edogawa's diary on 2002-2003 season #10.
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11月3日(日)15:10 p.m.

 日曜なのに仕事場に来たのは、またマンションで騒動があったからである。きのうの夕刻、4階廊下の給水バルブが破損し、それ以下の階が水浸しになってしまったのだ。私は不在だったので何も知らず、今朝、組合理事長から電話で教えられて驚いた。来てみると仕事場に被害はなかったが、エントランスも階段もびしょびしょ。漏電の恐れがあるので、エレベーターは使えない。その修復に業者が来るらしいのだが、他の役員が不在なので私が立ち会うことになり、今はそれを待っているところなのだった。ただ待っていても仕方ないので、日誌を書いているわけだ。連休の中日に何をやっているんだ一体。そこに住んでいないのに役員なんかやっていると、ほんとうに面倒である。だいたい、敷地をめぐるゴタゴタ、泥棒、水漏れと、なんで私が役員になった途端に、こうも厄介ごとが続くのだろう。それとも私が疫病神なのか? それならそれでいいんだけどね。役員辞任の口実になるから。私にはツキがないので辞めさせてください。

 ゆうべは、ドルトムント×アーセナル(CL1次第5節)をビデオ観戦。エバートンの16歳ルーニーにやられて以来、アーセナルは運気最低である。不敗記録が途絶えるやいなやこうなってしまうのだから、人間ってわりと判りやすい。アンリのFKで先制したものの、ロシツキのFKが何者かの自滅点を招いて同点。さらに終盤にはコレルのダイブをペナルティと判定されて2-1の逆転負けであった。OGとPKだけでやられるほどツキのなさを感じさせる負け方はないっすね。

 レアル・マドリー×ローマ(CL1次第5節)はトッティの一発で0-1。トッティの一発でローマが勝つほど不愉快なことがあるだろうか。いや、ない。何やっとんじゃマドリー。ラウールとロナウドとジダンとフィーゴがいるくせに、クレスポもネドベドもベーロンもサラスもいないラツィオでさえ2点取れた相手にホームで完封されたらいかん。



11月2日(土)

 きのう帰宅するなり、「あ、見ないほうがいいんじゃない?」という愚妻の声が耳に入ったのだが、そのとき私はすでに夕刊の一面を見てしまっていた。左上に、「日本U−20準優勝」の見出し。かー。まだ試合見てなかったのにぃ。そんなわけで、負けたことを知りつつ前夜テレビ朝日で録画した日本×韓国(アジアユース決勝)をビデオ観戦。がっぷり互角の戦いを「なんで負けたかなぁ」と思いながら見るのは、かなり切ない。0-0で延長に入ったところで、映像がプツン。延長に備えて次の番組も予約しておいたから大丈夫……と思って次の番組を再生してみたら、ほんとうに次の番組が入っていて慌てた。サッカー中継は4時30分までで、次の番組は4時50分のスタートだったのである。20分の空白のあいだに韓国のVゴールが決まったらしい。あいやー。まだ結果を知らなかった愚妻が、憮然とした表情で夕刊を広げた。 すまんすまん。どんなゴールだったのか見ていないので、負けた気がしない。でも悔しい。

 リバプール×バレンシア(CL1次第5節)は0-1。だったと思うのだが、途中で熟睡してしまったので内容がよく判らないのはもちろん、結果にも自信がない。顔面を負傷したカルボーニが、タッチラインの外で止血されながら味方に大声でコーチングしている姿が印象的だった。カルボーニとキリがタテに並んだバレンシアの左サイドは、世界一の熱血サイドかも。触るとヤケドするぜ。

 アーセナル×ブラックバーン(プレミア第9節)は1-2。山のように決定機を作るがツキに見放されたアーセナルは、全員がイライラしていた。背中に煮詰まり感を漂わせているアンリは、ちょっと休ませたほうがいい。こういうときに使ってやると、フランシス・ジェファーズみたいな選手はけっこうチームの雰囲気を変えるのに効果的だと思うんですけどね。ところで愚妻によると、ブラックバーンの監督は、むかし『河童の三平』というテレビ番組に出ていた役者に顔が似ているらしい。『河童の三平』というタイトルを久しぶりに耳にした。小さい頃に見た記憶はおぼろげにあるのだが、いったい、どんなドラマだったんだろう。三平が人間たちと仲良しだったのか敵対していたのか、その基本構図さえわからない。どうでもいいのだが、カッパの親が自分の子に「三平」などという名前をつけるものだろうか。じゃあどんな名前をつけるのかと私に訊かれても困るけど。『河童のズラタン』のほうが、まだ納得がいくかも。



11月1日(金)12:50 p.m.

