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  東京アフガン人難民申請者収容メディア報道
  2001年10月19日〜 
 
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<更新情報> 
 
2001.11.01 
  ○政府がアフガン人入国制限  難民も排除と支援者反発(共同)必見! 
 日本政府が、「アフガン人は日本で難民申請するから」という露骨な理由で、昨年秋以降、アフガン人に渡航証明書を出すことを著しく制限し、その結果、2001年上半期の段階ですでにアフガン人の正規の入国が2000年同時期と比較して9分の1にまで減少していたという、衝撃の事実が明らかになりました。政府は、アフガン人難民申請者の正規入国を厳しく制限し、彼らを不法入国せざるを得ない状況に追い込んでいたのです。 

2001.10.29 
  ○東京入管が収容中のアフガン難民申請者の仮放免を不許可に(毎日・共同) 

2001.10.27 
  ○「この収容はおかしい」(朝日新聞2001.10.27朝刊社説) 

2001.10.24 
  ○東京入管局 難民申請中のアフガン人拘束 「なぜだ 教えてくれ」(東京新聞) 
  ○日本のアフガン難民 進まぬ認定に批判(毎日新聞) 

2001.10.20  
  ○10月19日 東京のアフガン少数民族強制収容の取消訴訟を東京地裁に提訴! 


2001年10月19日 共同通信
 

国内受け入れには消極的  申請者摘発に批判強まる  アフガン難民  

 米軍によるテロ報復攻撃で、アフガニスタン周辺は難民が急増している。日本政府 はテロ対策の柱の一つに「難民支援」を掲げ、既に自衛隊機で隣国パキスタンに救援 物資を届けた。国会審議中のテロ対策特別措置法案も難民キャンプでの医療活動など を視野に入れている。しかし、政府は日本国内へのアフガン難民受け入れには消極的 で、当事者や市民団体は「矛盾した対応」と批判を強めている。  「両親と弟は内戦で死に、叔父はタリバンに殺された。私もアフガニスタンに帰れ ば殺される」。日本で難民認定を求めているラシドさん(仮名)は訴える。   

▽将来が見えない 
 少数民族ハザラ人の三十代男性。北部同盟を構成するイスラム統一党の軍司令官と して、多数派パシュトゥン人主体のタリバンと戦ったが、一九九五年に首都カブール で敗れ、国外へ脱出した。 
 アジア各地を転々とした後、九七年に来日。法務省に難民認定を申請したものの棄 却され、異義を申し出ている。就職など日常生活に不可欠な在留資格も与えられず、 知人宅に身を寄せる。「私には安心できる居場所がない。将来も見えない」とラシド さんは嘆く。 
 イスラム教シーア派を信仰するハザラ人は、スンニ派のタリバンにより虐殺されて きた。難民問題に詳しい関聡介弁護士は「『人種、宗教や政治的意見を理由に迫害を 受ける恐れがある者』という法律上の難民の定義通りで、認定されて当然のケース」 と指摘する。 

▽わずか69人 
 だが、法務省は「具体的な証拠がない」との理由でラシドさんを含め、ほとんどの 難民申請を退けてきた。過去十年間に申請のあった約千三百人のうち、認定したのは わずか六十九人。毎年千人単位で認定している欧米諸国とは対照的だ。中には、不認 定とした外国人を故国へ強制送還した例もある。  難民と認めないどころか、申請者を摘発する事件も起きている。東京入国管理局は 十月三日、難民認定申請中のアフガニスタン人九人を入管難民法違反の疑いで収容し た。同省警備課は「組織的な不法入国で実態解明の必要がある」と説明するが、保護 を求めている人の身柄を拘束するのは極めて異例だ。九人は十九日、収容の取り消し を求め提訴した。 

▽情報収集か 
 実は、収容された九人の一部は米中枢同時テロ後の九月十七日、ほかのアフガン人 十数人とともに東京入国管理局に呼び出され、詳細なアンケートに回答するよう要請 された。九人の弁護団によると、母国語で書かれた用紙には「タリバンの兵器庫はど こにあるか」「ウサマ・ビンラディンと接触している人を知っているか」といった質 問が並んでいた。 
 折から、小泉純一郎首相はテロ対策の一環として「出入国管理の強化」を打ち出し た。弁護団は「テロリストの情報を収集するために、難民認定手続きを乱用したとし か考えられない」と非難する。 

▽特別枠で認定を 
 命からがら故国を逃れる難民の場合、第三国に不法入国することも多い。関係者は 「難民認定を求めたことで収容されてしまうなら、だれも申請しなくなる」と懸念を 深める。 
 特定非営利活動法人、難民支援協会の筒井志保事務局長は「現地での支援も必要だ が、緊急措置としてアフガン難民認定の特別枠を設け、日本に受け入れるべきだ」と 話している。

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2001年10月19日 共同通信
 

民条約違反と非難 

 難民認定申請中のアフガニスタン人九人が強制収容されたことに対し、日弁連(久 保井一匡会長)は十九日、「不法に入国した者でも難民認定申請者を収容すること は、難民条約に反し人道上も許されない」と非難する会長声明を出した。  声明は「収容はタリバンによる迫害を受けた人を送還するためのもので、迫害の危 険がある地域への送還を禁止した難民条約に反する」と指摘。「直ちに解放し、難民 認定を進めるなど積極的な援助に取り組むべきだ」としている。 

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 2001年10月19日 共同通信
 
 
強制収容取り消し求める  アフガン人9人が提訴  

 米中枢同時テロをめぐり警察庁などが国内テロへの警戒を強める中、強制収容され たアフガニスタン人九人が十九日、「難民認定申請中の収容は違法」として東京入国 管理局の処分の取り消しを求める訴えを東京地裁に起こした。  弁護団は「国籍だけを嫌疑として収容するのは異常。首相は現地難民の保護をう たっているが、日本にいる難民を本国に強制送還しようとするのは整合性がない」と している。 
 訴えによると、九人はタリバン政権から迫害されているハザラ人などの少数民族で 二十―四十代の男性。親兄弟を殺害され、六―八月に漁船や飛行機で入国、難民認定 を申請した。 
 米国の報復攻撃後、警察庁と法務省がアフガニスタン人の「チェック」を指示。今 月三日、入管難民法違反容疑で都内の東京入管施設に収容された。  原告の一人は「アフガニスタンではハザラ人というだけで身柄を拘束され、日本で はアフガニスタン人というだけで収容された。タリバンと日本政府はやることが一緒 だ」と訴えているという。

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2001年10月19日 東京新聞
 

東京入管局 難民申請中のアフガン人拘束 「なぜだ 教えてくれ」 米テロの情 
報収集? 弁護団、提訴へ 

 「なぜ私は捕らえられたのか」。内戦が続く祖国から逃れて来たアフガニスタン人が、東京入国管理局の収容施設で叫ぶ。難民認定の申請中に、同管理局に不法入国で身柄を拘束されたのだ。アフガニスタン難民弁護団は十九日、収容の停止を求めて提訴する。 

タリバンの拘束 「トラウマ」強い 

 収容されているのは、今年六月から八月にかけ来日した九人のアフガン男性で、全員がハザラ人など少数民族。ほとんどがタリバン政権の迫害を受け、身柄を拘束された経験がある。三十代の男性は、面会に訪れた弁護士らに「眠れない」と訴えた。通訳によると「ふつうの人より拘束されることへのトラウマが強い。『頭が痛い』とも言った。とても疲れ切った様子で、不安でいっぱいだった」と様子を語る。 
 アフガンでタリバンに捕まった体験は過酷だ。面会した弁護士の一人は「一週間に二回捕らえられた人もいる。保釈のために多額のわいろを要求されたようだ。家族が連行されたまま戻らない人もいる」と言う。 
 タリバンから逃れて来た揚げ句、日本で再び拘束された男性たちは、わずかな面会の時間にせきを切ったように不安を吐露した。「人を殺していないし、泥棒もしていない。どんな悪いことをしたのか教えてくれ」「いつここから出られるのか」 
 NPO団体「難民支援協会」(東京都新宿区)の筒井志保事務局長は「日本も加盟する難民条約では、難民は正規のパスポートやビザを持たずに逃げて来ていることを前提にしており、不法入国や不法滞在などを理由に難民に刑罰を科してはならないとしている」と指摘し、今回の摘発を批判する。 

異例の身柄拘束 強制送還もある 

 実際、難民申請中に身柄を拘束するのは極めて異例で、九人は入管難民法違反で強制送還される可能性もある。そのため弁護団では全員の仮放免を請求しており、十九日には収容そのものが不当であるとして収容令書発布の処分取り消しを求め東京地裁に訴える予定だ。 
 弁護団によると、収容者は申請後の聞き取り調査で「ウサマ・ビンラディンについて知っていることはあるか」などと質問された。 
「情報収集を目的にアフガン人を狙って摘発したと言われても仕方がない」という。 
 日本の難民認定は厳しい。同協会によると一九九七年ごろまで認定者は年に一人の状態が続いていたが、国際的な世論の後押しもあり、少しずつ認定者が増えている。そのため申請者数も増え、昨年は二百十六人が申請、二十二人が認定された。証拠不十分などで不認定とされても法務大臣の裁量による「在留特別許可」が与えられた例も増加している。 

