自身のトリオ (Clean Feed からリリースがある) や David Krakauer Klezmer Madness で知られる accordion 奏者 Will Holshouser と、 Instant Composers Pool 界隈の活動で知られるベテラン Michael Moore と Han Bennink の 3人によるトリオは、 数年前から度々ライブを行っていたが、やっとCDをリリースした。 Clusone 3 の Ernst Reijseger (cello) を Holshouser に置き換えた編成で、 それと共通するような感覚。 新しい試みという程ではないが、 ドシャメシャになる演奏とメロディアスかつ軽快な演奏の同居もひょうきんに感じられるアルバムだ。
オープニングのマダガスカルの伝承曲に基づく “Hararavo Bilo” は 南アフリカの kwela を思わせるような軽快さも楽しめるし、 エンディングの cajun waltz の “Balfa Waltz” の少々 klezmer 風味も面白い。 しかし、Frank Sinatra の歌った “I Never Knew” や Kurt Weill の “Bilbao Song” の ようなスタンダード曲の料理というか解体の仕方に、彼ららしさを感じる。
2008年に Fragile (Ramboy Recordings, #25, 2008, CD) をリリースした4tetも、去年、立て続けに2タイトル、アルバムをリリースしている。 端正で優しい音色の clarinet と piano (Mats Eilertsen Trio でも活動する Harmen Fraanje) は相変わらずだ。
といっても、淡々と繊細だった Fragile に比べ、 Amsterdam は Moore の clarinet もキーキーとアウトな音になることもある 強さ (といっても激しい熱演には程遠いが) も見せる演奏。
一方、Easter Sunday はソフトな演奏だが、 少々 minimal に感じられる展開があり、 反復を強調するかのような reeds や piano のフレーズが時折耳を捉える。 例えば、オープニングの “Cool, Simmering” の前半や、 変則的なアクセントでビートを刻む “Evguth” などが気に入っている。 この4tet では初のスタンダード曲の録音となる “It Might As Well Be Spring” も、エンディングでほっとさせるような所がある。 こんな感じで、この4tetによる3タイトルのアルバムの中で最も楽しめた。