 うひ。うひうひ。

 ……何を不気味にニヤついているかというと、このたび深川峻太郎が雑誌で1ページの連載コラムを持つことになったのである。わっしょい、わっしょい、お神輿わっしょい。ちょっとトラウマがあるので、またドタキャンがあるんじゃないかと脅えている部分もあるのだが、少なくとも今回は「サッカー関係は売れない」という理由でダメになることはあるまい。なにしろ雑誌丸ごとサッカー関係だからね。雑誌ってのは、もちろん月刊『サッカーズ』のことだ。先週、かねてより私に何かやらせたがってくれていた副編Y氏と方向性について打ち合わせた後、お試し版の原稿を書いて送り、編集長のご聖断を受験生のような心持ちで待ちわびておったところ、昨日になってゴーサインが出た。むふふ。これで私もいよいよコラムニスタだな。来年から、確定申告の職業欄はこれで決まりだ。

 第1回は11/22発売の1月号に掲載される予定。ポジションは倉敷さんのコラムの近辺になるらしい。4年前にこの日誌を書き始めてから一貫して倉敷ファンを標榜し、図々しくも自著の帯にコメントなど頂戴した私としては、実に感慨深いのである。倉敷さん、何かとご縁がありますが、一つよろしくお願い申し上げます。なーんて挨拶しちゃったりなんかして、すっかり舞い上がっているのだった。えへへ。

 タイトルはナイショだ。例によって日誌ネタの二次利用は避けられないが、黙って見逃すように。一銭にもならんのに舌打ちまでされながら日々コツコツ書いてきたんだから、少しは商売させてくんろ。あと、雑誌は立ち読みしないでちゃんと買ってね。いきなり売上部数が落ちたりなんかしちゃうと、立場がないんだぜベイベ。2冊買って、1冊は電車の網棚に置いてきてくれてもいい。

 などと浮かれポンチな気分でヘラヘラしていると、たちまち〆切がやってくるから月イチといえども連載は侮れないのである。第1回はお試し版そのままでオッケーだからいいのだが、2回目はいきなり年末進行の毒牙にかかるのであった。世の中のあらゆる連載コラムが一斉にクリスマスネタになる時期ですね。わし、ライター歴は長いものの、ふだんの単行本ワークはあんまり年末進行カンケーないんで、慣れてないんだよな。大丈夫なのか深川。油断するな私。

 ゆうべは、レアル・ソシエダ×ラシン・サンタンデール(リーガ第7節)をビデオ観戦。初日から大方の予想を裏切る好調ぶりを見せる平幕同士が6日目に対戦、って感じでしょうか。どうして私は昔からスペインリーグを大相撲に譬えたくなるのだろうか。キックオフからしばらくの間、ラシンの「ゲレーロ」と「レゲーロ」と「ゲロゲーロ」が同一人物だと錯覚していたのだが、愚妻によれば「吸血鬼みたいな顔」をしているほうがハビ・ゲレーロで、盛んにサイドを走らされている小柄な人がレゲーロである。ゲロゲーロは青空球児好児です。どっちが球児でどっちが好児かは忘れた。

 そんな話をしていたら急に思い出したのだが、あなたはダーク・ダックスとボニー・ジャックスとデューク・エイセスの区別がつきますか。いきなり何を言い出すんでしょうか、この男は。このあいだ、NHKのBSで懐メロ番組を見ていたら、この業界3団体が揃って出演していた。私がダーク・ダックスだと思っていたのがボニー・ジャックスで、ボニー・ジャックスだと思っていたのがデューク・エイセスで、デューク・エイセスだと思っていたのがダーク・ダックスだったことがわかり、とっても驚いた。もっと驚いたのは、イルカに孫がいるという事実だ。イルカって「なごり雪」で有名な歌手のほうですけどね。イルカが祖母。ものすごい衝撃。

