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Review: Bridges, Live In China
2007/08/26
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
Bridges (桥梁)
Live In China
(Heilo, HCD7201, 2005, CD)
1)Den Svalende Vind 2)(芦笙伴奏歌) 八月半、禾谷扬花、娘逼我出嫁 3)Byssan, Byssan Liten Sull 4)(大歌) 故意装傻 5)Nå Eg Stå Her På Dei Høge Nutar / (牛腿琴歌) 你是否记得我俩旧情意 6)(琵琶歌) 六洞琵琶 / Olaf, Olaf Kyra Dii E Dau / Till Till Tara / Borte Id Dala Våra Og Dar 7)(大歌) 处处只听蝉儿鸣、不见蝉儿面 8)(大歌) 三个青年吹草笛 9)Målfrid Min Frue 10)(踩堂歌) 万人同唱一首歌 / El Rose Hev Sett 11)(儿歌) 孩儿还小
Producer by Unni Løvlid. Recorded 2005/6 in China.
Wu Chuan Ping (vocal), Lu Yingmei (vocal), Pan Xin Zhi (vocal), Wu Anhua Dongliang (vocal, Dong pipe, ox-bone fiddle, Dong flute, lusheng), Unni Løvlid (vocal), Frode Haltli (accordion), Terje Isungset (percussion).

ノルウェー (Norway) の3人のやや jazz/improv 寄りの folk/roots ミュージシャン Løvlid、Haltli、Isungset が、 贵州 (貴州, Guizhou) 省の南東部にある侗 (トン, Dong) 族 (⇒en.wikipedia.org; ⇒中国の少数民族 @ チャイナネット) の村、 唐安 (Tang'an) (⇒China Highlights) を訪れ、侗族のミュージシャンと共演した演奏を収録したアルバムだ。 録音は全て中国国内でのライブ録音だ。 ちなみに、Løvlid、Haltli は Vegar Vårdal と Rusk という folk/roots のグループをやっている。 Isungset は氷の楽器を使った音楽 "ice music" で知られる (関連レビュー)。

ノルウェーと侗族の民俗音楽の伝承歌、 もしくは、その旋法等に基づく自作曲を、 アコースティックな伴奏で歌うというもの。 伴奏の音数は少く詠唱するような歌が多い。 中国南東部の民俗音楽の特徴を知るわけでもないので、 そんなものかと思って聴いている。 声調を感じる歌の節回しは中国〜インドシナの音楽らしく聴こえるが、 accordion や口琴が伴奏に使われたりするせいか、 シベリアの民俗音楽に近く感じられるときもある。

2曲目の "(芦笙伴奏歌) 八月半、禾谷扬花、娘逼我出嫁" では葦笛も使われているが、 ゆったりした acccordion の伴奏が良い。 Løvlid がノルウェーの民謡をハイトーンの声で詠唱する5曲目では、 fiddle の代わりに牛腿琴が鈍い響きを軽く添え、 さらに、声調が効いたじゃみっとした歌唱と掛け合いとなるのが面白い。 このような感じで、ノルウェーと侗族の民俗音楽の要素は、 自然と感じられるくらい巧く組み合わされている。 そういう所がこの作品の魅力だ。

全体として明確なリズムのない曲が多いが、そんな中では 10曲目の "(踩堂歌) 万人同唱一首歌 / El Rose Hev Sett" はノリの良い曲だ。 口琴 (おそらく Isungset) と accordion でリズムを作り出し、 その上に声調が効いたコーラスが乗る。 観客の手拍子も聴こえ、その盛り上がりも楽しそうだ。 こういう演奏ももっと収録されていたらとも思う。

ちなみに、プロジェクト名には文化の架け橋という含意もあるが、 この名は侗族の伝統的な建築である屋根付きの橋、风雨桥 (風雨橋) から採られている。 ジャケットやブックレットには侗族の緑の多い里山の村の写真が多く使われている。 ジャケットに使われている写真に写っているのは よろずやらしき狭い一階の上にそれより大きい舞台が乗った頭でっかちの木造の建物で、 ここが演奏会場だったようだ。 風雨橋だけでなく、こういう建物も独特で面白い。