で見た。それぞれ、韓国×ポルトガル、日本×チュニジアの裏番組だったのでテレビ観戦者は少ないだろうが、どっちも面白い試合でしたね。ポーランドは驚くほど強かった。オリサデベの先制ゴールなんて、今まで知らなかった自分を呪いたくなるほど凄い迫力だ。一方のベルギーも、ソンクやヴィルモッツのゴールはなかなかの逸品。そういや大会中はハイライト番組をぜんぜんチェックしてなかったので、見てないゴールシーンがいっぱいあるんである。W杯はまだ終わっていない。ところで、ベルギー×ロシア戦の実況を御大・金子さんに担当させるのは、(あえて本人が手を挙げたのかもしれないけれど)やっぱ酷だったんじゃないでしょうか。中田のゴールやグループ1位突破決定に触れながら「すごいすごい」をくり返す金子さんの言葉を聞いていたら、「生で見たかったろうになー」と泣けてきましたよ私は。ちなみにセガレは、最後の最後で親友のりんご君とケンカをしてしまったらしい。まぁ、本気でケンカできる相手は彼だけだったから、それも一つの別れ方としてアリか。いずれ、仲直りしに大分まで遊びに行こうね。

 夜、ユベントス×パルマ(セリエ第4節)を後半途中から見た。中田のゴールでパルマが勝っていた。ほんと、ユーベ戦に強い男じゃのう。さらに、アマゾンの怪人系大型FWアドリアーノのゴールで0-2。ちとCL疲れの見えるユーベは、もはや抵抗力がないように見えた。だが、しかし。87分にトゥドールのヘッドで1点差。ラムーシが意味不明の退場でパルマ10人。ロスタイムは5分。やけに遅い笛で、中田の横パスにオフサイドの判定。テュラムのロングフィード。両手を使ってボールをコントロールしたデルピが起死回生の同点ゴール。視線を虚ろに泳がせながらピッチを後にする主審。怪し〜〜〜〜〜〜〜〜い幕切れで、ユーベが勝ち点を拾ったのであった。イタリア協会には、エクアドル方面より前に、ちゃんと調べるべき相手がいる。もっとも、買収されてたなら、アドリアーノのゴールはオフサイドにしてたと思うけど。

 さらに、コモ×レッジーナ(セリエ第4節)をライブ観戦。予想はしていたが、90分間、溜め息と薄ら笑いが途絶えることのないヘボ試合であった。北のお芋と南のお芋はどちらがよりイモ臭いかを競っているかのような削り合い&倒れ合い。すばらしいのは、山あり湖ありのスタジアム周辺の風景だけだった。最初から最後まで「ボールが落ち着く」ということがない。ゴールもそれぞれPKのみ。どっちも、サッカーをやりたくてやってるようには見えなかった。ちゅんちゅけ君、2戦連続でPKを決めたのはえらいけど、行き先を間違えたような気がしてならないっす。

 その後、チャールトン×マンチェスターU(プレミア約6節)を見たはずなのだが、途中で昏睡状態に陥ってしまい、ほとんど記憶がない。最近、深夜0時を過ぎるとよく昏睡状態になるのである。ファンニステルローイがゴールを決めていたような気もするが、気のせいかも。三都主の姿が見えなかったような気もするが、これは気のせいじゃないですね。どっちが勝ったんだろう。どっちでもいいけど。



9月28日(土)

 ラ・コルーニャ×ミラン(CL1次第2節)をビデオ観戦。なんと0-4でミランの圧勝。ホームで無敵を誇ったはずのデポルは、一体どうしちゃったんでしょうか。もしかしたら、あんまりメンバーが変わらないんで、自分たちのサッカーに飽きちゃったのかもしれない。実際、見るほうもちょっと飽きてきたしね。リーガ関係では、すっかりベティスに魅了されてしまったので、デポルには興味が持てないっす。ミランのほうは、スター寄せ集めで迷走するかと思いきや、凄いチームになりつつあるような感じ。リバウドとルイコスタはぜんぜん両立するのだった。セードルフも伸び伸びやってるし。是非ともマドリーやアーセナルと試合をさせてみたいものである。んで、上インザーギがハットトリックだ。アシストしてピッポに抱きつかれたルイコスタがなぜか不愉快そうな顔をしていたのがちょっぴり気になるところだが、絶好調である。しかし3つのゴールよりも圧巻だったのは、ハットを決めた後に見せた怒濤の3連続シュートミスなのであった。念力の電池切れか。