 話を戻すと、試合のほうは、吸血ゲレーロのヘッドでラシンが先制。その後は平幕らしいイザコザ感に溢れた小競り合いが続いたが、さすがに首位を走るソシエダは強い。左にデ・ペドロを投入してから、コバチェビッチのゴールで同点。終了間際にニハトがゲットしたPKを、ミハイロが失敗したのと同じコースにデ・ペドロが決めて逆転だ。いいから、もうミハイロのことは忘れなさい。試合途中から盛んにスロー再生された「デ・ペドロにキスされるコバチェ」「客席に投げキスするコバチェ」「ニハトに胸倉つかまれるコバチェ」の映像が印象的。すっかり主演男優扱いである。

 ユベントス×フェイエノールト(CL1次第5節)は、ディ・ヴァイオの2発で2-0。ゴールには絡まなかったが、ネドベドってホントにいい選手だよなー。去っていった選手のことを考え始めるとキリがないラツィオだが、彼さえ戻ってくれたらマジで今季はスクデット狙えそうな気がする。いや、まあ、現状でも狙ってはいるんだけどね。ところで最近、ダビッツはやけに地味な存在になっていないか。そう思って見ていたら、どことなく顔が柴田理恵に似てきたように思えてしまった。困るなぁ。それにしても無視できないのは早野さんのファッションセンスである。あの漫才師テイストな赤いジャケット、どこで買ったんだろう。ふつうは、賭けにでも負けないと人前でああいう服は着ないと思いました。まあ、駄洒落センスのほうは磨きがかかってるから許す。



10月31日(木)10:40 a.m.

 わくわくしていたワリに買うのが遅くなったが、きのう吉祥寺のタワーレコードに行って、矢野真紀のニューシングル『さよなら色はブルー』を入手。このタイトルを見て、トルコ戦翌日のあの青空を思い出すサッカーファンは私だけではあるまい。そんなわけで聴く前から涙腺がちょっぴり緩んでいた私だが、もちろんこれはW杯回顧ソングではなく、失恋歌である。もう、30回ぐらい聴いた。

 誤解を恐れずに、あえて貧困なボキャブラリィを駆使して説明してみると、名曲『ナオミの夢』(ヘドバとダビデ)を思わせるような、アップテンポだが粘っこい印象的なベースラインから始まる70年代歌謡ポップス的なノリ。「歌謡ポップス」って何のことだかよくわからないが、まぁ、そんな感じだ。間奏に入るフルート・ソロなんか、あの『ブルーシャトー』を想起させてくれるほどである。メロディ作りのセンスには、そこはかとなく松岡直也風味(具体的には『サンスポットダンス』)が入っているような気がしなくもない。……などと私がごちゃごちゃ言うよりも、「なんか、黛ジュンとかが歌いそう」という愚妻の感想のほうが、よほど端的に核心をついているのだった。しかし、いまどき思い出すかね。黛ジュン。ちなみにセガレに聴かせたら「ウッキー、ウッキー」と鳴きながらモンキーダンスを踊り出したが、これも至極まっとうな反応だと言えよう。

 いずれにしろ読者の誤解を招きかねない情勢になっているわけだが、正しく理解したいと思ってる人もそう多くないだろうから、どうでもいいや。近田春夫の「考えるヒット」だって、聴いてみたら「ぜんぜん違うじゃ〜ん」ってことが多いしね。

 プロデューサーが寺岡呼人という人(『さよなら色〜』の作曲も彼)に替わったようで、亀田誠治プロデュース時代とは雰囲気がガラリと変わったが、これはこれでよい。よい曲じゃ。一つ間違えると古臭いケレン味たっぷりのダサダサソングになってしまうギリギリの線だが、それに危なげのない本格感と独自の意味ありげなニュアンスを付与してしまうあたりが、矢野真紀という歌い手の力量である。この芸を身につけている日本人シンガーは、もしかしたら井上陽水と矢野真紀だけかもしれない。

