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Review: Scanner with The Post Modern Jazz Quartet: Blink Of An Eye
2011/01/04
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
Scanner with The Post Modern Jazz Quartet
Blink Of An Eye
(Thirsty Ear, THI57195, 2010, CD)
1)Shadow Splice 2)Blues In C 3)A Galaxy Of Winking Dots 4)Not A Frame Earlier Or Later 5)Involuntary Reflex 6)Most With the Least 7)Dreaming Of You At My Side 8)The Decisive Moment 9)Cuts And Shadows 10)Beyond The Edge Of The Frame.
Production / Mixing / Arrangements / Treatments: Robin Rimbaud - Scanner. Produced by Peter Gordon.
Scanner: Robin Rimbaud (electronics, keyboards); The Post Modern Jazz Quartet: Matthew Shipp (piano), Khan Jamal (vibes), Michael Bisio (bass), Michael Thompson (drums).

The Post Modern Jazz Quartet は、ニューヨークの free jazz/improv シーンで活動する piano 奏者 Matthew Shipp と vibes 奏者 Khan Jamal らによる The Modern Jazz Quartet (MJQ) に編成を倣った 4tet だ。 この名義での録音は初めてだが、Shipp - Jamal による MJQ 的編成の録音としては、 Matthew Shipp: Equilibrium (Thirsty Ear, THI57127.2, 2002, CD) もある (こちらは William Parker (bass) と Gerald Cleaver (drums))。 Equilibrium でも 4tet に加え electronics として ニューヨークの FLAM (Chris Flam) が参加していたが、 この Blink Of An Eye ではロンドン出身の Scanner (Robin Rimbaud) が参加している。 Scanner は1990年代に Sub Rosa や Ash International / Touch からのリリースで知られるようになった electronica のミュージシャンで、 最近は Colin Newman (ex-Wire)、Malka Spigel、Max Franken (ex-Minimal Compact) と Githead というグループでも活動している。

スタンダード曲を演奏しているわけではないが、 さすがに Equilibrium に比べてリズム隊の線が細くスムース。 その分だけ electronica な音処理が表に出ている。 vibes にかけられたリバーブも強めで ambient 的というかアトモスフェリックな展開があるのも Scanner の資質だろうか。 といっても、気に入った曲は ambient 的な要素が低めの アップテンポなビートにつっかかるような電子音がかかる “Involuntary Re Ex”、 electronics の霧の中の free jazz のような “Most With The Least”、 強い piano の音に絡む電子音も良い “The Decisive Moment”、 drum'n'bass 的なビートも最もフロア向けな “Beyond The Edge Of The Frame” のような曲なだったのだが。 比較のために久しぶりに聴いた Equilibrium も、 その鋭く強い音が良かったな、と思ったりした。

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