 エバートン×フルハム(プレミア約6節)をライブ観戦したはずなのだが、途中で昏睡状態に陥ってしまい、ほとんど記憶がない。「稲本が引っ込んじゃったから、もう寝ようよ」と愚妻に言われて寝たような気がする。たぶん、フルハムが負けたんだと思う。



9月27日(金)

 レバークーゼン×マンチェスターU(CL1次第2節)をビデオ観戦。1-2でレバークーゼンの負け。リオに首筋を撫でられただけで大袈裟に倒れてみせたブルダリッチは、リバウド以下の演技力だった。魔法でもかけないと、人はあんなふうに倒れない。「高木ブーのクシャミ一発で家が倒壊」的な古いコントを見ているような気分。でもイエロー喰らったのはリオのほうだった。李下に冠を正さず、ってとこでしょうか。



9月26日(木)

 秋のドライブ・シリーズを締め括るべく、一家三人+おびちゃん(セガレのガールフレンド。ある意味、不倫関係)の4人で、東京ディズニーシーへ。「父さんがヒマなうちに、平日に行っとこう」という愚妻の発案によるものである。幼稚園はズル休み。しかし平日とはいえ、やはりディズニーは侮れない。さすがに子連れは少なかったが、大学生とおぼしきカップルやら農協ツアーとおぼしきおばちゃん&おじちゃんやらで、園内はごった返していた。お揃いのイングランド代表のTシャツを着た親子三人連れ、レバークーゼンのユニを着たお父さん(!)など、サッカー関係の着衣をまとった人々が目につく。アメリカン・カルチャーの総本山みたいなこの場所には、あんまり似合わないと思うんだけどねぇ。いちばん理解しにくかったのは、かたやウエスト・ハムのセカンドジャージ、かたやナイジェリア代表のユニを着た20歳前後の二人連れである。「海底2万マイル」(70分待ち)で並んでいるときに見かけたのだが、なぜ理解しにくかったかというと、どっちも男だったからだ。かなりマニアなサッカー好きの男たちが、2人でディズニーシーに行こうと思うものだろうか、ふつう。ともあれTDS(と略すのかどうか知らないが)は、TDLよりもテーマパークとしての志と完成度が高い印象。大好きなおびちゃんが同行してくれるとあって、事前から「楽しみで楽しみで気持ち悪くなりそう」とのたまっていたセガレは、驚異的な体力&気力を発揮して、夜10時の閉園まで一度もヘコたれることなく遊び倒していた。だが、さすがに疲れたのか晩飯の「王子様セット」はほとんど食えず。帰りの車に乗った途端にバタンキューで寝てしまったセガレは、翌日の朝に目を覚ますなり、母親に「エビフライは?」とたずねたらしい。まだTDSのレストランにいるつもりだったようだ。つまり晩飯の途中で、目を開けたまま気絶してたってことですね。そのエビフライは、キミの父親が食べちゃったよん。一日つきあってくれた上に、セガレにお土産まで買ってくれたおびちゃん、本当にありがとうございました。



9月25日(水)17:20 p.m.