 ともあれ私としては、新宿か池袋あたりで、でろでろに酔っ払ってからカラオケで熱唱したい感じ。とっくに仕事場で熱唱してますが。ホーン・セクション(ボントロは村田陽一だ!って言っても誰も知らんか)がカッチョイイ感じでバリバリ入っているので、コピーして演奏してみたいとも思いました。最近、タボン君とヤマちゃんが一緒にバンドを始めたのだが、女性ボーカルも加わったようだし(おまけにフルートの名手もいることだし)、一つどうかね。聴かせた瞬間に却下されるか。だいたい、フュージョン・バンド(!)で歌謡ポップスってこたあねぇよな。いいよいいよ、それでも俺は矢野真紀が好き好き大好きなのさ。

 B面(と言わないことは知っているが、じゃあ何と言えばいいのか知らない)の『歩いて行くよ』は、一転して軽快かつシンプルなアコースティックギターのカッティングに乗せた、ほのぼのフォーク調。って、これまたすんごい誤解されそうだなぁ。あんまり変なこと書くと逆宣伝になっちまうので、もうやめておこう。とにかく、まあ、少なくとも矢野真紀ファンは全員納得する出来映えだと思う。11/27発売のニューアルバムが楽しみだ。なにしろタイトルが『この世界に生きて』である。勇気と心意気を感じずにはいられない。

 さらにきのうは、店頭をうろうろしているうちに坂本龍一&カクトウギセッション『サマー・ナーヴス』(CD選書)なんてものを発見し、つい買ってしまった。高橋幸宏、小原礼、鈴木茂、矢野顕子、ペッカー、山下達郎、吉田美奈子、ジェイク・コンセプション(!)らが顔を揃えた、記念碑的(?)アルバムである。これをLPで買ったのは、高校時代だっただろうか。YMOにハマって、その勢いで手を伸ばしたのだった。帯を見ると、1979年の録音であるらしい。この作品が発表された年に生まれた人が社会人になってるなんて、ちょっと信じられない。当時は、なんとも言えない知性的なカッコよさを感じてわくわくしながら聴いたものだ。でも、いま改めて聴いてみたら、あんまり面白くなかった。どうしてだろう。70年代ノリを現代風に咀嚼&消化している矢野真紀を聴いた後では、80年代に「ナウ」を見出していた頃の音楽が色褪せてしまうのも無理はないということか。っていうか、坂本龍一のボーカルは聴いていられない。

 晩飯を食いながら、BS-1の録画中継で日本×ウズベキスタン(アジアユース準決勝)を見た。私は三度の飯のほうがサッカーよりも好きだし、愚妻が幼稚園でサッカー好きの奥さんから結果を知らされて私も伝え聞いていたので、あまり集中して見ていなかったのだが、同点ゴールを決めた坂田(だった?)の反転はなかなかダイナミックだった。1-1でPK戦。日本のPK戦って、五輪のアメリカ戦以来だっけ? W杯でも、シビれてみたかったっすよね。いいなあ韓国。ともあれ、日本のGK(名前忘れた)がのっけから2本止めて決勝進出。アジア大会から連続してのファイナリストというのは、たいへん気持ちがよい。ところで、スタンドで和太鼓を叩いているお父さんが、一瞬、安倍官房副長官のように見えたのだが、気のせいだろうか。

 さらに、ラ・コルーニャ×バイエルン(CL1次第5節)をビデオ観戦。「引き分けでも地獄」のところまで煮詰まったCLは、ほんとうに面白い。先制したのはデポル。久しぶりに、「その手があったか」の必殺サインプレイを見た。ゴールに向かってやや右寄りのFK。ボールの横にマウロ・シウバ。キッカー候補の位置には左足のフランと右足のセルヒオ。だが、これがどっちも「おとり」だった。マウロ・シウバの後ろで「ほんとは俺も蹴りたいけど、ま、しょうがねぇか」と言わんばかりのダラけた態度で突っ立っていたヴィクトルが、マウロがヒールで後方に流したボールを強烈な右足で仕留めたのである。ヴィクトル、事前の「打ち合わせ」の輪にすら加わっていなかったように見えたんだけどねぇ。それも含めての権謀術数か。バイエルンもサンタクルスのヘッドで追いついたが、終了直前、左サイドからの長いクロスを華麗なボレーで叩いたマカーイの勝ち越しゴールで万事休す。バイエルンがUEFAカップに回ってきたら迷惑だと思っていたのだが、どうやらランスがミランに勝ってその目も消えたようで、ラツィオにとっても歓迎すべき展開であった。



10月30日(水)10:30 a.m.

