1960年代末から contemporary classical の文脈で活動するフランス (France) の 作曲家 / ondes Martenot 奏者の Tristan Murail をフィーチャーしたコンサートだ。 1928年に発明された電子楽器 ondes Martenot の演奏を生で聴こうと観に行ったのだが、 ondes Martenot よりも orchestra の響きが楽しめたコンサートだった。
一番興味深く聴かれたのは ondes Martenot 無しの orchestra 曲 “Gondwana”。 strings とか細かいフレーズはあまり無いのだが、それが重ねられて一体となって響くよう。 おおきくうねるような展開もあれば、まるで波打ち際のようにざわめくような響きに聴こえたり。 これが “spectral” 作曲技法かと納得させられたような気がした。 このような大編成の orchestra の演奏を生で聴くのも十余年ぶりだったこともあり、 響きが新鮮に聴かれたということもあるかもしれないが、 たまには orchestra を聴くのも良いかもしれない、とも思った。
演奏した曲の中では最も新しい “Terre D'Ombre” となると、ソロのパート等もあり、 “Gondwana” と比べると普通の曲のように聴こえ、とっつきやすかったが、 一体となった音響のような面白さは感じられず、少々物足りなかった。 ondes Martenot を使った曲のうち、最初の duo の曲 “Mach 2,5” は、 The Black Dog: Krautrock: Return To The Source [レビュー] に混じっててもおかしくなさそう。 むしろ、“Gondwana” に近い orchestra の響きに モジュレートされた ondes Martenos の響きが溶け込む “Les Courants De L'Espace” の方が興味深く聴くことができた。
ちなみに、このコンサートは、 アニュアルの東京オペラシティの「同時代音楽」 (contemporary classical) 企画 「コンポージアム」の一環として企画されたもの。 「コンポージアム」の管弦楽曲作曲コンテスト「武満徹作曲賞」の2010年の審査員が Murail だった。