 きのうは、黄チーム×黒チーム(高井戸西SC紅白戦第5節)を観戦。ロスタイムの感動的な決勝ゴールで0-1。黄15番のビブスをつけたセガレのプレイには、正直、失望を禁じ得なかった。負けたのは、べつにセガレのせいではない。動き出しが遅いのも、その結果ボールタッチが少ないのも、まあ、しょうがない。先週は雨天中止で2週間のブランクがあったから、試合勘も鈍っていたのだろう。しかし、だ。試合中に、密集から離れた場所で(しかもボールに背を向けて)両手をヘラヘラと振り回したりピョンピョン飛び跳ねたりしながら、アフリカン・テイストなダンスを踊るのだけはやめてほしい。サッカーで踊っていいのは、ゴールを決めた後だけです。遊びたい盛りなのはわかるが、もっとゲームに集中しろよー。よって、採点は3.0。どんどん下がっていく。嗚呼。

 フルハム×チェルシー(プレミア第6節ぐらいだと思う)はスコアレスドロー。西倫敦ダービーは、粕谷さんもびっくりの異様な焦燥感に満ちたハイテンションマッチであった。ロスタイムの攻防を90分間やってるみたいな感じ。どうして、あんなに急いでゴール前まで行きたいんだろう。そして、どうしてあの展開で点が入らないんだろう。両軍とも、みんなでよく話し合ったほうがいいと思う。稲本は後半途中でボアモルチと交替。でも、この試合でいちばん惜しいシュートを放ったのは彼だった。そんな稲本は5歳のとき、どんなサッカーをしていたのだろうか。密集の外で踊ったりしていたのだろうか。ちょっと、やりそうな気もする。やってたらいいな。



9月24日(火)14:55 p.m.

 住居侵入事件の翌日以来、4日ぶりに仕事場に来た。事件当日は盗まれた物もないのでヘラヘラしていたが、やはりキモチ悪い。カギを開けるときに、ちょっと動悸が高まった。金目の物も最新式のパソコンもないので盗難の心配はないとはいえ、いちばん怖いのは「出勤したら泥棒さんが中に居た」という状況である。賊と鉢合わせしたときは、どう行動したらいいんでしょうか。大声あげて殴られたり撃たれたりしたらヤだよな。いろいろ考えた結果、「あ、おれもこのあいだ入ったんだけど、このウチ、なーんも無いよ」と自分も泥棒のフリをして立ち去ってから110番、という作戦が無難なような気がしている。あるいは、「1ヶ月でいいから、読売どう?」と新聞屋のフリでもすっか。洗剤持ってこないとバレるかな。ともあれ、お見舞いの電話&メールを頂戴した方々、ありがとうございました。みなさんも、用心してください。ちなみにアメリカあたりでは、侵入して金目の物がないと腹いせに火ぃつけて帰る泥棒がいるので、玄関に10ドルぐらい「チップ」を置いておく人が多いとか。なるほどねぇ。でも、それって犯罪に対する敗北のような気がする。負けるが勝ち、とも言うけれど。

 ところで月刊『サッカーズ』11月号(定価580円)は本日発売です。表紙はベッカム一家のイラストです。ネスタの独占インタビューも載ってます。同じ特集記事の中で倉敷さんとご一緒できて嬉しいです。編集長がラツィオに関するコラムの中で「スクデットも夢じゃない」と大胆なことをお書きになっていて、とても良い雑誌だと思いました。そのラツィオは、後半41分にミハイロ(!)のCKをシメオネが決めてトリノにウノゼロ勝利という感動的なゲームをやってのけたらしい。録画でいいから中継してくれ〜。なんで先週は二局で生中継してて、今週はゼロなんだ。しかしまあ、たぶん、その得点シーンだけハイライトで見れば十分な試合だったに違いない。

 ゆうべは、ソシエダ×ベティス(リーガ第3節)を観戦。好調チーム同士のめくるめく官能のゴール合戦は、3-3のドローであった。アウエーチームが0-2とリードした試合が3-3までもつれるのって、けっこう珍しいんじゃないかと思う。ベティスの得点者は、カピ、カピ、アルフォンソ。2点目、アスンソンが右のスペースへダイナミックに放り込んだボールを体を投げ出しながらワンタッチでゴール前に折り返したホアキンのプレイがすばらしかった。ソシエダのほうは、ベティスの自滅点とコバチェビッチのヘッド2発。コバチェビッチは3ゲームで5ゴールも決めているらしい。どうしてラツィオ経由でスペインに帰った人は、みんな生き生きしているんだろう。



9月23日(月)