 きのうは幼稚園の遠足でセガレの帰宅が遅く、時間的にキツかったので黒黄戦は欠場。公式戦も近いので休んでいる場合ではないのだが、まあ、しょうがない。遠足(行き先は新宿御苑)ではドングリ拾いに熱中していたようで、143個も持ち帰ってきやがった。どうすんだよ、それ。昔からそうなのだが、地面に落ちている物(枝、葉っぱ、石ころ、貝殻など)を拾っているときのセガレの集中力はすごい。地面の上を動いているボールに対しても、せめてその半分ぐらい集中してほしいものである。あと、できたら現金なんかも拾ってみてくれ。

 不意唇虚空さんより、久しぶりにメール拝受。どうも、お元気そうで何よりです。本とか雑誌とか買っていただいたようで、ありがとうございました。むろん今後も虚空さんとはメル友ですが、こんな人間と知り合いだなんて吹聴していると、ご自身の評判を落とすのではないかと心配です。「(ローマダービーの中継で)羽中田さんがラツィオを『ラチオ』とおっしゃるのが気になって仕方がなかったんですが、江戸川さんはそんな思いに駆られませんでした?」とのことですが、もちろん、気になって仕方がありませんでした。羽中田さんってスペイン語が堪能なはずだけど、向こうには「ツィ」って発音がないんだろうか。まあ、「ラチオ」になっちゃうのは羽中田さんだけじゃないんで慣れてるけどね。それに、イタリア人は「羽中田」を「はつーだ」と発音するかもしれないので、ま、どっちもどっちってことで。ちなみにセガレも「ラチオ派」である。奴は最近、「つ」「す」「ず(づ)」を「ちゅ」「しゅ」「じゅ(ぢゅ)」としか発音できないことに焦りを感じ始めたようで、ときどき「ちゅばめ! からしゅ! じゅぼん!」などと練習しているのだが、なかなか直らない。べつに親は焦っていないし、むしろ子供らしくてかわいいと思っているのだが、二十歳になって雀卓を囲みながら「いっぱちゅちゅも!」なんて言ってたら問題だよな。そんなことはともかく、虚空さん、卒業旅行でカンプノウのデルビークラシコを観戦なさったとか。うらめしや〜、じゃなくて、うらやましいな〜。私も死ぬまでに一度でいいからローマダービーとスペインダービーを生観戦してみたいです。

 昨夜は、バルセロナ×アラベス(リーガ第7節)をビデオ観戦。6-1でバルサの莫迦勝ち。CKをヘッドで決めたクライファートの2点目が異常だった。目の前にマーカーがいるにもかかわらず、体を後方に45度以下まで倒しながら首を尋常ならざる角度にひねって、完璧なコースにボールをコントロール。文章ではうまく表現できないが、あれがいつも再現できたら、CKは2回に1回ぐらいゴールに結びつくんじゃないだろうか。守ってるほうは、どうにも防ぎようがない。あんなことを涼しい顔でやってのけるのに、どうして「触れば1点」のごっつぁんパスを軸足に当ててしまうのだろう。あらゆる意味で異常なストライカーである。3次方程式はあっさり解いてみせるのに九九の「七の段」が覚えられない高校生みたいなもんか。そんな高校生いないだろうけど。あと、どういうわけかガイスカ君が一対一に強くなっていた。クロスも正確。おまけにGKを嘲笑うようなPKまで決めていて、まるで一流選手みたいだ。ローマダービー、PKの場面だけ奴をレンタルバックしとけばよかった。



10月29日(火)14:10 p.m.

