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Review: Ballaké Sissoko - Vincent Segal (live) @ Eats And Meets Cay, Aoyama, Tokyo
2011/06/07
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
Ballaké Sissoko - Vincent Segal
Eats And Meets Cay, 青山
2011/06/06, 19:00-21:00
Ballaké Sissoko (kora), Vincent Segal (cello); guest: 清水 靖晃 [Yasuaki Shimizu] (saxophone).

西アフリカ・マリ (Mali) の kora 奏者 Ballaké Sissoko と フランスの cello 奏者 Vincent Segal によるアコースティックなデュオのライブ。 CD Chamber Music (No Format, 2009) が とても気に入っていたので期待していたのだが、 CDで聴かれたような、繊細な弦の響きを活かした、 ゆったりゆらめくようなグルーヴが堪能できた2時間だった。 実際に演奏する様子を見ながら聴いたせいか、CDよりも細かい弦のニュアンスが感じられたように思う。

Segal がピチカートで刻むリズムの上で Sissoko が細かいフレーズをキメたり、 Sissoko がゆるくフレーズを反復するのを背景に Segal がアルコで少し鈍いおとでメロディを奏でたり、 時には早い展開のテーマをユニゾンで決めるときもある、 お互いの位置関係を緩く交換しながら展開していく演奏を聴かせた。 一回目のアンコール (おそらく “Wo Yé N'Gnougobine”) では 会話するかのように短いフレーズを交換するのだが、 アルバムで聴かれるよりもずっと長く、 それも、Segal がアルコから毛を一本抜き取り弦に引っ掛けて出す音で応じたりと、 ユーモラスな所も見せてくれた。

Segal も Sissoko も特殊な演奏はほとんど見せないのだが、細かいニュアンスを通して、 時に cello を gimbri のように、kora を cembalo のように聴かせるのも面白かった。 これで、東地中海風 (Ross Daly にインスパイアされた) やブルターニュ風の音楽も演じた。 CDで聴いたときに Penguin Cafe Orchestra を連想したのだが、 MC で Penguin Cafe Orchestra に言及していて、やはりそうだったかと納得。

アンコール前の最後から2曲目と、2回目のアンコールでは、ゲストの 清水 靖晃 を加えた3人で演奏した。 ベルに布を詰めてミュートした tenor saxophone を使い、繊細な弦の音に寄り添うようだった。 しかし、こういう繊細な弦楽器に合わせるのであれば、 tenor saxophone よりも clarinet の方が良かっとも、と思ってしまった。 いわゆる Clarinet-cello-piano trio [en.wikipedia.org] のように。

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