 家族3人で八景島シーパラダイスへ。連休中のドライブは先週で懲りているはずなのだが、元気のあり余った5歳男児と共に過ごす休日というのは、どこかに出かけないと間が持たないのである。なので渋滞覚悟で朝10時に出発したのだが、首都高も湾岸も驚くほどスイスイ走れて、小1時間で着いてしまった。給料日前だからだろうか。それとも、天気が悪かったから? ともあれ、渋滞してない高速道路って、ほんとうに便利だ。八景島シーパラダイスの水族館は、どちらかというと凡庸。展示内容は、しながわ水族館のほうが面白い。でもイルカやアシカのショウは、しながわをはるかに凌駕していた。2種類10頭のイルカによる同時多発ジャンプは圧巻である。彼(彼女)らにオーバーヘッドキックをやらせてみたい、と思った。敷地内にあるアメリカン・カフェ「スターズ・アンド・ストライプス」で昼食。店のネーミングは最低レベルだが、ここのピザとハンバーガーは旨いです。ギフトショップで、エイのぬいぐるみをセガレに買い与える。セガレは昔からエイが好きなのだ。あなたは、エイのぬいぐるみを見たことがありますか。あんなに薄っぺらい動物のぬいぐるみが、他にあるだろうか。エイをぬいぐるみにしようと考える人たちが存在する社会って、あんがい素敵だと思う。

 バルセロナ×エスパニョール(リーガ第3節)は2-0でバルサ。エスパニョールに、デラペーニャがいた。レンタルで、いまだに籍はラツィオにあるらしい。ずいぶん長いレンタル人生だ。「買う気はしないけど図書館で借りられるなら読んでもいい」と言われた本の著者と同じような気分かもしれない。でも、わりと使える感じだった。一方、やはりラツィオからのレンタル組であるガイスカ君は、相変わらず右サイドにべったり張りついていた。画面に映ってないときは観客席の最前列で休んでるんじゃないかと思うほどの線際族。長い病欠を終えて職場復帰した社員が「とりあえず、これでもやってろ」と与えられたリハビリ・ワークみたいな印象である。左からのクロスに、体を水平にして頭から飛び込んだクライファートの先制ゴールがカッコよかった。



9月22日(日)

 レッジーナ×インテル(セリエ第3節)をライブ観戦。前半にマテラッツィのロングボールをビエリが右足のボレーで叩き込んでから、後半ロスタイムまでは、いわゆる一つのクソゲーだった。インテルはかったるそうにサッカーしてるし、レッジーナはちゅんちゅけ以外、イモ臭すぎ。とくに、あのサボるディとかいうFWのイモ臭さは何とかならんのか。日本の全国高校選手権でも通用しないと思うよ、あんな田舎モン(暴言)。もう一人ぐらい都会派ポップス系アタッカーがいないと、ちゅんちゅけが可哀想だ。あと、おまえがFK蹴るなよレオンとかいうホンジュラス人。彼、あれ一発で全日本人を敵に回したね、ぜったい。バーに当たって惜しかったけど。ちゅんちゅけなら必ず入ってたと思う。でもロスタイムのPKは、入るような気がしなかった。トルドがものすごく大きく見えた。日本人に世論調査したら、62%ぐらいは「入らないような気がした」と回答するんじゃないだろうか。でも決まった。えらいえらい。でもレッジーナは最後までイモだった。同点にされてやっと本気になったレコバにブチ込まれて1-2。無気力ディフェンスで簡単にクロスを入れさせたピエリーニは、3試合ぐらいベンチからも外すべし。

 ミラン×ペルージャ(セリエ第3節)は3-0。上インザーギのごっつぁんゴールを久しぶりに見た。左からのグラウンダーのクロスが、敵味方4人ぐらいの密集をなぜかすり抜けて、逆サイドで待っていたピッポの足元へ。念力で呼び寄せたとしか思えない。あれができるようになれば、彼のコンディションもホンモノだと思う。

 マンチェスターU×トッテナム(プレミア第?節)は1-0。誰がゴールしたのか記憶がない。途中で完全に寝た。夢を見るぐらいの熟睡だった。今季、ユナイテッドのリーグ戦はほんとうにつまらない。アンチを標榜するのも気が引ける感じ。