 お陰さまで内容も結果も事前に知ることなく、ラツィオ×ローマ(セリエ第7節)をビデオ観戦。ものすごく良いこととものすごく悪いことが矢継ぎ早に起こり、喜んでいいのか嘆いていいのかよくわからない。前半は引き気味のラツィオが押し込まれるシーンが多くてヒヤヒヤさせられたが、0-0でハーフタイム。ポストを叩いたフィオーレのシュートが死ぬほど惜しかった。あんまり悔しかったので「くっそー」と呪詛の言葉を吐きながら拳で茶の間の床を思い切り叩いたら、ものすごく痛かった。

 しかし後半、そのフィオーレが先制ゴール。相手DFのゼビナが寄越してくれた絶好のマイナスの折り返しを、反射的に右足で叩き込んだものだった。へっへっへ。ゼビナのミスを見ると、いつも心の底から邪悪な嗤いがこみ上げてくる。移籍以来フィオーレがやってきた全ての悪行を許したくなるようなゴールだった。左サイドを駆け上がったファバッリへのスルーパスでゴールの起点となったスタンコ君もえらい。ダービーで先制したのって、すごく久しぶりのような気がする。

 しかし、その後は地獄へ向かって2ステップダウンだ。まずはペルッツィが弾いたボールをロマダビ男のデルベッキオに決められて同点。モンテッラに代わったバティストゥータにやられて逆転。こちらは、ゼビナにさえ嗤われるようなコウトのへなちょこミスによるものだった。ゆる〜いバックパスをバティに拾われて、やらずもがなの1点。コウトのミスを見ると、いつも腹の底からドス黒い憤怒がこみ上げてくる。どうしてこうなるんかのう。咄嗟の危機にパニック起こす奴にCBやらせちゃダメだ。たぶんコウトって、クルマの運転とかすごく下手なんじゃないかと思う。私に言われたくはないだろうけど。

 しかし、最悪の形で逆転されて落ち込んでいたところに、一筋の光明が差した。カペッロが守りに入ってくれたのである。デルベッキオOUT、サルトルIN。モンテッラとデルベッキオのコンビさえいなくなれば、このダービーは怖くない。安心して攻められる。選手たちはどうだか知らないが、少なくとも私は完全に守備の意識を捨てることができた。なので、スタンコ君の同点ゴールは私の攻撃精神のお陰だと私は思っている。私がどう思おうと私の勝手だ。クラウディオが右サイドから上げたクロスを、打点の高いヘッドで今季初ゴール。これまでのツキの無さを払拭する値千金の一発だった。えらいねぇ。えらいよ。抱きしめてあげたい。さらに、キエーザ&下ザーギを逐次投入する炎のマンチーニ采配によって、期待感はいやが上にも高まる。そして85分頃、天国への階段が見えた。ゼビナと絡んだ下ザーギが、サッカー人生の集大成ともいえる大芝居でPKゲット。手で顔を叩かれた時点で倒れていたら、きっとシミュレーションを取られていたことだろう。しかし奴は叩かれた顔を歪めながら、ゼビナの指がシャツの袖にかかるのを辛抱強く待った。そして、袖が伸びきってゼビナの指が離れるか離れないかの絶妙なタイミングで、もんどり打って転倒してみせたのである。見事な「タメ」だった。この高等テクニックに関しては、すでに兄を越えたといってよかろう。

 しかし(段落の冒頭がぜんぶ「しかし」だな)、見えていたはずの天国は幻だった。ミハイロが階段を踏み外した。向かって右の隅を狙ったキックは、完全に読まれていた。またしても、下ザーギの手から手柄がこぼれていく。またバネ増えちゃった。やっぱ、主審がPKを宣した時点で喜びすぎちゃったんだよなー。まだ点が入ったわけでもないのに、ガッツポーズしながら控え選手たちと抱き合ったらイカンわ。これから蹴るミハイロの気持ちも考えないと。

 しかし、それも含めてサッカーである。山あり谷ありのジェットコースター・ゲームは、2-2のドロー。負ければ順位で逆転されていたわけだし、最後まで最高にスリリングな戦いを見せてくれたので、満足じゃ。マンチーニはすばらしいチームを作りつつある。どうして私はこんなにラツィオが好きなんだろう。

 引き続き、リバプール×トッテナム(プレミア第9節)を後半だけビデオ観戦。ローマダービーの余韻が醒めやらず、ジェットコースターから降りた後に回転木馬に乗っているような腑抜けた気分で見た。あれ以上にコーフンする試合は、W杯の日本戦ぐらいしかないかもしれない。そうでなくとも、今季のリバプールは調子はいいが退屈。3年ほど前にはあった熱をあまり感じない。よく言えば、安定感が高まったということか。1-1の86分、オーウェンのPKで決着。いいよなー、PKが入って。それにしてもPKをゲットしたときの倒れ方って、選手によって好感度がぜんぜん違う。下ザーギとオーウェンでは、天地の差だ。オーウェンだって実際はけっこう「やってる」と思うのだが、彼の場合は誰にも後ろ指をさされないのだった。人徳としか言いようがない。

