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Review: Plaistow (live) @ Koendori Classics, Tokyo
2013/07/07
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
公園通りクラシックス, 渋谷
2013/07/02, 19:30-22:00
Johann Bourquenez (piano), Vincent Ruiz (doublebass), Cyril Bondi (drums).

Plaistow は2007年にスイス・ジュネーヴ (Genève, CH) で結成された piano trio。 bass の Ruiz は2012年からのメンバーだ。 jazz/improv の文脈で活動しているが、techno や minimal music からの影響の強い音楽を演奏している。 日本ツアー最終日の公園通りクラシックスでのライブは、 途中休憩を挟んで前半後半の2セットに、アンコール1回の演奏。 フロア中央に演奏スペースを設けて三方を客席で囲むという配置は 同じくスイスの Nik Bärtsch が初来日した時の Super Deluxe でのライブ [レビュー] を思わせるもの。 Citadelle (Two Gentlemen, 2013) や Lacrimosa (Insubordinations Netlabel, 2012) など 近作からの曲を中心に演奏した。

drum が4ビートを叩いたり piano がモーダルなフレーズを弾いたりすることもあり、 コンテンポラリーな jazz がベースにあるのだろうと思わせるが、いかにもなソロはほとんど無い。 反復する piano のフレーズは、粒だった音を使うときもあるが、ワーンと響かせてテクスチャのようにしていく時もある。 前半ほ終わり近く piano のモーダルなフレーズ (“Orion” だろうか) が地中海〜東地中海的に感じられるもので、 bass や drums も控えめに淡々ミニマルに展開する中でのこの使い方が、印象的だった。

drums も techno 的な機械的反復を多用すれど、反復からドライブ感が出る前に変化していく。 後半の初め近くの、淡々とした刻みを挟みつつ複合拍子の激しいフレーズを間欠的に繰り出す展開など、 人力 broken beat というか、初期の Squarepusher を思わせるものがあった。 反復ビートにおいて布を被せたスネアのロールを多用していたのも、音色的に印象的だった。 piano や drums に比べ bass の印象が薄いのだが、 これは、自分が座った席から遠くて手元が見辛かったせいかもしれない。

始まる前は淡々とミニマルした展開に終始するのだろうかと思っていたのだが、 このような予想以上に様々な展開の演奏をして、一筋縄ではいかない面白さがあったライブだった。