9月21日(土)

 マンチェスターU×マッカビ・ハイファ(CL1次第1節)をビデオ観戦。5-2で粉砕されたが、マッカビ・ハイファはケレン味のない好チームだった。一方のユナイテッドは、ケレン味たっぷり。5点目となるPKを得たベッカムが、いまだゴールのないフォルランにキッカーの座を譲ったのである。これを決めて仲間から大袈裟に祝福されるフォルラン。あのシーンに、濃厚に漂う偽善の香りを嗅ぎ取ったのは私だけだろうか。私だけか。あー、ヤだヤだ。あんな形で決めた初ゴールが、彼のためになると思うか? 仲間に同情されてどうすんだ。だいたいストライカーなんてものは、自力でゴールを決めるまでは仲間に愛されなくて当然なのである。信頼されるまでは、PKなんて蹴らせてもらえないのだ。ユーベ時代のピッポを見よ。ゴールを決めたって愛されないんだぞ。PKだって、自分でボールを抱え込んで味方とケンカしながら蹴ってたんだぞ。ものすごく孤独なんだぞ。フォルランは、この「PK譲り」がかえって精神的な重荷になると見た。

 アーセナル×ドルトムント(CL1次第1節)をビデオ観戦。この日誌を書いているのは火曜日なので、スコアも含めてあんまりよく覚えていないが、アーセナルはとっても強かった。ゴール前に襲いかかった彼らがグラウンダーで回す高速パスは、ほんとうに美しい。あとは、コレルの不器用さ加減が印象に残った。彼が前を向いてボールを持つと、よちよち歩きの赤ん坊を見ているような気分になって、思わず手を差し伸べたくなる。ああいう人がいるから、「長身のわりに足元が器用」という差別的な紋切り型が通用しちゃうんだよな。



9月20日(金)11:25 a.m.

 あなたは110番に電話したことがあるだろうか。私はある。ゆうべ、生まれて初めてダイヤルした。仕事場が何者かの住居侵入を受けた疑いがあったからである。昼過ぎに、最近空き巣に入られた編集者H氏(彼の同僚も被害に遭ったらしい)から、「中野・杉並界隈で増えてるみたいですから、江戸川さんも気をつけたほうがいいですよ」と言われたばかりだった。

 午後2時から仕事場を空けていた私は、エントランスホールで開かれる管理組合の総会に出席するため、夜8時に仕事場のあるマンションに戻った。総会が始まる前、出席者のあいだでは「今日の夕方に出没した不審な3人組」の噂で持ちきりだった。呼び鈴をピンポンして返事をすると立ち去る男たちがいたというのである。総会が始まってしばらくすると、5階の住人が現れて、「遅れてすみません。実は泥棒が入って、いま警察が来ていたものですから」と言った。どうやら犯人は、新聞受けから道具を差し入れて内側からカギを開けたらしい。

 ずっと部屋を空けていた私は不安になり、総会が終わってからすぐに4階の自室に上がった。カギが開いていた。これは自信を持って言えるが、私はカギをかけ忘れたことなど過去に一度もない。ドキドキしながら照明をつけて、部屋に入る。一見、とくに荒らされたような様子はない。だが、置いたはずのない場所に、燃えないゴミを詰めた袋が移動していた。書庫にしている部屋に入ると、戸棚に立てかけてあったはずの折り畳み式テーブルが倒れている。ものすごく不穏。しかし、何か盗まれた物はないか探そうと思った瞬間、私は途方に暮れた。盗みたくなるような物など、ここには何ひとつ無いことに気づいたからである。引き出しに突っ込まれた領収書の束を盗んだからといって、いったい何になるというのだ。泥棒は、たぶん、確定申告などしないであろう。おそらくは侵入者も、すでに泥棒が入ったかのように雑然としている室内を見渡して瞬時に「ハズレ」だと察知し、途方に暮れたに違いない。ガックリと肩を落として引き上げたであろう侵入者の後ろ姿を想像して、私は少しだけ気の毒になった。