 烏龍茶さんからメール拝受。ども、お久しぶりです。ご親切にも、「ビエラが胸に塗ってる液体」について教えてくださったのである。わざわざ調べてくれちゃって、ありがとうございました。「巨大掲示板」のアーセナルのスレッドによれば、やはり「ヴイックスヴェポラッブみたいなものを塗っていて呼吸を楽にしているらしい」ということらしい。なるほど。しかし、「ヴイックスヴェポラッブみたいなもの」って何だろう。ヴイックスヴェポラッブではないんだよな、きっと。昔、清水義範が『バールのようなもの』という短編を書いていたのを思い出した。ニュースでよく耳にする「バールのようなもの」の正体が気になって仕方がない主人公が、金物屋に行って「えーと、バールのようなものがほしいんですけど」と恐る恐る言うシーンが印象的だった。誰か薬局に行って、「ヴイックスヴェポラッブみたいなものをください」と言ってみてくれないか。

 ちなみに烏龍茶さんは、HDビデオ関係の悩みを抱えてらっしゃるご様子。諸事情あってW杯前にDVDレコーダーを買ったものの、ディスクが溜まる一方なので、「年末に出る東芝の60Gのハイブリッドに猛烈に心を揺さぶられる日々」とのことである。そういえば先日、友人のO君もビデオデッキが壊れて「どうしようかと考え中」みたいなことを言っていた。ライフスタイルは人それぞれなので誰もが同じように感じるとは思わないですが、私はもはやHDビデオ無しで生活している人の気が知れない。と、言い放ってしまいたいぐらい、あのキカイが便利だと思っているです。サッカーでは「時間と空間を作れる選手がえらい」と言われるが、HDビデオもまさに時間と空間を作り出すキカイなのである。仮に10万円で購入してから1〜2年で新製品に買い換えることになっても、あんまり後悔しないような気がするぐらい便利だよん。



10月28日(月)10:50 a.m.

 映画の出来が悪くて話の意味がわからなかったので、発売当初に買っていたはずの麻生幾『宣戦布告』(講談社)を読もうと書庫で探した。上巻だけ見つかった。これは私の習慣からいって、あり得ない。上下巻の本は必ず揃えて買うようにしているのだ。『海辺のカフカ』だって、上下巻とも買って、まだ2ページしか読んでいない。いつか『海辺のカフー力(りょく)』というパロディを書こうと密かに思っているので読まないといけないのだが、そんなことはともかくとして、いまは『宣戦布告』の話だ。下巻はどこにあるのだ。ひょっとして、先日の住居侵入事件の際に持ち去られたのだろうか。やはりあれは読書目的だった? いや、持ち去ったなら窃盗目的でいいんですね。それにしても、上下巻の下巻だけ盗む泥棒がいるものだろうか。しかも、一応は初版本とはいえ稀覯本でも何でもなく、古書店に売ったって100円程度の本だ。っていうか、下巻だけじゃ引き取ってもらえないに違いない。そんなモノが盗まれたとすると、理由として一つ考えられるのは、私が下巻のページのあいだにヘソクリを隠していた、ということである。しかしそんなことをした記憶はないし、私以外の人間がほとんど出入りしない部屋でそんなふうに現金を隠す意味も必要もない。だいたい、仮に隠してあったとしても、本ごと持ち去る必要はないではないか。ついでに本も読みたくなったのであれば、上巻も持ってけっちゅう話だ。やはり、被害届は出さないほうがいいだろう。問題は、この上巻を読み始めるべきか否かである。映画で損した上にまた下巻で1600円も使わされるのは業腹だし、下巻を買って後で2冊になるのは何とも間抜けだ。どうしよう。なんで、こんなことで悩まなきゃいかんのだ。ほんとに、あんな映画見なきゃよかった。



10月27日(日)

