1990年代末から活動するロンドンの electronica のDJ/producer Four Tet (aka Kieran Hebden) の2年ぶりのアルバムは、 Domino ではなく自身のレーベル Text から。 アルバムといっても、2011年から2012にかけて Text からデジタル配信無しのアナログ12″シングルのみでリリースしてきたトラックをまとめて アルバムとしてデジタル配信したもので、日本のみCDリリースされている。
前作 There Is Love In You (Domino, WIGCD254, 2010, CD) からのシングルのリミックスが dubstep 寄りの DJ/producer 起用だったのでそちらへ路線変更するかと思いきや、 むしろ、There Is Love In You の延長に近い。 といっても、前作で特徴的だった歌声のサンプリングは少なめ、 淡々とにダンスフロア指向を強めたかのよう。 “Pinnacle” や “Ocoras” などで、そういう面が楽しめる。 もちろん、Four Tet らしいキラキラとしたサンプリングも健在で、 “Lion” の後半での木琴類の乾いた軽やかな音や、“128 Harps” での繊細なハーブの音などの 音使いも気に入っている。 曲順も単なるシングルの曲を並べたという以上の展開を感じさせ、 There Is Love In You にも劣らないアルバムになっている。
やはりアナログのみのリリースだった Burial + Four Tet: Moth / Wolf Cub (Text, TEXT006, 2009, 12″) と Burial + Four Tet + Thom Yorke: Ego / Mirror (Text, TEXT010, 2011, 12″) も、こういう形でまとめてデジタル配信になって欲しい。
Four Tet の交流深いカナダの DJ/producer Dan Snaith (aka Caribou) も、 2011年から使い始めた別名義 Daphni でアルバムを 自身のレーベル Jiaolong からリリースしている。 Four Tet とのカップリング12″の曲 “Ye Ye” や 2011年の Jiaolong レーベル第1弾12″からの3曲も収録している。
アトモスフェリックとはいえ歌をフィーチャーする Caribou に対して、 Daphni は歌無しでの名義のよう。 “Ye Ye” など Pink での Four Tet に近く、 そういう路線になるかと予想していたのだ。 しかし、こうしてアルバムでまとめて聴くとリズムも electro 風だったり、 サンプリング音にもひょうきんさを感じたり、とかなり違っている。 そういう面も楽しめたアルバムだ。