 さて、盗まれていないといっても、住居侵入は立派な犯罪である。しかし、110番することをいささか躊躇ったのも正直なところだ。カギはかけ忘れたのかもしれないし、ゴミ袋は自分でそこに置いたのかもしれない。書庫にはしばらく入っていなかったから、テーブルだって1ヶ月前からそこに倒れていた可能性もある。実際、同じマンション内で泥棒騒ぎがなければ、侵入されたとは思わなかっただろう。それでも私は110番を回した。「110番してお巡りさんがやって来る」というシチュエーションを体験したい、という莫迦げた欲求が私の中に全くないわけではなかったことを、ここで告白しておきたい。

 110番すると、いきなり「事件ですか、事故ですか」と訊かれた。事故ではないが、「事件です!」と堂々と言い放てるほどの事件ではないような気がする。私は、事件と事故の厳密な定義を訊きたいという欲求を抑えつつ、「え〜〜〜〜〜っと」としばらく唸った後、「住居侵入を受けた疑いがあります。何も盗まれてはいないようですが」と答えた。110番は、「すぐに警官を向かわせますので、犯人が触ったと思われる場所には触らないで待っていてください」と私に命じた。えー。とっくにあちこちベタベタ触っちゃったんですけどぉ。……とは言わず、「はい」と答えて電話を切った。

 15分ほどして、私服警官と制服警官と鑑識課員が3人でやって来た。玄関のドアを開けると、鑑識課員が「足跡を見たいので、部屋の照明をぜんぶ消してください」と言った。言われたとおりに照明を消し、部屋の奥に引っ込む。鑑識課員は、強力なライトで床を照らし始めた。壮絶な分量の埃が明かりの中に浮かび上がった。鑑識課員が、「ちっ、ぜんぜん掃除してないんだもんなー」と小声で呟くのが聞こえた。どうやら、掃除をしていないと足跡が見えにくいらしい。私の心は深く傷ついた。私は住居侵入事件の被害者なのだ。被害者として不安にとらわれているときに、どうして掃除をサボっていることを糾弾されなければならないのだ。噂には聞いていたが、本当に日本の官憲は被害者の心情に対する配慮がない。とはいえ、その埃の量は、自分で自分を糾弾したくなるのに十分なものではあった。

 捜査の結果、ドアの錠前に傷がついており、住居侵入があったことは(時期は特定できないが)間違いないらしい。自分の思い過ごしではないとわかって、妙にホッとした。どうして住居侵入を受けてホッとするのか、我ながらよくわからない。私服の刑事に、住所、氏名、年齢などを訊かれた。「お仕事は何を?」と訊かれて、一瞬「著述師です」と自称しようかと思ったが(7/18の日誌参照)、いたずらに話をややこしくして長居されるのも賢明ではないと判断して、「フリーライターです」と答えた。さらに、「どんなものを書かれてるんですか?」と訊かれたので、余計なこととは思いながら「たとえば、ペンネームでこんなものを」と例の本を宣伝すると、刑事は「ああ、やっぱり。そこの本棚に同じものが何冊もあるのでそうじゃないかとは思ったんですが」と言った。刑事の観察眼は侮れない。

 ひと通り話を聞き終えると、刑事と鑑識課員は先に帰り、若い制服警官が残って書類を作り始めた。何も先に帰らなくてもいいじゃないかと思ったが、警察世界の上下関係というのはそういうものなのだろう。その若い制服警官も、「いつか俺も先に帰れるようになってやる」というモチベーションで働いているに違いない。制服警官は、部屋の中をジロジロと見回して、見取り図を書いていた。制服警官に部屋をジロジロ見回されるのは、あまり気持ちの良いことではない。とくに私の仕事場の場合、他人から見ると不審な点が多いのだ。「どうして空っぽのダンボールが山積みになってるんですか?」「なぜガラクタのようなワープロやパソコンを捨てないのですか?」「何のために割り箸をペン立てに立てているのですか?」などと質問されたら、何とも答えようがない。しかし制服警官は各部屋の広さを訊いただけで、次に被害届を作り始めた。容疑事実は、「窃盗目的の住居侵入」である。窃盗目的かどうかはわからない(もしかしたら読書目的だったかもしれない)ので「住居侵入」だけで十分じゃないかという気がしたが、何か目的を書かないと体裁が悪いのだろうと思って、あえて反論はしなかった。午後2時に部屋を出てから被害に気づくまでの過程を綴った文章を読まされ、署名・捺印を求められた。私の「口述」を元に制服警官が一生懸命に書いた文章は、ものすごく稚拙だった。リライトしたい衝動に駆られながら、「間違いありません」と頷く。自著をゴーストライターに書かせる著者の気分が、少しだけわかったような気がした。