 きのうはJリーグ観戦後、四街道の兄宅に一泊。私はとても繊細な人間なので、慣れない枕に馴染めず、あまり眠れなかった。好天の下、午前中から庭でバーベキュー。昼過ぎまで肉やら野菜やら焼きそばやら焼きうどんやらをダラダラ食い続ける。私の兄はとても働き者なので、一人で鉄板を仕切って食い物を皆に供給していた。ああいうことが、依存心の強い私には絶対にできない。なので、性格もそっくりな上下インザーギ兄弟のことを、いつも信じられない気持ちで見ている。夕刻に帰宅。寝不足と運転疲れがたたって、サッカーを見ずにセガレと一緒にベッドに沈没。



10月26日(土)

 市原市内の診療所で働いている兄に誘われ、それぞれ息子を連れて4人で市原臨海競技場(だったかな)に行き、ジェフ市原×ガンバ大阪(J1第?節)を現場観戦。地元の医師会か何かの年間予約席が回ってきたらしい。正面スタンド、市原ベンチの真後ろの前から4列目。ほとんど真横からのアングルで、選手の表情までよく見えた。さすが医師会、いい席をキープしている。これぐらいの席で見ると、サッカーもテレビより面白い。横浜国際のヘンな席だと、近くにアイルランド人でもいないと楽しくないからね。セガレは、「ゴールが入ったら教えてね」などとほざいていた。おまえねぇ、今日はVTRないんだから自分でちゃんと見てなさい。いつも得点シーンのリプレイになると、おもちゃで遊んでいるセガレをテレビのほうに向かせて「ほら、よく見とけ」なんて言ってると、こういうことになる。

 口先では地元のジェフを応援しながら、目はコータに釘付けだった。多彩な動きで、彼を見ているだけでも面白い。端的に言って、とても気が利いている。一方のチェ・ヨンスは、明らかにモチベーション&コンディションが低〜い印象。3メートル先で味方がボールを持っていてもタラタラ歩いているので、こぼれ球に対する動き出しが腹立たしいほど遅い。相手DFラインの上げ下げにもついていけず、つまらぬオフサイドも連発していた。現場で観戦していると、なぜかFWばかり見てしまう。

 後半には、マルセリーニョ登場。本誌創刊直後、彼が私のアイドルだったことを記憶している人は少ないだろう。3度か4度、得意のFKがあったが、決められなくて残念だった。それよりも、頭突きや肘打ちなど小汚いプレイで本領を発揮。従兄(中1)に「いま、ガンバの選手がジェフの選手に頭突きしたんだよ」と教えられたセガレは、しばらく「ガンバがジェフに頭突き〜、ガンバがジェフに頭突き〜」というオリジナルソングを歌い続けていた。うるさいのである。中盤のボール奪取合戦はそれなりに面白かったものの、どちらも決定機をあまり作れず、90分終わって0-0。寒いしセガレは眠そうなので帰ろうかとも思ったのだが、わざわざ東京から足を運んでゴールシーン皆無では納得いかないので、延長戦もつきあう。やっぱり延長戦は要らないと思った。延長制度がなければ、90分で決着がついたんじゃないだろうか。延長後半、右サイドからのクロスを途中出場の中山がダイビングヘッドでVゴール。チェ・ヨンスを最後まで使わざるを得なかった市原と、コータを引っ込めても中山だ松浪だを投入できるガンバの、選手層の差が出たということか。

 ところでこの試合は、セガレが初めてプチ迷子になった一戦として私の記憶に残ることだろう。ハーフタイムに一緒に喫煙所に行ったのだが、あまりに煙モクモクなので「ちょっと離れていろ」と言ったら、セガレは席にいる従兄たちのところに一人で戻ると言う。わりと方向感覚はいいので、大丈夫だろうと思って行かせた。しかし、私が一服を終えてヤキソバを買ってから席に戻ってみると、セガレの姿はなかったのである。けっこう、慌てた。5分ほど周辺を探し回って、ぜんぜん見当違いの場所でピッチを見つめながら茫然としているセガレを発見。目をパチパチさせて、泣く寸前だった。席がわからなかったら、従兄の名を大声で呼べと言い含めてあったのだが、それはプライドが許さなかったのだろう。それでも落ち込んだ様子はなく、「がんばれがんばれジェーフ、ゴールキーパーは油断しちゃダメだ〜」などと格闘ポーズを取りながら応援。おまえが油断するな。



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