Henning Sieverts はベルリン (Berlin, DE) 出身ながら ミュンヘン (München, BY, DE) を拠点に活動する jazz/improv の bass/cello 奏者。 1990年代以降、Johannes Enders, The Notwist 等のミュンヘン界隈のミュージシャン/グループ はもちろん、 ドイツを中心に様々な録音に参加している。 2000年代後半に入って、Chris Speed (clarinet), Johannes Lauer (trombone), Achim Kauffman (piano), John Hollenbeck (drums) との5tet Symmetry で Symmetry (Pirouet, PIT3022, 2007, CD) と Blackbird (Pirouet, PIT3040, 2009, CD) の2作を残している。 去年リリースされたアルバム Symmethree は タイトルこそ Symmetry を思わせるもので、コンセプト的にも通底するものを感じるが、 trio 編成で他のメンバーは異なっている。 trombone が Nils Wogram [レビュー] になり、 piano ではなく guitar で Ronny Graupe が入っている。
Olivier Messiaen にインスパイアされた “Nine O.M.” と “Nine On Twelve” に Anton Webern にインスパイアされた “New Tone Barn” とあるが、 抽象的な展開は控えめで contemporary classical 色はさほど濃くない。 “À La Seurat” や “Deep Deep!” のような曲で弓弾きするときなど室内楽風 jazz になるときがあるが、 ピチカートのリズムに guitar と trombone が絡む展開など むしろ、Jimmy Giuffre 3 での Jim Hall と Bob Brookmeyer のよう。 Messiaen に捧げられた2曲にしても、イデオムは jazz 的で、むしろその複雑なフレーズの掛け合いも楽しい。 bass、guitar、trombone の優しい音色でゆったりと、 しかしその中に一筋の緊張感を残したような展開が気持ち良いアルバムだ。
Symmetry は trombone と clarinet という2管の組合わせに Chris Speed や John Hollenbeck といったミュージシャンも参加も興味深いのだが、 1作目 Symmetry はスムーズで展開も単調に感じられ物足りなく感じたのも確か。 しかし、2作目 Blackbird はだいぶ面白くなっていた。 Symmethree の試みが Symmetry へ良い形でフィードバックすることを期待したい。