 さて、賊が仕事場に侵入したと思われる夕刻に私が何をしていたかというと、自宅でバスティア×アジャクシオ(フランス第7節)を見ていたのだった。なんでこんなマイナーなカードをやるのかと怪訝に思ったが、これは30年ぶりに行われるコルシカダービーだとのこと。そう言われると、見ずにはいられない。コルシカ島といえばナポレオンである。一瞬、「はて、生まれた島だっけ、流された島だっけ」と思ってしまった自分が哀しい。実況によれば、コルシカ島は広島県より少し大きいくらいだとか。なんで広島と比較するのかようわからんのう。ほいじゃが、えらい気合いのこもったええ試合じゃった。ホームのバスティアが先制したが、ロドリゲスのFKでアジャクシオが追いつき、前半は1-1。そして後半終了間際、何者かのゴールが決まって30年ぶりに一部昇格したアジャクシオが感動の逆転勝利である。アジャクシオのGKがすばらしかった。無名選手ばかりのマイナーカードでも、本気のダービーマッチは面白い。

 ダービーといえば、水曜日には東京ヴェルディ×FC東京(J1)も見たのだった。これだけ毎日サッカー見てて、東京暮らしも36年になるというのに、このダービーマッチに取り立てて深い思い入れを持てない自分がちょっと寂しい。だけど、読売×東京ガス戦に都民として思い入れろというほうが無理があるよなぁ。それでも無理に思い入れたほうが、Jの未来を切り開くことにつながるのかなぁ。でも、やっぱり東京って大半の住人にとって「郷土」じゃないしなぁ。それに、チームを密着させる地域としては、東京ってスケールがデカすぎる感じ。たとえ郷土ではない仮住まいでも、もっと小さい行政区分にしてくれれば愛着を持てると思う。「高井戸西」じゃ狭すぎるけどさ。「吉祥寺FC」があったら燃えるだろうな。次の著書が2千万部ぐらい売れたら、作ろう。

 ともあれ試合のほうは、1-2でFC東京。力量にスコア以上の差があるように見えたが、自陣ペナ内でFCが犯したハンドが認められていたら、結果はどうなったかわからない。それを含めて、主審の手腕に難あり。12分もロスタイム取っちゃった他国の審判のことをとやかく言ってられる立場じゃないよな、日本も。ところでこの試合は、アトレチコ経由でヴェルディ入りした玉乃淳クンのデビュー戦でもあった。名前と噂は数年前からあちこちで見聞きしていたが、顔を見たのは初めてだ。まだコドモじゃーん。とても18歳には見えない。ムキになってるエヂムンドがボールをぜんぶシュートしてしまうので、玉乃クンはほとんどプレイ機会なし。東京ダービーの同点ゴールで衝撃のデビュー!という夢のシナリオに乗れなかったあたり、やや幸の薄さを感じないでもない。

 ゆうべは、被害届に署名・捺印して帰宅してから、フェイエノールト×ユベントス(CL1次第1節)をビデオ観戦。アヤックス出身のダビッツがいちいちブーイングされていて気の毒だった。CKのこぼれ球をカモラネージがミドルレンジから撃ち込んでユーベが先制、ファンホイのFKで同点。奴の「打率」を考えりゃ、2度もやり直せば入って当然である。ローマとマドリーの試合でも感じたのだが、ああいう壁のイザコザも含めて、やはりイタリア勢は無用のファウルが多すぎる印象。センターライン付近で3人で取り囲んだ相手を倒して、どんないいことがあるというのだろう。そんなことしてるから、フリットさんもイタリア勢を高く評価してくれないんじゃないかね。それにしてもフリットさん、なーんか呑気な雰囲気ですね。セクシーフットボールの探求は、もうやめちゃったんでしょうか。試合は1-1のドローでした。



9月19日(木)12:15 p.m.

