東京JAZZ 2010 の野外無料サブステージ 東京 JAZZ CIRCUIT 2010 の枠内で Jazz Cruise Norway 2010 というノルウェーの jazz のショーケースが組まれた。 そこに出演する3グループのうち2グループが、 ECM フェスティバル 第一弾、第二弾 として別途公演を行った。 いくら無料公演とはいえ気温30度以上という厳しい残暑の中の野外は避けたかったので、 こちらを観てきた。 土曜ながら昼前からというかなり変則的な時間帯で、 それぞれアンコールを含めて1時間という短めのステージだった。

jazz quintet Motif の trumpet 奏者で、 jazz rock group Jaga Jazzist の中核的なメンバーの1人でもある Mathias Eick の新 5tet だ。 The Door (ECM, ECM2059, 2008, CD) の編成に近いが、 ツインドラムとなっている。 Slettevoll も piano より Rhodes を弾いていることが多く、 Erlien も electric bass を guitar に持ち替えることは無し。 ECM 的な音作りとはかなり異なる electric な jazz rock だった。 アンコール前の最後の曲では Eick は trumpet を置いて Rhodes を演奏もした。 ツインドラムだったので、それを生かしたリズムや音空間の組み立てを期待したのだけれども、 そういった点は聴き取れず、少々残念。

ノルウェー jazz の重鎮 bass 奏者 Arild Andersen は 最近のレギュラーの drums 奏者 Paolo Vinaccia (イタリア出身だがノルウェー在住)、 スコットランドの saxophone 奏者 Tommy Smith とのトリオ。 編成こそ普通の sax trio だが、bass-drums がバッキングということはない。 雰囲気的というより力強く、三者が対等に歌いあうような演奏が楽しめた。 Andersen は、solo はもちろん、ループを使ってリズムを作り出したりもした。 Vinaccia は、リズムを刻むというよりも、高めの音の打楽器を歌うように叩くことが多いし、 軽く electronics のニュアンスを加えるときもあった。 Smith の saxophone は、さすがにリズム的なものを聴かせることは無かったけれども。 オープニングの曲から Balkan の gypsy 音楽のような強烈な saxophone ソロで始まり、 tango 調の bass line の曲もあれば、 箏の手ほどき曲「さくらさくら」をテーマに free jazz のように激しく演奏もした。 アンコールの曲は Celtic folk 風。 このような folk 的な旋律選びも、三様の歌い方を聴かせるような演奏に合っていたように思う。 このライブを聴いて、未入手未聴だったこのトリオでのリリース Live At Belleville (ECM, ECM2078, 2010, CD) も聴いてみたいと思った。

ちなみに、Jazz Cruise Norway 2010 の残りの1グループ Eivind Aarset の単独公演は9月6日(月)の晩、 六本木 Super Deluxe で予定されている [レビュー (2010-09-07 追記)]。 Super Deluxe では翌7日(火)に Arild Andersen の公演も予定されている。