「日本信じた人捕まえるとは」 

 それだけに、今回の摘発が申請者たちに与えたショックは大きい。同協会事務所には申請者らから「聞き取り調査のため入管へ行かねばならないが、行ったら捕まるだろうか」などと問い合わせが殺到。 
 難民申請中の別のアフガン男性は「もう何年も中ぶらりんな状態で待たされ疲れ果てた。イスラムは自殺を許さないが、日本人だったらきっと自殺していると思う。仕事ができず将来も見えない。祖国がどうなるかという心配もあるのに日本から出られない。日本を信じて難民申請をした人間たちを捕まえるなんて」とため息を漏らす。 
 筒井さんは「今後、摘発されることを恐れて申請しない人が増えるのではないか。日本は難民をどう受け入れるか明確な方針を示すべきだ。不法入国などを摘発する入管が、難民申請の窓口でもあるという制度そのものにも問題がある。母国を逃れて来るしかない難民には特別な配慮が必要だ」と強調した。 
 同協会では国内で難民申請中のアフガニスタン人などの生活を支援するための基金を設けている。問い合わせは同協会=電話03(5225)2135=まで。 
 

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2001年10月20日 毎日新聞
 
 

「東京入管の収容処分取り消しを」 アフガン人9人が提訴−−東京地裁に

 日本政府に難民申請中で、出入国管理法違反の疑いで東京入国管理局に収容されたアフガニスタン人9人が19日、同入管の収容処分の取り消しを求め、東京地裁に提訴した。 
 訴状などによると、9人は東京、千葉に住む20代から40代のアフガン人男性で、今年6月から8月にかけて日本に入国し、難民申請していた。いずれもタリバン政権下で迫害を受け、虐殺などの対象とされた少数民族で、拷問を受けたり、家族を殺害されているという。原告らは「テロ関連の情報収集のための収容であり、捜査目的での行政手続きの利用は、憲法が保障する適正手続きに反する。難民申請中の収容は日本が批准する難民条約にも違反している」と主張している。 
 大貫憲介弁護士は「入国審査官に『アフガニスタンに強制送還する』と言われた人もいる。民族も宗派も違う人たちをアフガン人というだけで摘発するのは、理性を欠いている」と話した。【磯崎由美】 

 ◇法務省入国管理局審判課の話 

 訴状を見ていないのでコメントできないが、今後内容を十分検討し、対応していきたい。

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2001年10月21日  毎日新聞
 

[クローズアップ2001]テロと「戦争」   
日本のアフガン難民 進まぬ認定に批判 

 日本に逃れてきたアフガニスタン人の難民認定問題が注目を集めている。政府は補正予算で、国連機関などの難民支援活動に145億円を盛り込む方針で、テロ対策支援法案にも難民支援を掲げている。一方で、同時多発テロ後に難民申請中の9人を出入国管理法違反の疑いで東京入国管理局に収容した。9人は19日、収容の取り消しを求めて東京地裁に提訴した。申請者や支援者からは「国際貢献を掲げるなら、まず国内の難民を受け入れるべきだ」との声が上がっている。 

 ■「証拠不十分」 

 法務省入国管理局は昨年1年間でアフガン人32人の申請を受理し、3人を認定、11人を不認定とした。支援団体によると、これまで不認定の理由は「母国で迫害されるという証拠が不十分」などが多かったという。 
 一方、支援団体が把握している申請者のほとんどは、少数民族のハザラ人(イスラム教シーア派)。アフガンでは北部同盟に加わるイスラム統一党を組織して、パシュトゥン人(スンニ派)が構成するタリバンと激しく争い、大量虐殺の被害も受けている。申請者には戦士や党への献金者で、タリバンが「殺害指示書」などで行方を追っている人もいるという。 