 書き忘れていたのだが、日曜日の開幕戦、ラツィオのキャプテンはパンカロちゃんなのだった。あいやー。なんちゅうか、眠たい感じだよなぁ。のっけからアクビさせないでほしい。先日、W杯におけるキャプテンシーの空洞化に関する原稿を書いたばかりなのだが、他ならぬラツィオがいちばん空洞化してんじゃねーか。じゃあ誰にCマーク巻かせりゃいいかというと、シメオネ様でもいいのだがそれも何かベタな感じだし、いっちょスタンコ君にでもやらせてブレイクのきっかけにするって手もあると思う。まだ若いけどチーム内では古顔なんだし。ま、パンカロちゃんも顔はかなり古いけどね。物理的な意味で。物理的じゃないか。生理的、ですね。そんなことはどっちだっていいが、とにかくパンカロ主将だけは勘弁してください。そーゆー事なかれ主義的年功序列人事が通用するのは右肩上がりの成長期だけだと何かに書いてあったような気がするぞ。それともパンカロちゃん、あんがい仲間うちでは人望あんのかなぁ。あり得ない気がするけど、夫婦のことばっかりは他人には判らないって言うしね。誰が夫婦じゃ。

 HDビデオで録画したW杯のダビングが、まだ数試合残っている。CLも始まったことだし、それを済ませて消去しないと容量不足で観戦に不都合が生じるので、きのうは日本×チュニジア(グループH)をダビング。ついでに、横目でちらほらと再観戦した。当時はコーフンしっぱなしでよく見てなかったけど、改めて見ると、選手たちの集中力の高さに驚かされる。頭の中がギンギンに冴え渡っているような感じ。細かい話だが、中盤でボールを奪われた中田が再び奪い返した後、明神とヘッドでパス交換しながらボールを前に運んだシーンなんか、100%の集中状態じゃないとできないプレイのように見えた。思えば、地元開催のW杯であんなにすばらしい勝利が味わえることは一生に一度かもしれないんだから、もっと反芻して大事にしないといかんよなぁ。あのときは、じっくり反芻するヒマもなくトルコに負けてしまったのだった。ところで韓国の人たちは、どんなふうに反芻してるんだろう。ベスト4とはいえ、ドイツとトルコに「連敗」して大会を終えたのは、ちょっと辛かったのかもね。

 ゆうべは、ローマ×レアル・マドリー(CL1次第1節)をビデオ観戦。がははは。グティ、ラウール、グティの0-3で、ローマ惨敗である。私がマドリーに声援を送るのはこのカードぐらいなものなので、たいへん喜ばしい。欲を言えば、トッティのホエヅラが見たかったけど。もっとも、奴がいたらああはなってないか。代役トンマージ、ハズしまくってたもんな。トッティだったら決めてたかもな。ローマはいいよな、ちゃんとしたキャプテンがいて。ローマダービー、試合前にトッティとパンカロちゃんが握手した時点で勝ち目がないような気がする。ローマ戦だけはシメオネにCマーク希望。ところで私がこの試合でいちばんびっくりしたのは、前半31分頃の出来事なのだった。カンビアッソに倒されたときのカフーの声、あなた聞きました? 彼、ぜったい前世はカラスだったんだと思う。っていうか、今もカラスの化身なのかも。ふつうの人は、審判にクレームつけるときに「カァ〜!」とは鳴かないからね。そう思って見てると、カフーが走ってるときにバサバサと羽音が聞こえてくるような気がするから不思議だ。そのうち飛ぶね、ぜったい。対戦相手は、ゴールマウスにCDぶら下げておくと近寄ってこないかもしれない。



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edogawa's diary on 2002-2003 season #07.