TFJ's Sidewalk Cafe > Cahiers des Disuqes >
Review Four Tet: Pink; Daphni: Jiaolong
2012/10/21
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
Four Tet
Pink
(Text, TEXT018, 2012, DL / Hostess [Japan], HSE-60128, 2012, CD)
1)Locked 2)Lion 3)Jupiters 4)Ocoras 5)128 Harps 6)Pyramid 7)Peace For Earth 8)Pinnacles
Produced by Kieran Hebden. Additional synthesizer programming on Jupiters by Sasha Lewis.
8) from the 12″ single TEXT009 (2011). 1,6) from the 12″ single TEXT011 (2011). 3,4) from the 12″ single TEXT015 (2012). 5) from the 12″ single TEXT016 (2012). 2,7) from the 12″ single TEXT019 (2012).

1990年代末から活動するロンドンの electronica のDJ/producer Four Tet (aka Kieran Hebden) の2年ぶりのアルバムは、 Domino ではなく自身のレーベル Text から。 アルバムといっても、2011年から2012にかけて Text からデジタル配信無しのアナログ12″シングルのみでリリースしてきたトラックをまとめて アルバムとしてデジタル配信したもので、日本のみCDリリースされている。

前作 There Is Love In You (Domino, WIGCD254, 2010, CD) からのシングルのリミックスが dubstep 寄りの DJ/producer 起用だったのでそちらへ路線変更するかと思いきや、 むしろ、There Is Love In You の延長に近い。 といっても、前作で特徴的だった歌声のサンプリングは少なめ、 淡々とにダンスフロア指向を強めたかのよう。 “Pinnacle” や “Ocoras” などで、そういう面が楽しめる。 もちろん、Four Tet らしいキラキラとしたサンプリングも健在で、 “Lion” の後半での木琴類の乾いた軽やかな音や、“128 Harps” での繊細なハーブの音などの 音使いも気に入っている。 曲順も単なるシングルの曲を並べたという以上の展開を感じさせ、 There Is Love In You にも劣らないアルバムになっている。

やはりアナログのみのリリースだった Burial + Four Tet: Moth / Wolf Cub (Text, TEXT006, 2009, 12″) と Burial + Four Tet + Thom Yorke: Ego / Mirror (Text, TEXT010, 2011, 12″) も、こういう形でまとめてデジタル配信になって欲しい。

Daphni
Jiaolong
(Jiaolong, JIAOLONG005, 2012, CD/DL)
1)Yes, I Know 2)Ne Noya (Daphni Mix) (Cos-Ber-Zam) 3)Ye Ye 4)Light 5)Pairs 6)Ahora 7)Jiao 8)Springs 9)Long
Written and produced by Dan Snaith. except 2) which appears courtesy of Analog Africa.
3) from the 12″ single TEXT009 (2011). 1,2,7) from the 12″ single JIAOLONG001 (2011).

Four Tet の交流深いカナダの DJ/producer Dan Snaith (aka Caribou) も、 2011年から使い始めた別名義 Daphni でアルバムを 自身のレーベル Jiaolong からリリースしている。 Four Tet とのカップリング12″の曲 “Ye Ye” や 2011年の Jiaolong レーベル第1弾12″からの3曲も収録している。

アトモスフェリックとはいえ歌をフィーチャーする Caribou に対して、 Daphni は歌無しでの名義のよう。 “Ye Ye” など Pink での Four Tet に近く、 そういう路線になるかと予想していたのだ。 しかし、こうしてアルバムでまとめて聴くとリズムも electro 風だったり、 サンプリング音にもひょうきんさを感じたり、とかなり違っている。 そういう面も楽しめたアルバムだ。

sources:
主な関連レビュー: