Skull Disco はロンドン (London, UK) の Shackleton (Sam Shackleton) と ブリストル (Bristol, UK) の Appleblim (Laurie Osborne) という 2人の dubstep DJ が運営していたレーベルだ。 2005年にリリースを始め、2008年に活動停止した。 その活動停止の「墓石」としてリリースされたのが、このCD2枚組だ。 CD1は4枚の12″からの音源を収録しており、 CD2は1曲を除き未発表の remix を収録している。 dubstep から dubwise な techno へ接近した音となったが、 CD第1弾の Soundboy Punishments (Skull Disco, SKULLCD01, 2007, 2CD) [レビュー]に続いて、お薦めだ。

Soundboy Punishments 同様の percussion の音色が楽しめる Shackleton の “Death Is Not Final (feat. Vengeance Tenfold)” や “In The Void”、 少々変則的なアクセントのリズムが楽しめる Appleblim + Peverelist の “Circling” などは dubstep らしさを残している。 しかし、Soundboy Punishments と比較しても かなり Basic Channnel や ~scape といったレーベルを思わせる dubwise な minimal techno に近い淡々とした音になっている。 たとえば、Appleblim + Peverelist の “Over Here” や Shackleton の “Shortwave” などの曲だ。 そんな中では percussion の音色も楽しめる Shackleton の “You Bring Me Down” が良い。

remix を収録したCD2でまず耳を惹くのは、 Pole (Stefan Betke) や T++ (Torsten Pröfrock of Monolake) という Basic Channel / Hardwax 界隈から出てきたベルリン (Berlin, DE) の DJ/producer だ。 Soundboy Punishments では Ricardo Villalobos の mix を収録していたし、 Pole の Steingarten Remixes (~scape, sc50cd, 2007, CD) には Shackleton が参加していた。 この2つのシーンの密接さを伺わせる。 しかし、結局最も耳を捉えたのは、短いながら少々色合いの違った音だった。 少し歪んだ electric guitar の刻む音を使った Shackleton の “In The Void (Rupture Remix)” だ。 クレジットの手懸りが少くて正確なところは把握できていないが、 この Rupture というのはニューヨーク (New York) の post-punk revival のグループのことだろうか。 また、ラストではニューヨークの Badawi (Raz Mesinai) がディープな dub を聴かせている。

そのホラーがかったイラストを使ったジャケットやストーリーがかった一連の曲名も独特で、 dubstep のレーベルの中で Skull Disco の中で際立っていた。 そんなレーベルの活動停止は残念だ。 しかし、Appleblim は自身のレーベル Apple Pips を始めるなど、 2人とも活動を止めてわけではない。今後に期待したい。

Soundboy's Gravestone Gets Desecrated By Vandals のリリースに先立って、 Skull Disco は約一時間の DJ mix の mp3 を公式サイトで無料公開していた。 mix を手掛けているのは、ハンガリー・ブダペスト (Budapest, Hungary) の DJ DST (aka DubSTa)。 こちらは、Soundboy Punishments からの音源も使っており dubstep 色濃い。 Skull Disco らしい percussion 使いの dubstep を約一時間楽しめる内容だ。 Skull Disco の入門としても良いだろう。