ロンドン (London, UK) の dubstep DJ Shackleton (aka Sam Shackleton) は、 Skull Disco レーベル [レビュー] を活動停止した後、remix の活動の幅を広げている。 網羅的にフォローしているわけではないが、 このドイツの post-rock/electronica のグループ To Rococo Rot の remix もその一つだ。 remix といっても、原曲を大きく作り変えている。 冒頭こそ、トラメガを通したようなオフな声のサンプリングや鈴で刻む上物など Skull Disco 的だが、 それが消えると、ビートの刻み方に dubstep らしさを残すものの、細かく軽く刻む高い音などは IDM 的。
しかし、一緒に収録されている Traversable Wormhole の remix の方が、より耳を捉える。 ほとんど予備知識は無いのだが、どうやら、アメリカ (US) のベテランDJによる匿名のプロジェクトらしい。 やはり原曲の印象的な guitar や xylophone の音など跡形もない、少々テンポ遅めの hard techno。 しかし、飛び交うようなメタリックな音に、一拍目のアクセントも戦闘的で、非常にかっこいい仕上がりだ。
Forwardness Fridays EP の曲は、この新作アルバムからのシングルカットだ。 systh pop 的な可愛らしい音使いもある electronica という所は The Amateur View (City Slang, 08717-2, 1999, CD) の頃から大きく変わらないが、新作で印象に残るのはぐっと強くなったベースラインだ。 1980年代初頭の post-punk (Jah Wobble とか Peter Hook とか) を連想させられる。 “Away”、“Horses” もそうだが、 アップテンポな所もミリタントな “Working Against Time“ が特に良い。 もちろん、guitar や xylophone のような音色も軽快な “Forwardness” も耳を捉える。 1990年代末からそれなりにフォローしてきているグループだが、この最新作が最も気に入っている。
話を Skull Disco に戻すが、去年の Harmonia & Eno '76: Track And Traces (Ryko, RCD10428, 1997, CD) のリイシュー (Grönland, CDGRON12, 2009, CD) に合わせて、 Skull Disco の Shackleton と Appleblim が remix したシングルがリリースされている。 Shackleton の remix は Skull Disco っぽさを残しつつグルーヴ感を排した ambient な dubstep とでもいうもの。 Appleblim がブリストル (Bristol, UK) のDJ Komonazmuk と組んで remix した ”By The Riverside” では、硬質でミニマルな dubstep が楽しめる。