昨年 [レビュー] に続いての来日となる Iain Ballamy と Thomas Strønen による jazz/improv のグループ Food。 この初日の公演は、昨年に続いての 巻上 公一、 急病で来日できなくなった Christian Fennesz に代わり Jim O'Rourke を加えての quartet によるもの。 今回は Iain Ballamy が sax を吹くことが多く、ゲスト2名も Food にフィットしていて、 前回以上に Food らしい音世界を堪能できた。
チャカポコした軽い音色ながら looper を駆使して electronica 的な複雑なリズムを繰り出す Strønen の演奏は相変わらず。これで Food らしい音世界のベースができるよう。 Ballamy は Lyricon を手にすることもあったが、 今回は tenor/soprano saxophone 2本を抱えソロ的にゆったりとしたメロディを吹くことも多い。 ゲスト2名に実質管楽器がいないこともあり、遠慮なく吹いている感すらあった。 Fennesz とのプロジェクト Fenn O'Berg もある O'Rourke も急遽代役とは思えない馴染んだ guitar 音響を繰り出していたし、 巻上 公一 が、浮遊するような theremin の音だけでなく、 Food がアルバムで必ずのように入れるの trumpet の音を加えてきたのも良かった。 あと、彼のヴォイスが最新作 Food: Mercurial Balm (ECM, 2012) で聴かれる Prakesh Sontakke のヴォイスの代わりである以上に、寒冷な森林の奥から遠く響く声のように Food の音に合っていた。
ゲストを加えての約1時間の演奏も充分に楽しんだのだが、 Strønen の小さな銅鑼の高いが柔らかい金属音をベースに作り出すリズムに Ballamy が朗々と saxophone を吹くアンコールでの duo が、短めながらもとても良かった。 演奏時間は短めだっただけに、この duo での演奏ももっと聴きたいと思うようなライブだった。
観劇の予定と被ってしまったのですが、終演後こちらに駆けつけ、 頭の数分欠けた程度で後半の Food の演奏をほぼ聴くことができました。 (前半の カフカ鼾 は残念ながら聴かれませんでしがが。) 去年のライブより良かったので、駆付けた甲斐があったでしょうか。