 ■1年待ち 

 カトリック大阪大司教区国際協力委員会などは99年からアフガン難民の支援を始めた。現在ハザラ人21人を含む22人を支援。このうち日本政府が難民認定したのは3人にとどまり、4人には「在留特別許可」が与えられた。残る15人は不法残留の立場に置かれたままで、医療など、生活に大きな支障を抱えている。 
 99年10月に申請したグラム・フセインさん(48)は、わずか2カ月で不認定となり、異議も2週間で却下。00年2月に西日本入国管理センター(大阪府茨木市)に強制収容され、同4月には国外退去を求める「強制令書」が出た。強制送還停止の仮処分と仮放免が認められ、難民不認定の決定取り消しを求め、係争中だ。 
 同委員会によると、申請から1年以上も待たされ、事情聴取が1回で終わっているケースもあった。調査官から「私ならアフガンに帰って家族のために戦う」と言われて傷ついた人もいるという。 
 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)はフセインさんら3人について独自審査し「難民性が極めて高い」と評価した。これに対して法務省は「UNHCRの意見には拘束されない」との見解だ。 

 ■収容に落胆 

 今回、東京入管に収容された9人のうち8人も、迫害経験のあるハザラ人だった。面会した弁護士によると、自宅を襲ったロケット弾で負傷した傷跡の痛みを訴えるなど、収容生活で体調不良を訴える人も多い。「救いを求めて日本に来たのに、これでは日本政府もタリバンと同じだ」と落胆する人もいるという。 
 弁護団によると、「ビンラディン氏を知っているか」「アメリカの空爆をどう思うか」などの聴取を受けた例もある。だが、入管当局は19日の衆院法務委員会で「現時点では、(テロへの関係をうかがわせる人物が)含まれているという事実は確認できない」と答弁した。 
 イスラム統一党に寄付した20代の男性は、5年前にタリバン兵が自宅に乗り込み、太ももを銃弾で撃たれた。男性は逃走し、捕まった父は行方不明だ。妻子と国境を越えたが、パキスタンでも難民を差別する警官に暴行を受け、今年夏に船で日本にたどり着いた。男性は弁護士に「子供たちに『安全な国で難民申請する』と約束し、日本に来た。祖国に平和が訪れるまで、日本にいたい」と訴えているという。 
 特定非営利活動法人「難民支援協会」の筒井志保事務局長は「日本政府も97年以降は難民申請中の人をほとんど収容せず、難民政策に改善の兆しがあった。しかし、今回の摘発はその流れもストップさせてしまった。欧米諸国では、同時テロ後も『難民申請者は収容すべきでない』というUNHCRの原則を受け入れている」と指摘する。 

 ◇欧米、数万人単位受け入れ 

 ■大量流出 

 アフガンは79年の旧ソ連軍の侵攻以降、世界で最大の難民流出国となった。UNHCRによると、同時テロの直前で約370万人。パキスタン、インドのほか、欧米各国も数千〜数万人単位で受け入れている。今後、最大約150万人が流出するとみられるアフガン難民をどこが受け入れるのか。 
 日本に集団難民がたどり着く可能性は否定できない。19日の衆院法務委員会で「日本は受け入れるのか」との肥田美代子委員(民主)の質問に対し、森山真弓法相は「大量の難民が出れば、検討しなければならないのかと思う」と答えた。 

 ◇難民認定 

 難民とは「人種、宗教や政治的意見などを理由に、国に帰れば迫害を受けるおそれのある人」。「難民条約」は保護、救済が目的で、今年2月現在137カ国が加盟している。日本は81年に加入、82年に「出入国管理及び難民認定法」を制定した。しかし、迫害を示す具体的な証拠を求めるなど他国より認定のハードルが高いといわれる。特別枠のインドシナ難民(約1万人)を除く難民認定は、今年9月までの約20年間で270人。欧米諸国は99年1年間だけで米国、カナダ各約1万3000人▽ドイツ約1万人▽英国約7000人。

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2001年10月25日 毎日新聞 
 

難民申請中のアフガン人9人、仮放免を不許可に−東京入管 

 日本政府に難民申請中のアフガニスタン人9人が出入国管理法違反の疑いで東京入国管理局に収容されている問題で、同入管は、9人から出ていた仮放免申請について、「総合的に判断した結果、認めるに足りる理由がない」として不許可にした。 
 

2001年10月24日 共同通信
 
アフガン人、仮放免せず 

 入管難民法違反容疑で今月三日、東京入国管理局に収容されたアフガニスタン人九人が「難民認定を申請中なのに身柄を拘束するのは難民条約違反だ」として求めていた仮放免について、東京入管は二十四日までに不許可とする決定をした。 
 弁護団によると、九人は十〜四十代の男性で、いずれもハザラ人など少数民族出身者。タリバン政権の迫害を逃れて来たとして難民認定を申請中で、十九日には強制収容の取り消しを求める訴訟を東京地裁に起こしている。

 
 

2001年10月27日 朝日新聞
 

■アフガン難民――この収容はおかしい 

 アフガニスタンの男性9人が10月初め、東京近郊で不法入国などの疑いで摘発され、東京入国管理局に収容された。  
 全員がハザラ人などタリバーンから迫害されているという少数民族だ。いずれも居所を明らかにして難民認定の申請を行い、審査を待っている最中だった。  
 弁護団は収容の取り消しを求める裁判を東京地裁に起こし、併せて執行停止の申し立てをしている。  
 この収容は疑問である。  
 9人は今年6月から8月にかけて変造パスポートや密航で、それぞれ不法に入国し、滞在していた。収容はそれを理由にしているが、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は、非正規の入国という事実で難民申請者を拘禁してはならない、とするガイドラインを設けている。  
 9人とも本国で親やきょうだいなど身内のだれかがタリバーンに連行されて行方不明になったり殺されたりしているか、本人が身柄を拘束されて暴行を受けたと訴えている。10代の少年は、父親がタリバーンに連れ去られて行方不明になったため、母親が農地を売って費用を工面し、国外へ脱出させたという。  
 そのような状態にある人がパスポートやビザを正規に取得して出国することは困難だろう。日本も98年以降はこのガイドラインに沿って実務を行ってきたはずだ。  
 アフガニスタン国籍を名乗る人々だけを一斉に収容したことも問題である。日本も批准している難民条約は、出身国による差別を禁止している。  
 収容された人たちは、任意ではあるがオサマ・ビンラディン氏について知っていることや、タリバーンの兵器庫の場所などについて書かされたと証言している。これでは別の目的があって収容したと疑われても仕方があるまい。  
 難民支援活動の非政府組織(NGO)は、今回の収容がほかの難民申請者に深刻な失望感と動揺を与えていると心配する。申請して捕まるのなら、と申請をためらう人が増え、不法滞在を助長することにつながりかねないからだ。  
 入国管理局は9人の拘束を解き、彼らが難民に当たるのかどうか、一人ひとり公正で迅速な審理を進めるべきだ。  
 日本政府は難民の受け入れには消極的な姿勢をとり続けてきた。米国やカナダ、ドイツが年間1万人を超す人々を受け入れているのに比べ、日本は昨年の場合、22人を受け入れたにとどまっている。  
 一方で、UNHCRに対しては米国に次ぐ第2の拠出国の地位にある。  
 壁の厚い日本にも96年ごろから保護を求めてくる人たちが急激に増え、昨年は216人が難民認 定を申請した。  
 今後も自国では受け入れずにお金だけで済ますのか、少しずつ扉を開くのか。  
 国民の間で議論を深めたい。  
 

 
 
2001.10.31 共同通信
 
 
政府がアフガン人入国制限  難民も排除と支援者反発
 日本政府が昨年からアフガニスタン人の入国を制限、来日者数が激減していることが三十日、分かった。タリバン政権の迫害を受け、難民として来日しようとする人も締め出されているとみられ、国内の難民支援者は強く反発している。 
 日本が政権を承認していない国の国民が来日するには、周辺国の日本大使館で渡航証明書を取得するなどの手続きが要る。外務省によると、渡航証明書の発行は従来、主に大使館が判断していたが、昨年夏ごろ、すべて東京の同省で審査する方式に変えた。 
 その結果、昨年秋から来日するアフガン人が減少。法務省の統計では、今年上半期の入国者は四十四人で、前年同期の三百七十五人の約九分の一になった。 
 外務省外国人課は、方式変更は「審査を徹底し、上陸拒否を避けるため」などと説明。アフガン人については@内戦続きで、帰国できなくなる可能性があるA日本で難民認定を申請するケースが増え、不法就労の隠れみのになっている恐れもある―ことを「総合的に判断している」という。 
 だが、アフガニスタンの少数民族を法務省が難民認定した例もあり、入国制限はこうした人まで排除することになりかねない。実際、今月三日に不法滞在の疑いで東京入国管理局に収容されたアフガン人は「渡航証明書が出にくくなったので、船で密入国した」と弁護団に伝えている。 

日本で安住の場を アフガン難民の支援に取り組むカトリック大阪大司教区国際協力委員会の岩田賢司さんの話 

 米軍によるアフガン攻撃で、現地では難民が急増している。政府は緊急措置として「難民支援」をうたっているが、今回明らかになった入国制限をはじめ、結局は日本国外で処理してしまおうという姿勢だ。日本で安住の場を提供してこそ本当の難民支援ではないか。

 

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